ギタリストのペダルボードの中でも、ファズは過激で個性的なサウンドが特徴のエフェクターです。荒々しくかつ開放的でダイナミックな表現力を秘めており、凄まじいインパクトを生み出します。まさにファズはオーバードライブやディストーションといった歪み系エフェクターの源流にあるペダルです。ただ2つのエフェクターに比べると、複雑なセットアップのペダルボードに取り入れることが難しいのも事実です。しかし、これは必ずしもファズが融通の効かないエフェクターという意味ではありません。ファズの性質上、そのパワフルなエフェクトを使用するにはペダルの性質を理解して配置する必要があります。ここでは、ファズの最適なセットアップ方法を紹介します。
ファズとの組み合わせ
ヴィンテージ・ファズのペダルはインピーダンスが低いため、最大限の効果を発揮するにはペダルボードの最前段に配置する必要があります。ほとんどのヴィンテージ・ファズは、バッファーを通した信号に対して反応が悪くなってしまいます。BOSS FZ-1Wもヴィンテージ・ファズ同様にバッファーを経由させず、ペダルボードの際前段に配置することを推奨します。
「オーバードライブやディストーションと同様に、モジュレーションやディレイ、リバーブよりも前に配置するのがセオリー」
ペダルの組み合わせ
オクターブ
ファズは荒々しくダイナミックなサウンドが特徴のエフェクターです。個性の強いこのペダルと相性のよいペダルにはどんなものがあるのでしょうか。最初に紹介したいのは、オクターバーです。ファズとオクターバーは、まさに素晴らしい組み合わせの代表例です。Jimi Hendrixとオクターブ・ファズの登場以来、数多くのペダル・ビルダーがこの2つのエフェクトを1つのペダルにおさめるチャレンジをしてきました。最も親しまれているペアリングは、ファズと+1オクターブの組み合わせです。またファズにサブ・オクターブを繋ぐことで、ファズからシンセサイザーのような音色を鳴らすことができます。
この2台のペダルはどちらの順で接続しても問題はありません。音の明瞭さを保つには、オクターバー、ファズという順に接続します。オクターバーの-1オクターブをほぼ全開に設定。ダイレクト音は12時の位置にします。さらに+1オクターブを組み合わせると、豊かな倍音と独特な質感が生まれます。粘りのあるリフや聞かせどころのコードに最適な音色です。
おすすめのペアリング
- BOSS FZ-1W × OC-5
- BOSS FZ-5 × OC-5
リバーブ
ファズの歪みは強力であるが故に、他のペダルとの組み合わせや設定次第では不快な音になりかねません。しかし、後段にリバーブを加えることで過激な音色のエッジを和らげることができます。これによりプレイヤーは、ミックスの中でファズ・サウンドの魅力を最大限に活かすことができます。
この際、リバーブは控えめに使用してください。リバーブの設定をROOMやHALLにすると、音色全体を変えることなく、ファズの深みと繊細さを引き出すことができます。この組み合わせは、特にファズの音色がドライに聞こえる高音域でのソロやリードに効果的です。こうしたパートにリバーブを加えると、ファズのクッションとして機能します。
おすすめのペアリング
- BOSS FZ-1W × RV-6
- BOSS FZ-5 × RV-500
「リバーブの設定をROOMやHALLにすると、音色全体を変えることなく、ファズの深みと繊細さを引き出すことができます」
ワウ
ワウとファズは、エフェクターの中でも究極のコンビネーションかもしれません。Jimi Hendrixが代表曲”Voodoo Child (Slight Return)”を発表して以来、この2つは伝説的にも注目を集めるエフェクターとなりました。
この組み合わせは、配置順に関わらず機能します。ワウをファズに繋ぐと、ワウの鼻にかかったような中域のキャラクターを極限まで引き出すことができます。ファズはワウの長所を引き立てる役割を果たします。この音色を操作するのは簡単ではありませんが、この組み合わせによる音色の個性のスイート・スポットを見極めるよう努めることで、独特で力強い、偉大なギター音を奏でるコツを掴めるでしょう。
おすすめのペアリング
- BOSS FZ-1W × PW-3
- BOSS FZ-5 × PW-3
変幻自在の攻撃的エフェクター
こうしたオプションに加えて、ファズにはさらに多くの機能が備わっています。驚くほど攻撃的な音色を鳴らしながら変幻自在に音を生み出すファズは、想像以上に多くのシーンで活躍します。ギターの音色の真髄となり、他の種類のエフェクターと重ねて複雑な新しい音を構築するための、理想的なペダルです。