Wembley Arenaは、Guns N’ Rosesがステージに向けて準備を進めるなか、期待感でざわめいています。ここは首都ロンドン、穏やかな夏の夕暮れ。サポートのRival Sonsがすでに会場を熱気で満たしています。まもなく、この街を自身の“生まれ故郷”と呼び、多くの音楽的ヒーローたちが今も暮らすこの場所で、Slashはノンストップのハードロック・ジェットコースターを解き放つことになるのです。
まるでチャート1位を獲得した1987年のGuns N’ Rosesデビュー・アルバム『Appetite for Destruction』の世界観を再び描くかのように、「Welcome to the Jungle」がバンドのダイナミックな3時間セットの幕を開けます。脅威とグルーヴが混ざり合うこのダークな祝祭的アンセムは、張りつめた夜の空気の中で音の花火のように立ち上がり、一気に弾けます。
「自分がどこにいるか、分かってる?!」
Wembley Arena、2025年夏。私たちは今、“Because What You Want & What You Get Are Two Completely Different Things”と名付けられたツアーを目撃しています。
ライブ当日の午後、サウンドチェックを終えたギタリストのRichard Fortusに時間を取ってもらいました。正真正銘のGuns N’ Rosesのベテランであるこのセントルイス出身のギタリストは、2002年に加入し、Axl Roseから「私たちがずっと探していた男」と評されました。
23年経った今も、彼はまさに“その男”です。思わずあ然とするほどの才能があり、素晴らしいトーンを聞き分ける耳を持つこのギタリストは、確かに自らの技を知り尽くしています。
近年、GunsはFortusを引っ張りだこにしています。しかし彼のキャリアが花開いたのは1980年代半ばの The Eyes。その後バンドは Pale Divine へと姿を変え、1991年に解散しました。翌年、彼は Richard Butler と Love Spit Love を共同結成し、この創造的なつながりが、2000年の The Psychedelic Furs の再結成への参加へと結びつきます。
世界を飛び回る最高クラスのギタリストとして評価を確立したFortusは、2011年にはThin Lizzyのツアーにも参加し、2013年から2016年の間はThe Dead Daisiesにも加わりました。
エレガンスと荒々しさ、そのどちらも愛するFortusは、徹底した音の探求者でもあります。だからこそ、使う機材には常に強いこだわりがある。ステージでもスタジオでも、RolandとBOSSはずっと彼が頼りにしてきた相棒のような存在です。
過去に信頼して使ってきたRolandまたはBOSSのエフェクトにはどのようなものがありますか?
何年もの間、私のエフェクトは主に1980年代後半のRoland GP-8 Guitar Effects Processorを中心としていました。アナログ/デジタルのハイブリッド設計で、ラック・ユニットに8つのエフェクト回路が詰め込まれていました。いくつかはアナログ、いくつかはデジタルですが、制御はすべてデジタルで、お気に入りの設定をプリセットとして保存できました。
私はGP-8を、最初のバンドThe Eyes(後にPale Divineと改名)からLove Spit Love、The Psychedelic Fursの活動中まで使っていました。最初のバンドが再結成ライブをするときは今でもGP-8を使います。あれがないと同じ音が出ないんです。バンドのサウンドにとって不可欠な存在でした。元々持っていたGP-8は紛失してしまったので、新しく買い直す必要がありました。
「長年、私のエフェクトは主にRoland GP-8 Guitar Effects Processorを中心としていました」
The MissionのWayne HusseyもGP-8の大ファンです。彼はいまだに使っていて、すべてのプリセットを私に送ってくれました。WayneはThe Sisters of Mercyの時代からGP-8を使っているんです。
GP-8は天才的な機材です。あの回路には特別な何かがあります。順に、Dynamic Filter(BOSS FT-2のような音)、Compressor、Turbo Overdrive(BOSS OD-2のような音)、Distortion、Phaser、Equalizer、Digital Delay、Digital Chorusが搭載されています。
私はDistortionにはあまりしっくり来ませんでした(古いオリジナルのDS-1コンパクト・ペダルでさえそうです)。でもTurbo OverdriveとCompressorを組み合わせると、私にとってしっくり来る何かがありました。そしてPhaserとDigital Chorusのサウンドは本当に気に入っていました。
中古市場でGP-8がそこまで高くならないのは不思議です。搭載されているFT-2 Dynamic Filterなんて、単体のペダルとして売られるともっと高値がつくこともあります。
スタジオではRoland GP-8を使いましたか?
Pale Divineのメジャー・レーベルでの最初のリリース、1991年の『Straight to Goodbye』で、もっと使っておけばよかったと思っています。長い間GP-8を使っていたので、違う方向を試したかったんです。それでも、レコードの中でGP-8を使った音もあります。他の何を使っても代わりにならないものがあったからです。例えば、Compressor、Digital Delay、Digital Chorusは完全に唯一無二でした。
「『Chinese Democracy』のレコーディングではFZ-2 Hyper Fuzzを使い、ライブ用リグにも組み込んでいました」
Guns N’ RosesのレコーディングではどのBOSSペダルを使いましたか?
『Chinese Democracy』のレコーディングではFZ-2 Hyper Fuzzを使いましたし、しばらくライブ用のセットアップにも組み込んでいました。あれは本当に過小評価されているペダルです。BOSSにはぜひ再販してほしいですね。私は主にFZ-2のFuzz IIモードを、ドンシャリなサウンドで使っていました。「Chinese Democracy」の曲の中でもFZ-2を聴くことができます。あれはNine Inch Nails陣営から来たもので、Robin Finckが私たちにFZ-2を紹介してくれたんです。今でもFZ-2を3つか4つ持っています。
BOSSのファズペダルの話でいうと、Waza Craft Tone Bender TB-2Wはすごく興味深い存在ですね。評判も本当にいい。私は Tone Bender MK II が大好きで、ヴィンテージを何台か持っています。さらに今、オリジナルの OC81D トランジスタ を使って1台組んでくれる人がいて、それがとても楽しみなんです。
BOSS RE-202 Space Echoペダルについてどう思いますか?
RE-202は素晴らしいです。本当に、本当にいいです。実のところ、どうして自分のスタジオにヴィンテージのRoland RE-201 Space Echoを接続しているのか不思議に思うほどです。BOSS RE-202のエンジニアたちは、本当に見事な仕事をしています。オリジナルのRE-201とまったく同じように聴こえるんです。両方のスプリング・リバーブも大好きです。
SlashはいまもライブでBOSS DD-3を使うのが好きですか?
ええ、そうなんですよ。みんな本当にあれが大好きです。でも私が80年代半ばのモデルで特に気に入っているのは、DM-3 Delayです。
「BOSS RE-202のエンジニアたちは、本当に見事な仕事をしています。オリジナルのRE-201とまったく同じように聴こえるんです」
昔ながらのBOSSまたはRoland製品の中で、他にお気に入りはありますか?
DM-3 Delayと一緒に、以前はOD-1 Over Driveも使っていました。トーン・コントロールがないので、ギターやアンプによって合う、合わないがありました。少し当たり外れがあるのですが、うまくハマると本当に素晴らしい音になります。これらは定番で、かなり使っていました。そして今でも、大型ケースのBOSS BF-1 FlangerとRoland AP-7 Jet Phaserを持っています。どちらも最高です。
私はGM-800 Guitar Synthesizerを持っていますし、GR-700やGR-300のようなクラシックなRolandギター・シンセもあります。Robert FrippとAdrian Belewは、GR-300をよく使っていました。
「今でも、大型ケースのBOSS BF-1 FlangerとRoland AP-7 Jet Phaserを持っています。どちらも最高です」
RolandまたはBOSSのアンプを使ったことはありますか?
もちろんです。昔は、クリーン・サウンドのためにJC-120 Jazz Chorusアンプがよく使われていました。クリーンでコンプレッションの効いた、あの独特のサウンドをとてもよく出すんです。他の何にも似ていません。JC-120はまさに定番です。King Crimsonが大好きだったこともあって、『Discipline』『Beat』『Three of a Perfect Pair』という80年代の3作品のサウンドに、JC-120が欠かせない存在だったという思いが強いんです。
BEATツアーを観に行きましたが、あれは本当に素晴らしかったです。Steve Vaiの仕事ぶりも見事でした。1980年代初頭のKing Crimson――Robert Fripp、Adrian Belew、Tony Levin、Bill Bruford――この4人は、それぞれが強烈な個性を持った、唯一無二のメンバーでした。
「スタジオでは、GK-5 Divided Pickupを常にMIDIコントローラーとして使い、DAW内のソフトウェア・シンセサイザーを操作しています」
GK-5 Divided Pickupのセットアップは簡単でしたか?
とても簡単です。ただ、完璧にするには少し調整が必要な場合があります。私はGK-5をTrussart製のStratスタイルのギターに取り付けています。古い大きめの13ピン接続ではなく、スリムなTRS標準ケーブルを楽器に備えられるのは嬉しいです。
GK-5はSerial GK CableでGKC-DA GK Converterに接続し、そこから13ピンケーブルでGR-30につなぎます。とてもシンプルです。ライブではこの方法でやっています。
スタジオではどのようにセットアップしていますか?
スタジオでは、GK-5 Divided Pickupを常にMIDIコントローラーとして使い、DAW内のソフトウェア・シンセサイザーを操作しています。とてもよく機能します。GK-5をGM-800 Guitar Synthesizerにつなぎ、GM-800をコンピューターに接続するだけです。GK-5をコントローラーとして使って、オーケストレーション用のすべてのソフトウェアを操作でき、とても便利です。
また、ベロシティ、ビブラート、アタックなどを操作するためのコントローラー・ペダルもセットアップしています。キーボード・コントローラーもまだ接続していますが、GK-5を搭載したギターを手に取る方が、はるかに手軽だと感じています。






