バンドマンの中には、“キーボーディストがいないために、やりたい曲ができなかった”という経験を持つ人は多いのではないでしょうか。そんなあなたに朗報です。BOSS SY-1 Synthesizerは、ギターからシンセ・サウンドを引き出し、オーディエンスをあっと驚かせるための秘密兵器です。
SY-1には、特別なピックアップや特殊なハードウェアは必要ありません。 標準的なシールドを接続すれば、シンセ・トーンの新しい世界がすぐにあなたの指先に現れます。プログラミングやメニュー操作も必要なく、シンプルな操作だけで楽しむことができるのです。
使用方法について紹介する前に、まずは実際の音を聴いてみましょう。シンセサイザーの全盛期である1980年代から2000年代以降という順に演奏されています。
注:このビデオでは、シンセサイザーは一切使用していません。
基本情報
SY-1のノブでは、11種類のシンセ・サウンドを選ぶことができます。
- LEAD 1/2:単音でのソロに適した幅広いサウンド
- PAD:パッドのレイヤーやシンセ・ブラスなど、コードと相性の良いサウンド
- BASS:フィルターやサブ・オクターブなどを含む、図太いシンセ・ベース・サウンド
- STR:分厚く重なった音色や広がり感のある音色など、クラシックなアナログ・スタイルのストリングス
- ORGAN:ロータリー・スピーカーのモジュレーションなど、豊かなオルガン・サウンド
- BELL:金属的な響きを持つパーカッシブなシンセ・サウンド
- SFX 1/2:インパクトのあるワンショット・サウンドや、時間経過とともに変化するフィルター・ボイスなど、さまざまなシンセ・サウンド・エフェクト
- SEQ 1/2:ピッチやフィルターをリズミカルに変化させるシンセ・サウンド
バリエーション
VARIATIONノブでは、TYPEごとに11種類、合計121種類から音色の選択が可能です。TONE/RATE、DEPTHノブで 音色を微調整することもできます。
また、ペダルのSEND/RETURN端子を使って、ギターのドライ・シグナルを個別に処理することができます。さらにEFFECT、DIRECTノブを使うことで、シンセサイザーとギターを好みに応じてブレンドできるのです。
“何を弾くか”ではなく“どう弾くか”を考える
音色を選んだあとは、自分がまったく別の楽器を演奏しているということを忘れてはいけません。フレーズや演奏スタイルを工夫する必要があるのです。
例えば、Van Halen「ジャンプ」の象徴的なキーボード・サウンドは、パンチの効いたトライアドを使っています。この音は、ギターのストロークでトライアドを弾いていたのでは再現することはできません。ストロークとは一度に音を鳴らすのではなく、ひとつずつ音を鳴らしていくものだからです。
ギターのストロークの仕組みを考えてみましょう。ストロークでは、アルペジオの各音を連続で速く弾いていることになります。そのため、「ジャンプ」のキーボード・サウンドをギターで再現するのであれば、スラップのプラッキング(プル)で弾くのがベストでしょう。
モダンとクラシック
Lady Gagaの 「ポーカー・フェイス」 のようなモダンな雰囲気の楽曲では、シンセのベース・ラインを機械的に聴こえるようにシーケンスしています。 ギターで同じような雰囲気を出すには、ビブラートをかけずに弾きます。 左手のミュートを使って、ビートに合わせたスタッカートのようなフレーズを作ることがポイントです。
オルガン・サウンドを使って、Ray Manzarekのクラシックなラインや、 Jon Lordのソロを完コピしたいのであれば、実際のオルガンにはピッチ・ベンダーがないことを忘れてはいけません。 ギタリストなら当たり前のようにやっている、音の曲げ伸ばしができないのです。本来の楽器では物理的に不可能ですし、不自然な音になってしまいます。できれば単音のラインを選び、ストロークではなく「ジャンプ」のようにプラッキングで弾くようにしましょう。
広がりを与える
ギター演奏に反映させやすいものとして、コーラスがあります。1980年代、シンセとコーラスは相性が良かったのですが、それはRolandのJUNO-60が当時のプレイヤーから絶大な人気を誇っていたからです。JUNO-60には2つのコーラス・セッティングがありました。コーラスをかけると、豊かな空間的な広がりが生まれ、ベーシックなモノラル・シンセ・サウンドが豊かで温かみのあるステレオ・サウンドに変わるのです。
シンセとコーラスの関係は今でも続いています。実際、多くのシンセ・プレイヤーが自分のサウンドを補うために、ギター用のコーラス・ペダルを使用して新しい音色を試しています。
SY-1のあとにDC-2W Dimension Cをつなぐと、それとよく似た効果を得ることができます。DC-2Wの独特の空間処理は、ギタリストたちからも高い評価を得ています。あからさまなコーラスの動きを伴わずに、魔法のように音の幅を広げてくれるのです。仕上げにディレイをかけてみましょう。ステージの下にキーボーディストが隠れて演奏しているのではないかと観客に思わせるような、本格的なシンセサイザー・トーンが出来上がります。
シンセ・サウンドと共に、新たなサウンド境地へ
シンセサイザーは、ギタリストにとっては馴染みのないものかもしれません。 しかしSY-1を使えば、シンセサイザーの定番のリフを簡単かつ直感的に、楽しくギター用にアレンジすることができます。気がつけば、あなたのセットリストから消えていた素晴らしいヒット曲の数々をエンジョイすることができるでしょう。もちろん、キーボードなしでね。