ノイズ・サプレッサーのクリエイティブな使い方

ノイズ・サプレッサーのクリエイティブな使い方

ノイズ・サプレッサーはペダルボードの中でも、原音のノイズを取り除くことができる優れたエフェクターのひとつです。ここでは、このペダルの興味深い使い方を紹介します。

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ノイズ・サプレッサーはギタリストのペダルボードの中でも、原音のノイズを取り除くことができる優れたエフェクターのひとつです。一見、華やかさに欠けるペダルかもしれません。特にペダルボード上のスペースに限りがある場合には、多くのプレイヤーが置くのを躊躇するアイテムでしょう。ノイズ・サプレッサーは、聴感上の音の変化があるわけではないですが、ギターの音を魅力的にしてくれます。ギターや他のペダル、そしてアンプで発生する不必要なノイズを除去し、音全体を洗練することができます。BOSSは何十年もの間、高音質なノイズ・サプレッサーを届ける中心的な存在であり続けてきました。1987年以来、常に高い人気を誇るBOSS NS-2は変わることなく生産され続けています。ユニークで興味深いノイズ・サプレッサーの使い方を学びましょう。

ノイズ・サプレッサーとは?

ノイズ・サプレッサーを使用する主な目的は、セットアップの中でゲインを高める箇所から発生する、不必要なノイズを取り除くことです。ゲインを高めることによって、ノイズ自体の音量もあげてしまうことがあるからです。高出力のピックアップや深く歪ませることができるエフェクター、ハイゲイン・アンプなどが該当します。

ノイズ・サプレッサーを使用することでこれらノイズの問題に対応することができますが、実はノイズ・サプレッサーはただオーディオ信号を綺麗にするためだけの機材ではありません。このペダルを積極的にサウンドメイクに活用し、タイトで鋭いトーンを作り上げ、ギタートーンの礎とすることも可能です。

ノイズ・サプレッサーを設定する

ノイズ・サプレッサーの使い方は状況に応じて異なりますが、設定は基本的に同じです。ノイズ・サプレッサーにはTHRESHOLDとDECAYという重要なコントロールがあり、コンプレッサーの基本的な操作と似ています。THRESHOLDはペダルがノイズを制御し始めるレベルを変更できます。時計回りに振り切ると、全てのギター信号がミュートされます。THRESHOLDのノブを元に戻していくことで不要なノイズを取り除き、ギター信号をそのまま残すことができます。

DECAYは入力信号のレベルがTHRESHOLDのレベル以下になった際の、音の減衰時間を調節します。自然なギターの音色を維持するために、このコントロールは必須です。DECAY TIMEを長く設定すると、ノイズ・サプレッサーがサウンドを短くカットせずに、自然に鳴り響くようになります。逆にDECAY TIMEを短く設定することでスタッカートで演奏するような効果を出し、休符を強調することもできます。

NOISE SUPPRESsOR PEDAL USES

1. オーバードライブとゲート(単一チャンネル)

ノイズ・サプレッサーをどのように導入するかは、使用している機材によって大きく異なります。クリーン・サウンドに設定したシングル・チャンネルのアンプに、ディストーション・ペダルを1つ使用している、シンプルな例で考えてみましょう。

この場合、アンプのエフェクト・ループを使用することでノイズ・サプレッサーを最大限に活用できます。また、ノイズ・サプレッサーをシンプルにディストーションの後ろに配置することも可能です。このケースでは、ディストーション・ペダルがノイズの発生元になると思いますが、たとえディストーション・ペダルのゲインを最大にするようなヘビィなサウンド・メイクをしたとしても、ノイズ・サプレッサーがノイズを取り除き、またアタックを引き締めてくれます。コード弾きなどの余韻を大事にしたい演奏の時は、ノイズ・サプレッサーをOFFにすればOKです。

「ディレイやリバーブなど、ダイナミクスやディケイが重要な空間系ペダルは、ノイズ・サプレッサーの後に置いてください」

2. 4本のケーブルでエフェクトをかける方法

ある程度の規模のペダルボードにノイズ・サプレッサーを導入する際には、ノイズ・サプレッサーがもつエフェクト・ループを使用することをお薦めします。オーバードライブやディストーションをノイズ・サプレッサーのエフェクト・ループにいれ、ギターはノイズ・サプレッサーのインプットに直接接続してみてください。ノイズ・サプレッサーはギターのアタックのみに反応し、自然なサステインとディケイを生み出すことができます。

ディレイやリバーブなど、ダイナミクスやディケイが重要な空間系ペダルは、ノイズ・サプレッサーの後に置いてください。そうすることでゲイン・ペダルがノイズ・サプレッサーによって引き締められ、研ぎ澄まされた音を作りながら正常に機能します。

3. アンプ・ゲインによる単純なゲート(FXループ)

クラシックなハイゲイン・サウンドを作る際には、アンプで歪ませることで分厚く、ヘヴィなサウンドを作ることが最良な選択になることが多々あります。しかし、プリアンプ部をプッシュすることによってノイズが生まれたり、明瞭さが失われたりしてしまうことも少なくはありません。アンプにエフェクト・ループが搭載されているのであれば、そこにノイズ・サプレッサーを挿入することでプリアンプのノイズを減らし、アンプの能力を最大限に引き出すことができます。

加えて、アンプを歪み量やトーンの調節をするプリアンプと音量を引き上げるパワーアンプの2つのパートに分けて考えてみましょう。ほとんどのアンプのエフェクト・ループはプリアンプとパワーアンプの間に位置しています。つまり、ノイズ・サプレッサーをアンプのエフェクト・ループに挿入した場合、プリアンプ部のゲイン回路の後ろで機能することになります。どんなに激しい歪みサウンドでも、アンプならではの太いトーンを損なうことなく、引き締めつつ馴染んだ音色にすることができます。

「ノイズ・サプレッサーは、プリアンプのノイズを減らし、アンプの能力を最大限に引き出します」

4. パーカッシブなエフェクト

ノイズ・サプレッサーはノイズ除去をするだけの道具ではありません。たしかにさりげなく使用することで、有機的で自然な音を手に入れることはできます。しかし、あえて本来の限界以上にノイズ・サプレッサーを作用させることで、プログレッシブ・メタルらしい高速で切れ味の鋭い、素早くスタッカートを行うような素晴らしいサウンドを生み出すこともできます。実際、Metallica、Slipknot、Dillinger Escape Planなど、世界最大級のヘヴィ・バンドのセッティングにはこのペダルが欠かせません。

THRESHOLDを上げてDECAYを下げ、短く引き締まった音になるまで試してみてください。音符のサステインは失われますが、刺すようなメタルのリフのパーカッシブでリズムカルなリフに最適なトーンに仕上げることができます。

The Edge, Photo by U2start

「THRESHOLDを上げてDECAYを下げ、短く引き締まった音になるまで試してみてください。音符のサステインは失われますが、刺すようなメタルのリフのパーカッシブでリズムカルなリフに最適なトーンに仕上げることができます。」

より明瞭な音に磨き上げましょう

ノイズ・サプレッサーは音色の明瞭さに磨きをかけたいギタリストにとって、理想的なアイテムです。確かに、他のエフェクトのように表面的には華やかさに欠けるかもしれません。それでもプロのプレイヤーは、ノイズ・サプレッサーを必需品だと認識しています。ゲインのかかった音に依存するギタリストは、正確さとダイナミックな信号の反応がいかに重要であるかを知っています。ノイズ・サプレッサーほど、適任なエフェクターはありません。

Joe Branton

JoeはポッドキャストGuitar NerdsのMCを務め、10年間に渡って毎週放送を続けてる世界で最も配信を行っているギタリストの一人です。