オクターブ・ペダルを活用したクリエイティブなギターサウンド5選
/

オクターブ・ペダルを活用したクリエイティブなギターサウンド5選

エフェクターの中でも創造性豊かなアイテムとして人気のオクターブ・ペダル。この注目すべきエフェクトの無限に広がる可能性を探求していきましょう。

1 min read
Start

オクターブ・ペダルは、エフェクターの中でも創造性豊かなアイテムとして人気を博しています。ギターをバリトンの歌声のように、ベースをシンセサイザーの音色に変える最も簡単な方法です。リフを強化するためにさりげなく使用したり、全く新しい音を生み出すために思い切った使い方もすることができます。ギタリスト、ベーシスト、キーボードそれぞれのプレイヤーに愛用されるアイテムとしても知られています。1982年、BOSSは初めて小型のアナログ・オクターブ・ペダル、OC-2を発表しました。この注目すべきエフェクトの無限に広がる可能性を探求していきましょう。

BOSS オクターブの遺産

ギタリストやベーシストにとって、OC-2は音を拡張する新しい種類のエフェクトでした。このペダルはすぐに評判となり、多くのプレイヤーが自分のペダル・コレクションに追加しました。2003年にはポリフォニックに対応した初のオクターブ・ペダル、OC-3が登場します。アナログ・ユニットによく見られるモノフォニックのオクターブではなく、多数のノートに対してオクターブの効果を同時にかけられる機能が話題となりました。そして、それらの歴史的な遺産を引き継ぎ、2021年に登場したのがOC-5です。

OC-2は伝説的なペダルとなったモデルのひとつです。なお、OC-2のクラシックなアナログの音色をエミュレートしたヴィンテージ・モードが最新のOC-5に搭載されています。オクターブ・エフェクトをシンプルに説明すると、演奏されたノートに+1オクターブもしくは-1オクターブの音を重ねることができるエフェクトです。オクターブ音と原音との音量バランスを調節することで、うっすらとかけて原音に厚みを付けたり、原音以上にオクターブ音を強調してシンセの様なサウンドを構築するなど、幅広い使い方ができます。

「オクターブは、演奏されたノートに+1オクターブもしくは-1オクターブの音を重ねるエフェクトです。オクターブ音と原音との音量バランスを調節することで、うっすらとかけて原音に厚みを付けたり、原音以上にオクターブ音を強調してシンセの様なサウンドを構築するなど、幅広い使い方ができます。」

オクターブ・ペダルの使い方

かつてのアナログ式オクターブ・ペダルはモノフォニックであったため、鳴らすことのできるノートは1つのみです。シンプルなリフやベースラインに使用するには問題ありませんでしたが、コードを弾く際には、制限となりました。また、アナログ式オクターブ・ペダルの使い方にはコツがあり、それをマスターするために多くの練習時間を費やす必要がありました。Led Zeppelinの“Fool In The Rain”のギター・ソロで、オクターブ・ペダルの魅力的な効果を聞くことができます。

デジタル式オクターブとポリフォニックの導入により、こうした制限は改良されました。今では複雑なノートの組み合わせを演奏したり、オクターブ・ペダルを使いながらコードを弾くことができます。この機能が追加されたことにより、シンセサイザーやオルガンのようなニュアンスを再現できるようになりました。The Mars Voltaの“Son et Lumiere”や“Cicatriz Esp”といった楽曲で、この画期的な機能がもたらす効果の素晴らしさを実感することができます。

設定における注意事項

オクターブ・ペダルを導入する際、出来る限りペダル・チェーンの初めに配置することが重要とされています。正確なピッチを得るためには、クリアな状態で信号をペダルに受信する必要があるからです。オクターブ・ペダルの前にモジュレーションを置くと、ノートの検出が正確にできず、音程がガタつくことがあります。

オクターブ・ペダルの使用法 5選

1. シンセサイザーの音色

BOSSのオクターブ・ペダルの機能にはそれぞれ個性がありますが、原音、-1オクターブ、-2オクターブの音量またはミックスを調節できる機能が共通して付いています。例えば、原音を全て切り、-1オクターブ、-2オクターブを最大にして、ギターの自然な音をミックスから取り除くだけで、ユニークなサウンドを作ることができます。

オクターブ・エフェクトによって作られたサウンドは、弦楽器の独特なアタックや自然なモジュレーションが失われます。その結果、エレクトリック・ギターよりもシンセサイザーを彷彿させる音色になります。-1と-2のオクターブを混ぜることで、より力強く密度感のある音が完成します。この設定は高いゲインのアンプを通じて、過激なベース・シンセの音色を作る際に効果的です。

「OC-5のポリフォニック機能は、より創造的にペダルを活用する鍵となります」

2. オルガンの音色  

OC-5のポリフォニック機能は、より創造的にペダルを活用する鍵となります。一度に複数の音を複数のオクターブでピッチ変化させることで、広大な音の壁を作り出せます。この機能により、プレイヤーは1つの楽器でより多くの音作りに挑戦できるようになりました。

オクターブ・ペダルのポリフォニック設定を使い、+1オクターブと-1オクターブを高めの設定にします。次に-2オクターブ・ノブを時計回りに回しきり、ダイレクト音をやや低めに設定します。クリーン・アンプにリバーブを加えることが理想的ですが、コードを鳴らすことでオルガンのような響きを得られます。この設定は音作りの実験に最適で、ライブに本物のハモンド・オルガンを持ち込む必要もなくなるでしょう。

3. WET/DRYのミックス方法

OC-5の最大の魅力と言えば、アウトプットに“Direct Output”が追加されたことでしょう。これにより、ドライ信号とウェット信号を別のアンプや他のエフェクターに送り、個別に処理することができるようになりました。

ソロ担当のギタリストがいる2ピースのバンドでは、ベースを補助するためにこの機能を使用することがあります。オクターブ・ペダルの標準的なアウトプットはドライ信号をエフェクト・チェーンの残りのペダルに送り、最終的にアンプを通ります。それと同時にDirect Outputはベース・アンプやDI、PAにクリアな-1オクターブ信号を送ります。このようにペダル内でアウトプットが分けられているのは、鮮明でクリアなベース信号を保つためです。さらにギター・サウンドに対しては、ディレイやリバーブといったエフェクトを個別にかけることができます。

「ペダル内でアウトプットが分けられているのは、鮮明でクリアなベース信号を保つためです。さらにギター・サウンドに対しては、ディレイやリバーブといったエフェクトを個別にかけることができます。」

4. 上級者向け、ベース伴奏のテクニック

オクターブ・ペダルを用いれば、ギターを演奏しつつ、ベースの役割を同時に担うこともできます。この巧妙なテクニックを実践するために、デュアル・アンプの設定が必須ということはありません。OC-5のレンジ・コントロールを駆使することで、ペダルが影響を与える周波数を正確に設定できます。コードやピック・アレンジを取り入れたベースの伴奏に最適な方法です。レンジ・コントロールを最小に設定すると、コードの最低音にのみ、オクターブの効果が適用されます。ソロのアコースティック・ギタリストであるMike Dawesは、この機能を用いて音のスペクトラムを埋めるような楽曲を発表しています。

5. リフに厚みをもたせる

オクターブ・ペダルを大胆に使用する必要は決してありません。ギターの音色をベースやオルガンのように作り上げることは、非常に特殊な方法です。最も一般的なオクターブ・ペダルの使い方は、リフに厚みをもたせる使用法でしょう。何十年もの間、ベース・プレイヤーはオクターブ・ペダルを支持してきましたが、これまで取り上げた音作りはある意味、前進的な使い方となります。

オクターブ・ペダルはベースとギターの両方に対し、わずかにかけることでサウンド全体に厚みをもたせ、より迫力のあるサウンドを構築できます。原音のノブを時計回りに最大にし、-1オクターブを半分以下に設定し、-2オクターブを9時付近に設定します。こうすることで、原音の存在感を維持しつつ、オクターブ音が各ノートを補い、より厚みのあるサウンドを鳴らしてくれます。ちょっとしたアクセントを加える際にも最適なペダルです。

「オクターブ・ペダルはベースとギターの両方に対し、わずかにかけることでサウンド全体に厚みをもたせ、より迫力のあるサウンドを構築できます。」

味付けから過激な音作りまで

オクターブ・ペダルには控えめにかけてサウンドを強化する手法からオクターブ音を主体にする過激な音作りまで、実に多くの用途が秘められています。バンドの新たなメンバーとして音を足すこともできれば、ギターを全く別の楽器に変えてしまうことも可能です。そして他のエフェクターと組み合わせてダイナミックな音色を作り出すことで、真の才能を発揮します。ギターとこのエフェクターによって辿り着くことのできる音の可能性に、ぜひ手を伸ばしてみてください。

Joe Branton

JoeはポッドキャストGuitar NerdsのMCを務め、10年間に渡って毎週放送を続けてる世界で最も配信を行っているギタリストの一人です。