CUBE Street物語

CUBE Streetストーリー

アーティストにとって、重要な表現の場のひとつであるストリート・パフォーマンス。その歴史は中世の吟遊詩人にまで遡り、現代に至るまで何世紀にも渡り脈々と引き継がれています。2007年以降、パフォーマンス用アンプのCUBE Streetがいかにしてストリート・パフォーマンス・シーンに欠かせない存在として地位を確立したのか、ストリート・パフォーマンスの歴史とともに解き明かしていきましょう。

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2007年夏、『NAMM Show』にて発表されたRoland CUBE Streetは驚くべき携帯性と機能性を誇り、ストリート・パフォーマーにあらゆる場所での安定したパフォーマンスを提供したことから、瞬く間に大ヒット。2021年にはRoland「CUBE Street」がBOSS「CUBE Street II 」として生まれ変わり、堅牢性の高いABS樹脂構造や2倍もの最大出力を備えるなど、その革新性をさらに押し広げました。

さまざまな変遷を経て発展したストリート・パフォーマンス

CUBE Street IIを使用すれば演奏を始められる現代とは違い、中世の吟遊詩人たちは危険な土地を旅し、演奏が不評であれば村人から腐った果物を投げつけられるなど多くの問題を抱えていました。

しかし彼らは、現代のように街の騒音や人の混雑、演奏に目もくれない人々に悩まされることはありませんでした。ストリート・パフォーマーにとって、聴いてもらえないことは“存在しないこと”に等しいのです。

ストリート・パフォーマーにとって、聴いてもらえないことは“存在しないこと”に等しいのです。

Trouvères, Photo by Garitan
The Selections, Photo by Retrofresh!

ストリート・パフォーマンスの原点

さて、ストリート・パフォーマンスの歴史を、中世のトルバドゥール(抒情詩の詩人/作曲家/歌手)から現代へと舞台を移しながら見てみましょう。12世紀後半、ヨーロッパでは北フランスで“トルヴェール”と呼ばれる吟遊詩人が盛んになり、ドイツでも“ミンネザング”と呼ばれる抒情詩を歌うミンネゼンガーが一世を風靡。他にも、メキシコのマリアッチや日本のチンドン屋など、ストリート・パフォーマンスは国ごとにさまざまな発展を遂げていきます。

ドゥーワップの台頭

“ストリート・パフォーマンス”という観点で現代の音楽シーンに多大な影響を与えたのが、1950年代半ばにアメリカで一大ブームを巻き起こしたドゥーワップです。黒人奴隷の労働歌をルーツに持ち、ゴスペルなどの影響も色濃く受けながら進化したドゥーワップは、楽器を必要としないことからニューヨーク/シカゴ/ボルチモアといった都市部の黒人たちを中心に広がり、アカペラ歌手たちは街角や校庭、さらには橋の下などでパフォーマンスを披露。

その伸びやかなボーカル・ハーモニーは当時のR&Bにも影響をもたらし、やがてテンプテーションズ、シレルズ、フォーシーズンズなどにもインスピレーションを与えていきます。

ストリート・パフォーマンスは国ごとにさまざまな発展を遂げていきます。

Redvers Bailey, Photo by abbilder

音楽性豊かなストリート・パフォーマンス・カルチャー

1960年代のフォーク・ブーム、1970年代のシンガー・ソングライターの台頭、そして1990年代のMTVアンプラグドの爆発的な人気とともに、ストリート・パフォーマンスにも大きな変化が生まれます。

アコースティック・ギターを背負ったミュージシャンたちが公園やカフェ、パーティーなどで音楽を奏でるようになったのです。ストリート・パフォーマンス・カルチャーは音楽性も豊かで、同時に影響力を持っていました。

“パフォーマンス用アンプの理想”を実現したこのモバイル・サウンド・システム

世界中に広まる“ストリート・スター”

2007年にCUBE Streetが発表されると、すぐさま『Guitar Player』『Guitar World』『Music Radar』『Frets』といった海外の音楽誌が絶賛し、多くの“ストリート・ライブ用アンプ”ランキングで1位を獲得。ストリート・パフォーマーやインフルエンサーたちもこぞって愛用するなど、“パフォーマンス用アンプの理想”を実現したこのモバイル・サウンド・システムは、発売と同時に世界中に広がっていきました。

最大15時間もの連続使用

初代CUBE Streetは、COSMによる6種類ものアンプ・モデリングを搭載。さらに、6種類のデジタル・エフェクト(リバーブ/ディレイ/コーラス/フランジャー/フェイザー/トレモロ)に加え、マイク/ライン・チャンネルには専用のリバーブとディレイを装備。他にも2バンド・イコライザー(MIC / LINEチャンネル)、3バンド・イコライザー(GUITAR / INSTRUMENTチャンネル)、クロマチック・チューナー、2基の6.5インチスピーカー、AUX入力、ヘッドフォン出力、ステレオ5W出力、単3乾電池6本で最大15時間もの連続使用が可能でした。

10年後の進化「CUBE Street EX」

それから10年後、CUBE StreetをアップグレードしたCUBE Street EXが発表。ストリート・ミュージシャンがあらゆる環境下でも迫力のあるサウンドを届けられるよう、出力は10倍の50Wに。スピーカーも、8インチの低周波ドライバー(ウーファー)2基と、2インチの高周波ドライバー(ツィーター)2基にアップグレードされ、演奏環境や演奏時間に合わせて10W/25W/50Wと3段階の出力パワーから選択可能となりました。

さらに、MIC / INSTRUMENTとMIC/GUITARの両チャンネルに、3バンド・イコライザーとリバーブを搭載。また、多くのストリート・ミュージシャンは足元にエフェクター・ボードを組んでいることから、デジタル・エフェクトをコーラスとディレイのみに絞り、よりシンプルで直感的な操作を追求しました。

先進的なストリート・ミュージシャンの完璧なパートナー

進化し続けるCUBE Street

ストリートライブの多様化に対応するため、BOSS CUBE Street IIでは最大45秒ものステレオ録音が行えるルーパー機能を装備。さらにMIC / INSTRUMENTチャンネルには、ユニゾン/ハイ/ハイヤーの3モードからなるハーモニー機能も搭載。美しいボーカル・ハーモニーを自動生成できるため、1人とは思えない華やかなパフォーマンスが行えるようになりました。

また、本体重量を7.4kgから4.4kgまで軽量化。機動力が向上し、まさに“次世代のストリート・ミュージシャン”のためのパフォーマンス用アンプに相応しいスペックへと到達しました。

“次世代のストリート・ミュージシャン”のためのパフォーマンス用アンプ

先進的なストリート・パフォーマーにとって完璧なパートナー

“ストリート・アート”を創造する

人々の心をつかむストリート・ミュージシャンは、声とアコースティック楽器だけで観客との一体感を醸成します。Onyx Ashantiの著書『A 21st Century Musicians Guide to Street Busking』では、アンプ・テクノロジーがストリート・パフォーマンスをどのように変えたか説明しています。

「20世紀のほとんどの期間、ストリート・ライブはアコースティック楽器による芸術形式のひとつでした。しかし、小さなアンプを持って街に繰り出すバンドの登場とともに、ストリート・ライブは新しい時代の幕開けを告げたのです」

もちろん、その“小さなアンプ”とはCUBE Streetです。多機能なこのアンプは、先進的なストリート・パフォーマーにとって完璧なパートナーと言えるでしょう。それでは、現代のストリート・ミュージシャンが直面している課題と、それに対するCUBE Streetシリーズの取り組みを見てみましょう。

観客の注目を引きつけるためにはより迫力のあるサウンドが必要

CUBE Streetの助けを借りる

偉大なアルバムや名曲をプレイする時、観客の注目を引きつけるためにはより迫力のあるサウンドが必要です。CUBE Streetに搭載されている高品位なCOSMアンプやエフェクトを用いることで、オーディエンスをあっと驚かせる最高のサウンドを出力することができます。

アカペラ・グループ、ブルース・シャウター、オペラ歌手、ゴスペル・クワイアなど、大きく豊潤な歌声は雑踏の中でも存在感を放ちます。

もしも、Big Mama Thorntonのようにハスキーで迫力ある声、Billie Eilishのようなメロウな歌声で無ければ、マイクや楽器の入力、イコライザー、エフェクトを備えたCUBE Streetはあなたのパフォーマンスを最大限に発揮してくれるでしょう。 “多層的”なパフォーマンスを見せたいと思うアーティストであれば、AUX INを用いてあらかじめ制作した音源を流すことで、生演奏にインパクトやムードを織り混ぜることもできます。

バスや電車といった公共交通機関を利用する場合も気にならないほどのコンパクト

持ち運びも簡単 

CUBE Streetが移動を必要とするストリート・パフォーマーのために設計されたのは一目瞭然ですが、それでもなおその機能性と携帯性の利点について強調しておく必要があります。

バスや電車といった公共交通機関を利用する場合も気にならないほどのコンパクトさで、実際にギター用ギグバッグを肩に掛け、片手にマイクスタンド、もう片方の手にCUBE Streetを持つことだってできます。

セッティングも素早く行えるため、場所の移動もスムーズに行うことができます。

2色のカラー・バリエーション

屋外のパフォーマンスでは、ちょっとした要素が注目を集めるのに役立ちます。

その点において、CUBE Streetは2色のカラー・バリエーションを用意。周囲の街並みに少しでも溶け込みたいと思う人はブラック、音楽に耳を傾ける前にまずは自分を見てほしい!と思うのであればレッドを選びましょう。

Tracy Chapman、KT Tunstall、ギターデュオのロドリゴ・イ・ガブリエラなど、ストリート・ミュージシャンのバックグラウンドを持つ現代のスターです。

Rodrigo y Gabriela, Photo by Guillaume Laurent

ストリート・ミュージシャンのバックグラウンドを持つ現代のスター

ストリート・パフォーマンスは、喜びを広め、芸術を共有し、観衆を感動させることによってその芸術性をサポートしています。Marc Bolan(T・レックス)、George Michael、Tracy Chapman、Rod Stewart、KT Tunstall、Nik Turner(ホークウインド)、Tash Sultana、Violent Femmes、ギターデュオのロドリゴ・イ・ガブリエラなど、ストリート・ミュージシャンのバックグラウンドを持つ現代のスターです。

吟遊詩人が追い求めた“聴いてもらう機会”を与えるCUBE Street

ストリートミュージシャンの楽園

CUBE Streetシリーズは、単なる偶然や幸運で売上1位のポータブル・アンプになったわけではありません。Rolandはストリート・ミュージシャンが自らのパフォーマンスを最大限に発揮するため、何を必要としているのかを研究し、その過程でいくつもの革新的な機能を追加しました。

BOSSはシーンの最先端を注視しながら未来にも目を向け、優れた演奏を披露するための機能を開発し続けています。CUBE Street IIは、かつて吟遊詩人たちが追い求めた“聴いてもらう機会”を与え続ける、唯一無二のパートナーなのです。

Michael Molenda

アメリカの人気雑誌Guitar Playerで過去最も長く編集長を務めた経歴を持ち、現在はGuardians of Guitarというウェブサイトを立ち上げ、ギター関連製品に関するコンテンツ制作を行なっている。また、Modern Drummerマガジンのコンテンツ・ディレクターとしても活躍中。