Olly Steeleは、誰よりも自分自身に厳しい人です。流れるようなテクニックやパーカッシブな技巧で注目を集めているにもかかわらず、本人は褒め言葉を素直に受け止めません。それも彼のドライな魅力の一部です。プログレッシブ・メタルの雄Monumentsで約10年にわたり腕を磨いた Steele は、いまソロ・アーティストとして着実に存在感を高めています。新しいサウンドを追求しながらEPを発表し、オンラインではギタリストの指導にも力を注ぐ彼は、複雑なリズム構造や時間感覚を“代数的な思考”と融合させ、ポスト・ジェント以降のギター・シーン最前線に立ち続けています。Steele は、自身のギター人生の歩みから、BOSS XS-100 Poly Shifterがもたらす可能性、そしておばあちゃんには自分の音楽を「ファンキー・ロック」と説明している理由までを語ってくれました。
Random Axeの思い出
あなたが最初に記憶している、音楽の思い出は何ですか?
子どもの頃は童謡を歌うのが好きでした。そんな感じです。それから、父のCDをよく持ち出していました。SlipknotとかLinkin Parkとか。他にもいろいろありましたが、父がよく聴いていた音楽というわけでもありませんでした。
最初に影響を受けたギタリストは?
Killswitch EngageのメンバーやTriviumのメンバーです。2000年代後半のRoadrunnerやCentury Mediaのメタル・バンドたち、Kerrang!、Guitar World、Total Guitar、Metal Hammerに載っていたような人たちです。
もっと前の世代のギタリストから影響を受けましたか?
Andy Timmonsを知ったのが本当に遅かったんです。バカだったなと思います。Vaiはすごく遊び心があって、いつも限界を押し広げるクリエイティブなエイリアンみたいな存在。Satchはメロディと楽曲の達人。Petrucciは一番アグレッシブかつ正確で、バンドもプログレッシブなので惹かれました。Yngwieもいますし、言うまでもなくEddieにも影響を受けています。
家族があなたのことを(言葉を選びますが)“技巧派“だと認識した瞬間はありましたか?
その言い方は本当に嫌なのでやめてください(笑)。家族がそう考えていたとは思いません。ただ、自分がすごく没頭している、あるいは献身的になっていると気づいた瞬間はあったかもしれません。転機になったのは、私が「もし8弦ギターを買ってくれたら、このバンドで全部のツアー日程をやる」と言ったときです。本当に買ってくれたので、私はツアーに出ました。あれは、私を信頼してくれているという大きな証しでした。数年前だったら、きっと「何言ってるの?」で終わっていたと思います。
「転機になったのは、私が『もし8弦ギターを買ってくれたら、このバンドで全部のツアー日程をやる』と言ったときです。」
大きな飛躍
あなたの最初の本格的なバンドは?
Cyclamenという日本のノイズ・メタル・プロジェクトです。ポストロック要素もありました。大学の同級生だったドラマーが、「バンドやってないならうちで弾くべきだよ」と誘ってくれたんです。
Monuments に加入した経緯を教えてください。
初期のMonumentsは、MySpaceに自分たちの写真を載せていなくて、音源だけを出す“匿名プロジェクト”みたいな感じだったんです。あるきっかけで彼らの曲に出会って、完全に夢中になりました。でも、もしメンバーに街ですれ違っても絶対わからなかったと思います。
時系列が少し曖昧ですが、Monumentsに似たスタイルのバンドのカバーを戦略的にYouTubeに投稿したのを覚えています。同じチューニングだったので、それでツアーに呼んでもらえたんだと思います。ライブでMikeに会って、彼が私の動画を見てくれていました。それがすべての始まりです。
「すべてが一気に押し寄せてきた感じでした。Tesseractのツアーにサポートとして参加して、その最後に正式加入が決まったんです」
既に確立されたツアー・バンドに入るのはどんな気持ちでしたか?
すべてが一気に押し寄せてきた感じでした。Tesseractのツアーにサポートとして参加して、その最後に正式加入が決まったんです。完全に準備不足で、若すぎました。ライブも10回くらいしかやったことがなかった。とにかく圧倒されました。
加入した時の自分はすごく未熟でしたが、メンバーは高度に洗練されたミュージシャンで、とくにドラマーとギタリストはメロディとリズムに対してものすごく深い知識と素晴らしいグルーヴ、技術を持っていました。あんなものは見たことがありませんでした。
脱退してソロに移行するときは、どんな気持ちでしたか?
Monuments には10年間いました。10年も一緒にいれば家族です。コミュニケーションも学んだし、大きなことも成し遂げたし、音楽的にも多くの領域をカバーしました。バスでの長旅や一緒に過ごした膨大な時間。良いときも悪いときも。
でも、ロックダウンが多くのことを変えました。バンドの未来も音楽の未来も不透明になった。素晴らしいアルバムを出してもツアーができないかもしれない。自分にとっても言い逃れようのないタイミングでした。気持ちを伝えると、メンバーは理解してくれました。今も仲良しです。心も体も「もう出る時だ」とわかっていたんです。
「でも、ロックダウンが多くのことを変えました。バンドの未来も音楽の未来も不透明になった」
サウンドの解析
細かな音楽ジャンルを知らないおばあちゃんに、自分の音楽を説明するとしたら?
「ファンキー・メタル」か「ファンキー・ロック」と言います。可能な限りシンプルにするならそれですね。プログレッシブな音楽ではあるけれど、“プログレ”や“プログレッシブ”と言うと、別の方向に連れて行かれるので。おばあちゃん相手なら「ファンキー・ロック」で、たぶん分かってくれると思います。
では逆に、Kerrang! を聴きこみ、マイナーなバンドも知り尽くしているようなマニアには?
ジャズ・ミュージシャンが「これはジャズじゃない。ただ音楽を演奏しているだけ」と言うのをよく聞きます。昔は意味がわからなかったんですが、今はわかるんです。私もただ音楽をやっているだけ。時にはヘビィだし、時にはそうでもない。
このスタイルの良いところは、何でも放り込めるところです。だからおばあちゃんにはファンキー・ロックと説明しますが、もちろんそれが全てではない。全体像は語ると長くなりすぎます。
「おばあちゃんにはファンキー・ロックと説明しますが、もちろんそれが全てではない。 全体像は語ると長くなりすぎます」
精緻なクラフト
あなたのプレイはシンコペーション豊かで非常に精密です。ゆっくり練習しますか、それとも勢いで入りますか?
デモなら十分だろうと思って書いたフレーズが、レコーディング当日に「なんで練習しなかったの、Olly!」となることがあります(笑)。基本的には、ゆっくりやって積み上げていく必要があります。反射的に使えるテクニックなら別ですが。スピードは自然に出るけど、精度は自然に出るタイプではないと思っています。
常に慣れている演奏の範囲を出て、難しいフレーズを探しにいっているように聞こえます。
気づいてくれて嬉しいです。新しいことを試さないなら、何もしていないのと同じ。それはミュージシャンが意識しているかどうかに関係なく存在することです。毎回、大きな新しい要素を加えたいのです。でも、それは選択肢をすごく狭くします。
リードとリズムが完全に溶け合ったスタイルですが、影響源は?
God Forbidの“Into the Wasteland”という曲です。序盤のブレイクで、バンドが止まってギターがリードを弾き、それがコードに発展する部分があるのですが、初めて聴いたとき、魂を撃ち抜かれました。鳥肌が立って「なんて美しくて最高なんだ」と思いました。
「God Forbidの“Into the Wasteland”を初めて聴いたとき、魂を撃ち抜かれました。鳥肌が立って『なんて美しくて最高なんだ』と思いました」
ピッチに乗せて
BOSS XS-100 について聞かせてください。どう感じましたか?
まず、ピッチ系で遊びたかったので興奮しました。ヘヴィーなメタルコアでは非常に人気で、攻撃的なサウンドの一部なんです。XS-100 がどれだけ多くの方法でピッチを操作できるのかを見て驚きました。
最初はダウン・チューニング系から始めましたか?
そうですね、自然とそこから始めました。ドロップCで弾きながら1オクターブ下げたり、コードの途中でピッチを変えて後半から高くしたりもできます。下降したり、逆再生のようなダイブ・ボム音を作ったりもできるのです。
「コードの途中でピッチを変えて後半を高くしたりもできます」
「XS-100 は“プレイヤーのためのおもちゃ”です。しゃべるように、投げるように、ピッチの波をコントロールして感じたいなら、これが必要です」
XS-100 の面白いトリックは?
ピッチを細かく分けることができます。あるときはタッピングをして、毎回完全五度上に上げるんです。それが本当にかっこいいんです。それに、ベースと一緒にスルーで使うと、オリジナルの信号があり、さらに高い信号が五度上になるので、ベースのパワーコードが作れます。これはビデオでもかなり目立っています。本当にかっこいいです。そして、標準モードでは、リフを弾くと1オクターブか2オクターブ上がるようになっています。
XS-100はプレイヤーのための玩具です。ピッチを動かすことで波形の動きを感じ、実際にコントロールして表現したいのであれば、これが必要です。
初めての BOSS ペダルは?
MT-2 Metal Zoneでした。手元にあるお小遣いを持って、ガラスのカウンター越しに見て、「どれが一番歪んでいるか」と考えるんです。それからNS-2 Noise Suppressorは自分にとって本当に大事な存在です。
「下降したり、逆再生のようなダイブ・ボム音を作ったりできます」
Sci-Fiなギター・ヒーローの活躍
Connor KaminskyやAdam Benjaminなど、多くのアーティストとコラボしていますが、どのように実現しましたか?
家に録音用の部屋はありますが、“スタジオ”と呼ぶほどではありません。Connorは「ここ何小節、好きにやって」と依頼してきて、私が録音したものを送り、彼がミックスとリアンプをして曲に完璧に馴染ませてくれます。
Conorは私のスタイルを本当によく理解しています。彼は私の演奏について褒めてくれましたし、ちなみに私よりもずっと上手です。彼はとんでもないギタリストです。
Adamとは4曲作りました。2曲は最初からインストがあって、残りの2曲はその場で感覚的に作っていったので、私がいくつかのフレーズを見つけて仕上げました。その点では自由な雰囲気の制作でした。
「自分のヒーローたちは、さっき挙げたような“レガシーを築いた偉人”で、名盤を持っている人たちです」
あなたの作品のカバーにあるようなSF的ビジュアルには関わっていますか?
液体が“ブシャッ”としたような感じのものなら、私がアート・ディレクションしています。
提案してもらって、「それいいね、もっとこうしよう」と仕上げていきます。Star Warsのような、ハイテクなのに全部壊れかけてる感じが好きなんです。
“ギター・ヒーロー”と呼ばれることはどう思いますか?
聞いたことはありますが、自分からすると滑稽です。自分のヒーローたちは、さっき挙げたような“レガシーを築いた偉人”で、名盤を持っている人たちですから。私は今ライブすらしていないし、バンドもいない。ソロ・プロジェクトを進めている最中。もちろん、そう呼ばれるのは嬉しいですし、弾き続けます。ですが、Zakk Wylde はまだ現役ですからね。






