ギターの音色の要となるリバーブ。ミックスの際に使用すれば、サウンドを心地よく馴染ませてくれます。その効果は絶大で、幻想的かつ別世界のような雰囲気や繊細で巧妙なニュアンスを作り出し、温かみのある音に仕上げます。ギタリストがデジタル・リバーブ・ペダルをどのような方法でセッティングするかは様々ですが、リバーブと他のエフェクトを組み合わせることで、サウンドの可能性を広げることができます。
リバーブのペアリング
ペダル・ボード上の配置に工夫を施せるという点で、リバーブには面白いアイデアが隠れています。エフェクト・チェーンの末尾に設置するか、ペダル・ボードと切り離してアンプのエフェクト・ループ経由で接続するのが一般的でしょう。そして、全てのエフェクターは音全体の最終レイヤーであるリバーブに接続されます。
ギター・プレイヤーの必須アイテムであるリバーブを使って斬新な音を作るために、相性の良いペダルを知ることは極めて重要なポイントです。リバーブはあらゆるエフェクトとの相性が良いですが、その中でもクラシックなギター・サウンドを実現する、注目のペアリングをいくつか紹介します。
PEDAL COMBINATIONS
ディレイ
ディレイとリバーブは非常に似ており、さりげなく使用することで同様なエフェクト効果を作ることができます。ディレイとリバーブの組み合わせはユニークでクリエイティブな音色も生み出し、テープ・エコーとスプリング・リバーブは、言わば同じコインの表裏のような存在です。数え切れないほど多くのレコーディングでギタリストやプロデューサーがこの組み合わせを実践し、何十年にも渡って、ポピュラー音楽に欠かせないブレンドとして親しまれてきました。
ディレイ・ペダルを伝統的なテープ・スタイルのスラップバック・エコーに設定することで、最大限のエフェクトを得られます。まず、TIMEとFEEDBACKのコントロールを短く低めに設定します。それからリバーブ・ペダルをスプリング・リバーブに設定、または温かみのある残響を作るためにTONEコントロールを比較的低めの値にします。シンプルなスプリング・リバーブに送り込まれるタイトなディレイの伸びは、The Last Shadow Puppetsの“Aviation”のような音色を奏でます。
おすすめのペアリング
- BOSS RV-6 × RE-202
- BOSS RV-500 × DM-2W
オーバードライブとディストーション
オーバードライブとディストーションは高揚感のあるギター・サウンドに最適なエフェクトで、リフにエネルギーやダイナミクス、絶妙なセンスを加えます。使い方によって特定のジャンルを印象付けたり、全く新しいエフェクトを作り出します。他の楽器よりもギターを目立たせたい場合には、強めにエフェクトをかけてください。オーバードライブやディストーションはドライで鋭いサウンドのためバランスを取るのが難しいですが、ここで重要な役割を果たすのがリバーブです。
リバーブは、尖った荒々しいサウンドを和らげる効果があります。両方のエフェクトの長所を活かし、オーバードライブの生々しい鋭い音と強調されたハーモニック、そしてリバーブの浮遊するアンビエンスが見事に共存します。オーバードライブがプレーンなリバーブに荒々しさを加え、リバーブがドライなオーバードライブを和らげるイメージです。Ariel Posenの“Runner”を聞けば、このエフェクトのレイヤーがどれほど贅沢なサウンドを仕上げるかが分かるでしょう。
おすすめのペアリング
- BOSS RV-6 × DS-1W
- BOSS RV-500 × BD-2W
「オーバードライブやディストーションはドライで鋭いサウンドのため、バランスを取るのが難しいですが、ここで重要な役割を果たすのがリバーブです」
ボリューム・ペダル
FV-30Hのようなボリューム・ペダルを加えることで、バイオリン奏法のようなアタック感がなく音量がフワッと立ち上がってくるようなサウンドを生み出せます。ギターのボリューム・コントロールでも上記のような効果を体験できますが、ボリューム・ペダルならより簡単に、そして正確に同様のエフェクトを実現できます。
リバーブ・ペダルのEFFECT LEVELを大きめに設定し、幻想的なボリュームのうねりを作ります。この種のサウンドで重要なのは、極端にエフェクトを設定することです。ボリューム・ペダルをヒール側(OFF)の位置にしてコードをかき鳴らし、ゆっくりとつま先に向かって踏み込むと、かき鳴らされたギターの厳しいアタックを伴わずにボリュームが上がります。こうすることで、ストリングスやシンセサイザーのパッド・サウンドのようなエコーが生まれます。ボリューム・ペダルは、2台のペダルで簡単に実現できるので、よりクリエイティブなトーンを求めるギタリストに最適です。
おすすめのペアリング
- BOSS RV-6 × FV-500H
- BOSS RV-500 × EV-30
トレモロ
最も親しまれているヴィンテージ・アンプのクラシックな音を作るなら、トレモロとリバーブに勝る組み合わせはないでしょう。
トレモロはシンプルながら効果的でリズミカルな音量の変化を生み出します。しかし、ほとんどのトレモロ・ペダルにはタップ・テンポ機能が搭載されておらず、音がアンサンブルに馴染まなくなってしまうこともあります。トレモロのスピードが曲のBPMと完全に一致することは難しいですが、リバーブを加えることでより滑らかな印象になります。そのためクラシックなトレモロのパルスを保ちながら、スプリング・リバーブのようなエコーで音のバランスが整います。Alexander Saviorの“Vanishing Point”で、その素晴らしいサウンド効果を聞いて見ましょう。
おすすめのペアリング
- BOSS RV-6 × TR-2
- BOSS RV-500 × TR-2
「ディレイの前にエクスプレッション・ペダルを使用することで、ストリングスのようなうねりを作ることができます」
シンセ
サウンドの可能性をより大きく広げてくれるのが、ギター用のシンセ・エフェクトです。SY-200のようなペダルは、熱狂的なリード・シンセからアルペジオ・ベースまで、幅広いサウンドが含まれています。リバーブと組み合わせて大胆に使えば、サウンドの可能性はさらに広がります。
リバーブ・ペダルのSHIMMER機能を活用することで、リバーブの残響にピッチ・シフトしたような効果が付加され、リード・シンセのトーンをより高いレベルへと引き上げます。SY-200と他のペダル・ボードのリバーブを組み合わせ、ギターで別世界の音像を創造するRabea Massadの動画を参考にしてください。
おすすめのペアリング
- BOSS RV-6 × SY-1
- BOSS RV-500 × SY-200
Amp Setups
アンプの直前に配置
他のエフェクターと同様に、リバーブをアンプの前に接続することで、最も簡単な使用法です。ただしその場合、アンプのゲインとリバーブ・ペダルの反応に影響してしまいます。
スプリング・リバーブを搭載したアンプの場合、スプリング・タンクがプリアンプの後に接続されていることが主流です。この配置によって、リバーブはアンプのゲインやEQに影響を受けず、クリーンな状態を維持します。アンプの前にリバーブを配置してしまうと、ゲインを上げた時にドライブが掛かり、音が濁ってしまいます。
一般的に、リバーブをアンプの前に設置する場合は、アンプをクリーンなセッティングにしておくことが推奨されています。また、オーバードライブやディストーションはリバーブの前に置くことで、キレの良いドライブ・トーンが得られます。このような配置はアンプやドライブの音色を維持したまま、リバーブの残響をクリーンかつ正確に保つことができます。
「リバーブをアンプの前に設置する場合は、アンプをクリーンなセッティングにしておくことが推奨されています」
エフェクト・ループを使用する
リバーブ・ペダルをアンプのエフェクト・ループに接続する方法もあります。リバーブ・ペダルを別途エフェクト・ループに接続することで、アンプのプリアンプとゲインの後にリバーブがかかり、スプリング・リバーブを搭載したコンボ・アンプと同じような位置づけになります。
魅力的なリバーブの世界
リバーブは他のエフェクトとの組み合わせにおいて、そのサウンドの魅力をさらに引き立ててくれます。エフェクトの荒々しさを和らげ、重厚なサウンドを押し上げ、不思議な新しいギター・トーンを作り出すことができます。リバーブや他のエフェクトの最も優れた点は、リバーブと組み合わせる効果の全てを引き立てることです。あらゆるサウンドをより良くしてくれる魔法の成分、リバーブをそう例えることができるでしょう。