Dave Navarroは、ロック史上最も影響力のあるギタリストの一人として知られています。Red Hot Chili Peppersでのギタリストとしての活躍に加え、Jane’s Addictionの派生プロジェクトであるDeconstructionやThe Panic Channelでの活動など、彼はその卓越したスキルを証明してきました。また、彼はソロ・アーティストとしても高い評価を受けています。BOSSのペダル、とりわけDD-3 Digital DelayとCH-1 Super Chorusは、Navarroがシグネチャー・サウンドを確立するのに欠かせない存在となりました。NavarroとベーシストのEric AveryのテクニシャンであるDan Clearyが、Jane’s Addictionのサウンドの秘密を明かします。

オルタナティブ・ミュージックの伝説の右腕
Jane’s Addictionは1985年にロサンゼルスで結成され、1990年代のオルタナティブ・ロックの大ブレイクの火付け役となりました。それから約40年、ギタリストのDave Navarro、ベーシストのEric Avery、ドラマーのStephen Perkins、そしてシンガーのPerry Farrellの玄人を再集結させたバンドで、待望のワールド・ツアーを敢行しています。
ギター・テックのDan Clearyは、ツアー中もオフのときもNavarroの右腕として活躍しています。この二人は、ほぼ10年間にわたり「Dark Matter Radio」というポッドキャストを共同で担当していました。(Clearyは現在「Rare Form Radio」のプレゼンターを続けています。)また、BOSSペダルの愛用者でもあるベーシストEric Averyの技術担当もしています。「BOSSは本当に自分にとって特別な存在です」とClearyは語ります。「自分はベースを弾いて育ち、初めて手に入れたペダルがBOSSのCEB-3 Bass Chorus、青いペダルでした。Eric Averyは、自分がベースを弾きたいと思わせてくれた人で、バンド活動をするためにLAに移住しました。今となっては、まさに一巡して戻ってきた気がします」
「Eric Averyは、自分がベースを弾きたいと思わせてくれた人で、バンド活動をするためにLAに移住しました。今となっては、まさに一巡して戻ってきた気がします」
Dan Cleary
Jane’s Addictionの成り立ち
ポスト・パンク・バンドのPsi Comが解散して、Perry FarrellはEric AveryとともにJane’s Addictionを立ち上げました。Averyの魅惑的なリフはすぐにバンドを象徴するサウンドとなり、彼のベース・ラインはロック界でも特に記憶に残るものとなっています。「Jane’s Addictionは、ギター・パートよりも、時にはボーカル・メロディよりもベース・ラインを口ずさんでしまうようなバンドの一つです」とClearyは強調しました。
その後、熱心なファンであったDave NavarroとStephen Perkinsが加わりました。「DaveとStephenは、最初からバンドのメンバーではありませんでした」とClearyは話し続けます。「Stephenが撮ったホームビデオには、DaveとStephenがLAでJane’s Addictionのライブを観ている様子が映っています。二人とも最前列でヘッドバンギングしながら楽しんでいるファンでした」
しかし、間もなくしてこの4人で活動するようになり、後にClearyは「このメンバーこそがJane’s Addictionの真髄」と称しています。「そして今日、全員がまた一緒に活動しているのは素晴らしいことです。私がバンドと関わってきた中で、今が一番良い音を出していると思います」と彼は語ります。「Dave Navarroも戻ってきて、彼はとても調子が良さそうです!」
「全員がまた一緒に活動しているのは素晴らしいことです。私がバンドと関わってきた中で、今が一番良い音を出していると思います」
Dan Cleary


Pedal Talk
注目の愛用機材
Dave NavarroのペダルボードにはどんなBOSSペダルが搭載されているのでしょうか?
ギターからの信号はワウ・ペダルを通過した後、BOSS TU-3 Chromatic Tunerに入り、BOSS DD-3 Digital Delayに送られます。DaveのボードにはDD-3が3台搭載されており、このうち1台は特殊な音を作るために使われています。このペダルはDELAY TIMEを手動で調整したり、HOLD MODEをオンにしたりしてノイズ的な効果を出すためのものです。
今ではペダルボードに新しく加わった空間系ディレイ/リバーブに接続され、その後オーバードライブ、さらにもう1台のDD-3に繋がっています。2台目のDD-3は、Daveがソロで多用するディレイです。これはBOSS CH-1 Super Chorusに接続されています。Daveがギターソロを演奏するときは、このDD-3とSuper Chorusを同時に踏むことが多いです。これが彼の主なソロ・サウンドを作っています。Super Chorusの設定は、LEVELが1時、EQが2時、RATEが12時、DEPTHは時計回りに最大まで上げられています。
これがDaveの歪み用のチェインで、A/Bのスイッチャーを通じてクリーン・サウンドを選択することができます。クリーン用のチェインには、もう1台のBOSS CH-1 Super Chorus(歪み用のチェインとほぼ同じ設定)と、異なるDELAY TIMEに設定されたもう1台のBOSS DD-3 Digital Delayが含まれています。この2台のペダルは常にオンになっています。そのため、Jane’s AddictionでDaveがクリーンな音色を演奏する際には、必ずBOSSの音が聞こえるというわけです。それが100%彼のサウンドです。また、歪みとクリーンの両方のペダル・チェインを同時に使用することも可能です。
「Jane’s AddictionでDaveがクリーンな音色を演奏する際には、必ずBOSSペダルの音が聞こえるというわけです」
Dan Cleary
ディレイの主軸
なぜDave NavarroはBOSS DD-3 Digital Delayを愛用しているのでしょうか?
すべてのデジタル・ディレイ・ペダルが同じ音に聞こえると思うかもしれませんが、BOSS DD-3 Digital Delayには特別な何かがあります。このペダルは定番中の定番で、Daveのボードから外れることはありません。彼はこのペダルを昔から愛用しています。DD-3のシンプルさが彼にとって魅力的で、選択肢が少ない方がかえって創造性を発揮しやすいことがあります。
多くの人はDELAY TIMEを演奏する曲のTEMPOに同期させたがりますが、Daveを象徴するサウンドの鍵のひとつは、そのディレイがTEMPOに関係なく一定であることです。曲が速かろうが遅かろうが、DELAY TIMEは変わりません。それが、彼のサウンドの魔法的な部分です。この大きく広がる音を作る秘密のひとつは、DELAY TIMEの設定にあります。DaveはいつもPink Floydの“Run Like Hell”の冒頭部分にDELAY TIMEを合わせています。これで正確かどうかを確認しているのです。
Jane’s Addictionはメトロノームのように正確なリズムで演奏するバンドではありません。一体感を大切にしており、バンド全体が同じように呼吸をしています。時には速く、時には遅く、同じ曲の中でもテンポが変化します。そのため、エフェクトが曲に浮遊感を加えることで、Jane’s Addictionの音が完成します。Perryも同様に、タイミングが完全には同期していないボーカル・エフェクトを使用しており、それがバンドのサウンドに独特の味わいをもたらしています。


「DD-3のシンプルさがDaveにとって魅力的で、選択肢が少ない方がかえって創造性を発揮しやすいことがあります」
Dan Cleary
クラシックに渦巻く音
Dave NavarroはJane’s Addictionの名曲“Three Days”でどのBOSSペダルを使用しているのでしょうか?
“Three Days”や“Then She Did”といった曲では、美しいクリーン・トーンを作り出すために、DaveはSuper Chorusを2台とDigital Delayを2台使用しています。 Super Chorusは非常に似た設定ですが、DD-3のDELAY TIMEはそれぞれ異なる設定となっており、その結果、音がさらに広がり、まるでディレイが溶け合ったスープのようなサウンドが生まれます。これらのクリーン・トーンは、本当に驚くべきものです。“Three Days”は私のお気に入りの曲のひとつで、Daveのプレイがとても美しい曲です。彼はこの曲のほぼ全編にわたりDD-3が使われています。ただし、ヘビーな刻みのパートでは使用していません。それでも、この曲でのBOSSのディレイとコーラスは非常に豊かで幻想的な音を作り出しています。
“Three Days”はベースから始まり、その後にクリーン・ギターが加わります。曲に生命が吹き込まれるその瞬間に、何年経ってもファンとして毎晩鳥肌が立ちます。それほど特別な曲です。この曲はJane’s Addictionにとっての“Stairway to Heaven”のような存在であり、実は“Stairway to Heaven”よりも好きな曲です。これは90年代版の“Stairway”と言える曲であり、ライブでもレコーディング音源と同じくらい素晴らしい音を鳴らしています。この曲のセットでのパフォーマンスは、間違いなく私のお気に入りの部分です。
「美しいクリーン・トーンを作り出すために、DaveはSuper Chorusを2台とDigital Delayを2台使用しています」
Dan Cleary
完璧なタイミング
Jane’s Addictionのレコードで、あなたのお気に入りのBOSSペダルを使用した瞬間を教えてください。
アルバム”Strays”に収録されているシングル曲”Just Because”では、BOSS DD-3を使ったギターで始まります。Daveは、このDigital Delayを使ってタイミングを計算しながらパートを作りました。この曲を作り上げているのはまさにDD-3です。このイントロは完全にNavarroらしいスタイルが表れています。
Jane’s Addictionの他のメンバーは、どのようにBOSSやRolandの機材を使用しているのでしょうか?
Eric Averyは、ペダルボードにBOSS GE-7を搭載しています。このペダルを使って、彼のベースの高音域をすべてカットしています。”Ted, Just Admit It…”や”Then She Did…”の冒頭部分では、彼は深みのあるベース・トーンを好んで使います。この音を彼はダブトーンと呼んでいて、ダブのベース・サウンドのように聞こえます。
さらに、Stephen Perkinsは、DW Drumsと一緒にRolandのSPDシリーズを使用しています。これを使って、サブ・ドロップやサンプルを再生しています。例えば、”Stop”の冒頭のセリフである”Señores y señoras…”などが、それにあたります。
「BOSSペダルを接続すれば、自分だけの世界に入り込んで、魔法を生み出せます」
Dan Cleary

耐久性とクオリティの融合
BOSSの機材で最も気に入っている点は何ですか?
耐久性、信頼性、そして手軽さです。もちろん、音質のクオリティも重要なポイントです。本当にBOSSを気に入っています。操作もシンプルで、ペダルチェーンの仕組みや詳しい知識がなくても、BOSSペダルを接続するだけで、自分だけの世界に入り込んで魔法を生み出せます。それはまるで白紙のキャンバスのようで、たった数台のBOSSペダルだけで驚くような音を鳴らすことができます。
Daveは1980年代からBOSSペダルを使い続けていて、それが多くを物語っています。BOSSペダルはツアーにも耐え得る非常に丈夫な設計で、かなり過酷な使い方でも問題ありません。私たちは同じペダルを何年も使用します。時々、新しいものに交換することもありますが、それは不具合があったからではなく、万が一に備えて新しいものにしているだけです。
「Daveは1980年代からBOSSペダルを使い続けていて、それが多くを物語っています」
Dan Cleary
BOSSペダルの信頼性は非常に素晴らしいです。ペダルボードがトラックの中で振り回されるような状況でも、設定が一切変動しません。一度設定すればそのまま使い続けられます。その耐久性は他では見られません。多くの他社製ペダルでは、軽く触れるだけでコントロールが動いてしまうことがありますが、BOSSではそういった問題はありません。トラックの振動でも設定がずれることはなく、フェスティバルのような埃っぽい環境や、雨、泥、その他の汚れがある状況でも、ペダル内部に支障が出ることはありません。
さらに、簡単に手に入ることもBOSSペダルの大きな魅力でしょう。Daveはツアーに2つの複製ペダルボードを持ち込んでいますが、万が一紛失した場合でも、世界中のほとんどの楽器店で新しいボードを数時間以内に組み立てることができるので、不安がありません。

「たった数台のBOSSペダルだけで驚くような音を鳴らすことができます」
Dan Cleary

無人島に持っていきたいBOSSペダル
あなたがこれまでで一番好きなBOSSペダルは何ですか?
DD-3 Digital Delayです。BOSS Bass Chorusも最高ですが、DD-3が一番好きです。Daveは他のペダルがなくてもどうにかできるかもしれませんが、Jane’s AddictionのショーをするにはDD-3が絶対に必要です。このペダルはボードに欠かせません。
無人島に持っていきたいBOSSのペダルを3つ教えてください。
まずはTU-3 Chromatic Tunerです。そして、CH-1 Super ChorusとDD-3 Digital Delayを持っていきます。ただ、もし誰にも知られることなく無人島に行くなら、スペーシーなノイズを作って没頭していたいです。そうなると、Super ChorusをBOSS Harmonistペダルのどれかと変えるでしょう。とても面白いことができるペダルです。
エフェクターを使う上でのアドバイスはありますか?
自分に合ったものを見つけることが大事だと思います。みんなプレイ・スタイルが違い、好みも異なります。重要なのは楽しむことと、実験すること。それがエフェクターの醍醐味と言えるでしょう。自分だけのユニークな方法で、自己表現できる設定を見つけることが肝心です。ある人に合うものが、別の人には合わないこともあります。音楽の感情や感覚を成功談として伝えるために、自分に合ったペダルを見つける必要があります。それこそが、Daveがやってきたことです。
「Daveは他のペダルがなくてもどうにかできるかもしれませんが、Jane’s AddictionのショーをするにはDD-3が絶対に必要です」
Dan Cleary
道具としての信頼性
ペダルボードに関して、よくある誤った解釈などはありますか?
機材を使いすぎることは良くないです。シンプルさは過小評価されていると思います。エフェクトをただ使うためだけに使うのは賛成できません。私のアドバイスとしては、自分の音を理解し、自分が何をしようとしているのかを知り、それをできるだけ少ない機材で実現することです。まずはしっかりと演奏を学び、それからペダルをツールとして活用し、自分のパフォーマンスを向上させてください。重要なのは、自分のメッセージを効果的に伝えることです。Daveのボードには必要最低限のものしかありません。ただの飾りとして置かれているものは一つもありません。全てが不可欠なものです。
現在のエフェクト・ペダル市場について、全体的な意見を教えてください。
私はブティック系のペダルはあまり好きではありません。BOSSペダルには特別な魅力があります。BOSSを手に取ると、重みを感じます。しっかりしていて、踏みつけても壊れないだろうと感じます。一方、多くのブティックペダルは脆く、実際に壊れやすいことがあります。ツアー中にブティック・ペダルが壊れると、それを探し出すのは悪夢のような出来事になるかもしれません。代替品が見つからない可能性もあります。ブティック・ペダルはBOSSペダルほどツアーに適していません。BOSSペダルが何年もの間ツアーを経て、それでも完璧に機能し続けているのには理由があります。

