ギター用エフェクトの接続順ガイド

ギター用エフェクトの接続順ガイド

ペダルボードは一種の芸術作品です。理想の接続順を見つけ、欲しいトーンを得る方法を学びましょう。

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ペダルボードとはさながらひとつの生態系であり、きらめくリバーブや激しいファズといった個々のエフェクターが果たす役割だけでなく、複数のエフェクターによる相互作用が最終的な出音に与える影響を考えることも重要です。同じエフェクターを使っているのに、プレイヤーによってサウンドが大きく異なるのは何故だろうと不思議に思ったことがあるなら、その答えは接続順にあります。この記事ではエフェクターの理想的な繋ぎ方について紹介します。

なぜエフェクトの接続順が大事なのか

ギターのジャックから出ていく信号は、アンプへと到達するまで長い旅路を辿ります。優れたレシピが正しい順番で材料を加えているように、エフェクターの順番を最適化することで、それぞれのエフェクターの魅力を最大限に引き出し、洗練されていない濁ったサウンドから脱却することができるのです。

順番に正解はない

偉大なアーティストの機材には一般的なルールから外れたものがしばしば見られるように、「良いサウンド」とは主観的なものであり、最終的には自らの耳を信じて決めるものです。それでも多くのプロが基本と考えている順番を知ることは、後に試行錯誤を行うための基礎となります。それでは、推奨されている接続順と、その理論的な根拠を探っていきましょう。

エフェクターのカテゴリー分類 

BOSSのエフェクターにひとつとして同じものは無く、それぞれがサウンドにユニークな効果をもたらしますが、入ってくる信号をどのように処理しているかによって、エフェクターをいくつかのカテゴリーに分類できます。これは、接続順の根拠を理解するための大事な出発点です。

最初に接続すべきペダルはチューナーになります。TU-3TU-3Wのようなチューナー・ペダルは、ギターから入る信号を受けてチューニングが合っているかどうかを判断するものですが、その信号がクリーンであればあるほど、チューナーは正確にピッチを検出することができます。

「ギターから受ける信号がクリーンであればあるほど、チューナーはより正確にピッチを検出することができます」

激しい歪みやディレイの後にチューナーを置いてしまうと、どんな性能の良いチューナーでもピッチの検出が不安定になる可能性があります。また、優れたバイパス音を持つエフェクターが多くはなっていますが、チューニングをする際には可能な限り、ギターからの最もピュアな信号をチューナーに入力するべきでしょう。

ピッチやダイナミクスを変化させるエフェクター  

ワイルドな効果を生み出すエフェクターとしてPS-6のようなピッチ・シフター、OC-5のようなオクターブ・ペダル、SY-1のようなシンセサイザー・ペダルなどが挙げられますが、その効果の激しさとは裏腹に、これらのエフェクターにはできるだけクリーンな音を送らなければならず、チューナーと同じく早めに配置するのがベターです。ピッチを変化させるエフェクターは基本的に原音のピッチを検出して上下に移調するつくりになっているため、歪み系のエフェクターなどを通って倍音が増えた信号よりも、クリーンな信号のほうが正しく作用しやすいのです。

同様に、CP-1Xのようなコンプレッサーもギター側に近いところに配置してください。できるだけ信号がクリーンさを保った段階で音量を整えることが重要です。では、ワウはどうでしょうか?意見が分かれるところですが、強調する周波数帯を変化させる効果を持つこのエフェクトは、ゲインを増幅する歪み系エフェクターの前に置いたほうが、安定したサウンドを得られます。

音色を作り出すエフェクター 

歪み系と呼ばれるこのカテゴリーの代表的なエフェクターは、多くのプレイヤーが最初に手に入れるであろうオーバードライブやディストーションです。 DS-1BD-2HM-2WといったBOSSの個性豊かな歪み系エフェクターを複数繋げて使用したい時は、歪みの浅いものから深いものへ接続するのが一般的です。

歪み系のエフェクターは信号のダイナミクスに大きく影響を与え、それまでに通ったエフェクターで生まれたノイズを増幅させてしまいますが、NS-2のようなノイズを抑えるエフェクターを後段に配置することで目立たなくさせることができます。

ファズについて

ファズは、1960年代のサイケデリック・ロックの時代に生まれたユニークな歪み系のエフェクターです。オーバードライブやディストーションの親戚ですが、より潰れたような深い歪みが特徴で、The StoogesのリードサウンドやThe Rolling Stonesの”Satisfaction”のリフのように、唸るようなサウンドを生み出します。もしゲルマニウム・トランジスタを搭載したファズを使う場合は、その効果を最大限に発揮するためギターの直後に接続しましょう。

音色を変化させるエフェクター 

モジュレーションというカテゴリーに分類される、フランジャー、フェイザー、コーラスといったエフェクターは、魔法をかけたような不思議なサウンドを生み出します。これらは歪みセクションの後に配置することで、歪み系エフェクターが生み出す倍音まで含めて作用し、大きな効果をもたらします。

とはいえこの順番には異論も多く、明確に決まっているわけではありません。MD-200MD-500のような多機能モデルではインサート・ループを使うことで、ケーブルを物理的に繋ぎ変えることなく、歪みやその他のエフェクトとモジュレーションの前後を自在に入れ替えることができます。

「モジュレーションというカテゴリーに分類される、フランジャー・フェイザー・コーラスといったエフェクターは、魔法をかけたような不思議なサウンドを生み出します」

音を繰り返すエフェクター 

歪み系エフェクターの後にDD-8RE-202のようなディレイ・ペダルを配置することで、美しく均一なフィードバック・サウンドが得られます。もし歪み系よりも前に配置してしまうと、歪み系エフェクターがもたらすコンプレッションのせいで、フィードバックが不揃いになってしまったり、突然音が抜けてしまったりすることがあります。

アンプの歪みを利用したい場合は一部のアンプに搭載されているエフェクト・ループを利用するのが効果的ですが、The EdgeやEddie Van Halenなどの伝説的なミュージシャンと同様にディレイをアンプの前段に接続する場合は、エフェクト・レベルとフィードバックをうまく調節してサウンドをコントロールしてください。

ルーパーはどこに配置するべきか

RC Loop Stationシリーズのようなルーパーは、エフェクターというよりもむしろリアルタイムでマルチトラック録音を実現するデバイスです。どこに接続すべきかは、ループ録音するフレーズにどのようなエフェクトを掛けたいかによって変わってきます。エフェクトを特定のパートにだけ掛けたい場合は、ルーパーより前に配置してパート毎にオン/オフを切り替えることになります。

残響を生み出すエフェクター 

空間で音を鳴らすと残響が返ってきますが、これは私たちの耳に届く前の最後に起こる現象です。同じ考え方をエフェクターの接続順にも適用しましょう。リバーブ音にディレイがかかると濁った音に聞こえることがあるため、通常リバーブは全てのエフェクターの最後に置くのがベストです。ディレイと同様、アンプのエフェクト・ループを利用すれば、よりクリーンなサウンドを生み出します。

「ルーパーをどこに接続すべきかは、ループ録音するフレーズにどのようなエフェクトを掛けたいかによって変わってきます」

イコライザー 

イコライザー・ペダルはどこに配置すべきでしょうか?これには議論の余地があり、他のエフェクトがかかる前のギター本来の音を整えるべきだと考える人もいれば、様々なエフェクトを経た後の最終的なサウンドをコントロールするのがベストだという意見もあります。いずれにせよ、GE-7のような専用のEQペダルを使用することで微細なトーン・コントロールが可能になり、より好みのサウンドを作り込むことができます。  

ボリューム・ペダルやエクスプレッション・ペダルを追加する

ボリューム・ペダルの最適な配置は、何をコントロールしたいかで変わります。ギターの直後に配置する時は、歪みエフェクターに入る音の大きさを操作することになるため、歪みの深さをコントロールできます。あるいはリバーブやディレイの前に置くことで、残響音は残しつつ元の音だけを減衰させることが可能になります。

「プログラマブル・スイッチャーの大きなメリットは、スイッチを1つ踏むだけで複数のエフェクトのON/OFFを切り替えたり、その接続順を入れ替えたりできる柔軟性にあります」

それぞれのエフェクターをスイッチャーでコントロール 

ここまではエフェクターを順番に接続し、必要なときにそれぞれを個別にアクティブにする使い方を前提に見てきましたが、より便利にエフェクターを管理するためにES-5ES-8のようなプログラマブル・スイッチャーを用いることもあります。

プログラマブル・スイッチャーの大きなメリットは、スイッチを1つ踏むだけで複数のエフェクトのオン/オフを切り替えたり、その接続順を入れ替えたりできる柔軟性にあります。この機能により、ギターソロの演奏前にいくつものペダルを連続で踏む必要がなくなります。

「試行錯誤を繰り返し、また技術的な知識を身につけることで、自分ならではの音を確立することができるようになります」

アコースティック・ギターとベースに最適なペダルの接続順

エフェクターはエレキギター奏者のものという考え方は、年々薄れてきています。ベースやアコースティック・ギターのプレイヤーも豊富な機能を持つエフェクターを使ってサウンド・メイクを行うようになりました。アコースティック・ギターとベースに最適なペダルの接続順も、1つの大きなテーマとなります。以下の記事で、ベース用エフェクトの最適な接続順についてアドバイスしているので、チェックしてみてください。

自分ならではの音を作ろう

この記事で挙げたアドバイスは、ひととおりのエフェクトを使いこなし、ペダルボード構築の基本をマスターしたいと思うプレイヤーにとっての基礎となるものです。経験を積み、自身のエフェクター・コレクションが充実してくれば、試行錯誤を繰り返し、また技術的な知識を身につけることで、自分ならではの音を確立することができるようになるでしょう。

Henry Yates

ジャーナリスト兼コピーライター。NMEや、Guardian、Telegraph、Classic Rock、Total Guitarなど多くのメディアで執筆を行う。