Mike Crawfrod portrait - credit John Morgan[81]

Behind the Board:Mike CrawfordとPortishead、Massive Attack、Goldfrapp

トップ・クラスのステージ・テック兼ミュージシャンが語るペダルボードの真実と、1982年よりBOSSエフェクターを愛用する理由Header photo by Karis Crawford

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ブリストルを拠点とする技術者のMike Crawfordは、PortisheadやMassive Attackなど地元でよく知られるバンドを支えてきた長いキャリアを持っています。その活躍はさらに広がり、Goldfrapp、Amy Winehouse、Edwin Collins、Grace Jones、Siouxsie Sioux、Sex PistolのGlen Matlock、David BowieのギタリストEarl Slick、RadioheadのPhilip Selwayなど、多くの著名アーティストとも仕事をしてきました。こうしたアーティストのペダルの好みや自身の音楽キャリアについて、Crawfordが語りました。

多彩な才能を持つミュージシャン

Mike Crawfordは、ローカル、イギリス国内、そして世界的なシーンにおけるステージ・マネージャー、ギター、キーボード、ベース、ドラムのテックなど、さまざまな役割を担ってきました。「主な仕事はステージ・テックで、そのスキルがあらゆる業務に活かされています」と彼は説明します。また、Crawford自身も才能あるパフォーマンス・アーティストであり、最近ではプロデューサーで同じブリストル出身のStew Jackson (Massive Attack、Marc Ford、Emily Breeze)と共に新しいソロアルバム“Rank Outsider”を制作しました。

「テックの仕事は信頼に尽きます。パフォーマーは、うまくいくと確信を持てることが重要だ」と、Crawfordは強調しました。BOSSペダルはその頑丈な構造で有名であり、彼が一緒に仕事をしてきたほとんどすべてのギタリストが、最高のパフォーマンスを引き出すためにBOSSを頼りにしてきました。そして、こうしたアーティストは同じBOSSペダルを所有していることが多い一方で、それぞれがユニークな使い方をしています。

「自分のしていることに対して自信を持っているアーティストは、その工程を隠そうとすることはありません」と、Crawfordは指摘します。「機材について他人に知られることに慎重になる人もいますが、同時にそれはプレイヤー自身の技術にも関係しています。あるミュージシャンがどうやって特定のサウンドを得たのかを探ってみることや、同じペダルを試してみることは良い挑戦です。その結果として、自分がより好む別のサウンドにたどり着くこともあるでしょう」

Pedal Talk

ブリストルのエコー

PortisheadのギタリストであるAdrian Utleyのペダルボードには、どんなBOSSペダルが導入されていますか?

Adrian Utleyのボードでは、TU-2 Chromatic Tuner、RV-5 Reverb、そしてDM-2 Delayが使われています。通常、ペダルボードはチューナーから始まり、BOSSのTU-2やTU-3 Chromatic Tuner以外を使う人はほとんどいないと言っても過言ではありません。このチューナーは素晴らしく、信頼性もとても高いです。

シンプルさが故に、DM-2 Delayは長年見過ごされていましたが、最終的にはそのシンプルさが大きな魅力のひとつとなりました。クリアなデジタル・ディレイを数年間使用した後、多くのプレイヤーが初期のアナログディレイ、特にDM-2 Delayの音色を再評価し、その魅力に気づくようになりました。

Portishead Adrian Utley pedalboard, credit Mike Crawford
Portishead Adrian Utley pedalboard, Photo by Mike Crawford

Adrian UtleyはスタジオでもBOSSのペダルを使用していますか?

Adrianのスタジオには、SD-1 Super Overdriveなど多くのBOSSペダルが置いてあります。彼はスタジオで音作りをするのが好きで、BOSSペダルを使用してシンセサイザーの音色を完全に変えたりすることもあります。また、AdrianはRE-202 Space Echoの大ファンです。Stew JacksonのデスクにもRE-202 Space Echoは常に繋がれていて、彼は頻繁に使っています。

「クリアなデジタル・ディレイを数年間使用した後、多くのプレイヤーが初期のアナログディレイ、特にDM-2 Delayの音色を再評価し、その魅力に気づくようになりました」

Portisheadは長い間、Space Echoを使い続けていますね。

Portisheadとの初期のツアーでは、Roland RE-201 Space Echoを2台使用していました。ですが、ステージ上で故障することが多くて。BOSS RE-20 Space Echoが登場したときには、みんな喜んでいました。Geoff Barrowは、RolandのSPDパッドを使用しており、それをBOSSのデジタル・ディレイ・コンパクト・ペダルに繋いでいました。“Machine Gun”を聴くと、ブレイクのパートで彼が非常に鋭い音を鳴らし、その音を点けたり切ったりしているのがわかります。

GeoffのバンドであるBEAKが活動し始めた頃、彼はRE-20を使用していました。彼はドラムを演奏しながら同時に歌っており、ボーカル・マイクは直接RE-20に接続され、そこからアンプに送られていました。それが彼のボーカル・サウンドでした。彼はRE-20を自分のそばに置き、曲ごとにディレイ設定を即座に調整していました。意図的に、荒れ果てたボーカル・サウンドを鳴らしていました。

Portishead Geoff Barrow setup, Photo by Mike Crawford
Portishead Geoff Barrow setup, Photo by Mike Crawford

歪みペダルの活用方法

歪みペダルを使うときのコツはありますか?

オーバードライブ・ペダルについては、長い時間をかけて研究を重ねてきました。個人的にはBD-2 Blues Driverを頻繁に使っていて、Tube Screamerよりも好みです。Blues Driverは素晴らしいペダルで、価格もそれほど高くありません。

また、BC-2 Combo Driveも優れたBOSSペダルだと思います。私の知人の多くは、BC-2、BD-2、SD-1のようなBOSSペダルを使い、信号をアンプに適度に強く送るセッティングを好んでいます。そして、ギターのボリュームを使って、音を指先でコントロールしながら歪ませたりクリーンにしたりします。この方法を取ることで、ペダルを踏んだ瞬間に「まるで違うギターを使っているような音」にならず、楽器の特性を保つことができます。

「オーバードライブ・ペダルについては、長い時間をかけて研究を重ねてきました。個人的にはBD-2 Blues Driverを頻繁に使っています」

確固たる信頼性

初期のBOSSペダルの復活をしてほしいと思いますか?

PN-2がとてもクールなペダルだと思っています。トレモロは個人的に大好きなエフェクトの一つです。ステレオ・トレモロには魅力的な波状の広がりがあり、特にアンプを2台使った場合、その効果が際立ちます。同じことがコーラスペダルにも当てはまります。このようなステレオ・エフェクトは、ライブだけでなく、スタジオでの制作にも活用できます。また、DAW上でそのステレオ効果を簡単に設定することも可能です。

BOSSの機材で一番好きな点は何ですか?

私が初めて手にしたペダルは2つあり、どちらも1982年のクリスマス・プレゼントとしてもらったBOSSの製品でした。その2つとは、CE-3 ChorusとDM-2 Delayです。今でも持っており、故障したことが一度もありません。現在も当時と同じように素晴らしく機能しています。これこそがBOSSペダルの最大の魅力の1つであり、その耐久性は本当に素晴らしいです。

また、BOSSペダルは軽量で非常に静音性が高いという特徴もあります。ツアー中にはこの点が非常に役立ちます。他のペダルの多くは、異なるトランスや電源を使用した際に非常にノイズが出ることがありますが、BOSSペダルではそのような問題を経験したことがありません。

Jim Barr (Portishead) pedalboard, photo by credit Mike Crawford
Jim Barr (Portishead) pedalboard, photo by credit Mike Crawford

お気に入りのBOSSペダル

あなたの一番好きなBOSSペダルは何ですか?

私が一番好きなペダルはDM-2 Delayです。このペダルをいつも使っていました。曲を書き始めた頃、DM-2とCE-3くらいしか持っていませんでした。ドラムマシンやボーカルさえもDM-2を通していました。今でもハーモニカを演奏するときにスラップバック効果を出すために使っています。

あなたのペダルボードにはどんなBOSS製品がありますか?

私はRE-202 Space Echoを使っています。これは以前使っていたRE-20 Space Echoの代わりに採用したもので、少し柔軟性が高いです。また、BF-2 Flangerも持っています。これはブリストルで別のペダルを見に行ったときに、売り手から良い価格で譲ってもらいました。さらに、1970年代の古いBOSSペダルであるBF-1 Flangerも所有しています。このペダルはAC電源が使えず、9V電池を2つ必要です。

また、GE-7 Equalizerも使っています。このペダルは本当に素晴らしいです。多くの人はオーバードライブを選びがちですが、時には中域に少し山を作るだけで十分なこともあります。このペダルを踏んでも、ギターの音色が全く変わらないように聞こえます。もしサウンドを際立たせたいのであれば、高中域をブーストしてみる価値があります。

「私はCE-3 Chorusを、非常に遅いレートで少し揺らぎを加えて使うのが好きです。特にアコースティック・ギターに使用すると、音の広がりが増し、甘い響きが加わります」

私はCE-3 Chorusを、非常に遅いレートで少し揺らぎを加えて使うのが好きです。特にアコースティック・ギターに使用すると、音の広がりが増し、甘い響きが加わります。最近では、ライブでアコースティック・ギターの音を広げるために頻繁に使っています。 ツアー中にSharon Van Ettenと一緒だったとき、チャリティ・ショップで運よくCE-5 Chorus Ensembleを見つけました。それ以来、このペダルは私のペダルボードに欠かせない存在になっています。このペダルには素晴らしいEQオプションがあります。 また、RC-300 Loop Stationも所有しています。これを使うと、非常に手軽に曲作りができるので重宝しています。

CE-3, DM-2, TU-2, photo by Mike Crawford
Photo by Mike Crawford

疑わしいペダルボードの神話

ペダルボードに関して、よくある誤った解釈などはありますか?

ペダルボードがあれば才能を補えるというのは誤解です。演奏の良し悪しは、いつでもあなたの技術と機材の組み合わせによって決まります。一方だけでは成り立ちません。機材がひどければ、どれだけ上手くても誰もその良さに気づきませんし、機材に頼りすぎるだけなら、恐らく面白い演奏はできていないでしょう。

また、ペダルの「正しい」順番についてよく話題になりますが、それを全く無視した音作りをしたい場合もあります。だからこそ、試行錯誤を恐れないことが大切です。誰とは言いませんが、ある人がスタジオ・ミックスをBOSSのCE-1 Chorus Ensembleに通していたことがあります。そのペダルには、すべての音に素晴らしいエッジを加える何かがあったのです。恐らくプリアンプの影響でしょう。スタジオ作業の多くは実験が鍵となります。私が知っているほとんどの人は、ライブで使用するのと同じ機材でリハーサルをしますが、レコーディング・スタジオではもっと多くの機材を使って実験することが可能です。

Rod Brakes

BOSSのブランド・コミュニケーションおよびコンテンツ企画担当。過去にはGuitar WorldやMusic Radar、Total Guitarを始めとする数々の音楽メディアでの執筆経験があり、アーティストや音楽業界、機材に関する幅広い知識を持つ。彼自身も生粋のミュージャンである。