オーバードライブ・ペダルに秘められた可能性

オーバードライブ・ペダルに秘められた可能性

ギターやベースを使ってオーバードライブ・ペダルの魅力を最大限に引き出す方法を探ります。多彩なジャンルに応用できるサウンド・メイクのヒントを見つけましょう。

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オーバードライブは昔からある基本的なエフェクトで、あらゆるジャンルにおけるギター・サウンドの魅力を高めてくれます。SD-1WBD-2Wといった BOSSのオーバードライブ ・ペダルにも個々のキャラクターがあり、パワフルで揺るぎないクオリティのサウンドを実現することができます。そこでオーバードライブを最大限に活用し、このエフェクトがギターのピックアップやアンプの種類によって、どのように変化するかを解説します。粘りのある高品質な音色の作り方からクリーン・ブースターとして使用する方法まで、オーバードライブに関するテクニックを網羅できるでしょう。

オーバードライブ・ペダルの仕組み

オーバードライブは音色を変えるためのエフェクターで、ディストーションでも代用することができます。ディストーション・ペダルが激しくサウンドを変化させる一方で、オーバードライブ・ペダルは使用機材の音質を維持するためにギタリストが好んで使う傾向があります。

Gainを上げることでクランク・アップされたチューブ・アンプのサウンドを再現するオーバードライブ・ペダルは、歪みのかかったチューブ・アンプのダイナミックなレスポンスや、倍音成分を含んだ心地よい歪みをどんな音量でも叶えてくれます。

波形について

画像1:ギターの音がアンプに到達する前の波形を表しており、ライン・レベルとして知られる使用可能な信号に圧縮されます。Compressionは不要な歪みを発生させることなく、ギターの音量を維持するためにも必要です。アンプはこれを自動的に行い、実用的な信号を生成します。

画像2:よりソフトなクリッピングを示すこの波形では、Thresholdの限界値まで信号を押し上げていますが、音がThreshold内に留まるようにするため、信号が徐々に消えるようになっています。オーバードライブは音質を維持したまま、歪み感を加えています。

画像3:信号をThresholdに押し込むことで生じる波形の変化を表しています。押し込んだ時点でクリッピングや歪みが発生し始め、楽器自体のサウンドが変化します。

FACT CHECK

ディストーションとの違い 

中にはオーバードライブ・ペダルとディストーション・ペダルは同じ効果だと言う人もいます。確かにどちらのエフェクターもギターのサウンドを歪んだ音色にすることができますが、それぞれの機能は違います。オーバードライブ・ペダルはギターの信号をブーストして、波形のピークをわずかに切り取ることで、歪んだ音を生成します。この音色は限界まで押し込まれたチューブ・アンプの温かなサウンドを連想させます。一方でディストーション・ペダルは、ヘビー・メタルやハード・ロックのような攻撃的で飽和したサウンドを特徴としています。

リード・ギタリスト以外でもアレンジ可能 

オーバードライブ・ペダルはリード・パートに個性を与えるエフェクターという印象がありますが、リズム・ギターのパンチと存在感を出すためにも使うことができます。Aメロでリズミカルなリフをプレイする際に、ダイナミクスと質感を加えようとオーバードライブを使用するプレイヤーも多いです。

ヘヴィ・ミュージックを超えて  

オーバードライブ・ペダルはジャンルを問わず、どんなギタリストでも使うことができます。カントリー・ミュージックやブルースのバンドで演奏する多くのギタリストが、音にエッジを加えるためにオーバードライブをエフェクト・ボードに導入しています。例えば、Rob ZombieのJohn 5はカントリーやブルーグラス、自身のバンドでSD-1とSD-1Wを愛用しています。サウンドに立体感を加えようとオーバードライブを使うブルース・プレイヤーやジャズ・プレイヤーは数え切れないほどいます。

豊富なアンプ・タイプに対応 

オーバードライブ・ペダルは様々なアンプ・タイプに対応しており、ソリッド・ステート・アンプやキーボード・アンプ、ボーカルのPAシステムなどにも応用することができます。小音量でチューブ・アンプのサチュレーションを実現できるのは、オーバードライブ・ペダルの魅力のひとつです。ソリッド・ステート・アンプでも同様の効果を得られます。さらにギターの信号をブーストしてピークをクリッピングすることで、ソリッド・ステート・アンプでも僅かな歪みを加えることができます。

多種多様なオーバードライブ・ペダル

BOSSのオーバードライブ・ペダルは、機種により全く異なる音色を生成することができます。例えばSD-1とSD-1Wはナチュラルなサウンド、BD-2とBD-2Wはクランチからディストーションまで幅広いゲイン・レンジを再現可能です。前者をAメロで、後者をリードやソロで使用するなど、オーバードライブ・ペダルを組み合わせて使うのもおすすめです。

AMPS and PICKUPS

ピックアップがもたらす影響 

オーバードライブ・ペダルは、ピックアップの種類によって違ったサウンドを生み出します。ここではシングルコイル・ピックアップとハムバッカー・ピックアップの違いを見てみましょう。シングルコイル・ピックアップは透明感があり、歯切れの良いサウンドが魅力です。ハムバッカーはよりサステインがあり、太いサウンドが特徴的です。オーバードライブがかかったサウンドを作る際には、この点を考慮する必要があります。

「オーバードライブ・ペダルはアンプの真空管をより強くドライブさせ、倍音の歪みを増加させることで、音色にキャラクターを加えることができます」

真空管アンプ  

オーバードライブ・ペダルはアンプの真空管をより強くドライブさせ、倍音の歪みを増加させることで、音色にキャラクターを加えることができます。このキャラクターは各ペダル固有のもので、そのニュアンスがアンプ・サウンドを引き立ててくれます。真空管アンプはピッキングの強弱にダイナミックに反応します。穏やかに弾けばクリーンな状態を保ち、激しく弾けばペダルがそれに呼応します。

ソリッド・ステート・アンプ 

オーバードライブ・ペダルは飽和状態に追い込まれた真空管のサウンドをエミュレートすることで、ソリッド・ステート・アンプに対応します。自然な歪みを持たないソリッド・ステート・アンプもあるため、ペダルが重要な役割を果たすことになります。繰り返しますが、オーバードライブはピッキング・テクニックを強調させます。より激しく演奏することでペダルなしの状態よりもアンプが反応します。

オーバードライブのコントロール部   

BOSSのほとんどのオーバードライブ・ペダルにはLevel、Tone、Drive(またはGain)の3つのコントロールが装備されています。

Level:エフェクト全体の音量を調節します。基本的にLevelを最小にすると音は出ません。最大にすると、エフェクト・レベルは元の信号よりも大きくなります。

Tone:ペダルの低音と高音のEQ設定をコントロールします。基本的に反時計回りに回すと低域の周波数が上がり、より太くダークなトーンになります。Toneを時計回りに回すと、よりブライトなトーンになります。

Drive(Gain): エフェクトの飽和度をコントロールします。右に回しきると、激しくオーバードライブしたサウンドになります。反時計回りに回しきると、ゲインはゼロになります。

DRIVE TIPS

クリーン・ブースト

オーバードライブ・ペダルはクリーン・ブーストしても活用できます。DriveまたはGainを抑えてLevelを上げると、クリーン・アンプのサウンドを維持することができます。例えばBD-2をブーストとして使う場合は、Driveを低めに設定し、Levelを上げます。Toneノブはアンプの特性に合わせて調整してください。

「オーバードライブ・ペダルはクリーン・ブーストしても活用できます。DriveまたはGainを抑えてLevelを上げると、クリーン・アンプのサウンドを維持することができます」

FXループを使った裏技 

アンプに良質なオーバードライブがない場合、アンプの裏面にあるFXループにオーバードライブ・ペダルを入れることで、歪みのクオリティを改善することができます。ペダルをFXループに接続してもプリアンプには影響ありません。そのため、音が濁らずより自然なオーバードライブ・サウンドを得ることができます。

これはプリアンプの段階でギターの波形が変化した後、パワーアンプを通す直前でそのギター信号をオーバードライブ・ペダルが処理するためです。クリーン・アンプのトーンをメイン・サウンドとして使用し、FXループのペダルをブースト用に使用します。

マルチ・チャンネル 

オーバードライブ・ペダルは、アンプのクリーン・トーンとドライブ・トーンに対して、それぞれ異なる反応を示します。例えば、クリーン・アンプでオーバードライブ・ペダルを使用すると、ドライブが強くなり、クリーン・アンプよりもサステインとパンチが増します。

すでにクランク・アップしていたり、歪んでいるアンプでオーバードライブを使用すると、よりヘビーなトーンが得られ、サステインがさらに増します。サウンドが濁る場合は、必要に応じてDriveまたはGainノブを戻します。クリーン・チャンネルとドライブ・チャンネルにオーバードライブを組み合わせると、2つではなく4つのサウンドを作ることができます。

リズムとリードのセッティングの違い 

オーバードライブ・ペダルの優れた活用法のひとつは、リズムとリードで異なるセッティングを試してみることです。Toneを下げてBassを上げると、コードの厚みが増します。このアプローチはリフ・パートに最適です。ソロではToneまたは高域を上げると良いでしょう。

ソロ・パートでコードの厚みが足りない場合は、DriveまたはGainを上げます。Driveを上げずにソロ・パートを強調するには、Levelを上げます。このように複数のオーバードライブ・ペダルをボードに搭載しておくと便利にサウンド・メイクをすることができます。

「ソロパートでさらなるインパクトを実現するためにオーバードライブは必須」

Bass 

ベーシストにとって、オーバードライブは多くの可能性を秘めています。有効的にこのエフェクトを使えば、曲全体のグルーヴ感が増します。例えばサビ前のテンションを高めて、よりインパクトのあるサビを表現することができるでしょう。

最高なソロ・パートを実現させるアイデア 

ソロ・パートでさらなるインパクトを実現するためにオーバードライブは必須です。ソロに向けてペダルを温存すれば、プレイヤーは全く新しいトーンを披露することができます。リズム・ギターや他の楽器から突出した、存在感あるサウンドを実現してくれます。既存のアンプ・トーンを補強したり、DriveやGainを上げて別のサウンドを作るためにペダルを設定してみましょう。また、ディストーション・ペダルやアンプのドライブと重ねれば、さらなるバリエーションを楽しめます。

Derek Trucks, Photo by Xophersmith

ギター・ボリュームを戻す 

ギター・ボリューム・ノブを使った、非常にパワフルなオーバードライブの活用法があります。Angus Young、Derek Trucks、Joe Bonamassa、John Mayerといったギタリストが多様しているスタイルです。このテクニックを駆使するにはBD-2のようなBOSSペダルが最適で、通常はピッキング・ニュアンスを強調したオーバードライブ・サウンドを、ボリュームを絞ればクリーンなサウンドを再現することができます。

「ギター・ボリューム・ノブを使った、非常にパワフルなオーバードライブの活用法があります。このテクニックを駆使するにはBD-2のようなBOSSペダルが最適です」

Stellarのサチュレーション

このように、オーバードライブ・ペダルは最も汎用性の高いギター・エフェクトのひとつです。わずかにブーストしたり、チューブ・アンプを小音量で歪ませたり、心地よいゲインを生み出してくれます。オーバードライブはブルースからクラシック・ロック、メタルなど幅広いジャンルで素晴らしいサウンドをもたらします。

セッティングを正しく行えば、オーバードライブ・ペダルは、自分のサウンドにさらなる存在感を加えたいギタリストにとって最高のツールです。オーバードライブ・ペダルは他のペダルとも相性が良く、無限のインスピレーションを与えてくれます。

Lee Glynn

フリーランスのコンテンツ ライター及びコピーライター。YouTube やコンテンツ マーケティング 活動も行う。 作品は、Professional Music Technology などに掲載。