今や世界中のプレイヤーから愛されているBOSS KATANA AMP。ロックのDNAを継承し、クラシックとモダンを両立させたこのシリーズは、駆け出しのプレイヤーからプロフェッショナルまで、ギタリストが思い描くサウンドを形作るアシストをしてくれます。BOSSエフェクターに由来する多種多様なトーンを以てすれば、サウンド・メイキングに困ることはありません。ステージ、スタジオ、リハーサル室、自宅での楽曲制作まで、KATANA AMPは常にあなたの相棒となるのです。
どんな夜でも
どんな夜でも、どんなステージでも、どんなバンドでも、人波を縫って最前列に立ち、マイクスタンドやモニタースピーカーの奥に目を凝らせば、薄暗闇に黒いアンプとLEDの光が浮かび上がり、そのグリルネットにアイコニックなBOSSのロゴと漢字のデザインを見つけることができるでしょう。
もしかすると、このシリーズが革新的なアンプとして突如現れたように見えるかもしれません。もちろん、1976年のCE-1 Chorus Ensembleによって確立された、エフェクターにおける世界的リーダーとしてのBOSSの立ち位置は揺るぎないものですが、アンプにおいても、その開発は長い伝統と受け継いできたノウハウに基づいているのです。
「私たちの未来を築くための基礎となるものは、過去の歴史にあります。50年を通じて得られた経験と、新しいイノベーションのバランスが大事なのです」
Yoshihiro Ikegami
サウンドの革命
BOSSにおいて、ゼロから生まれた革命などありません。すべては過去のひらめきを発展させたものです。BOSSの前代表である池上嘉宏氏は、会社の創立50周年を記念するイベントの中でこう語りました。「私たちの未来を築くための基礎となるものは、過去の歴史にあります。50年を通じて得られた経験と、新しいイノベーションのバランスが大事なのです」
ギター用アンプのルーツは1920年代まで遡ることができ、1960年代にはJimi HendrixやPete Townshendといったパイオニア達が真空管によるスタック・アンプを用いて一時代を築いていました。その10年後に、ロンドンやカリフォルニアではなく、日本からギター・アンプに対する新たな価値観が生まれたのです。
「ローランドは1972年に設立され、1974年には名機RE-201 Space Echoを発売。その1年後には、この生まれたばかりのブランドを不朽のものとするJC-120を発表しました」
JC-120の登場
ローランドは1972年に設立され、1974年には名機RE-201 Space Echoを発売。その1年後には、この生まれたばかりのブランドを不朽のものとするJC-120 を発表しました。今やこの2×12のコンボ・アンプは生きる伝説となっていますが、発表当時としては革新的な製品で、真空管ではなくソリッド・ステート技術によって、純真で透き通ったクリーン・サウンドを生み出せることを証明しました。
JC-120はJC=Jazz Chorusの名の通り、当初はアーチトップギターのピュアなサウンドを保つことを求めていたジャズ奏者たちに認知されていました。しかしその美しいクリーン・トーンと甘いステレオ・コーラスのサウンドにより、次第にMetallica、Limp Bizkit、Albert King、The Policeまで、あらゆるジャンルで使用されることになったのです。
イノベーションの遺産
ここでは、Rolandで開発された主要なアンプ製品を追ってみましょう。
- Jazz Chorus JC-120 (1975-現在):ユニークなデザインとともに、美しいクリーン・トーンとステレオ・コーラスによって、JC-120は世界中のギタリストから愛されるギター・アンプとなっています。
- CUBEシリーズ (1978-現在):ローランドにとって、CUBEは汎用性の高いポータブル・アンプへのチャレンジでした。長い年月を経た今でも、このシリーズは練習、録音、小規模のセッションまで、幅広い用途に応えるコンパクト・アンプの定番機となっています。
- Blues Cubeシリーズ (2016-現在):独自の「Tube Logic」によって、このシリーズは真空管アンプ特有の温かみのあるサウンド、ダイナミックなレスポンスと、ソリッド・ステート・アンプの信頼性・汎用性を両立させました。
- BOSS KATANAシリーズ (2016-現在): 多彩なアンプ・タイプにBOSSの専門分野であるエフェクトを多数搭載した、Roland/BOSSのアンプ開発の最先端を行くシリーズとなっています。
- BOSS Nextoneシリーズ (2018-現在) :アナログのクラスABパワー・アンプを切り替えて使用できるこのシリーズは、クラシックな真空管のサウンドとフィーリングを次世代の多様なトーンと組み合わせています。
「OD-1 Overdrive、PH-1 Phaser、SP-1 Spectrumをはじめとする70年代後半の名機を皮切りに、BOSSは半世紀にわたり絶え間ないイノベーションを続けてきました」
BOSSの始まり
ローランドのアンプ開発はJC-120の成功によって後押しされ、1978年にはポータブル・タイプのCUBEシリーズをリリース。Randy RhoadsからNita Straussまで、世代を超えたギタリストに愛されました。しかし、イノベーションに挑み続ける日本の企業はRolandだけではありませんでした。BOSS は1973年にRolandのグループ会社として生まれ、エンジニアの協働など緊密に連携しながら、それぞれが得意分野を確立していったのです。
BOSSにとって、その得意分野とは世界に誇るエフェクターでした。OD-1 Overdrive、PH-1 Phaser、SP-1 Spectrumをはじめとする70年代後半の名機を皮切りに、半世紀にわたり絶え間ないイノベーションを続けてきました。現在、BOSSからリリースされたコンパクト・エフェクターは140を数え、その中にはNirvanaやThe Cureなど様々なアーティストにインスピレーションを与えたDS-1、Steve VaiやQueens Of The Stone Ageの楽曲で聞かれるDDシリーズなどが含まれています。
「この新しいアンプ・シリーズの名前は日本の伝統の1つである刀にちなんだもので、精巧さ、誠実さ、芸術性といったかつての刀匠の哲学をコンセプトとしています」
開発コンセプト
確立された領域を維持することで、名声を確立しているブランドも多くあります。しかし、BOSSはRolandと共有した歴史と蓄積されたノウハウを活かすことで、プロ・クオリティのエフェクトを内蔵した現代的なアンプという新たな需要に辿り着きました。
KATANA AMPはその設計より前に、コンセプトの確立から開発がスタートしています。この新しいアンプ・シリーズの名前は日本の伝統の1つである刀にちなんだもので、精巧さ、誠実さ、芸術性といったかつての刀匠の哲学を体現しています。また、同じく重要なこととして、創業時からBOSS製品の代名詞となっている耐久性の高さと直感的な操作性も備えています。
新たなシリーズの誕生
2016年の9月に、KATANA AMPは産声を上げました。コンパクト・タイプのKATANA-50、大出力のKATANA-100、スピーカーを2基搭載したKATANA-100/212、そして100W出力のヘッド・アンプであるKATANA-HEADの4機種です。手頃な価格で豊富な機能を持つこれらの製品は、「究極のロック・サウンドを提供する」という約束を力強く実現していました。
この革新的なKATANA AMPも、BOSSの哲学に違わず、同時期に開発された画期的なアンプのノウハウを継承しています。同年初めにリリースされたWAZA-HEADとWAZA Amp Cabinet212は、真空管さながらのトーンとボイシングによりプレイヤーを驚かせました。音楽雑誌「Guitar World」のChris Gillは、「これは大規模なステージでも十分に通用する、チューブ・ヘッド・アンプの代わりとなる製品だ」とコメントしています。
「メタル奏者からブルース奏者まで、KATANA AMPをはじめて触った人は、そのインスピレーションを加速させる多種多様なサウンドに驚くことでしょう」
多彩な機能
メタル奏者からブルース奏者まで、KATANA AMPをはじめて触った人は、そのインスピレーションを加速させる多種多様なサウンドに驚くことでしょう。BOSS独自のTube Logicにより設計された、Clean、Crunch、Lead、Acoustic、Brownの5つのアンプ・タイプ、クラスA/Bアナログ・パワー・アンプ、そしてカスタム・デザインのスピーカー・キャビネットがもたらす相互作用によりKATANA AMPは真空管アンプのような生々しいサウンドを生み出します。また一方で、クラシックな真空管アンプには無い魅力として、POWER CONTROL機能によって唸るようなロック・サウンドを実用的な音量レベルで引き出すことができます。
「KATANA AMPは、ブラック・フェイス風のファットでみずみずしいクリーンから、ブルースやクラシック・ロックに最適なツイード・ベースのクランチまで、すべてのサウンドが本格的だ」と、KATANA-100/212を試奏したNick Guppyのコメントがイギリスの情報サイト「MusicRadar」に掲載されています。「Lead、Brownのアンプ・タイプも、ハイ・ゲイン愛好家の欲求を満たしてくれるだろう」
「1つ1つのKATANA AMPが真っ白なキャンバスとなり、甘いジャズから激しいスラッシュ・メタルまで、あらゆるジャンルにチューニングされた専用のアンプを、それぞれの持ち主に提供しているのです」
増え続けるエフェクト
もちろん、エフェクターのパイオニアとして半世紀にもわたり培ってきたノウハウをBOSSが無駄にするはずがありません。初期モデルの時点で、KATANA AMPは55種類のエフェクト(この数は増え続けています)を使用することができました。
プレイヤーはその中から直感的な操作で3種類を同時に利用し、さらに無料のエディターソフトであるBOSS TONE STUDIOを活用すれば独自のトーンを作成して本体に保存することができました。1つ1つのKATANA AMPが真っ白なキャンバスとなり、甘いジャズから激しいスラッシュ・メタルまで、あらゆるジャンルにチューニングされた専用のアンプを、それぞれの持ち主に提供しているのです。
「初日からKATANA AMPは爆発的に売れ、あらゆるジャンルのプレイヤーがこの新たなアンプを使い倒すようになりました」
瞬く間の人気
初日からKATANA AMPは爆発的に売れ、あらゆるジャンルのプレイヤーがこの新たなアンプを使い倒すようになりました。その反響の高さからBOSSのエンジニアはラインナップの拡充を決定。2017年には3段階のアナログ・ゲイン回路を持つ小型のKATANA-MINI を発売し、練習用アンプの常識を覆しました。翌年にリリースされたKATANA-Artistは、プロ仕様のトーン、スピーカー、キャビネットを備え、Andy James、Ola Englund、FrogLeapのギタリストでYouTuberでもあるRebea Massaadなど多くのプレイヤーを惹きつけました。
Rebea Massaadはこのフラッグ・シップ・モデルに触れた際、次のようにコメントしています。「KATANA-Artistは欠点の見当たらないとても魅力的なモデルだ。異なるトーンとエフェクト、それらの操作をすべて1つに纏めてセッションしたい人にとっては、最高のチョイスになるだろう」
「John PetrucciのGuitar Universe campに参加したときに初めてKATANA-Artistを触ったけど、すぐにこの製品のファンになったよ」と、Five Finger Deatch Punchの最新シングルに参加し、昨年ソロ・アルバム「Fury From Above」をリリースしたAndy Jamesは言います。「素晴らしいトーンを簡単に作り出せるし、驚くほど表現力豊かだ。スピーカーも良くて、どんなシチュエーションでも最高のアンプだよ」
「2018年には完全ワイヤレス・ギター・アンプのKATANA-AIRが登場し、常識を塗り替えました」
KATANAの進化
KATANA-Artistがそのサウンドで既存のアンプ・ブランドに並び立ったのと時を同じくして、2018年にはKATANA-AIRが常識を塗り替えました。この完全ワイヤレス・ギター・アンプは、電池駆動かつスマートフォン・アプリとのワイヤレス接続ができるデスクトップ・サイズのモデルとして、シリーズの幅を広げています。その後、ライブ用途にLINE OUTを備え、5インチスピーカーを2基搭載する35W出力のアップグレードモデル、KATANA-AIR EXも登場。「もしデスクトップ・タイプでありながらレコーディングやリハーサルなど他の用途にも役立つアンプが欲しいなら、KATANA-AIR EXは理想的な選択肢だ」とNick Guppyはコメントしています。
革新的なアンプとしてスタートしたKATANAは、2019年にはKATANA MkIIにアップグレード。5つのアンプ・タイプやPOWER CONTROL機能などシリーズの特徴を引き継ぎながら、進化を続けています。
KATANAシリーズの変遷
デビュー以来、KATANA AMPのモデルは増え続けています。ここではシリーズの年表を紹介しましょう。
- 2016 – KATANA AMPデビュー:WAZA AMPの開発ノウハウをもとに生まれた当初のラインナップは、3つのコンボ・タイプKATANA-50、KATANA-100、KATANA-100/212と、1つのヘッド・タイプKATANA-HEADからなります。
- 2017 – KATANA-MINI:小さな筐体からリッチなサウンドを生み出すこのモデルの重さはわずか1.2kgで、テーブルや本棚の上に手軽に乗せることができ、必要であればあらゆる場所に持っていくことができます。
- 2018 – KATANA-AIR:世界初の完全ワイヤレス・ギター・アンプとして発表されたKATANA-AIR。電池駆動のコンパクト・サイズで、BOSS独自のワイヤレス技術を用いたトランスミッターによる超低レイテンシーが特徴です。
- 2018 – KATANA-Artist:プロ仕様のトーン、スピーカー、キャビネットを備えたシリーズのフラッグ・シップ・モデル。操作パネルをフロントに配置した新たなキャビネット・デザインと、プレミアムな12インチのWAZA Speakerを搭載する、100W出力のコンボ・アンプです。
- 2019 – KATANA MkII:5つのアンプ・タイプそれぞれにバリエーション・スイッチが追加されたほか、同時使用可能なエフェクトがBooster、Mod、FX、Delay、Reverb の5系統に増加。それぞれの系統に3つのエフェクトを本体に保存できるため、同時に15種類のエフェクトを本体のみで操れるようになりました。
- 2020 – KATANA-Artist MkII:2020年、フラッグ・シップ・モデルであるKATANA-Artistが、アンプ・タイプのバリエーション、エフェクト数の増加のほか、CONTOUR、SOLO ブースト、STEREO EXPAND機能などのアップデートを備えてMkIIに進化しました。
- 2022 – KATANA Bass:KATANAのラインナップに、初のベース用モデルであるKATANA-110 BassとKATANA-210 Bassが登場。
- 2023 – 3つの新モデル:エントリー・モデルKATANA-50 MkIIの機能を拡張したKATANA-50 MkII EX、KATANA-Artist MkIIのプレミアムなサウンドと機能をヘッド・タイプで提供するKATANA-Artist MkII Head、WAZA Speakerを搭載した2×12タイプのキャビネットKATANA Cabinet 212 WAZAが登場しました。
- 2024 – KATANA-500 Bass Head:リファインされたプリアンプ回路と新開発のクラスDパワー・アンプ、革新的なCAB RESONANCE機能をもつ、500W出力のベース用ヘッド・アンプです。
「KATANA AMPは絶え間ない進歩を続けることで、いつでも最新の音楽シーンに対応する機能を備えています」
進化する拡張性
KATANA AMPの歴史を追うと、機能が次々と進化していることがわかるでしょう。各アンプ・タイプのバリエーション、追加されるエフェクト、エディターソフトBOSS TONE STUDIOのアップデート、GA-FC Footswitchによるリアルタイム・パフォーマンスの充実、KATANA AMPをプリアンプ・ペダル用のパワード・キャビネットに変身させるPOWER AMP IN端子。STEREO EXPAND機能によって、複数のKATANA AMPを用いてステレオ・サウンドの壁を作ることも可能になりました。
次の一歩
1つの手法にこだわり続けることにより高い評価を得ているブランドも存在しますが、「We design the future.」をモットーとするブランドとして、BOSSのKATANA AMPは常に進歩を続けることで、いつでも最新の音楽シーンに対応する機能を備えています。ただ、KATANAの次の一歩がどうなるにせよ、そのコンセプトは刀身のように研ぎ澄まされ、揺らぐことはありません。MusicRadarにはこう記載されています。「BOSS KATANAが多くの『ベスト・ギター・アンプ』のリストに名を連ねる理由は、それが傑作だからである」