ファズ・ペダルを活用したクリエイティブなギターサウンド5選

ファズ・ペダルを活用したクリエイティブなギターサウンド5選

ファズ・ペダルは世界で最も有名なエフェクトのひとつです。ここでは、ギタリストの音色を向上させる5つの方法について紹介します。

1 min read

ファズ・ペダルは復刻や再構築を重ねて多くのプレイヤーに崇拝される存在となった、世界で最も有名なエフェクターのひとつです。現代のエフェクトへの道を切り開いた従来のファズは、中古でも高値で取引されるようになりました。ヴィンテージ・コンデンサーのように単純なパーツでさえ、高い需要に伴って価格が高騰することがあります。他のエフェクターよりも多くの伝説的な名機を残してきたため、ファズ・ペダルは多様な特性と独自性から熱心な愛好家が絶えません。BOSSのFZシリーズは、その活気ある伝説的エフェクトを代表するペダルのひとつです。ここでは、ファズがギタリストの音色を向上させる5つの方法について紹介します。

ファズの歴史

1962年に史上初のファズ・ペダルが発明され、ポピュラー音楽に改革をもたらしました。その後、世界を変えるペダルが続々と登場し、有名な楽曲に使用されたサウンドを手に入れたいと思うプレイヤーが後を立ちませんでした。1979年には、BOSSからも初の大型ファズ・エフェクターDB-5 Driverが発表されました。しかしその頃、ファズの人気は落ち着きを見せ、DS-1やSD-1のようなディストーションやオーバードライブ・ペダルが、80年代を通して市場を席巻していきました。

90年代初頭、グランジでファズ・ペダルの人気が復活を遂げました。1993年に、BOSSは初のコンパクト・エフェクターのファズ・ペダル、FZ-2 Hyper Fuzzを発表。1997年には、60年代の偉大なファズ・トーンにオマージュを捧げたFZ-3 Fuzzを発表し、その流れを引き継ぎました。

ファズの仕組み

数多くの種類が存在するにも関わらず、従来のアンプ仕様の歪みとは一線を画し、一瞬でファズだと認識することができます。オーバードライブやディストーションは、限界を超えた真空管アンプの音を模倣し、回路をクリップさせ、お馴染みの歪みサウンドを作り出します。ファズはこれをさらに一歩進めたエフェクトです。これにより、信号はトランジスタの能力を超えてドライブされ、サイン波ではなくほぼ矩形波になるようにクリップします。このクリッピングと自然なコンプレッションにより、お馴染みのアグレッシブな音色が完成します。

「ファズはトランジスタの能力を超えて信号をドライブするので、サイン波ではなくほぼ矩形波になるようにクリップします」

セットアップに関して

ファズは、エフェクト・チェーンの中で最も扱いにくいペダルです。広義では、オーバードライブとディストーションの仲間であるため、モジュレーションの前やディレイとリバーブの前などに配置する必要があります。さらに、アナログ・ファズの場合には、入力インピーダンスに非常に敏感なため、接続順には注意が必要になります。

ファズ・ペダルの前にバッファードのペダルを置くと、ファズの反応に干渉してしまう恐れがあります。つまり、大半のヴィンテージ・アナログ・ファズは、シグナル・チェーンの最初に置かなければなりません。幸いなことに、FZ-5のようなデジタル・ファズ・ペダルやFZ-1Wのように特定のペダルでは、接続順には気にせず使用できるペダルもあります。FZ-1Wは、アナログ回路でありながらインピーダンスの問題を処理するために、巧妙に設計された回路を備えています。

FIVE FUZZ PEDAL USES

絶大なリフ

ファズは凄まじいエフェクトになり得ます。激しいクリッピングによる極端な飽和レベルは、あらゆる種類の複雑で素晴らしい倍音を生み出します。しかし、これらの倍音は不協和音や不要な音、もしくは理想の音色を犠牲にすることなく演奏するのが難しくなってしまうことがあります。

ファズを初めて採用して有名にした、先駆的な楽曲を聞いてみましょう。 The Rolling Stonesの“(I Can’t Get No) Satisfaction”やJimi Hendrixの“Foxy Lady”です。両曲のリード・ラインに共通点はシンプルかつミニマル、そしてコードではなく単音を用いていることです。

こうした単純なリフは、ファズ・ペダルの性能を最大限に発揮できます。ファズはシンプルな音の進行を際立たせ、複雑にしすぎることなく重厚な音色に仕立てます。ファズを使うとき、単音弾きでも大きな効果を発揮し、ペダルの音色に任せることができるという点について、ぜひ覚えていてください。

「ファズはシンプルな音の進行を際立たせ、複雑にしすぎることなく重厚な音色に仕立てます」

電池切れ寸前のファズ

個性的で異彩と放った伝説的なファズの音色は、常識では考えられない方法で作られる場合もあります。例えば、電力が低下したファズは、壊れたペダルのような音を出しますが、あの脆くて無数の蜂が暴れ狂う羽音のような音色こそ、何十年もの間、多くのギタリストが音にひねりを加えるために使ってきた音色だったりもします。

このような音色を実現する方法は多く存在します。伝統的には、電池切れ寸前の状態でペダルを駆動させる方法があり、St. VincentのAnnie Clarkが好んで使う手法です。便利なことに、多くのファズ・ペダルはGAINを切ってTONEノブを時計回りに回しきると、この効果を作ることができます。この設定では高域が最も高く、低域が最も低くなります。FZ-5のMセッティングは、このタイプのファズの優れた例です。突き刺すような金属的な音のファズ・トーンに使用できます。

オクターブ・ファズ

Jimi Hendrixによって広められたオクターブ・ファズは輝かしく、ファズのグリッチとサチュレーションに微妙な+1オクターブを加えたエフェクトです。その結果、凶暴で突き刺さるような、アグレッシブな音のファズになりました。指板の高い位置でのソロやリード・ラインに最適です。

BOSS FZ-5には、60年代後半のトーンにインスパイアされた素晴らしい音のオクターブ・ファズ・モードが搭載されています。従来のファズがビッグ・リフに最適なペダルなら、オクターブ・ファズは絶叫するようなギター・ソロに理想的です。FZ-5の “O”セッティングでファズ・レベルを押し込むと、Jimiの内面を呼び覚ますことができます。

「Jimi Hendrixによって広められたオクターブ・ファズは輝かしく、ファズのグリッチとサチュレーションに微妙な+1オクターブを加えたエフェクトです」

ゲートを利用した現代のファズ

従来、ファズは、常に論争の的となってきました。音色的には独特かつアグレッシブで、伝統的な空気感をまとっています。しかし、他のミュージシャンや楽器とのミックスでファズのパートになると、自然なトーンが失われることがあります。ファズが進化するにつれて、ペダル・メーカーはこの問題を解決しようとしてきました。その結果、GAIN STAGEが強化され、よりミッドにフォーカスしたゲート感のあるモダンなファズ・トーンが生まれました。

FZ-2 Hyper Fuzzのようなペダルには、アナログ・ファズ・ペダルでは珍しいアクティブ・2バンド・EQが搭載されています。この機能により、プレイヤーはペダルの膨大なサチュレーションによって失われた周波数を、ブーストすることができます。BOSS FZ-1Wには、よりミッドに焦点を当てたゲイン・スレッショルドが高いMODERN MODEも搭載されています。コードを演奏する際に使用すると、これらのファズ・ペダルは巨大で激しい音の壁をもたらします。他の楽器とのミックスでは、明瞭さとアーティキュレーションを維持します。

ベース・ファズ

ファズはギタリストだけのものではありません。ベース用のファズは見過ごされがちですが、低域を歪ませ、基本的な低域をクリップするファズはベーシストにとって非常に効果的です。Black Sabbathの“N.I.B”でGeezer Butlerのファズ・ワウ・トーンから、Museの“Hysteria”でのChris Wolstenholmeの伝説的なラインまで、ベース・パートをペダルに合わせるのがポイントです。

「低域を歪ませ、基本的な低域をクリップするファズはベーシストにとって非常に効果的です」

ファズの多様なフレーバー

ファズ・ペダルほど、名声、誇張された宣伝、コレクター性を主張できるエフェクターはありません。まさに元祖ギター・エフェクトの1つであり、非常に多くのフレーバーがあるため、初心者にとっては取り扱いが難しいでしょう。それでも、エフェクターを使って最も楽しめるギターの音作りとなります。ファズの素晴らしい点は他のエフェクト・タイプと組み合わせると、さらに良い音色を生み出すことです。

Joe Branton

JoeはポッドキャストGuitar NerdsのMCを務め、10年間に渡って毎週放送を続けてる世界で最も配信を行っているギタリストの一人です。