2023年、BOSSは50周年記念コンパクト・ペダルの限定モデルをリリースしました。BD-2 Blues Driverは 、象徴的なDS-1 Distortion 、SD-1 Super OverDriveと並んで、ラインナップされています。1995年に発売されたBD-2は、現在でも多くのギタリストに愛用され、BOSSのベストセラー・アイテムです。そのため、BD-2は真のモダン・クラシックとして知られています。

ブルースの時代
1995年に発売されたBOSS BD-2 Blues Driverは、Joe BonamassaやEric Galesといったブルース演奏者による新しい波が巻き起こった10年の間に登場しました。同年には、天才ギタリストのKenny Wayne ShepherdとJonny LangがデビューLPをリリースし、ベテラン・ブルースマンのGary Moore(Still Got the Blues)とBuddy Guy(Damn Right, I’ve Got the Blues)も歴史に残る作品をリリースしています。また、エレクトリック・ブルースの始祖であるB.B. KingとJohn Lee Hookerが第一人者として活動する傍で、Beverly WatkinsやDeborah Colemanなど大物ミュージシャンがブルースの認知度をさらに高めました。
それと同時に、アコースティック・ギターのシーンでは、ブルース・リバイバルが訪れます。Robert Johnsonの歴史的な名盤”The Complete Recordings”とEric Claptonのベストセラー”Unplugged”がグラミー賞を受賞したのもこの時代です。90年代にはグランジが頂点に上り詰めたり、ヒップホップの黄金期を迎えたり、ニュー・メタルが誕生しましたが、ブルースも間違いなく勢いのあるジャンルでした。
優れたブルース・ギターの音色にとって、表現力豊かなフレージングとダイナミクスは全てと言えます。そして、Blues Driverは明瞭かつ鮮明な音を保ちながら、演奏のニュアンスを抜群に際立てます。チューブ・アンプようなレスポンスで人気のBD-2は、繊細な輝きから燃え上がるようなオーバードライブまで、どんなボリュームでも明瞭でブルース調の音色を作り上げます。
「90年代にはグランジが頂点に上り詰めたり、ヒップホップの黄金期を迎えたり、ニュー・メタルが誕生しましたが、ブルースも間違いなく勢いのあるジャンルでした」
ジャンルを超えた魅力
Blues Driverは素晴らしい性能を備えており、ブルース演奏者のためのドライブ・ペダルに留まらないツールです。BD-2のファン層を見れば、いかに様々なジャンルで使用されているかが分かります。オールドスクールなハード・ロックでファンを魅了するLeslie WestやRandy Bachman、ファンク・ソウル界でギターをかき鳴らすPrinceやMalina Moye、ゴスのパイオニアであるBilly DuffyやRobert Smith、アルト・ロックのJim FairchildやKazu Makino、6弦の名手であるMike SternとSteve Vaiなど、様々なギタリストがBD-2を愛用しています。
そして現在では、新しい世代のミュージシャンもまた、Blues Driverに魅了されています。Dhani Harrison、Lukas Nelson、Elijah HewsonといったギタリストがBOSSのコンパクト・ペダルを自身のペダルボードに並べている影響もあるでしょう。彼らは素晴らしいミュージシャンを親に持つ2世ですが、実際にそれぞれがユニークな方法でBD-2の音色を取り入れています。また、Emily Wolfe、Tash Sultana、Courtney BarnettもそれぞれのアイデアでBD-2を使いこなす優れたプレイヤーです。Blues Driverは演奏者の個性とテクニックを輝かせてくれる、相棒のようなペダルです。
多用途的かつ高い適応性
勢いを増すコンパクト・エフェクターの世界において、Blues Driverはギター・トーンの試金石であり続けています。BD-2の実用的で分かりやすいデザインは、どんな機材にも簡単に組み込むことができ、素晴らしいサウンドを簡単に作り上げます。3つのコントロール・ノブ(GAIN、LEVEL、TONE)を装備し、幅広いサウンドの探求が可能です。

「3つのコントロール・ノブ(GAIN、LEVEL、TONE)を装備し、幅広いサウンドの探求が可能です」

プライマリー・トーンの強調、倍音豊かなブースト、アンプのような歪みなど、Blues Driver は無限のドライブのニュアンスを提供します。多用途で適応性に優れた BD-2 は、あらゆる用途でエレキギターの信号にダイナミックに反応するため、プレイヤーから高く評価されています。アンプのブースターとして音量を持ち上げたり、ソロを盛り上げたり、別のペダルでゲインを積み重ねたりしても、Blues Driver は演奏を覆い隠すことはありません。
BD-2 を設計する際、ミュージシャンと楽器のつながりを維持することは不可欠でした。BOSS のエンジニアは、「アンプで歪みを加え、ギターのボリュームを下げると、クリーンなサウンドが得られます」と語り、ギターのボリューム・コントロールと完全に連動する新しい回路の作成に着手しています。「これがアイデアであり、BD-2はギターのボリューム・コントロールを使用して歪みを制御できる最初のエフェクトでした」と、The BOSS Bookでは綴られています。
「BD-2はギターのボリューム・コントロールを使用して歪みを制御できる最初のエフェクトです by THE BOSS BOOK」
THE BOSS BOOK
あらゆるレベルのトーン
技術的な課題を克服し、チームは様々なギターのボリューム・レベルで適切な音色を提供するドライブの作成に成功しました。「ギターのボリュームを下げると、回路内のフィルターに影響し、音が少し濁ります」と、BOSS Bookは説明しています。これはディストーションとオーバードライブの弱点でもありますが、BD-2ではそうではありません。この本が指摘しているように、ギターのボリュームを下げても、アンプのディストーションからクランチのような音を鳴らすことができます。
象徴的なフォーム
Blues Driverの音色だけでなく、コンパクト・ペダルの象徴的なフォームもプレイヤーを虜にする理由のひとつです。1977年以来、アイコニックかつ画期的なデザインで親しまれるBOSSは、現在では業界標準と見なされている多くの機能を導入してきました。これは当たり前のように感じますが、この画期的なデザインには電源ジャックとLED、サイレント・スイッチング、簡単にアクセスできる液漏れ防止の電池ボックス、ラバー・コーティングされたベースとフットプレート、踏み込みから保護されたコントロール・セクション、頑丈で軽量なアルミ・ダイキャスト・ハウジングが含まれています。Blues Driverのような BOSS コンパクト ペダルは耐久性に優れています。

「ギターのボリュームを下げても、アンプのディストーションからクランチのような音を鳴らすことができます」
THE BOSS BOOK
幅広い人気
BOSSのラインナップにある全てのコンパクト・ペダルと同様に、Blues Driverはプロと初心者のどちらにとっても親やすいツールです。本来の魅力と長期的な価値はもちろん、BD-2は実用的で柔軟性の高い音楽制作アイテムです。厳格な基準の元で製造されたBlues Driverは、何十万にも及ぶギタリストの音楽制作に貢献してきました。
初期のアダプター
Blues Driverはギター界で広く人気を博しています。当初、その決定的なサウンドとクラス最高のデザインにより、モディファイ業者やブティック・ビルダーの間でカルト的な存在となりました。90年代後半から2000年代にかけて、オンラインのギター・エフェクト・コミュニティが飛躍的に成長するにつれ、BD-2への崇拝も高まりました。知識、経験、情熱を共有しながら、才能ある人々によりBlues Driverにオマージュが捧げられることもありました。成功物語の温床となり、業界で名だたる有名ミュージシャンが誕生したことでも知られています。
「私がペダルに興味を持ったのは、プレイヤーとして2台のBlues Driverを何年も一緒に使っていたからです by JOSH SCOTT (JHS PEDALS)」
Josh Scott (JHS PEdals)
意欲的なコラボレーション
JHS PedalsのJosh Scottは、Blues Driverの普及に早くから貢献した人物です。「BOSSのペダルが気に入っていると何年も言い続けてきました」とScottは語ります。「私がペダルに夢中になったのは、プレイヤーとして2台のBlues Driverを何年も一緒に使っていたからです。ある日、そのうちの1台が壊れてしまいました。開けてみると、単純なはんだ付け修理で直せることが分かりました。」好奇心を刺激されたScottのコンパクト・エフェクターへの興味は、すぐに彼の生活の一部となりました。「JHSペダルは、そのペダルを修理したことから生まれました」と彼は思い返しました。
それから何年も経ち、JHSはBOSSとコラボレーションして、コンパクト・ペダルの40周年を共に祝いました。2017年にリリースされたJB-2 Angry Driverは 、BOSS Blues DriverとJHSの人気ペダルAngry Charlieのサウンドを1つのユニットに巧みに組み合わせたものです。JB-2には、LEVEL、TONE、DRIVEに割り当てられた3つのノブが装備されており、6 ウェイ・モード・スイッチを使用して、直列、並列、または個別に選択できます。
2014年、BOSSが日本製のコンパクト・ペダルWAZA CRAFTを発表したことにより、Blues Driverのさらなる進化が実現しました。職人技の結晶であるBD-2Wは、CUSTOM/STANDARD モード・スイッチを搭載しています。この機能により、オリジナル回路の本質的な特徴を維持しながら、Blues Driverのサウンドを新たな高みへと引き上げることに成功しました。

「BD-2Wは、CUSTOM/STANDARD モード・スイッチを搭載しており、オリジナル回路の本質的な特徴を維持しながら、Blues Driverのサウンドを新たな高みへと引き上げています」

より高い次元を目指して
BOSSのコンパクト・ペダルはよく模倣されますが、Blues Driverも例外ではありません。長年にわたり、数多くのクローンや派生品が登場してきました。BOSS事業本部長のMitsuhiro Wakiyamaは、Waza Craftの開発プロセスについて重要な洞察を述べています。彼は、パーツの追加や交換によって音質に違いを生み出すことは可能だが、独自のエッセンスが失われやすいと指摘しています。
「本来の品質を失わずに、より高いレベルに進化できると分かっていたからこそ、Waza Craftが誕生したのです」と、Wakiyama氏はBOSS 50周年のインタビューで話しています。
模倣品が出てきたとはいえ、オリジナルかつ正真正銘のBD-2の豊かな音色に勝るものはありません。ブルースのパワーはとどまるところを知らず、Blues Driverはこのジャンルにとって理想的なペダルであり続けています。