BOSS PS-6 Harmonistは、ユニークな機能満載のピッチ・シフターです。壮大なコーラス効果を作り出したり、コードの構成音を拡張したり、シマー・エフェクトを彷彿させたり、過激にピッチ・ベンドさせることもできます。このペダルの4つのノブとフットスイッチには、無限の音色を実現する可能性が秘められています。シンプルなペダルボードのセットアップでも、PS-6を組み込むだけで、その可能性を最大限に引き出すことができます。
ハーモニスト・ペダルとは何?
BOSS PS-6は原音に対して、任意の音程に変化させたサウンドを加え、ハーモニーを生み出すことができるピッチ・シフターです。BOSS OCシリーズとは異なり、より自由な音程に変化可能なオクターブ・ペダルとも言えます。ここでの明確な違いは、オクターブ・ペダルは原音から1オクターブ上または下に移行できるのに対し、ピッチ・シフターは、3度、5度、7度といった複雑な設定が可能です。コーラスやビブラート・ペダルのように、わずかなマニュアル・バリエーションも兼ね備えています。
ピッチ・シフターの使い方
PS-6には4つのモードがあります。それぞれがユニークなエフェクトを提供し、他の3つのノブでエフェクトの音程や原音とのミックス・バランスなどを調節します。PITCH SHIFTERモードは、1つまたは2つのピッチを追加できます。SHIFTノブで、-24度(-2オクターブ)から-5度、+7度のユニゾン、そして煌びやかな+24度(+2オクターブ)まで、様々なハーモニーを加えることができます。
DETUNEモードでは、SHIFTノブでより小さいセント単位でのピッチ変化を調節します。わずかにピッチをずらした2声を加えることにより、ギター・サウンドに特有の厚みをもたらすことが可能です。コーラスとはひと味違った温かみのあるサウンドを得ることができます。
「ピッチ・シフターは、3度、5度、7度といった複雑な設定が可能です」
ハーモニー・モードでは、複雑な3パートのハーモニーを作ることができます。ステレオ接続では、ハーモニー毎に個別に出力に送ることもできます。KEYノブから演奏するキーを、MODEノブからメジャーかマイナーかを設定します。
S-BENDは他のモードと異なり、フットスイッチをアンラッチ式ペダルに変えます。プレイヤーはフットスイッチを踏んでいる間、ギターのアーム奏法では不可能なピッチ・アップもしくはピッチ・ダウンの効果が得られます。またBALANCEノブとKEYノブを使用して、ベンドの効果かかる時間を設定できます。
ハーモニスト・ペダルを最大限に活用する
シマー・コード
BOSS PS-6のPITCH SHIFTERモードの面白い使い方は、ペダルを完全5度のハーモニーに設定し、ギターの高音域でコードを演奏することです。PS-6は全ての音を5度の音に合わせ、太く複雑なコードを作り出します。この設定はマイナー7thを演奏する際に効果的です。追加された音符が渦巻くような異世界感に満ちたマイナー11コードに変身します。
「BOSS PS-6のPITCH SHIFTERモードの面白い使い方は、ペダルを完全5度のハーモニーに設定し、ギターの高音域でコードを演奏することです」
Morello風スタイル
Tom Morelloはスライディングさせるギターのパートとデジタル・オクターブのスライドを融合させる手法で知られています。通常のギターの音域を超えるオクターブまでソロを広げながら、すぐに通常の音域に戻すことができる素晴らしい方法です。
S-BENDモードではアンラッチ式のフットスイッチを操作することで、追加オクターブにアクセスできます。ペダルを踏むと、ノートが1オクターブ上にスライドします。立ち上がりと立ち下がりの時間を速く、しかし現実的なスピードに設定し、自然な音のスライドを再現します。こうすることで、オクターブ・スライドはエクスプレッション・ペダルを踏んだり戻したりするのと同じようになります。
デチューンされたコーラス
PS-6は複雑なハーモニーや正確なピッチ・シフト・ノートを作り出すことができます。そしてよりユニークな機能のひとつがDETUNEモードで、ピッチをセント単位で変化させることができます。これは、豊かで広がりのあるコーラス・トーンを作るための素晴らしいツールです。
PS-6を使ってコーラスのような音色を作るには、DETUNEモードを選択します。次にBALANCEノブを1時か2時の方向に設定し、デチューンされたピッチシフト信号の上にクリーン信号が聞こえるようにします。超リッチなコーラス・トーンを得るには、SHIFTノブを反時計回りに振り切ります。ここでは、SHIFTコントロールで+15セントと-15セントを加えます。クリーン信号と並んで、コードやピッキングされたギター・パートに立体的な厚みが生まれます。
「DETUNEモードでは、ピッチをセント単位で変化させることができます。これは、豊かで広がりのあるコーラス・トーンを作るための素晴らしいツールです」
段階的なソロ・パート
よりワイルドな音作りを目指す創造的なギタリストにとって、PS-6は一風変わったペダルでありながら、使い勝手の良い音色をあらゆる形で奏でてくれます。その中でも、S-BENDモードを駆使した連続的にピッチがシフトしていくトーンはとても興味深い方法です。このモードを選択したら、立ち上がり時間を極端に短く、立ち下がり時間をできる限り長く設定します。次に音を鳴らし、フットスイッチを踏み込みます。音はすぐに1オクターブ上にシフトし、元のピッチに戻ります。
このテクニックの鍵は、ペダルが音程を戻すのに合わせて演奏することです。演奏された音すべてのピッチが変化しますが、その際も元の音程に戻すために効果がスライドし続けている、ほとんどランダムな不協和音が生まれます。演奏中にもう一度ペダルを踏むと、音は正しいオクターブピッチに戻ります。ソロの最中に時折この操作を行い、ソロの’音程’を維持します。
8bitのギター・サウンド
PS-6で複雑な音程を作るには、多くの処理が必要です。そのため音程が複雑になるほど、シフトされた音がよりデジタル的に聞こえることがあります。例えば、シフト量がオクターブの時は、元の楽器のキャラクターに近いサウンドに聞こえます。また、ドライ音をミックスすることで、より自然に聞こえます。一方で、4度や6度の音は、よりシンセサイザーのような音色に仕上がります。
この音は、ギターを8bitのビデオゲームのような音色に変えます。これを実現させるためには、PITCH SHIFTERモードを選択し、ピッチを3度や6度など、変わったピッチに設定します。次にBALANCEノブを時計回りに回し切り、リサンプリングされたピッチシフトの音だけが通るようにします。これでギターの音からダイナミクスが失われ、高音域では合成されたローファイな音色が完成します。
ギターのコーラス
ギター・ソロを持ち上げ、広大な音の壁を作り出すには、PS-6の3パート・ハーモニー機能が最適です。このモードではKEYノブをギター・ソロのキーに合わせます。次にHARMONYノブを時計回りにいっぱいに設定すると、3度と5度、または3度とマイナス4度の3段階のハーモニーが生まれます。もう1台のアンプを使い、ドライ音とハーモニーの1つを混ぜてから各アンプに送ると、ワイドで立体的なギターのコーラスが完成します。
「ギター・ソロを持ち上げ、広大な音の壁を作り出すには、PS-6の3パート・ハーモニー機能が最適です」
先進的なクリエイティブ・ツール
BOSS Harmonist PS-6は繊細な伴奏から広大なデチューン・サウンドまで、あらゆる演奏に対応する先進的なクリエイティブ・ツールです。汎用性が高く、音色的にも包括的で、とても楽しいペダルです。ハーモニストは単純なオクターブ・ペダルの基本的な役割を担っています。そして必要な時にいつでも、もう1人のギター・プレイヤーのパワーを発揮する偉大なサポート・ツールとしても役立ちます。