CUBEシリーズ:世界中で愛されるポータブル・アンプ

CUBEシリーズ:世界中で愛されるポータブル・アンプ

1978年から始まったこの革命的なシリーズは、アクティブに活動するミュージシャンの頼れるパートナーになっています。CUBEが世界で愛されるポータブル・アンプ・シリーズとなった、その過程を見ていきましょう。

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今この瞬間も、街角の路上、リハーサル室、楽屋などで、誰かがCUBEアンプを使っています。数多くのセッションを渡り歩く現代のミュージシャンにはそれに向いたアンプが必要であり、CUBEシリーズは優れた可搬性と、その軽さからは想像もつかない充実した音色と機能により、彼らの愛用するアンプとなっています。ただし、300万台を超える販売実績を持つCUBEアンプの名声は、一夜にして確立されたものではありません。このシリーズは長く複雑な歴史を持っており、ここに至るまでに、CUBEは一部の熱狂的なファンに愛されるコアな機材から、優れたポータビリティ、多彩な機能、高い汎用性を備えたスペシャルなツールへと変化を遂げたのです。CUBEが世界中で愛されるポータブル・アンプ・シリーズとなっていった、その過程を見てみましょう。

Randy Thoads, Photo by Rick

CUBEのはじまり  

70年代後半、真空管アンプを用いたクラシック・ロックが全盛の時代に、コンパクトで可搬性の高い、ソリッド・ステートの日本発コンボ・アンプというコンセプトは非常に大胆なものでした。それでも、1978年にリリースされたCUBE-40は、すぐにそれが革新的な製品であることを証明しました。濃いオレンジのカラーリングが特徴的なこのモデルは、現代のプレイヤーがこのシリーズに感じている利点を既に備えていたのです。肩から掛けられるほど小さな筐体に充実した音色と機能が詰め込まれており、10インチのスピーカーと40Wの出力、3バンドEQや内蔵リバーブなどの多機能を誇るにも関わらず、気軽に手で運べるサイズでした。

その軽さの一方で、プロの耳にも通用する音色を備えています。Ozzy Osbourneの初代ギタリストで知られるRandy Rhoadsが、楽屋でのウォームアップに使用していたことが、CUBE-40のサウンドの質の高さを証明しています。「Randyはあのアンプの音が大好きだったよ」Ozzy Osbourneの当時のベーシスト、Rudy Sarzoはこう回想しています。「彼はクリーンな歪みを求めていた。そして、CUBE-40は彼がステージで使っていた機材にとても近い音が出ていたんだ」

「Randyはあのアンプの音が大好きだったよ。CUBE-40は彼がステージで使っていた機材にとても近い音が出ていたんだ」- Rudy Sarzo

ベース・アンプとしてのCUBE

CUBE-40は既にそのコンセプトを深く体現していましたが、これはまだ始まりにすぎません。ギタリスト向けのイメージが強いCUBEですが、やがてその他のミュージシャンのステージ上でも活躍するようになります。1979年にCUBEシリーズ初のベース用アンプ、CUBE-60 BASSが登場。それ以来、ベーシストにも同様にCUBEの優れたパフォーマンスを届けることが、このシリーズの命題となっています。このベース用アンプへのこだわりが、現代において更に進化を遂げました。2022年にリリースされたDUAL CUBE BASS LXは、複数のプリアンプとFX、ツイン・スピーカーを搭載したパワフルなベース用モデルです。

進化するCUBEのテクノロジー

CUBEの開発者は、その時代の音楽シーンに合わせてこのシリーズを進化させていくことを目指しており、都度の技術的な成功に安住することは決してありません。CUBEシリーズの歴史を追っていけば、そこには無数の進歩を見つけることができるでしょう。例えば、90年代にRolandのハイエンド機でデビューしたCOSMテクノロジーは、2013年に発売されたMicro CUBE GXに応用されています。元Eaglesの伝説的なギタリストであるDon Felderが、手持ちのブティック機の代わりにこのアンプで”You Don’t Have Me”のソロを録音したほどです。

Micro CUBE GXに搭載されたi-CUBE Linkは、高品質な音楽再生を可能にしました。さらにスマートフォンの「CUBE JAM」アプリを使えば、ループ再生機能を駆使して難しいソロパートを繰り返し練習することができるようになります。その他にも、作曲の際にバッキングトラックに合わせて短いフレーズを録音し、音量バランスを調整した後でオーディオ・ファイルとして保存するような使い方も可能です。

「CUBE JAMに曲を読み込んで、速度を70%まで落とすことで、それまで気づかなかった細かいニュアンスを拾うことができました」- Nita Strauss

Nina Strauss, Photo by Frank Schwichtenberg

プロが認める便利さ

「とても短い期間で曲をふたつ仕上げないといけないことがありました」Alice CooperやDemi Lovatoでプレイしたギタリスト、Nita Straussはこう語ります。「スタジオに到着してすぐ、スマートフォンにヘッドホンを繋げました。車のオーディオではいくつかのコードや微妙なニュアンスが聞き取れなかったからです。そのとき、スマートフォンにCUBE JAMが入っていることを思い出しました」ストラウスはその時、このアプリがとても有用であることに気づいたのです。「CUBE JAMに曲を読み込んで、速度を70%まで落とすことで、それまで気づかなかった細かいニュアンスを拾うことができました」

世界で愛されるアンプへ

常にその時代のミュージシャンのニーズを汲み取っていった結果として、CUBEシリーズは絶えず進化を続けるアンプとして人気を獲得しました。変化していくCUBEシリーズに指針となる共通の哲学があるとすれば、それはアクティブに活動するプレイヤーに比類のないポータビリティを提供することです。現行のCUBEアンプはほぼ例外なく、主電源と電池駆動のどちらかを選択できるようになっています。

MOBILE CUBEを例にとってみると、マイク・キーボード・ギターの入力端子と、MP3の再生機能を備えたこの軽量アンプは、シンガーソングライターが求める全てをカバーしています。その他にも、街の中心部を歩けば必ず、ストリートライブ用アンプを代表するとあるCUBEモデルを見かけることでしょう。このアイコニックなアンプ、CUBE Streetは、高効率のツイン・スピーカー、内蔵モデリング・アンプ、エフェクト、そして2チャンネルのデジタル・パワーアンプを備えて2007年にリリースされました。

「街の中心部を歩けば必ず、ストリートライブ用アンプを代表するCUBEを見かけることでしょう」

ストリート・ミュージシャンの盟友

このストリート・ミュージシャンの必携モデルもまた、進化を続けています。2014年に、出力や音色コントロール機能を強化したCUBE Street EXがリリース。更に2021年には初代の後継機としてCUBE Street IIが発売されました。Mic/InstrumentとGuitar/Micの独立した2チャンネルを搭載。ハーモニーやルーパー機能を内蔵し、6.5インチスピーカー2基で10Wの出力を発揮します。

一方で、Micro CUBEシリーズの成功に続き、2022年にDUAL CUBE LXDUAL CUBE BASS LXがリリースされました。この2機種は、これまでのCUBEシリーズでもっともポータブルなモデルと言えるかもしれません。マルチ・エフェクターのような多彩な機能とプリアンプを、靴箱より少し大きい程度のツイン・スピーカーの筐体に詰め込んでいます。

「CUBEアンプは屋外での使用に耐える厳しい基準をクリアするため、高温、振動、落下、取手の強度チェック、数千回にわたるボタン押下などのテストを課されます」

堅牢な設計

雨のたたきつける路上や埃っぽいリハーサル室のような、機材の持ち込みをためらうような場所を経験するミュージシャンもいることでしょう。このようなシチュエーションに耐え得る頑丈な設計も、CUBEシリーズの重要なコンセプトです。モデルによって、丈夫な背面ボード、金属製のパンチング・グリルクロス、コーナープロテクター等が採用されています。操作部には金属製の軸とカバーを採用しているため、ライブの盛り上がりの中でもつまみの故障に気を回すことなく安心して操作することができます。

CUBEアンプは屋外での使用に耐える厳しい基準をクリアするため、高温、振動、落下、取手の強度チェック、数千回にわたるボタン押下などのテストを課され、これらすべてのテストをクリアしたモデルだけが合格となります。

「CUBEシリーズはあらゆるミュージシャンのニーズの変化に対応できるよう、バリエーション豊かなモデルを揃えています」

あらゆるプレイヤーに適したシリーズ

1978年当時と比べると、ミュージシャンのニーズは考えられないほど変化しています。CUBEが時代を超えて愛される理由は、このシリーズがミュージシャンと共に成長し続けたことにあるのかもしれません。主にライブ会場で演奏していたプレイヤーが、レッスンや即興のセッションを中心にすることもあるでしょう。CUBEシリーズはどのようなニーズの変化に対応できるよう、バリエーション豊かなモデルを揃えています。次の半世紀も、CUBEは既成概念にとらわれず進化を続けていきます。

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Henry Yates

ジャーナリスト兼コピーライター。NMEや、Guardian、Telegraph、Classic Rock、Total Guitarなど多くのメディアで執筆を行う。