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ビブラート・ペダルのクリエイティブなギターサウンド5選

繊細にも過激にもサウンドを演出することができるビブラート・ペダルは、王道な揺らぎサウンドはもちろん、突飛なアイデアにも応用できます。この特殊なペダルの使い方を見ていきましょう。

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昨今、数多くのモジュレーション・エフェクトがある中で、ビブラートはニッチな選択肢のひとつです。コーラスやトレモロなどより典型的なエフェクターに注目がいき、ビブラートまで手が届かない人も多いでしょう。ビブラートは独特なモジュレーションの特徴を持ちながら、ギターの音色の幅を広げ、さらなる音の魅力を開拓するエフェクターです。ロックでお馴染みのリズムのうねりや歪んだSF風のサウンドなど、様々な音色を生み出します。繊細にも過激にも鳴らすことができ、王道の揺らぎサウンドから突飛なアイデアにまで応用できる、この特殊なペダルの使い方を紹介します。

ビブラートとは何か?

ビブラートはトレモロに似たエフェクターです。どちらのペダルも単純なスピードを基盤としたリズムでギター信号を操作します。また、リズムの速さとエフェクトの深さの両方を変えることも可能です。2 つのペダルの異なる点は、トレモロが音量を操作するのに対し、ビブラートは音程を操作するという点です。

そしてコーラスにも多くの共通点があります。コーラスは信号を2つに分け、一方はリズミカルにピッチを変化させ、もう一方には影響を与えません。ビブラートは、コーラスとは違いドライ音を加えることなく、影響を受けた信号をそのまま出力します。

ビブラートの歴史

ビブラートには、少し複雑な歴史があります。エレキ・ギターやアンプ、エフェクトが誕生したばかりの頃に、正確な名称で呼ばれなかったことが大きな原因となっています。そしてコーラスと似たエフェクトであることから、ごく僅かな人だけがビブラートに興味を持っていました。ですが近年、ビブラートはある種のルネッサンス期を迎えています。オリジナルのVB-2が中古市場で高騰したとき、BOSS VB-2Wが登場しました。伝説のベーシスト、Juan Alderteは言わせれば、クリエイティブなプレイヤーにとってビブラートは決定打になり得るモジュレーション・エフェクトです。

「コーラスと似たエフェクトであることから、ごく僅かな人だけがビブラートに興味を持っていました」

ビブラート・ペダルの活用法

ほとんどの場合、ビブラート・ペダルにはRATEとDEPTHという2つの核となるコントロールが備わっています。RATEはピッチ・モジュレーションのスピードを変化させ、レコードのような音の歪みから電光石火のように鳴り響くサイレンまで、さまざまな音色を生成します。DEPTHはエフェクトの度合いを調整します。低く設定すると演奏に微妙な動きが加わり、高く設定すると従来のビブラートの範囲をはるかに超えて音のピッチが変化し、エフェクトが極端にかかります。

そして、BOSS VB-2Wの注目するべき機能はRISE TIMEです。これにより、プレイヤーはエフェクトが本来のピッチと影響を受けたピッチの間を移動するスピードを操作できます。使い勝手の良い現実的なビブラートを再現し、正確に調節するのに非常に便利な機能です。

FIVE VIBRATO PEDAL USES

繊細な動きを使い分けましょう

ビブラートは驚くべきリズムによってピッチ・シフトできます。音楽に緩やかな動きを加えることで、ストレートな和音進行やピッキング・コードを盛り上げることも可能です。

こうした音色を実現するためには、DEPTHとRATEのノブをそれぞれ9時以下に保ちます。控えめすぎるように思えるかもしれませんが、繊細な音の揺れは耳につきすぎず、ピッチを顕著に変化させることなく、振動を作り出します。RATEを遅く設定すればするほど、エフェクトのスピードと進行のリズムのミスマッチが与える影響を抑えることができます。

「音楽に緩やかな動きを加えることで、ストレートな和音進行やピッキング・コードを盛り上げることも可能です」

スペース・サイレン

ビブラートはSFのようにワイルドな音色を作るのに最適なツールです。RATEとDEPTHのコントロール範囲は、トレモロ・アームやチョーキングで物理的に可能な範囲を大きく超えることができます。

まず、RATEとDEPTHを3時方向に設定し、RISE TIMEを最大値に設定すると、1つの音が速いテンポのサイレンや光線銃のような音色になります。これをシンプルなベースラインに適用すると、パワフルな印象を作り出すことができます。あまり見かけないセッティングですが、エッジの効いた風変わりな音色を探している人におすすめの方法です。

歪んだレコード音

歪んだ古いレコードのようなギター音色は、ビブラートだからこそ生み出せるエフェクトです。実用的な使い方ではないかもしれませんが、微妙なイントロや間奏の際に活用できる興味深いスタジオ・トリックとして効果的です。

最初にRATEを可能な限り低く設定します。次にRISE TIMEをできるだけ高く、DEPTHを12時付近に設定します。エフェクトが強すぎる場合はDEPTHを少し下げてみてください。その結果、リズミカルなピッチ・シフトが生じますが、一般的なミッド・スピードのビブラートのように目立つことはありません。

「歪んだ古いレコードのようなギター音色は、ビブラートだからこそ生み出せるエフェクトです」

コーラス風のエフェクト

ビブラートはコーラスと共通点が多いため、ギタリストの設定で同じような使い方をすることができます。影響を受けないスプリット信号がない分、ビブラートならよりエフェクトを前面に出せるのも特徴です。そして他のモジュレーション・エフェクトと同様に、ギターの音に揺れを与え、存在感のある厚いサウンドを水面下で作り出します。

単純なコーラスのような音色を作るには、ビブラートのRATEを1~2時方向、RISE TIMEを12時方向、DEPTHを11時方向より少し低く設定します。最も典型的な設定ですが、みずみずしく豊かで、時代を超越したサウンド効果を完成させます。

アンラッチ・モードの搭載

BOSS VB-2Wの最大の魅力は、アンラッチ・モードの搭載です。これにより、演奏中のビブラートのオン/オフを簡単に行うことができます。アンラッチ・モードは、和音進行やロング・トーンの終わりに、有機的なビブラートの揺らぎを加えます。

細かいフレーズではエフェクトが強く効きすぎてしまいますが、メロディの終わりのサステインで素晴らしい効果を実感できます。アンラッチ・モードを活用することで、エフェクトのオン/オフを感じることなく、必要な音にだけビブラートをかけることが可能です。

「アンラッチ・モードは、和音進行やロング・トーンの終わりに、有機的なビブラートの揺らぎを加えます」

個性的なサウンド

ビブラートは様々なジャンルの音楽に応用できる、個性的なエフェクトです。モジュレーション愛好家にとっては、全ての機能が揃ったオンリーワンなペダルとなります。宇宙に潜む狂気のような、繊細で穏やかな動きを作り出すのにも役立ちます。他のエフェクターと組み合わせても面白い効果を発揮するので、さらなる音の冒険に連れ出してくれるでしょう。

Joe Branton

JoeはポッドキャストGuitar NerdsのMCを務め、10年間に渡って毎週放送を続けてる世界で最も配信を行っているギタリストの一人です。