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ディレイ・ペダル完全ガイド

このガイドでは、ディレイの誕生から複雑なセットアップまでを詳細にお伝えします。ギタリストが活用する上で必要な知識を余す事なく説明します。

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ディレイ・ペダルの世界は奥深く、素晴らしいサウンドと機能が満載です。このガイドは、さまざまなディレイ・サウンドと基本的な機能及び各タイプの違いを説明しています。ディレイ・ペダルの世界を把握する上での質問やその答え、さまざまな活用方法について提供します。ディレイ・ペダルの必要性、活用する場面を検討した上で、機種の選択を検討してみましょう。

ディレイ・ペダルとは?

ディレイ・ペダルは楽器の信号を録音し、それを再生する機器です。ディレイ信号はミリ秒単位で測定され、サウンドの短い断片を取り込み、それを繰り返し再生します。

ディレイ・ペダルは、ギタリストやベーシストのレベルに関係なく不可欠なアイテムです。ディレイはギターのサウンドを太くしたり、フレーズの余白を埋めたり、そのサウンドが新たな楽器として機能してくれたりもします。U2の「Where the Streets Have No Name」、Pink Floydの「Echoes」、あるいはRage Against the MachineやAudioslaveのソロを思い浮かべてください。Tom Morelloは、ギターのリード部分の隙間を埋め、ディレイを打楽器のようにして使用しています。

ディレイ・ペダルの用途は?

ディレイ・ペダルの基本的な機能としては、入力された信号をミリ秒単位で解析し、それを連続して再生します。さらに詳細な説明をすると、入力された音がディレイ・ペダルによって複製され、ミリ秒単位の間隔の後ろに複製された音が再生されるという仕組みです。ディレイ・ペダルは、スラップバック・サウンドや、1度だけリピートさせたり、長時間にわたるリピート再生を行ったり、多岐にわたるエコー・エフェクトを生成します。

ギタリストがリピート中に演奏をすると、ディレイ・ペダルはその信号を保存して再生を繰り返し、オーバー・ダビングされたエフェクトを生成することも可能です。結果、単純なエコー・サウンドの場合もあれば、たくさんのサウンドが入り混じり、音の壁を生成しつつ、複合的にゆっくりと振動していく複雑なサウンドになる場合もあります。Radioheadの[Karma Police]のアウトロを思い出してみてください。

「ギタリストがリピート中に演奏をすると、ディレイ・ペダルはその信号を保存して再生を繰り返し、オーバー・ダビングされたエフェクトを生成することも可能です。」

ディレイとルーパーは何が違うのか?

ディレイ・ペダルは入力された信号のミリ秒単位の断片を取り込み、それを繰り返し再生します。ループ・ペダルは、任意の秒数または数分にかけて録音し、それを再生します。ディレイと比較した際、ルーパーの最も大きな利点は、再生やオーバー・ダブ、停止を自由に制御でき、音量やサウンドの劣化なしに録音したサウンドを繰り返すことができることです。

Delay Types

ディレイの種類としては、主にテープ、アナログ、デジタルの3つのタイプがあります。これらのタイプにはそれぞれの特徴があります。例えば、アナログ・ディレイにはエコーやテープ・ディレイが含まれることがよくあります。デジタル・ディレイには、ダイナミック・ディレイ、パターン・ディレイなどが含まれます。主な違いは、リピート回数と、原音そのままリピートするか、リピート毎に劣化があるかどうかにあります。これら3つのディレイ・タイプを解説しましょう。

テープ・ディレイ 

テープ・ディレイ(テープ・エコー・ディレイとも呼ばれる)は、以前は入力信号の録音と再生に磁気テープを使用していました。このスタイルには、温かみがありつつ、わずかに不規則なリピートをすることがあります。ディレイを継続して使用していると、テープの劣化がし、それがサウンドにも影響します。

テープの劣化やフラッターは、RE-202 およびRE-2ペダルで見事に再現された特徴の一つです。テープ・ディレイの利点は、リピート音が均一ではなく絶妙な違いが得られることです。これは、ヴィンテージ・スタイルのディレイ・ペダル愛用者にとっては注力している部分になります。

「モノラルでのセットアップは簡単ですが、ステレオでのディレイ・セットアップは、より自然で立体的な音響体験を提供できます。」

アナログ・ディレイ

DM-2WやDM-101などのアナログ・ディレイはBucket Brigade Devices (BBD素子)を使用して温かみのあるリピート音を生成します。時間の経過と共にわずかに信号が劣化することで、丸みを帯びた温かみのある豊かなディレイ・サウンドが得られることです。

アナログ・ディレイについては、多くのプレイヤーがDM-101を最高峰の機種と評価しています。DM-101はアナログ・ディレイでありながら、12のサウンドを持つ稀有なモデルです。

  • Classic—アナログ・ディレイ特有の温かみを持ったサウンド。1,200 msまでのディレイ・タイムが設定可能  
  • Vintage—1981年に登場した、BOSSの伝統的アナログ・ディレイ・ペダルDM-2を彷彿させるサウンド  
  • Modern—アナログ・ディレイの温かさを備えつつ、より高域に鮮明さを残したサウンド。最大840 msのディレイ・タイムに対応  
  • Multi-Head—BBDによるアナログ・ディレイ・サウンドを、テープ・エコーのような再生方法で楽しめるモード  
  • Non-Linear—ディレイ音の音量が徐々に大きくなるアナログ・ディレイです。最初のディレイ音のディレイ・タイムは35 msから190 msの間で設定可能  
  • Ambience—極めて狭い空間をシミュレートしたモード  
  • Reflect—リバーブのような効果が得られるステレオ対応のモード 
  • Doubling and Delay—ショート・ディレイによるダブリングと反射音を加えることで、音に厚みを与えるステレオ・アナログ・ディレイ  
  • Wide—OUTPUT A/Bでディレイ・タイムをずらすことで、広がりあるサウンドを提供するステレオ・アナログ・ディレイ  
  • Dual Mod—OUTPUT A/Bで異なる位相のモジュレーションを出力するステレオ対応のモード  
  • Pan—ディレイ音をOUTPUT A/Bから交互に出力するステレオ・アナログ・ディレイ  
  • Pattern—リズミカルなディレイ音を生成するステレオ対応のモード  

デジタル・ディレイ 

DD-200などのデジタル・ディレイは、さまざまなスタイルのディレイをDSPによって再現するためにたくさんのモードが搭載されています。これには、アナログ・ディレイやテープ・ディレイを再現したものも含まれます。

デジタル・ディレイの主な利点は、音質を低下させることなく、正確で純粋なリピート・サウンドを生成できることにあります。ダッキング・エフェクトやダイナミック・ディレイを生成するオプションもあります。ここでは、ディレイをさまざまな間隔でリピートように設定したり、実際に磁気テープを必要とせずにテープ・ディレイのサウンドを再現したりすることも可能です。

BOSS DD-200に搭載されているものなど、他のディレイ・スタイルもあります。  

  • Standard—クリアなディレイ・サウンド
  • Analog—BOSS DMシリーズのようなクラシックなアナログ(BBD)ディレイをエミュレート
  • Tape—伝説的なRE-201 Space Echoの温かみのあるサウンドをエミュレート
  • Drum—Binson Echorec 2 をモデリング
  • Shimmer—音程を変えたサウンドを混ぜ合わせたピッチ・シフト・ディレイ
  • Tera Echo—TE-2から派生した広がりのあるアンビエンス・エフェクト 
  • Pad Echo—浮遊感のある新開発のサウンド
  • Pattern—16個のディレイを組み合わせたリズミカルなサウンド
  • Lo-Fi—太く歪んだキャラクターのディレイ・サウンド
  • Dual—2つのディレイを直接に接続したディレイ
  • Reverse—サイケデリック・エフェクトやユニークなサウンドを実現する逆再生するディレイ
  • Ducking—ダッキング・エフェクトを内蔵したディレイ

ディレイ・ペダルの使用方法

ディレイ・ペダルは、ソロに厚みを加えたり、リピートをするリフを作成したり、アンビエンスを追加したり、ダブリング効果のあるリード・ラインを作成したりします。音楽を演奏することに関してはルールなどありません。また、ディレイ・ペダルをいつ使用するかについての厳格なルールもありません。必要なサウンドの種類と作成しようとしている音楽によってそれぞれ異なります。

使いやすいヴィンテージ・スタイル・ディレイの場合、BOSS DM-2Wペダルは、最も適したアナログ・ディレイ・ペダルです。過去から最も愛用されているディレイ・ペダルの1つであるDM-2をモデルにしたDM-2Wには2つの回路があります。20〜300msのディレイ・タイムを持つオリジナルのディレイ回路と、最大800msのディレイ・タイムを持つ温かくクリアなディレイ・サウンドのWaza Craftの新しい設定です。

「音楽を演奏することに関してはルールなどありません。また、ディレイ・ペダルをいつ使用するかについての厳格なルールもありません。」

DM-101は、BBD回路を搭載した12種類のアナログ・ディレイ・エフェクトです。繊細なディレイからPink Floyd風のサウンドまで、さまざまなディレイ・エフェクトが用意されています。アナログ・ディレイ・ペダル・ファンにとって夢のような究極の機器であり、アナログ・サウンドとデジタルの信頼性、最新の接続性を兼ね備えています。

DD-8のシンプルさは、すべてのギタリストに喜ばれるでしょう。このペダルは、直感的なコンパクト・エフェクターにデジタル、テープ、アナログのさまざまなディレイ・サウンドを詰め込んでいます。操作も簡単で、あらゆるレベルのプレイヤーに十分な機能が手に入り、ペダル・ボードにも美しく収まります。

スタジオ・レベルのオーディオ品質と、さまざまなデジタル・ディレイの機能を備えたデジタル・ディレイ・ペダルをお探しですか?DD-200またはDD-500をお試しください。デジタル及びアナログ風のディレイを含む12種類のモードから選択できます。さらに、32ビットAD/DA変換、32 ビット浮動小数点処理、96 kHz サンプリング・レートによるクラス最高の音質も実現しています。ペダルには、60秒のフレーズ・ループ機能とMIDI接続も含まれます。

「テープ・エコーはとてもユニークなサウンドです。独特なサウンド特徴があり、他にないサウンドを生み出します」

テープ・エコーはとてもユニークなサウンドです。独特なサウンド特徴があり、他にないサウンドを生み出します。幸いなことに、最も評価の高いディレイ・ユニットの1つであるRoland Space Echoは、RE-2 Space Echoに引き継がれています。このペダルはペダル・ボードに美しく収まり、テープの揺れや予測できない音質を実現してくれます。

BOSSディレイの歴史

Rolandは1974年にRE-201 Space Echoをリリースしました。これは、これまで作られたテープ・ベースのディレイ・ユニットの中で最高峰のものとして広く知られています。その効果は、RE-20、RE-202、RE-2のペダル・ボードに収まるバージョンに引き継がれています。

1978年に話を進めます。まだギタリストにとってラック・タイプの機器が高価であった時代にBOSSはDM-1 Delay Machineをリリースしました。これは世界初のペダル・ボードに収まるディレイの1つでした。その伝統は後にDM-101に引き継がれていきます。1981年、BOSSはDM-1を小型化したDM-2 Delayをリリースし、ペダル・ボードやセッティングに追加しやすくしました。

DM-2では、BOSSはDM-1で使用されていたCDDの代わりにバケット ブリッジ デバイス (BBD)を採用し、BBD搭載のコンパクト・エフェクターの世界を生み出しました。

1983年、SDE-3000 Digital Delayなどのラック・タイプの機器は音楽技術の最先端にあり、Steve VaiやEddie Van Halenのギター・エフェクト・システムに欠かせない機器となりました。BOSS DDシリーズは、1983年発売以来、数え切れないほどのギタリストに愛用されてきました。世界初のデジタル・ディレイ・ペダルであるDD-2は、ギタリストにとって革命的な製品でした。より長いディレイ・タイムとより優れた音質とコントロールを実現しました。BOSSはタップ・テンポ、複数のディレイ・モード、ステレオ出力などの付加価値機能を追加しながら、革新を続けています。

「世界初のデジタル・ディレイ・ペダルであるDD-2は、ギタリストにとって革命的な製品でした。より長いディレイ・タイムとより優れた音質とコントロールを実現しました。」

アナログ・ディレイ vs デジタル・ディレイ 

アナログ・ディレイとデジタル・ディレイのどちらかを選択するときは、求めているサウンド・イメージを考慮してください。リピートする信号が徐々に劣化して変化して行くものか、それとも音量の変化はあるものの、クリアなリピートをするものか。繰り返し回数を重ねることに奇妙で温かみのあるサウンドにしたいのか、それともずっと同じサウンドにしたいのか。

デジタル・ディレイとアナログ・ディレイの違いは、音質が徐々に変化するかにあります。最終的にはアナログ・サウンドはわずかに劣化します。これによりサウンドがゆっくりと変化しますが、デジタル・ディレイは同じサウンドを繰り返し、その度に音量が小さくなります。

BOSS DM-2などのアナログ・ディレイ・ペダルは、温かみや深みもあり、ゆっくりと劣化したリピート音を生み出し、多くのプレイヤーが耳に心地よいと感じています。一方、BOSS DD-200などのデジタル・ディレイ・ペダルは、よりクリーンで正確なリピート音を再生します。多くの場合、さまざまなモードと設定が用意されており、たくさんのディレイ効果が得られます。アナログ・ディレイはクラシック・ロックに最適ですが、デジタル・ディレイはメタル、フュージョンやその他の現代的なジャンルに適しています。

ディレイ、リバーブ、テープ・エコーの違い  

ディレイは最初の入力信号を録音し、指定された時間だけディレイさせます。その後、再生に移行し自然な繰り返し効果を生み出しますが、その度に少しずつ劣化します。これにより、雰囲気や空間の奥行き感が生まれ、プレート、スプリング、ホールなどの設定が含まれることがあります。

「ディレイは最初の入力信号を録音し、指定された時間だけディレイさせます。その後、再生に移行し自然な繰り返し効果を生み出しますが、その度に少しずつ劣化します。」

テープ・エコーは、音質が急速に劣化するため、より温かみのあるサウンドを実現します。大きな部屋やホールで演奏しているようなサウンドを作り出すリバーブとは異なり、ディレイは元の信号を明確なリピート・エコーを提供します。エコーはさまざまな方法で操作ができ、たくさんの効果を生み出すことができます。リピート回数を増やしたり、リピート間隔を広げたりすることができます。

セットアップに関して

ディレイ・ペダルの接続

ディレイ・ペダルは、シグナル・チェーンの最後またはエフェクト・ループを介してアンプに直接接続できます。モノラルとステレオ、FXループ、シグナル・チェーン、ウェット/ドライ・セットアップ、直列ディレイと並列ディレイについて解説します。

シグナル・チェーンのディレイ

ディレイ・ペダルはシグナル・チェーンの最後に配置するのが基本です。こうすることで、チェーン内の他のペダルには影響しません。ただし、ギターとそれより前段に配置されている全てのペダルを組み合わせたサウンドを繰り返します。ディレイ。ペダルを最初に配置すると、その後のペダルに到達する信号が遅れてしまいます。これにより、両方のペダル効果が低下してしまいます。

ディレイ・ペダルをチェーンの最後に配置することで、ディレイはそれよりも前に配置されたエフェクト効果に広々とした自然なエコー効果を生み出すことができます。ただし、音楽製作に関しては厳密なルールはありません。さまざまな配置場所を試してみると、ユニークな効果が得られることもあります。

「ディレイ・ペダルをチェーンの最後に配置することで、ディレイはそれよりも前に配置されたエフェクト効果に広々とした自然なエコー効果を生み出すことができます。」

FXループ

FXループは、プリアンプとパワーアンプの間にエフェクトを挿入できる入出力端子です。アンプのトーンとボリュームは、それぞれのノブで効果を得られます。

FXループを活用して、プリアンプをバイパスし、ペダルのサウンドに影響を与えないようにすることで、よりクリアでクリーンなディレイ効果が得られます。これは、歪んだアンプのサウンドを使用する場合に特に効果があります。可能な限り音を濁らせたくないプレイヤーにとって特に重宝します。

モノラル vs ステレオ・ディレイ

モノラルとステレオのディレイについて語る際にはヘッドホンで聴くことを考えると分かりやすいです。モノラルのディレイは、元の信号の単一の繰り返しで、ギター・ソロやリード・ラインなどほとんどの状況で機能します。世の中のアナログ・ディレイはほぼモノラルです。一方、ステレオ・ディレイは右と左のヘッドホンまたはスピーカーに1つずつ、2つのディレイ信号を送ります。これにより、各スピーカーやヘッドホンで異なるタイミングのディレイを操作でき、広く包み込むような音場が作成されます。

モノラルのセットアップは簡単ですが、ステレオのディレイのセットアップでは、より没入感のある音場体験を提供できます。これは、2つのアンプ/キャビネットが設置できる大きな部屋で演奏する場合やヘッドホンで特に効果が現れます。ステレオ・ディレイを効果的に使用すればダイナミックなサウンドを実現できます。例えば左のヘッドホン/スピーカーを12msでディレイさせ、右のヘッドホン/スピーカーを800msでディレイすることができます。これにより2人のギタリストが異なるタイミングで演奏しているような錯覚が生まれます。

「モノラルのセットアップは簡単ですが、ステレオのディレイのセットアップでは、よりシュールで没入感のある、拡張性のある音場体験を提供できます。」

ウェット/ドライ

ディレイ・ペダルのユーザー、主にデュアル・アンプを使用するユーザーや、原音を保持したいユーザーは、ウェット/ドライ・セットアップを使用します。ウェット音は、ペダルにエフェクトがかかった信号です。ドライ音はエフェクトのかかっていない原音の信号です。

ウェット/ドライ・セットアップでは、1つのアンプ(またはスピーカー)がドライ音でエフェクトがかかっていないギター信号を再生し、もう1つのアンプがウェットでエフェクト音がかかった信号を再生します。ギタリストはドライ音を保持し、ウェット信号を絶妙なトーンのアクセントとして使用できます。例としては、The Darkness の「Love Is Only A Feeling」です。メインのリフは主にドライ音で、バックグラウンドでわずかにディレイがかかっています。その上のソロ・ラインはウェット音で、より強調したディレイがかかっています。

ウェットとドライのデュアル・アンプでディレイを使用する利点は、より深い奥行きと空間を提供できることです。ドライ音は、濁ることなく元のトーンと明瞭さを維持できます。同時にウェット音はディレイからのアンビエントなエコー効果を提供します。両方の長所を兼ね備えたセッティングとなります。

デュアル・アンプを使用したウェット/ドライ設定は、高レベルのディレイ・セッティングやその他の時間軸ベースのエフェクトを使用する場合に特に効果的です。元の信号が消えてしまうのを防いだり、エフェクト・ペダルのウェット/ドライ設定を使用して、元の信号を保持しながらディレイの音量を下げることもできます。

「ウェットとドライのデュアル・アンプでディレイを使用する利点は、より深い奥行きと空間を提供できることです。」

シリーズ vs パラレル・ディレイ

シリーズ接続とは、複数のエフェクトを直列に接続することです。入力信号はサウンドに影響をもたらす全てのペダルを通過します。パラレル接続では、2つの信号に分けられ、別々のエフェクトに送り、その後ミックスされます。この場合、それぞれのエフェクトの影響を受けずに出力することができます。

2つのディレイ・ペダルをシリーズ接続で使用する場合、1つのディレイ・ペダルが次のディレイ・ペダルに信号が送られるため、前段にあるディレイ音にさらに後段のディレイ音がかかるようになります。これにより複雑でありながらも若干ボヤけたサウンドが生成されます。

パラレル・ディレイの使用例

パラレル接続では、各ディレイ・ペダルが元の信号を個別に処理し、その後でその出力がミックスされます。このようなパラレル接続は複数のディレイを分離して使用できるため、ボヤけたサウンドになるのを防ぐことができます。

DD-8などのペダルは、ステレオ・モードで使用している場合、左右のチャンネルにリンクされたパラレル・ディレイを提供しています。これにより、ステレオ入力されたエフェクト・サウンドもバランスを維持することができます。SDE-3000D Dual Digital Delayを使用すると、2つのディレイを直列または並列でセッティングできるため、両方のサウンドを有効に使用する場合にとても便利です。

ディレイ・ペダルのコントロール

BOSSディレイ・ペダルの最も一般的なコントロールは、エフェクト・レベル、フィードバック、タイム、モード、タップ・テンポ、ホールドです。簡単に言うと、エフェクト・レベルはエフェクトの音量、フィードバックはリピート回数、タイムはディレイの間隔、モードはディレイの種類です。タップ・テンポは、プレイヤーが音楽のビートまたは拍子に合わせてペダルを踏み、テンポを合わせることです。ホールドは、ペダルを押したままにして、発振を繰り返します。

エフェクト・レベル

エフェクト・レベル・コントロールは、元の信号と比較してディレイ信号の音量を決定します。このノブを上げるとディレイ音またはウェット音の音量が上がります。このノブを下げると音量が下がり、ドライ音が増加します。

フィードバック

ディレイ・ペダルのフィードバックは、ディレイの繰り返し回数を制御します。フィードバックを下げると、繰り返し回数が少なくなります。フィードバックを極端に上げると、ほぼ無限の繰り返しが生成され発振が発生します。この劇的な効果では、ディレイ・ペダルはエスカレートする雑然としたサウンドを生成します。DM-101とRE-202では、フィードバック・コントロールを「Intensity」と呼びます。

タイム

タイム・コントロールは、ディレイの長さ、つまり元の信号とその繰り返し間のギャップをミリ・セカンド単位で決定します。ディレイ・タイムが短いと、スラップバック・エコーやダブリングなどの効果が得られます。ディレイ・タイムが長いとより顕著なエコー/ディレイ効果やリズミカル、パーカッシブなサウンドに最適です。

モード

DDシリーズの多くのモデルは、さまざまなディレイ・タイプを切り替えることができます。DD-8では、モード設定を使用してさまざまな設定を素早く切り替えることができます。DD-200やDD-8などの多機能ペダルでは、モードの種類を使用して、デジタル・ディレイ、アナログ・ディレイ、テープ・エコー、リバース、ルーパー、その他特殊なモードを切り替えることができます。

タップ・テンポ

タップ・テンポを使用すると、ギタリストはペダルまたはフットスイッチをタップして、音楽のテンポに合わせてディレイ・タイムを設定できます。これにより、ディレイ効果をバンドの他のメンバー、ドラムマシンまたはメトロノームと簡単に同期できます。

「デジタル・ディレイ・ペダルに通常搭載されているモード・コントロールを使用すると、さまざまなディレイ・タイプを切り替えることができます。」

ホールド機能

DD-200とDD-8のホールド機能を使用すると、ギタリストは演奏の一部をフリーズまたは音を持続させ、連続ループを作成できます。プレイヤーは、この機能を使用してうなり音や強調された雰囲気のあるテクスチャ、または演奏のベースとなるリズミカルな空間を演出できます。

ボリュームとエクスプレッション

ボリュームとエクスプレッション・ペダルをディレイと併用すると、全く新しい音の世界が広がります。幸いにもほぼ全てのBOSSのディレイ・ペダルで、エクスプレッション・ペダルを使用できます。

ボリューム・ペダルは、サウンドの全体的な音量を制御できます。これは、トラックやライブ演奏時にディレイ効果をフェードインまたはフェードアウトする場合に便利です。エクスプレッション・ペダルはディレイ・ペダルのディレイ・タイム、フィードバック、レベルなどのパラメーターを制御します。これにより、プレイヤーはこれらのパラメーターを足元でコントロールし、手動でパラメーターを変更せずにダイナミックなディレイ・サウンドを作成できます。

ディレイ・ペダルとMIDI

絶対的な精度を求めるなら、MIDIには多くの利点があります。MIDIまたはMIDIクロックを使用すると、プレイヤーはペダルボード内でタイミングを共有できます。これは、ディレイ、ルーパー、その他のタイム・ベースで駆動するエフェクトにとっては非常に重要です。

DD-200やDM-101などはMIDI接続が可能です。全てのパラメーターの正確に制御し、変更を自動化したり、他のMIDI対応機器とディレイ・タイムを同期したりできます。さらに、これらの機器にはメモリ変更機能も備えています。これらの機能は、正確なタイミングが必須のライブ・バンドやスタジオ環境で役立ちます。

キャリーオーバー

キャリーオーバーを使用すると、ペダルをOFFにした後もエコーが継続します。ペダルをバイパスして音が切れるのではなく、自然な音の減衰を演出することができます。エフェクトの切り替え時にシームレスに展開できるために、ほとんどのギタリストはライブ・パフォーマンス中にこれを使用します。

「MIDIまたはMIDIクロックを使用すると、プレイヤーはペダルボード内でタイミングを共有できます。これは、ディレイ、ルーパー、その他のタイム・ベースで駆動するエフェクトにとっては非常に重要です。」

著名なディレイ・ペダル・アーティスト

多くのギタリストがディレイを推奨しています。Eddie Van Halenは、「Ain’t Talkin’ bout Love」でこのエフェクトを使用しました。John Mayerは、「Slow Dancing in a Burning Room」で絶妙なディレイを使用し、「Heartbreak Warfare」などの一部のトラックではパーカッシブな要素として使用しています。

The EdgeはU2の楽曲全体でディレイを使用しています。彼はこのエフェクトを駆使してチャイムのようなテクスチャを作成しています。Slashは「Welcome to The Jungle」のイントロでDD-3を800msに設定しました。Brian Mayは、アンプの壁と共にディレイを使用して、独自のサウンドを生み出しました。

Pink FloydのDavid Gilmourは、高揚するリード・トーンに、長くてフィードバックの多いディレイ設定をよく使用し、広大で空間的なサウンドを生み出しました。Annie Clark (St. Vincent)、Omar Rodríguez-López (Mars Volta)、Nels Cline (Wilco)などの現代のプレイヤーも、ディレイを創造的に使用しています。これらのギタリストは、型破りな方法でエフェクトを使用し、独自サウンドを作り出します。

コツとヒント

アンビエンス

ディレイ・ペダルでアンビエント・サウンドを作るには、フィードバック・レベルを多めにし、ミックス・レベルを低く設定してディレイ・タイムを長めにします。これにより、強調されたエコーではなく、演奏の背景に広がるサウンドが生まれます。アンビエント・ディレイのアイデアについては、The Verveの「Lucky Man」を思い浮かべてください。これをリバーブ・ペダルと組み合わせると、とても幻想的なサウンドが得られます。ペダルにリバース機能がある場合は、リバース・ディレイを試してみてください。とても独特な、別世界のようなサウンドを楽しんでみましょう。

「ディレイ・ペダルでアンビエント・サウンドを作るには、フィードバック・レベルを多めにし、ミックス・レベルを低く設定してディレイ・タイムを長めにします。」

リード・トーン

リード・トーンはディレイ・ペダルがもっとも輝く場所です。リードの存在感を高めるには、程よいディレイ・タイム(約300〜500ms)、少し低くしたフィードバック(2回または3回程度のリピート)及びミックス・レベルを低くします。これにより、トーンを強調させながら豊かさと持続性を追加するリピート・ディレイ効果が作成されます。

リズミカルなエフェクト

The Edgeのようなリズミカルな効果を得るためにディレイ・サウンドを作成するのには、ディレイ・タイムを約800ms以上に設定し、フィードバックを程よく設定します。ディレイを曲のテンポまたは付点8分音符に設定すると、パーカッシブなサウンドが作成されます。The Temper Trap の「Where the Streets Have No Name」や「Sweet Disposition」のイントロを想像してみてください。

ディストーションとディレイの組み合わせ

ディストーションとディレイを組み合わせると、より太く重厚なリフが生まれます。ディストーションはギターの音色にサスティンと倍音の豊かさを加え、ディレイはリフ間の音の余白を埋めます。この組み合わせは、ロックやメタルのジャンルでリード・トーンによく使われます。ディレイは、Tom Morelloや Ghostなどのシグネチャー・サウンドでもあります。ただし、ディストーションの前にディレイを配置すると、歪んだリピートが毎回発生するため、ペダルの接続順序には注意してください。

「ディストーションはギターの音色にサスティンと倍音の豊かさを加え、ディレイはリフ間の音の余白を埋めます。」

ブルース用のディレイ

ディレイはどんなジャンルの音楽にも使えるエフェクトです。一例として、ブルースでディレイ・ペダルを使用する方法があります。ブルースのギタリストは、特にソロでサウンドに深みと重みを加えるためにディレイを控えめに使用します。さらに、バースやリズム・パートでアナログ・ディレイを使用することもあります。DM-2WやRE-202などのアナログまたはテープ・ディレイが理想的です。アナログ・サウンドと不規則で絶妙なニュアンスが感じられるはずです。ブルースのサウンドには、最大800msのディレイが必要です。

ブルースのリズム・サウンドに最適な設定をするには、ディレイ・タイムを20〜200msに設定し、1回または2回程度のフィードバックにします。ミックス・レベルも低く保ち、ドライ音を邪魔しないように注意してください。BD-2 Blues Driverをディレイと組み合わせると、最高なサウンドが完成します。

または、重みのある叫び声のようなブルース・スタイルのギター・ソロを作成するには、ディレを300〜800msに設定します。そのサウンドは、Princeの「I Could Never Take the Place of Your Man」やWoodstockのJimi Hendrixに似ているでしょう。

他の楽器とディレイを併用

ディレイはギターと最も関連が深いですが、どんな楽器にも音に深みや存在感を加えることができます。シンセサイザー、ドラムマシン、ボーカルなどディレイ・ペダルは新しいダイナミクスを提供できます。ディレイ・ペダルは、ミュージシャンにとって最も価値のあるペダルの1つです。

「ディレイはギターと最も関連が深いですが、どんな楽器にも音に深みや存在感を加えることができます。」

BOSSディレイ・ペダルの選択

あなたのニーズにあった適切なBOSSディレイ・ペダルを見つける必要があります。リピートでさりげないニュアンスが表現できるディレイをお探しですか?MIDI機能を備えた絶対的な明瞭さを持つデジタル・ディレイですか?テープ・エコーの不規則な特徴をお望みですか?または、これら全てをDD-200のような1つで便利なギター・ディレイ・ペダルにまとまったものをお探しですか?いくつかのディレイを試してみて、あなたに最適なペダルを見つけてください。

Lee Glynn

フリーランスのコンテンツ ライター及びコピーライター。YouTube やコンテンツ マーケティング 活動も行う。 作品は、Professional Music Technology などに掲載。