コンプレッサー・ペダルは、ギター信号のダイナミクスを均一にすることで、幅広い音作りを可能にする汎用性の高いエフェクトです。あらゆるセットアップの基幹となり、組み合わせたエフェクターの特徴をより引き出すアイテムです。一般的には、常にオンの状態にします。ギターのピックアップと同様に音色作りにも欠かせないコンプレッサーは、他のエフェクトと組み合わせることで、多彩で刺激的な音を奏でることができます。ペダルボードになくてはならない存在とも言える、この活力に満ちたペダルを最大限に活用しましょう。
設定の秘訣
「コンプレッサー・ペダルを活用したクリエイティブなギターサウンド5選」で紹介したように、コンプレッサーの威力を最も発揮できる場所はエフェクト・チェーンの最前です。こうすることで、楽器のダイナミクスの変化を制限することができます。コンプレッサーは演奏時にアタックを補強しますが、ダイナミクスは他のエフェクターの基本機能です。例えば、オーバードライブやディストーションはダイナミクスを拡大し、ギター信号をブーストします。コンプレッサー・ペダルをオーバードライブやディストーションの後に配置すると、エフェクトの特性が変化し、制限されることになります。
コンプレッサーと他のエフェクターを組み合わせる
音を魅力的に加工するツールとしてコンプレッサーを常にオンにする場合、わずかに設定を施す必要があります。例えばBOSS CS-3のATTACKとSUSTAINは12時の位置のままにして、信号がつぶれたり、思わぬブーストが起きないようにします。この設定により、ペダルのオン・オフを切り替えなくても、コンプレッサーが音色を均一化するのに十分な透明性を生み出します。
一方で、より極端な設定にすることで、コンプレッサーの威力を効果的に試すことができます。他のエフェクトとの組み合わせによっては、コンプレッサーが音量を抑えすぎてしまったり、逆に上げすぎてしまうことあります。他ペダルの特徴やその組み合わせに注意を払い、適切にコンプレッサーの設定を行うことで、バランスの取れたエフェクト音を作ることが可能です。
PEDAL COMBINATIONS
オクターブ
BOSS OC-2やOC-5のようなオクターブ・ペダルは、ギターをシンセサイザーのように鳴らすことができます。クリーンなギター信号、-1オクターブ、-2オクターブを同レベルでブレンドすることで、音の周波数を支配するウォール・サウンドの音色を奏でることができます。
コンプレッサー・ペダルをミックスに加えることで、シンセのような音を強調できます。RATIOを最小に、SUSTAINを最大に設定すると、圧縮された不自然なギター音になります。コンプレッサーは低音域にめりはりを加え、さらに出力音はより均一で人工的なサウンドになり、3オクターブの信号にはより一体感が生まれます。ギターの自然なダイナミクスとは異なった印象を体感できるでしょう。
おすすめのペアリング
- BOSS CS-3 × OC-5
- BOSS CP-1X × OC-5
「コンプレッサー・ペダルをミックスに加えることで、シンセのような音を強調し、低音域にめりはりを加えます」
ファズ
バンドのミックスでファズを使用するのは、非常に高度なテクニックを必要とします。ファズ単体の音はとても素晴らしいですが、ドラマーやベーシストによって生み出される周波数によってファズ・ペダルの音色の特徴が目立たなくなることがあります。そこにコンプレッサーを重ねると、ペダルの自然な音色を変えることなく、ファズをミックスで聴こえるところまでコントロールし、ブーストすることができます。
この場合、コンプレッサーはファズのブースターまたはトーン・スタックとして捉えてください。コンプレッサーのLEVELコントロールを使って、ファズ・ペダルをミックスで聴こえる程度までブーストします。その後、COMPRESSION、RATIO、SUSTAINを調整し、不要な周波数を削ります。この方法で、仕上がった音色が過度に鋭く扱いにくいサウンドにならずに、ヘビーな印象を残すことができます。
おすすめのペアリング
- BOSS CS-3 × FZ-1W
- BOSS CP-1X × FZ-5
「ペダルの自然な音色を変えることなく、ファズをミックスで聴こえるところまでコントロールし、ブーストすることができます」
ディレイ
強力なディレイ効果を狙うなら、ディレイ・ペダルの後ろにコンプレッサーを置いてみてください。コンプレッサーの設置場所としては珍しいですが、ディレイ・ペダルで巨大なウォール・サウンドを作るには非常に効果的です。
コンプレッサーはディレイの減衰とギターのドライ音を自然に圧縮します。この動作はFEEDBACKをフル回転させているように聞こえますが、ディレイ・ペダル単体のループ効果ではありません。この組み合わせは、よりパンチのあるディレイ・トーンを作り出し、短いディレイ・タイムや奇妙なグリッチ・エフェクトに効果的です。
おすすめのペアリング
- BOSS CS-3 × DM-101
- BOSS CP-1X × DM-2W
リバーブ
リバーブ本来の目的は、あらゆる環境の部屋の自然な雰囲気を再現することでした。しかし最近では、ギタリストのリバーブも使用方法が進化しています。アンビエント・リバーブやシマー・エフェクトは、ポップスからポストロックまで、あらゆるジャンルの定番です。渦巻くモジュレーション・リバーブの巨大な壁を作ろうとすると、時々、コントロール不能となって耳障りなサウンドになってしまいます。コンプレッサーは、こうしたアンビエント・リバーブの荒々しい振動をコントロールし、和らげるために非常に役立ちます。
この場合、コンプレッサーを過度に圧縮する必要はありません。ATTACKまたはCOMPRESSIONがリミッターとして機能し、プレイヤーが特定の音量を超えないように制限するようにしましょう。
アンビエント・リバーブに対するコンプレッサーの役割は、周波数が過剰に振動したり、ミックスから飛び出したりするのを防ぐことです。これは、コンプレッサーの使い方としてはかなり地味に思えるかもしれません。しかしディケイが長いアンビエント・リバーブは、効果を均一に保つのが難しいケースがあります。コンプレッサーを使うことで、エフェクトをコントロールしやすくし、明瞭度を加えることができます。
おすすめのペアリング
- BOSS CS-3 × RV-6
- BOSS CP-1X × RV-500
「音に明瞭さと輪郭を与え、他のほとんど全てのペダルを最大限に活用するのに役立ちます」
エフェクトの魅力を増す引き立て役
こうした例において、コンプレッサーは主役ではなく、引き立て役として機能しています。コンプレッサーは特に目立つエフェクトではありませんが、必須アイテムであり、組み合わせるエフェクトの音色を魅力的に持ち上げながら、前へと押し出します。
コンプレッサーは、ペダルボード上の他のすべてのエフェクトの組み合わせの基盤です。音に明瞭さと輪郭を与え、他のほとんど全てのペダルを最大限に活用するのに役立ちます。微妙なセッティングでも極端なセッティングでも、試してみてください。最も信頼のおけるペダルになるかもしれません。