Reverberations: Noel Gallagher  

Reverberations: Noel Gallagher  

イギリス、マンチェスターの作曲家が、ギターが奏でる魔法、エフェクトの役割、果てしないメロディーの探求について語ります。

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完璧なコードと忘れられないメロディーが合わさる瞬間はまるで錬金術のようで、運命のように感じられます。作曲はまさに芸術あり、Noel Gallagherは非常に巧みにそれを実践している一人です。“Live Forever”や“Wonderwall”といったOasisの名曲からHigh Flying Birdsで披露されるサイケ調の楽曲まで、野暮な率直さや普遍的にフックを取り入れるテクニックに、Gallagherの特徴が見られます。イギリス、マンチェスターの作曲家が、ギターが奏でる魔法、エフェクトの役割、果てしないメロディーの探求について語ります。

ギターが奏でる魔法

Oasisが数々のアンセムを突如リリースし始めた1990年代初頭以来、Noel Gallagherはロックの権威を勝ち取ってきました。2023年においてもギターを相方としながら音楽を続ける彼は、なぜ楽器を手に取るのでしょうか。

「私にとってギターは、あらゆることを可能にしてくれる、遠い想像上の魂の片鱗へといつでも導いてくれる魔法の扉です」とGallagherは語りました。「私が宇宙とコミュニケーションをとる方法で、またその逆も言えます」

「私にとってギターは、あらゆることを可能にしてくれる、遠い想像上の魂の片鱗へといつでも導いてくれる魔法の扉です」

その無限の可能性という感覚は、キメのあるコード、Paul McCartney風のひねり、そして心を広げるような奇妙な歌詞の展開など、彼の全ての作品を通して響いています。GallagherはPaulが弾くようなエレガントでオールドスクールなベースラインの大ファンです。「時々、ベースで曲を書いています。曲の中でベースが主役になっているものは、全部自分でベースを弾いています」  

音の旅

ヴィンテージの美学とサイケデリックなインスピレーションを持つGallagherの作品において、サウンドは重要な役割を果たしています。ですが、あくまでも素材でしかありません。初めに歌があって、音は後からついてくるのです。「Oasisには、Oasisの音がありました」と、彼は振り返ります。「マンチェスターの湿った地下室のリハーサル室で、一文無しのアイルランド系イギリス人5人が鳴らした音です。私たちはひとつもペダルを持っていませんでした。良い曲で、シンプルだったので、ペダルは必要ありません」

では、彼のソロ作品がますます冒険的になるにつれて、エフェクトは創作プロセスにどのように作用しているのでしょうか。誇り高き”双子座”のGallagherは、問題に2つの考えが存在することを心得ています。「本当に、場合によります。ほとんどエフェクターを使わないレコードを作ったこともあれば、エフェクターばかりのレコードを作ったこともあります。曲を作るのに、正解も不正解もありません」

Photo by Sharon Latham

時間のエフェクト

会場の規模やバンドの名声が高まるにつれ、Gallagherはセットアップにペダルを追加していきました。有名なのはOasisが伝説的なKnebworthに出演した際に使用した、BOSS TU-3DD-3 です。That Pedal Showの取材に応じたGallagherは、あの深く記憶に残るライブでは、この2つのペダルを載せたただのベニヤ板を使用したと話しています。同じ会話の中で、彼はDD-3を”史上最高のディレイ・ペダル “と呼び、20年間同じものを使い続けていることを明かしました。

今でもBOSSのエフェクトは彼のペダルボードで常に活躍しています。現在、Gallagherが愛用しているのはDD-3とRE-202 Space Echoです。「RE-202のサウンドは素晴らしく、オリジナルに近い」と評価しており、DM-101の音の探求にも意欲的です。「見た目より半分でも音が良ければ、素晴らしいでしょうね」と、Gallagherはペダルについて語ります。

電子音から生まれるフラストレーション

アンプとストリングスを生涯愛してきた彼は、ついに電子音と出会ってしまいます。(1996年にChemical Brothersとコラボしたムーディな楽曲“Setting Sun”が頭をよぎります)。「Pretty Boy’、‘Black Star Dancing’、‘Blue Moon Rising’は全てドラム・マシーンのプリセットにインスパイアされた楽曲です」と、High Flying Birdsの音楽について語り、自慢のシンセサイザーの話を始めました。「私のJUPITER-4は史上最高のアナログ・シンセです」

しかし、気まぐれなGallagher流に言えば、それが彼の将来の計画を直接予見しているという意味ではありません。「電子楽器を一切使わないアルバムを作ろうとしています。すでに取り掛かってはいますが、少し先延ばしにもしています。いつ日の目を見るかは誰にもわかりません。僕にだって!」。そのセッションを聞ける日を、私たちは待つ必要があるみたいです。

「ほとんどエフェクターを使わないレコードを作ったこともあれば、エフェクターばかりのレコードを作ったこともあります。曲を作るのに、正解も不正解もありません」

メロディーを探し続ける

アルバム『Council Skies』に収録された“Dead To The World”は、これまでリリースされた中で最も映画的な曲でしょう。この曲を聞いて彼に映画音楽の制作を依頼した人はいるだろうかと疑問が浮かぶくらいです。「変な話、映画の音楽を依頼されたことは一度もありません」

Gallagherは作曲家として、またパフォーマーとして常に活動しており、彼のツアー日程とディスコグラフィを見れば、それは一目瞭然です。これだけの偉業を成し遂げて、他に何をするつもりかと尋ねたところ、「メロディーを探し続けることです」と答えが返ってきました。Gallagherの落ち着きのないクリエイティブな手腕からすると、すぐに終わるような探求ではないでしょう。

Jamie Franklin and Ari Rosenschein

Jamie is Artist Relations Manager for Roland Europe Group. Ari is Global Editorial Content Manager for Roland.