BOSS SL-2には、複雑で入り組んだリズムを作り出すエフェクトが搭載されており、トレモロ、ドラム・マシン、ベースライン伴奏、ハーモナイザーの要素をコンパクト・エフェクターに凝縮しています。そして他のエフェクトと組み合わせることで、クリエイティブな可能性をさらに広げることができます。スライサーは他のエフェクターとは一線を画す存在です。しかし、自分の限界に挑戦し、ユニークな音を生み出すギタリストにとっては必須のアイテムとなりうるでしょう。
設定の注意点
そのユニークな性質と幅広いエフェクトのため、ペダルボードにおけるSL-2の明確なポジションは決まっていません。SL-2はトレモロに似た働きをするため、歪みペダルの後、ディレイやリバーブの前に使うと効果的です。歪みペダルをSL-2の前に配置すると、ペダルのリズムが引き締まり、よりフォーカスされます。ディレイやリバーブを後に配置すると、エフェクトが心地よくまとまります。
一方で、SL-2にはピッチ系のエフェクトも搭載されています。これらのエフェクトは、エフェクト・チェーンの最初に配置するのがおすすめで、歪みペダルはエフェクトの後が効果的です。SL-2をエフェクト・チェーンのどの位置に置くかは、プレイヤーの目的次第となります。最良のサウンドを鳴らすために、様々なペダルの位置を試してみてください。
PEDAL COMBINATIONS
ディストーション
ディストーションは、スライサーのアグレッシブさを際立たてたい時に、SL-2との素晴らしい組み合わせとなります。この2つのエフェクトには、様々な組み合わせ方法があります。最も魅力的なのは、SL-2をディストーション・ペダルの前に置き、テンポとアタックを最大に設定する方法です。YouTuberのCyberattackは、この手法を手際よく実演しています。
TEMPOとATTACKを動画のように設定することで、SL-2はビット・クラッシュしたような、非常に速くてアグレッシブなトレモロ・エフェクトを生成します。アグレッシブさを強調するディストーションと相まって、聴感上の演奏ダイナミクスは減少します。これにより、シンセのようなシーケンサー・トーンが得られ、シンプルなコードやベースラインに最適なエフェクトを得ることができます。
おすすめのペアリング
- BOSS SL-2 × DS-1W
シマー・リバーブ
シンセのようなアンビエント・トーンを鳴らしたい時は、SL-2の前にリバーブ・ペダルを追加しましょう。通常、リバーブはエフェクト・チェーンの最後のペダルかエフェクト・ループに配置されるため、これは珍しいペダルの使用法に聞こえるかもしれません。しかし、SL-2はパワフルな表現ツールなので、あらゆる種類のエフェクトの組み合わせを実現することができます。
このペダルの組み合わせは、シマー・モードを備えたリバーブ・ペダルと特に好相性です。シマー・リバーブは、ギター信号をピッチ・シフトさせてアンビエンスを増幅させ、広大で幽玄なサウンドスケープを作り出すことができます。このエフェクトをSL-2のスライス・パターンに入力すると、オクターブ・リバーブのテールが上昇するにつれて、ピッチのあるシーケンスが生まれます。
この設定を行うには、SL-2のSINGLE VARIATIONモードと、その中から任意のシーケンスを選択します。ATTACKとDUTYノブは3時、BALANCEは12時、TEMPOはお好みで調節してください。
おすすめのペアリング
- BOSS SL-2 × RV-500
「シマー・リバーブは、ギター信号をピッチ・シフトさせてアンビエンスを増幅させ、広大で幽玄なサウンドスケープを作り出すことができます」
ルーパー
トラックやループを構築する際に、SL-2は非常に便利なツールとなります。ギターを使って、その場であらゆる音色を作るのが好きなソロ・アーティストと相性が良く、ソロ用のシンプルなバッキング・トラックを簡単に作ることができます。
SL-2は、RC-5やRC-505mkIIのようなルーパーと簡単に組み合わせることができます。SL-2をルーパーに接続し、シーケンスの1サイクルをサンプリングすることで実現できます。SL-2にはクロック・シンクとCCコントロール用のTRS MIDI入力も装備されているので、SL-2をより包括的なループに統合したり、アレンジメント全体を構築するマスター・シーケンサーとして使用することも可能です。
おすすめのペアリング
- BOSS SL-2 × RC-5
- BOSS SL-2 × RC-505mkII
ディレイ
SL-2は、単純なものからリズミカルなもの、ピッチを基調としたものまで、驚くほど幅広いシーケンスが可能です。スライサーはオーディオ・シグナルを短く切断するため、エフェクトはギザギザでドライになることがあります。しかし、これは先述した設定方法にとっては望ましい状態です。おそらく、他の楽器と一緒に演奏する必要のあるリズミックなシーケンスを奏でる際に、より穏やかなリズムの動きを作りたいと感じるかもしれません。この場合、ディレイは空間を作り出し、リズムラインを和らげるのに最適なエフェクトとなります。
この組み合わせでは、ディレイ・ペダルをSL-2の後に置きます。そうすることで、ディレイ・テールがスライス・リズムの影響を受けず、複雑で幽玄なフェードでエコーを奏でます。この組み合わせを最良の状態にするためには、タップ・テンポのディレイ・ペダルを使い、SL-2のテンポに同期します。ディレイのスピードを変えてみて、シーケンスの中で一番魅力的なエフェクトになる方法を試してみてください。より短く、より速いディレイ・テールは、シーケンスに強すぎたりリズムを混乱させたりすることなく、シーケンスの幅を広げ、柔らかくするために最も効果的です。
おすすめのペアリング
- BOSS SL-2 × DM-101
「より短く、より速いディレイ・テールは、シーケンスに強すぎたりリズムを混乱させたりすることなく、シーケンスの幅を広げ、柔らかくするために最も効果的です」
フェイザー
フェイザーやフランジャーをSL-2と組み合わせることで、ペダルのリズム・シーケンスに新たな動きを生み出し、躍動感を強調することができます。この組み合わせは、モジュレーション・ペダルをSL-2の前後どちらに配置しても同様に機能します。
効果的な設定方法は、フェイザーのRATEを9時付近に設定し、ゆっくりとしたフィルター・サイクルを作ります。次にDEPTHを最大に設定すると、最も明瞭でサウンド的に圧倒的な動きが得られます。この極端なフェイザーの設定をSL-2のリズム・パターンと組み合わせると、フェイザーのサイクルがリズミカルにスライスされます。これにより、LFOのシーケンスに隙間が生まれ、その結果、リズム・シーケンスに豊かで複雑なバリエーションが生まれるため、スライサー・サウンドに深みとキャラクターが加わります。
おすすめのペアリング
- BOSS SL-2 × PH-3
「この極端なフェイザーの設定をSL-2のリズム・パターンと組み合わせると、フェイザーのサイクルがリズミカルにスライスされます」
独創的なエフェクト
SL-2は単体でも複合的な効果を演出しますが、他のエフェクトと組み合わせることで、また新しいサウンドを作ることができます。実際、このペダルの応用範囲は無限大です。スライサーは、独創的なエフェクトではありますが、あらゆる種類のエフェクトとの相性が良く、プレイヤーに新たなインスピレーションを与えてくれます。