真空管アンプさながらのレスポンス、高品質なサウンド、多彩な内蔵エフェクトによって、幅広い層のギタリストから支持を得ているKATANA AMP。直感的で分かりやすい操作によって本体だけでも十分に活躍しますが、エディター・ソフトBOSS TONE STUDIOを活用することで、秘められたポテンシャルをフルに引き出すことができるのです。この記事では、このエディターを使って出来ることをご紹介します。
BOSS TONE STUDIOとは
BOSS TONE STUDIOはKATANA AMPのすべての機能を利用できるエディター・ソフトであり、以下のような特長を持っています。
- より緻密なトーン・シェイプが可能
- 豊富な内蔵エフェクトのパラメーター操作
- エフェクトの接続順の入れ替え
- 作成したプリセットの保存と管理
- KATANA AMP本体へのプリセット・インポート
- その他、KATANAに搭載されているあらゆる機能へのアクセス
- 本体ファームウェアのアップデート通知
BOSS TONE STUDIOを活用するメリット
KATANA AMPはエディターによってその汎用性が飛躍的に向上します。多種多様なエフェクトとサウンドを追い込むための数々の機能により、より洗練されたトーンを生み出すことができるようになります。
多機能ながらシンプルで直感的な操作性は維持されており、パラメーターを動かせばその効果は分かりやすくサウンドに現れます。初代KATANAのリリースから8年が経ち、FacebookのコミュニティやYouTubeでの解説動画、ダウンロード可能なユーザー作成のプリセットなど、使いこなすために役立つ情報もオンライン上に多数存在します。扱いに慣れるのは難しいことではないでしょう。
「多機能ながらシンプルで直感的な操作性は維持されており、パラメーターを動かせばその効果は分かりやすくサウンドに現れます」
充実したエディット機能
すべてのKATANA AMPは、本体だけでも基本的な機能が利用できるようになっています。KATANA GEN 3であれば6つのアンプ・タイプとそれぞれのバリエーション・モデルを搭載するとともに、ブースターやオーバードライブ、モジュレーション、ディレイ、リバーブ等のエフェクトの一部がデフォルトで設定されています。さらに上位機種であれば豊富なトーン・シェイプ機能も本体パネル上で操作可能なため、エディターを使わずとも多機能なアンプの1つであることは間違いありません。
しかし、BOSS TONE STUDIOを使えばさらに深いレベルでのサウンド・メイクが可能となるのです。すべてのパラメーターは0~100の段階で操作できるため、細かなこだわりまで反映させることができます。
「すべてのパラメーターは0~100の段階で操作できるため、細かなこだわりまで反映させることができます」
さらに、BOSS TONE STUDIOに搭載されているLIBRARIAN機能により、ほとんどの人にとっては実質無制限でプリセットを保存できます。複数のプリセットをまとめた「ライブセット」を作っておき、一括で本体にインポートすることが可能なので、あらかじめライブやセッションごとのセットリストを纏めておきたい方や、複数のジャンルを演奏するギタリストには特に使いやすい機能です。
普段は本体だけでKATANAを活用している人も、より凝った音作りがしたくなった場合は、一度試してみてください。
BOSS TONE STUDIOを使うには
あなたがKATANA GEN 3を所有しており、BOSS TONE STUDIOを試してみたい場合、まずは次のファイルをダウンロードしましょう。
- 最新のファームウェア(KATANAのバージョンが古い場合)
- お使いのPCに対応するKATANAのドライバー
- BOSS TONE STUDIO for KATANA
※KATANA GEN 3用のダウンロード・リンクはこちらから
これらのファイルは、製品ページの「Downloads」タブからダウンロードすることができます。ダウンロードの前に、インストールの手順をよく読んでおきましょう。BOSS TONE STUDIOのマニュアルは製品ページの「Support」タブからダウンロード可能です。なお、KATANA AMPを持っていなくても、エディターをオフライン・モードで起動することで、その機能や操作感を確かめることができます。
「KATANA AMPを持っていなくても、エディターをオフライン・モードで起動することで、その機能や操作感を確かめることができます」
BOSS TONE STUDIO for KATANA GEN 3の操作について
USBケーブルでKATANA GEN 3とPCを接続してBOSS TONE STUDIOを起動することで、アンプ・タイプの選択、60種類以上のエフェクトへのアクセス、プリセットの保存や呼び出しといったすべての機能が使用可能になります。エディターで操作したパラメーターはリアルタイムで反映されるため、実際のサウンドを確かめながら調節することが可能です。
BOSS TONE STUDIOのレイアウトについて
画面上部はアンプ・タイプの選択、EQの設定、エフェクトの選択など、基本的なトーン・セッティングを行うためのコントロール・パネルが配置されています。画面下部は5系統のエフェクトを中心とした、より細かい設定を行うためのスペースとなっており、タブを切り替えることで内蔵エフェクトの接続順や外部接続機器の挙動など、本体からはアクセスできない多くの設定を変更することができます。
エディター上部のLIBRARIANタブでは作成したプリセットをライブセットというグループ単位で保存できます。ライブセットは「.tsl」という拡張子のファイルとしてPCへエクスポートが可能です。
同じく画面上部のSYSTEMタブでは、キャビネット・シミュレーター、グローバルEQ、USB録音時の動作設定などの設定ができます。
実際にサウンド・エディットをしてみよう
基本的なアンプ・サウンドはエディター上部のコントロール・パネルで作ることができます。101段階のパラメーターによりこれだけでも十分にこだわることができますが、より緻密にエフェクトのコントロールをしたい場合は下部の設定を試してみましょう。
内蔵エフェクトの設定
まずは、左端の「EFFECTS」タブをクリックしてみましょう。KATANA AMPには60種類以上のBOSSエフェクトが搭載されており、同時に5種類のエフェクトを使用可能です。また、エフェクト・ブロックごとに3つのスロットが存在し、好みのエフェクトをアサインできるようになっているため、合計15種類のエフェクトを割り当てて、それらを切り替えて使えることになります。5つのエフェクト・ブロックは次のようにカテゴライズされています。
- BOOSTER
- MOD
- DELAY
- FX
- REVERB(REVERB+DELAY2)
このうち、MODとFXカテゴリでは同じエフェクトを選択できることを覚えておくと良いでしょう。またREVERBカテゴリでは、リバーブ系のエフェクトとディレイ系のエフェクトのどちらか一方を選択するか、またはその両方を同時に使用できます。つまり、ディレイについては、DELAYカテゴリとREVERBカテゴリでそれぞれ別のディレイを設定し、組み合わせて使うこともできるということになります。
エフェクトの接続順を変更する
次は「CHAIN」タブをご紹介しましょう。このタブでは、エフェクトの接続順を設定することが可能です。
エフェクターの扱いに慣れたプレイヤーなら、その順番には定石があることをご存じでしょう。一般的にはワウ、コンプレッサー、歪みエフェクトはプリアンプの前に、リバーブはプリアンプの後で使うのがお勧めです。しかし、モジュレーションやディレイについては、求めるサウンドによって最適な配置が異なってきます。こういったニーズを考慮して、BOSS TONE STUDIOではエフェクトの接続順を変更できるようになっています。
「1つのエフェクトに対して、アンプ本体では操作できない多数のパラメーターが用意されています」
エフェクトの詳細なコントロール
「BOOSTER」から「DELAY」の6つのタブで、3つのスロットに割り当てるエフェクトと、その詳細なパラメーターの設定ができます。1つのエフェクトに対して、アンプ本体では操作できない多数のパラメーターが用意されていることが分かるでしょう。なお、発展的な使い方として、右端の「ASSIGN」タブから、本体の各エフェクト・ノブを操作したときに、どのパラメーターを動かすかをエフェクトごとに設定することも可能です。
また、「NS」タブではノイズ・サプレッサーの設定ができます。これはアンプ本体ではON/OFFもコントロールもできない機能で、特にハイ・ゲインのトーンを扱う場合、ノイズを抑えつつ音量を揃えるために役立つでしょう。
作成したトーンを保存する
作った音色を本体に保存してみましょう。エディターの右上にあるWRITEボタンをクリックし、プリセットに名前を付けて任意のチャンネルに保存するだけです。KATANA GEN 3では2つのバンクが切り替えられるようになっており、バンクごとにKATANA-50 GEN 3には2つ、それより上位のアンプには4つのプリセットが保存できます。プリセットやバンクの切り替えはもちろん本体上で可能です。
ライブセットとLIBRARIAN機能
前述のLIBRARIAN機能も試してみましょう。エディター上部のLIBRARIANをクリックして、画面左端の本体に登録されているプリセットをドラッグ&ドロップすることで、簡単にライブセット単位での管理ができます。もちろん順番を入れ替えたり、複数のプリセットを一括で選択することも可能です。
「複数のプリセットをまとめたライブセットは、ライブ別、曲別、ジャンル別など用途に合わせてトーンを分けて保存するのに便利です」
Examples
公式のライブセットをダウンロードする
PCがインターネットに接続されていれば、画面上部のBOSS Tone Centralから公式のライブセットをダウンロード可能です。クリーンからリードまで幅広い音色が試せるため、サウンド・メイキングの参考になるでしょう。
さらに、今後のアップデートによって世界中のユーザーが作成したプリセットを共有・保存できる無料のコミュニティ・プラットフォーム「BOSS TONE EXCHANGE」へも、エディターから直接アクセス可能となる予定です。
その他のKATANAの設定項目
画面上部のSYSTEMタブには、KATANAのより基本的な設定項目が並んでいます。例えば「LINE OUT SETTING」では、USBやLINE OUT端子(上位機種に搭載)から出力されるサウンドに対して適用されるキャビネット・シミュレーターについて、マイクの種類やスピーカーとの距離などを細かく設定が可能です。他にも「GLOBAL EQ」では、すべてのプリセットに適用されるイコライザーの設定が3種類まで保存・切り替え可能となっており、演奏環境に合わせて一括でサウンドの微調整が出来るようになっています。
KATANA GEN 3の上位モデルには、エフェクト・チェインに外部エフェクターを追加するためのエフェクト・ループ端子が搭載されています。エディターの「SEND/RETURN」タブでは、接続したエフェクターのボリューム調整、エフェクト・チェイン上の接続位置の指定、シリーズ接続・パラレル接続の切り替えなどが可能です。KATANA AMPと外部エフェクターの組み合わせについては、こちらの記事もご覧ください。
Bluetooth®接続
KATANA GEN 3シリーズにオプション品のBluetooth® Audio MIDI Dual Adaptor (BT-DUAL) を装着することで、モバイル端末からのワイヤレスでのオーディオ再生に加えてBOSS TONE STUDIOのスマートフォン版アプリが使用可能となります。自宅でKATANAからスマートフォンからBGMを流しながら演奏したいとき、スタジオで手軽にサウンドの調整が行いたいときなど、利便性がさらに高まります。
こだわりを実現できるアンプ
充実したトーン・シェイプ機能から多彩なエフェクトまで、KATANAの持つポテンシャルを開放するBOSS TONE STUDIO。このエディターによって、KATANAがあらゆるニーズに対応し、あなたのこだわりを実現できるアンプとなることを覚えておいてください。
- 詳しくはこちら KATANA GEN 3アンプ・シリーズ