ロックやポップスに欠かすことのできない要素であるエコーとリバーブは、1950年代までその歴史を遡ることができます。残響の少ないスタジオでの録音においては、生きたサウンドを作るためにアンビエンスを加える必要があり、スプリング・リバーブやプレート・リバーブ、テープ・エコーなどの独創的な装置が発明されることとなりました。その後多くのアーティストが独自のサウンドを得るためにその活用法を編み出していった結果、これらのエフェクトは現代の音楽と切っても切れない存在となったのです。
スペース・エコーの系譜
スペース・エコーの系譜において、1974年にリリースされたRE-201 Space Echoこそが最も注目を浴びたモデルと言えるでしょう。現在でもスペース・エコーの話題になると真っ先にその名前が挙がる製品です。複数の再生ヘッドによって生まれるディレイ・サウンドとスプリング・リバーブの組み合わせは、ロカビリー・サウンドによく見られる短いスラップバック・ディレイから、Pink FloydのDavid GilmourやThe ShadowsのHank Marvinが好んで使用した多いディレイ、U2のThe Edgeのサウンドの中核となる付点8分のディレイまで、様々なジャンルのサウンドをカバーすることができます。
"複数の再生ヘッドによって生まれるディレイ・サウンドとスプリング・リバーブの組み合わせは、ロカビリー・サウンドにみられる短いスラップバック・ディレイから、Pink FloydのDavid Gilmourが好んだ繰り返しの多いディレイまで、様々なジャンルのサウンドをカバーすることができます"
ダブ・スタイル
ポップ・ミュージックやロックの歴史のどの部分を紐解いても、エコーは必要不可欠な要素となっています。もちろん、ディレイ音をリアルタイムでコントロールすることで楽器のように扱うダブ・ミュージックにおいても、RE-201は極めて重要な役割を果たしました。
スペース・エコーが名声を得ている理由の最たるものは、切り替え可能な複数の再生ヘッドによる汎用性の高さと、そこから生み出される音楽的なサウンドです。それに加えて、ダブ・ミュージシャンのパフォーマンスにおいて必須となるリアルタイムでのディレイ・タイムやフィードバック量の調節など、細かい操作への要求にもしっかりと対応していることで、このジャンルにおいて広く使用されるようになったのです。
幅広いサウンド・パレット
RE-201は3つの独立した再生ヘッドを搭載しており、組み合わせによって多様なディレイのリズムが得られます。そこにテープ走行速度やイコライザーの調節を加えることで、幅広いサウンドを生み出します。そのほかの革命的な特徴として、非常に長いテープを内部の小部屋に蛇行させる形で収納することで、テープの摩耗を抑えていることが挙げられます。これによって、テープに常に張力がかかることも防いでいます。
多くのスタジオ・プロデューサーがミキシングの際、それぞれの音源にディレイとリバーブを掛けることが日常的になっていたため、1つの機器でどちらもこなせるRE-201は非常に便利だったのです。加えて、過酷な現場での使用に耐える耐久性の高さにも定評がありました。たまにテープを張り替えたり、ヘッドを掃除したりする以外は、ほとんど手入れの必要がありませんでした。
"King TubbyやLee Perryのようなダブ・ミュージックの先駆者は、リアルタイムでフロント・パネルのノブをコントロールすることで、暴走するような独特のフィードバック音を生み出していました"
著名なRE-201の使い手
Bob Marley, Radiohead, Portisheadといったアーティストたちは、RE-201を駆使してオリジナルのサウンドを築き上げました。King TubbyやLee Perryのようなダブ・ミュージックの先駆者たちは、リアルタイムでフロント・パネルのノブをコントロールすることで、暴走するような独特のフィードバック音を生み出していました。そのほかにもJean Michel-Jarre, Vangelis, Future Sound of London, The Orb, Fatboy Slim, Tomitaをはじめとして数多くの著名なユーザーがいます。つまるところ、RE-201はあらゆるジャンルに対応する能力を備えているのです。
"RE-202は伝説的なオリジナル機の重要なコントロールを全て備えたうえで、オリジナルにはない4つ目の再生ヘッドを再現したサウンド、より長い最大ディレイ・タイム、メモリー保存機能、複数のリバーブ・タイプを持ち合わせています"
時を超えるサウンド
この新しい2つのモデルは、RE-201の細かな特徴を深く分析して再現しているとともに、オリジナル機と同じか、あるいはそれ以上のコントロール機能を備えています。特にRE-202はオリジナル機のフロント・パネルをそのまま再現しているだけでなく、オリジナルにはない4つ目の再生ヘッドを再現したサウンド、より長い最大ディレイ・タイム、メモリー保存機能、複数のリバーブ・タイプを搭載しています。
テープ・コンディションやサチュレーション、ワウ&フラッターの度合いを調節できる機能を持ち、ライン接続の入力レベルに適したInputモードも搭載しています。また、外部フットスイッチやエクスプレッション・ペダルを接続してコントロールすることも可能です。
リアルタイムでのサウンド・コントロールを必要とするダブ・ミュージシャンは、RE-202がオリジナル機と遜色ない振る舞いを見せることに驚くでしょう。それに加えて、TwistとWarpという新たなエフェクトを搭載しています。
"RE-202はテープ・コンディションやサチュレーション、ワウ&フラッターの度合いを調節できる機能を持っています"
コンパクト・ペダルという選択肢
オリジナルのサウンドを再現したいが、演奏中のリアルタイム・コントロールまでは必要ないという人もいるでしょう。RE-2はプリアンプのサウンドやスプリング・リバーブの再現を含めたRE-201のコア機能を搭載しつつ、コンパクト・ペダルのフォーマットに収められたステレオ入出力対応のモデルです。2軸ノブを活用した多様なコントロールで、ワウ&フラッターの調節も可能。RE-202同様、外部フットスイッチやエクスプレッション・ペダルによる拡張機能も搭載しています。
RE-201のユニークで音楽的なサウンドは、およそ50年前の登場以来、今に至るまでその人気が途絶えることはありません。今回リリースされたRE-202とRE-2によって、そのサウンドが全てのミュージシャンの手に届くようになったのです。