エクスプレッション・ペダルは派手さこそないものの、ギタリストにとって強力なツールとなります。フィルターやボリュームといった固定のエフェクト・パラメータに影響を与えることなく、様々なパラメータをコントロールすることができ、コンパクト・エフェクター、MIDIコントローラー、ギターアンプ、マルチ・エフェクター、シンセサイザーなどに対応しています。BOSSは、世界初のワイヤレスMIDIエクスプレッション・ペダルを EV-1-WLで実現しました。この記事では、まずはエクスプレッション・ペダルとは何かを説明します。そのあと、EV-1-WLが成し遂げたイノベーションについて見てみましょう。
表現力
多くのギタリストは、ワウやボリューム・ペダルを使ったことがあるでしょう。これらのペダルは、足を使ってサウンドをコントロールすることができる足踏み式のフロア・ペダルです。ワウであればフィルターの範囲、ボリューム・ペダルであれば音量をコントロールします。
それに対しエクスプレッション・ペダルは、ペダルの特定のノブを操作するための“リモコン”だと考えるとわかりやすいでしょう。ハンズフリーで、リアルタイムにパラメータを上げ下げすることができます。ワウやボリューム・ペダルと似ていますが、それ自体で何かの効果やサウンドを生み出したりするものではありません。
”エクスプレッション・ペダルは特定のノブを操作するためのリモコン”
実際にどのようなパラメータをコントロールできるかは接続されているデバイスによって異なります。
エクスプレッション・ペダルの応用
ディレイ/リバーブ
エクスプレッション・ペダルを使うことで、新たな創造や革新の扉を開くことができます。 まずは、シンプルかつ便利な機能から見ていきましょう。BOSS EV-30などのエクスプレッション・ペダルを接続すると、DD-8 Digital Delayの基本的なプリセットを切り替えることができます。腰をかがめてノブを調整したり、つま先で細かい操作をしなくても、ディレイ・タイムの短いスラップバック・ディレイから長いリード・ディレイへと切り替えることが可能になります。
また、EV-30は上級者向けにデュアル・エクスプレッション出力を搭載しています。これは、2つの異なるペダルを同時に接続してコントロールできるということです。この機能を駆使した動画で、ディレイのフィードバック・レベルと膨らみと、深い洞窟のようなリバーブにダイナミックにブレンドする方法をチェックしましょう。まるで“究極のアンビエント・ギター”を彷彿とさせるサウンドが完成します。
モジュレーション
ワウはエフェクター・ボードの中で大きな面積を占めますが、実際に使う場面は特定のフレーズのみ、というプレイヤーも多いはずです。しかし、せっかくのスペースを無駄にしてはいけません。例えばMD-500 Modulationのフィルター・エフェクトを、エクスプレッション・ペダルにアサインしてみましょう。即席のワウが完成します。
エクスプレッション・ペダルを使うことで、クラシックで雰囲気のあるエフェクトをリアルタイムでコントロールすることができます。Jimi HendrixやRobin Trowerのような、コシのあるヴィンテージ・ワーブル(歪んだようなローファイなモジュレーション)を試してみてはいかがでしょうか。オーストラリアのギタリスト、Brett Kingmanによる刺激的なデモンストレーションも要チェックです。
オーバードライブ
エクスプレッション・ペダルをオーバードライブに使うことは、なかなか思いつかないかもしれません。しかし、次世代のオーバードライブ/ディストーションOD-200 Hybrid Driveのようにプログラム可能なモデルであれば、エクスプレッション・ペダルを使用することができます。エクスプレッション・ペダルをセットすることで、ゲインを上げると同時にボリュームを下げることができるので、バランスの取れたレベルを維持しながら、クリーンからスクリーム・サウンドへとスムーズに移行することもできます。
マルチ・エフェクター
GT-1000COREのようなコンパクトなマルチ・エフェクターには、エクスプレッション・ペダルが非常に有効です。これまで説明してきた活用法のほとんどをこなすことができ、さらにEV-30と組み合わせれば、ピッチシフト、ダイブボム、ドロップ・チューンなどのトリッキーな効果を瞬時に得ることができます。
"シンプルで控えめなデバイスだが“パンチ力”は想像以上"
ここまでの説明通り、この控えめな見た目のエクスプレッション・ペダルは多くの機能をカバーしています。比較的シンプルなデバイスではありますが、そのルックスからは想像できないほどの破壊力を持っています。
新たな地平線を切り開くEV-1-WL
BOSS EV-1-WLは、世界初のワイヤレスMIDIエクスプレッション・ペダルです。BOSS製品や、その他Bluetooth対応のハードウェアの理想的なパートナーとなるでしょう。また、EURUS GS-1 Electronic Guitarのシンセサイザー・エンジンをケーブルなしで足下でコントロールすることが可能で、ピッチ・ベンドやフィルターなどの機能を操作することもできます。
主な特徴
- 3つの接続方法を装備。(Bluetooth、USB、TRS MIDI)
- 3系統のMIDI出力を同時に使用でき、各出力にMIDI CCの設定が可能。
- USBはドライバーのインストールは不要でダイレクトに接続可能。
- BOSS EURUS GS-1、WAZA-AIR、KATANA-AIR、その他Bluetooth MIDIに対応するあらゆる機器で使用可能。
- RolandのワイヤレスMIDIアダプター、WM-1・WM-1Dを用いることでMIDI対応機器をワイヤレス化。
- トゥ・スイッチを使うことで、より多くの操作を行うことが可能。また、BOSS FSシリーズのフットスイッチを最大2台まで追加でき、プリセットやコントロール機能を変更することもできます。
- 専用のiOS/Androidアプリを使用することで、MIDI CC設定を割り当てたり、ペダルのレスポンスをカスタマイズすることができます。
EV-1-WL アプリケーション
ギター用プラグイン/アプリをBluetoothでコントロール
ギターの練習やレコーディングに、プラグインやモバイル・アプリを利用するギタリストが増えています。物理的に機材を使いたくない時には最適ですが、フットスイッチやエクスプレッション・ペダルの機能が使えないという問題がありました。
EV-1-WLはBluetoothでデバイスと接続し、ワウやピッチシフターなどのパラメータをコントロールすることができるので余計な配線は必要ありません。さらにFSシリーズのフットスイッチを追加すれば、演奏を中断することなくプリセットを操作することができます。以下は、イギリスのロックバンド“ドルジェ”のギタリストであるRabea Massaadによる、EV-1-WLとプラグインのセットアップ方法の解説です。
拡張し続けるBOSSギアをBluetoothで
BOSSのミッションのひとつは、“ギタリストに最高の練習環境を提供する”こと。ワイヤレス・パーソナル・アンプ・システム「WAZA-AIR」やワイヤレス・ギター・アンプ「KATANA-AIR」はその一例で、いずれもEV-1-WLに対応しています。
EV-1-WLとFSシリーズのフットスイッチがあれば、ワイヤレス・ミニボードが完成。エクスプレッション・コントロールやプリセットの切り替えを簡単に行うことができるのです。
"FSシリーズのフットスイッチと組み合わせればワイヤレス・ミニボードが完成"
TRS/MIDIでペダルをコントロール
EV-1-WLの最大の特徴はワイヤレス機能ですが、通常のMIDIエクスプレッション・ペダルとしても充分に機能します。TRS/MIDI端子を装備しているので、3.5mmのTRSケーブルでBOSSの200シリーズやGT-1000COREなどの対応ペダルに接続することができます。また、BOSSのBMIDI-5-35ケーブルを使用すれば、従来の500シリーズのペダルやESスイッチャーのように、MIDI端子を持つハードウェアに接続することもできます。
EV-1-WLは各出力に対し、それぞれMIDI CC設定を行えます。つまり、ペダルでTRS/MIDIを使用する場合は、プラグインで使用するBluetooth MIDIの設定を変更しなくてよいのです。
"エクスプレッション・ペダルなしでプレイすることは、ただチャンスを待っている状態"
表現の世界に踏み出そう
エクスプレッション・ペダルなしでプレイするということは、ただチャンスを待っているような状態です。エクスプレッション・ペダルは適切なギアとの組み合わせによってサウンドを向上させ、インスピレーションを与え、新しい世界へとあなたを導いてくれます。購入を検討している方は、思い切ってこれまでにない表現の世界に一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。