フランジャー・ペダルを活用したクリエイティブなギターサウンド5選

フランジャー・ペダルを活用したクリエイティブなギターサウンド5選

フランジャーはコーラス、フェイザーと並ぶ3大モジュレーション・エフェクトの1つです。このパワフルなサウンド・ツールを最大限に活用する方法を見ていきましょう。

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フランジャーはコーラス、フェイザーと並ぶ3大モジュレーション・エフェクトの1つです。その中でもフランジャーは、他の2つのエフェクトと比べ扱いにくいと感じている人も多いでしょう。しかし、フランジャーはギターを飛行機のエンジンのような音にアレンジできる一方で、サイケデリックなソロ・パートをより華やかに魅せる歌声のような音を鳴らし、それはまさにニュアンス豊かなテープ・マシンを彷彿させます。ここでは、このパワフルなサウンド・ツールを最大限に活用する方法を紹介します。

フランジャーとは何か?

フランジャーは時間軸を生かしたモジュレーション・エフェクトで、ギターの信号を複製しながらLFOを用いてディレイ・タイムを動かしその効果を生み出していきます。こうして作り出された渦を巻くような倍音の効果は、テープ・エコーのように自然な音色やSFの光線銃のような音を鳴らします。

多くの伝説的なギタリストがソロを盛り上げたり、リフを太くしたり、あるいは単に奇妙なノイズを出すためにフランジャー・ペダルを使用してきました。Eddie Van Halenを象徴する音作りには欠かせないエフェクトであり、Bruce Springsteenのペダルボードにある唯一のモジュレーション・エフェクトとも言われています。

フランジャーの歴史 

他のエフェクトの誕生と同じように、数十年前のスタジオで、フランジャーは自然な形で偶然にも発明されました。伝説的なギタリスト、Les Paulが1949年にフランジャーを最初に使用したと記録されていますが、その10年後にThe Beatlesがこのエフェクトを普及させたと評価する人も多くいます。

当初、このエフェクトは1台の録音テープに物理的な圧力をかけながら、同じ音源を2台のテープ・マシンで同時に再生することで生み出されました。その結果、現在ではデジタルのコンパクト・エフェクターやマルチ・エフェクトで再現されている、ジェット機のような音の動きの連鎖が誕生しました。

「フランジャーは1台の録音テープに物理的な圧力をかけながら、同じ音源を2台のテープ・マシンで同時に再生することで生み出されました」

フランジャーは1960年代に普及したエフェクトです。クラシックな使用例を挙げるなら、Jimi Hendrixの“Axis: Bold as Love”で披露される、サイケデリックな音色でしょう。しかし、1970年代にコンパクト・エフェクターの形でフランジャーが登場すると、その人気は一気に加速しました。BowieからVan Halenまで、フランジャーはポピュラー音楽の主役となります。ぜひ、Bowieの“Ashes to Ashes”のピアノのイントロで使用された、ワイルドなフランジャーの音を聞いてみてください。

セットアップ

モジュレーション・エフェクトであるフランジャーは、エフェクト・チェーンの中間に設置します。コンプレッサー、ブースト、オーバードライブの後、そしてディレイやリバーブの前に配置しましょう。フランジャーの役割は歪んだ音をさらに強調させることですが、後段の空間系エフェクトを濁らせないように注意してください。BOSS BF-3のようなペダルにはステレオ・オプションがついています。この機能により、急降下するフランジャー効果を2つのスピーカー間で移動させ、その動きを広げることができます。

FIVE FLANGER PEDAL USES

テープのさえずり 

フランジャー・ペダルの中でも特徴的なのは高鳴るような音の渦ですが、このエフェクトはヴィンテージ風の繊細なモジュレーションを生み出すことも可能です。代表的な使い方とは異なりますが、この技法はあらゆるギターの音色にも個性をもたらし、古いテープ・エコーが微妙に一定しないスピードで動作しているような、音色の緩やかな変化を作り出します。以下、設定の方法です。

  • エフェクトのRESONANCEとRATEの両方を比較的低く設定します。
  • エフェクトの動きを聞き取ることができる範囲で、RATEをできる限り低く設定します。  
  • DEPTHを10時と12時の間に設定し、強くなりすぎないよう、微かな動きを捉えます。

こうすることでピッキングや穏やかなコード進行、単純なベース・ラインと相性が良い、クラシックなlo-fiの音色が濃く出ます。

ジェット・エンジン

一方で、フランジャーを特殊なエフェクトとして使用すると、ギターの音色を一変させることができます。この音色は飛行機の離陸時の渦を巻くような音の歪みに似ているため、ジェット・エンジン・エフェクトという名で親しまれています。

1980年代に目立った音楽の好みによって、このエフェクトは人気を博しました。最も傑出した例のひとつは、1990年に発表されたEric Johnsonの楽曲、“High Landrons”でしょう。絶え間なく変化しながら渦を巻くフランジャーは、彼の上品なソロと並んで拍を取っています。

この音を再現するにはREGENERATIONとDEPTHのノブを比較的高めに設定します。次にRATEを10時から12時あたりに設定すると、連続した効果の動きが最大限に引き出されます。BOSS BF-3 Ultraで設定すると、フランジャーの効果の深みとパワフルさがさらに増します。

「BOSS BF-3 Ultraで設定すると、フランジャーの効果の深みとパワフルさがさらに増します」

Van Halenのサウンド

フランジャー・ペダルは、Van Halenの憧れのサウンドに欠かせないものでした。80年代の高速リフを弾くギタリストたちが使っていたような派手な使い方ではありませんが、それでもリフやソロに動きと個性を加える重要な要素でした。

Eddie Van Halenを印象付けるフランジャーの音と言えば、1981年に発表された楽曲”Unchained”です。移り変わる渦のようなエフェクトが、リードのリフをポップに昇華しています。これを実現するには、まずRATEを2時方向に、DEPTHをやや高めに設定します。REGEBERATIONのノブをゆっくりと、必要な量だけ回します。この設定の最適な状態は、自然な音色を圧倒するのではなく、サポートするように心がけることです。

スライサー・スタイル

BOSS BF-3にはGATE/PAN MODEが搭載されています。この設定はペダルのステレオ機能を活用したいときに便利です。モノラルで使用する場合は、スライサーまたはトレモロとして機能します。RATEがトレモロのスピードとしての役割を果たし、切り刻まれたギター信号と一緒にフランジャーの効果が適用されます。

このように1台のペダルで2つのエフェクトを使用できるため、プレイヤーはスライス・エフェクトを高速に設定することができ、もちろん自然なエフェクトの深みを得ることも可能です。この組み合わせは好奇心旺盛なギタリストにぴったりで、ロボットのようなリング・モッド・スタイルの音色を作り出します。

オート・ワウ 

フランジャーは驚くほど、幅広い音色を生み出すことができます。さらにインスピレーションを掻き立てる使い方は、フランジャーをオート・ワウとして活用することです。このテクニックでは、独特で面白い音色を鳴らすことができます。

まず、RES/MANUAL ノブを比較的低めに設定し、周波数可動域をワウ・ペダルに近い範囲に制限します。次にDEPTHを12時の方向より少し上に設定し、RATEをギター・パートにリズミカルに合わせた速いスピードに設定します。

フランジャーは驚くほど、幅広い音色を生み出すことができます。さらにインスピレーションを掻き立てる使い方は、フランジャーをオート・ワウとして活用することです。

ユニークかつダイナミックな、高度な音楽性

フランジャーはユニークかつダイナミックであり、音楽性の高いエフェクトです。80年代のメタル系ロックのためのツールだと思われがちですが、実際はそうではありません。フランジャーはペダルボードを拡張させる素質があり、微妙な厚みを出したり、ジェット機のように音を飛び回らせることができます。他のエフェクトとも見事に調和する、優れたペダルです。

Joe Branton

JoeはポッドキャストGuitar NerdsのMCを務め、10年間に渡って毎週放送を続けてる世界で最も配信を行っているギタリストの一人です。