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Reverberations:Liv ThompsonとRAYE

活気あふれるクラブから世界的に有名なアリーナやフェスティバルまで、ポップ・セッションの達人であるLiv Thompsonがサウンド・メイクを伝授します。 All photos courtesy of the artist

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SNSは非常に便利なツールである一方で、意図しない影響を与える危険性があります。本来なら自分の技術を磨くことができる貴重な時間を、ミュージシャンの気を散らしてしまいます。しかし、有益な情報やインスピレーション、新たな繋がりを見つけるキッカケにもなり得ます。キャリアを変えるようなチャンスを掴む可能性も無視できないでしょう。Liv Thompsonが尊敬するアーティスト、RAYEからInstagramのダイレクトメッセージを受け取り、共演を果たしたのはまさに最高な出会いです。RAYEは名誉あるブリット・アワードのソングライター・オブ・ザ・イヤーを女性として初めて受賞した人物です。

一筋の光

Primoのセッション・ベーシスト兼キーボード奏者のLiv Thompsonは、記録づくしのイギリスのスターで、RAYEと地元で共演したばかりでまだ興奮が収まりません。前夜に行われたO2 Apollo Manchesterでのコンサートは、RAYEが現在行っている”My 21st Century Blues World Tour”の公演のひとつでした。このイギリス公演は、2万人キャパシティのO2アリーナをソールドアウトさせて幕を閉じ、その後はカリフォルニアのコーチェラ・フェスティバル、そして南米ツアーへと続いていきます。最近、Thompsonが定期的にプレイする壮大なライブは、彼女が経験を積んだクラブの環境とは全く異なります。

16 歳からイベント・バンドで演奏活動をしたことは、Thompsonにとって、ミュージシャンとしての道を歩んでいく上で人生の大きな転機となりました。近年では、The X Factorで優勝したガールズ・グループ、Little Mixや、チャート上位のシンガー・ソングライター、Becky Hill、ロンドン出身のCat Burnsともコラボレーションしています。早くからツアーに出て、ホリデー・ キャンプや結婚式場で演奏したことが、Thompsonにとって素晴らしい経験となりました。彼女は次のように認めています。「それは当時としては最善の選択でした。なぜなら、私も探究心を追い求めることができたからです」

「それは当時としては最善の選択でした。なぜなら、私も探究心を追い求めることができたからです」

様々な影響を受けて

Led Zeppelin、Joy Division、R.E.M.(父親のお気に入りのミックス・テープから)を聴いて育ったThompsonは、ギターを習う代わりにベースを弾くのは楽しいかもしれないと母親に勧められて、初めてベースを手にしました。「ベースを始めたのは15歳のとき」と彼女は話します。「周りと比べたら遅い方だと思います。でも、すぐにベースに夢中になりました。何かがカチッとはまった感じです。最初に弾き始めたのはIron Maidenの曲でした」

Iron MaidenのベーシストSteve Harrisのベースラインを学んだことで、Thompsonは順調なスタートを切ることに成功しました。「Iron Maidenは、弾けるようになるまで時間がかかり難しかったですが、難しすぎて弾きこなせないと感じるほどではありませんでした」と彼女は説明しました。「音楽的には筋が通っていて、どこに向かっていくのかは予想できるけど、うまく弾きたくて夢中で練習しました」

Liv Thompson

それと同時に、彼女は学校の音楽教師からベースのレッスンを受けることにしました。その先生は、ロック・スクールの成績が上がるまで彼女を熱心に指導し、その後、音楽の翼を広げて地元のイベント・バンドで理論を試すよう勧めました。「イベント・バンドの他のメンバーは私よりずっと年上で、何年も演奏していました」とThompsonは振り返ります。「私の最初のライブは社会人が集うクラブで、とても怖かったです!」と当時を思い返します。

どんなことでも起こり得る

音楽の深みに飛び込んだ彼女は、すぐにあるルールに気がつきました。起こりうる状況は必ず起こる、ということです。経験豊富なミュージシャンたちと一緒に旅をし、演奏することで、彼女はそのコツを掴むことに成功します。「自分の部屋で演奏するのではなく、ライブで演奏することで、機材の重要性を学びました」とThompsonは強調しました。「できる限り最高の機材を持つことがいかに重要かすぐにわかりました。現場で演奏していると理解が深まり、たくさんのヒントを得られるのです」

少しだけ変わったもの

ポップ・セッション・ミュージシャンとして、自分に要求される全てのリクエストを予測することは不可能であり、Thompsonはしばしば現場でアレンジしたサウンドを求められました。「どんなことが期待されるかよくわからない場合は、全てをカバーしておくのがベストです」と彼女は話します。「しかし、全てを持ち運ぶことはできません。ペダルボードが巨大になってしまうので」

では、音楽監督から少しアレンジしたものを要求されたらどうするのでしょうか?「何か変わったものが必要になったら、マルチ・エフェクターを使ってすぐに対応します」とThompsonは説明を続けました。「その後、ペダルを使ってサウンドを微調整します。私は、コーラス、コンプレッサー、エンベロープ・フィルターなどの他のペダルと一緒にマルチ・エフェクターを常に使用しています」

「自分の部屋で演奏するのではなく、ライブで演奏することで、機材の重要性を学びました」

準備を整える

今や人気急上昇中のベーシストが、ライブにまつわる最高のヒントをいくつか教えてくれました。「BOSS ペダルが壊れたことは一度もありません」とThompsonは言います。「BOSS ペダルはちゃんと機能するし、いつも必要なことをしてくれます。とにかく安定していて、それが要でもあります。特にライブが多い場合は、機材が壊れないことが本当に重要になってきます」

Thompsonが最も長く愛用しているBOSS コンパクト・ペダルの 1 つが、TU-3 Chromatic Tunerです。業界標準のギター/ベース・チューナーは、どんな状況でもペダルボードの中核を担います。「BOSS TU-3 Chromatic Tunerは私のボードに常備されていますが、一度も故障したことはありません」と彼女は言います。「これまでで最高のチューナーです。演奏していないときには信号をミュートするのにも便利で、とてもきれいに音が鳴ります」

実際、Thompsonが愛用するTU-3 Chromatic Tunerは信頼性が高く、長年同じものを使用しています。「これは貰い物なんですが、すでに使用されていたものを譲ってもらいました」と彼女は振り返ります。「信頼できるペダルや機材を持っていることは非常に重要です。時には、急いでステージに上がって演奏しなければならないこともあります。そのため、接続してすぐに使えるしっかりした機器が必要です」  

「BOSS TU-3 Chromatic Tunerは私のボードに常備されていますが、一度も故障したことはありません」

オクターブの完成

BOSS TU-3 Chromatic Tunerに加え、ThompsonはBOSS OC-5 OctaveとビンテージのOC-2 Octaveの大ファンもあります。「RAYEと共演する前、私のボードには違ったペダルをコレクションしていました。OC-2とOC-5をよく使っていました」と彼女は振り返ります。「OC-2は少し個性があって、とても好きでした。でも、ポップ音楽のライブではクリーンで正確な音が求められ、その場合にはOC-5を使用します」

現在発売中のBOSS OC-5 Octaveは、この種のコンパクト・ペダルとしては最新のもので、1982年の伝説的なアナログ OC-2の音を再現するVINTAGEモードを搭載しています。「OC-5は非常にクリーンなトラッキングが可能なため、最近ではポップス系の曲によく使用しています」とThompsonは話しました。「ただし、VINTAGEモードも搭載されているため、必要に応じてOC-2のエネルギーを得ることができます。これは素晴らしい機能です。OC-2の雰囲気を作り出すことができます」

「OC-5は非常にクリーンなトラッキングが可能なため、最近ではポップス系の曲によく使用していますが、VINTAGEモードも搭載されているため、必要に応じてOC-2のエネルギーを得ることができます」

クラシックなコーラスとEQ

クールでビンテージのBOSS コンパクト・ペダルが数多く出回っている中、Thompsonは常にユニークなアイテムを探そうとするベーシストです。「最近、ロンドンのデンマーク・ストリートで古いBOSS CE-2Bを75ポンドで手に入れました」と彼女は1987年の名機にスポットライトを当てました。素晴らしいです!と声を上げた後も、彼女は熱く語り続けます。「現在のCEB-3 Bass Chorusの音も大好きです。自宅のスタジオで練習ボードの一部として使っています。素晴らしいです」

Thompsonは、大規模なコンサートホールやアリーナでは、EQ やコンプレッサー・ペダルをあまり使用しません。「PAエンジニアは、そういった部分をコントロールするのが好きだから」とThompsonは説明しました。しかし、他の通常の会場で演奏する場合は、彼女は専用のBOSS ベース ペダルを 1 組使用するようにしています。

「BOSS GEB-7 Bass Equalizerを使っていますが、特に小規模なライブに便利なペダルです。これを使えば、空間に合わせて音の調整を行えます」彼女は続けました。「BOSS BC-1X Bass Compも便利なペダルです。素晴らしいコンプレッサーで、様々なスタイルや曲をミックスして、様々なテクニックを演奏する必要がある場合に活躍してくれます。全ての音を一定に保つことがきます」

アイコニックかつ直感的

Thompsonが気に入っているBOSS コンパクト・ペダルの特徴とはなんでしょうか?また、彼女がBOSS コンパクト・ペダルを使い続ける理由とはなんでしょうか。「BOSSのペダルはとにかくアイコニックだと思います」と彼女は言います。「長持ちしますし、壊れる心配もしたことがありません。音も素晴らしく、使い方も直感的で、全体的に一貫しています。フットスイッチのデザインも、これまで使った中で一番です。目を向けないなんて、無理なペダルばかりです」

「公平な声を上げる人物がいないと感じる中では、特に他のミュージシャンを励まし、刺激を与えることは大切だと思います」

Liv Thompson

2024年の国際女性デーに向けて、Thompsonは今年のキャンペーン・テーマである“インスパイア・インクルージョン”が自分にとって何を意味するかについて教えてくれました。「女性のセッション・ミュージシャンは数少ないです。」と彼女は語り始めました。「しかし、私は幸運にも多くの人に支えられてきました。公平な声を上げる人物がいないと感じる中では、特に他のミュージシャンを励まし、刺激を与えることは大切だと思います」

別れ際では、Thompsonは安定した機材と安定したキャリアを維持するためのアドバイスについて話しました。「信頼できる、一貫性のあるリグを構築し、尊敬できる人や、あなたを助け、励ましてくれる人と一緒にプレイすることを大切にしてください」

Rod Brakes

BOSSのブランド・コミュニケーションおよびコンテンツ企画担当。過去にはGuitar WorldやMusic Radar、Total Guitarを始めとする数々の音楽メディアでの執筆経験があり、アーティストや音楽業界、機材に関する幅広い知識を持つ。彼自身も生粋のミュージャンである。