Liam Finnは、10代の頃から母国のニュージーランドで楽曲をリリースしていました。Crowded HouseやSplit Enzといったバロック・ポップの巨匠Neil Finnの息子であり、若くしてFinnは作曲の世界に没頭した生活を送ることになります。豪快なドラムと複雑なループから成るダイナミックなショーは、世界中のオーディエンスから注目を集め、大きな成功を収めました。2018年にアルバム『Lightsleeper』で父親とコラボレーションし、2020年に正式メンバーとしてCrowded Houseに加入。父親のバンドで演奏することや使用しているBOSSの機材、彼の最新アルバムを制作する際にTwitchでのストリーミング配信がどのような影響を及ぼしたのか、Finnにインタビューしました。
才能の開花
何歳から音楽を作り始めましたか?
13歳。それ以来ずっと曲を作り続けています。作曲を誰かに押し付けられたことは一度もなく、ただただ夢中になっていました。Crowded Houseのプレイや、バンドが人々に与える影響力の凄さを目の当たりにしたことも関係しています。そして何より、ドラムを叩いて音を出すことは子供だった私にとって、とても魅力的なことでした。
音楽の基盤を築くにあたって、ニュージーランドはどのような場所でしたか?
ニュージーランドは周囲を海に囲まれた島国で、独特な影響力をもっています。他の国の方々からは中々目が届きにくい国なんです。16歳の時に、Flying Nunのレーベルから自分のバンドの音源をリリースしましたが、国外では全く知られていませんでした。しかし、このおかげで世界に飛躍する前に、少しばかり経験を積むことができるんですよ。
影響力
お父さん以外に、誰か影響を受けた人はいますか?
家族の影響はとても自然なことでした。10代の頃に曲を書き始めてからは、父がしていることへの関心がなくなりました。当時は90年代のアメリカのレーベル、Matadorみたいなオルタナティブなギター・ミュージックが好きだったので、Elliott Smithのような人々から影響を受けて、曲作りをしていました。バンドを続けながら歳を取ることでFugaziやJesus Lizardなど、よりヘヴィーな音楽を聴くようになりました。
「ロンドンで子供用のドラムキットを50ポンドで買いました。興奮のあまりに激しく叩きすぎて壊れてしまったので、1度しかショーで使えなかったんですけど」
早い段階で、いろいろな楽器を演奏しようと決めていたのですか?
家にたくさんの楽器があったので、それが当たり前なことでした。LargoでJon Brionのショーを見る機会があったんですが、彼はドラムをループさせながら、全て自分でアレンジをしていました。その時、私の心は揺さぶられたんです。バンドが解散してソロでショーをするようになってから、私がいかにあの瞬間に感動していたかに気付きました。それからロンドンで、子供用のドラムキットを50ポンドで買いました。興奮のあまりに激しく叩きすぎて壊れてしまったので、1度しかショーで使えなかったんですけど。それはエンターテイメントだったと思います。会場にいた誰もが、その状況を楽しんでいましたから。
家族の絆
お父さんと一緒に演奏するのはどんな感じですか?
13か14歳の時に初めて父のソロ・バンドで演奏して、それからずっと続いているんですよね。ステージに出てきて、2曲演奏するだけ。しかしリハーサルを重ねていくと、曲数は2曲以上に増えていきました。正直、試練でしたね。チームを失望させないために、早く上達しなければいけなくて。『Lightsleeper』の制作は良い機会だったと思います。異なる経験を持つ私たちが、対等な立場で臨むことができた作品です。
どのような経緯でCrowded Houseのメンバーになりましたか?
『Lightsleeper』をリリースしてから、続いているような感じです。ファンの愛や彼らの思い出が詰まったバンドでいることが、どれほど特別なことなのか、父は気付いたんだと思います。彼が作っていたバンドのフレームは当然のごとく、ナチュラルで心が踊るものでした。違ったジェネレーションが1つのバンドに集結しているのも面白いですよね。それからリード・ギターを弾いたりバッキング・ハーモニーを担当する、私の役割も変わっていると思います。私の血に流れているものなので、私の情熱も特別なんです。
「私の血に流れているものなので、私の情熱も特別なんです。」
ペダルの展望
BOSSのペダルは何を使っていますか?
自分のショーやCrowded Houseでは、いつもBOSS OC-2 Octaverを使っています。ブラウン・カラーのやつ。あとはBOSS MO-2 Multi Overtoneも持っています。最初は、12弦ギターのようなサウンドを作ろうと思って買ったんです。友人のウェディングでPrinceの曲をいくつか演奏したんですけど、その時に言われたんです。「このペダルを使え」って。それ以来、MO-2 Multi Overtoneで演奏するようになりました。サイケデリックなサウンドになるので、12弦ギターにも繋ぐようになりました。
「BOSS MO-2を12弦ギターに繋ぐようになったのは、より奇妙でサイケデリックなサウンドを鳴らせるから」
ループ演奏
ライブ・サウンドにおいて鍵となるループ演奏に、BOSSがどのように関わっているのか教えてください。
ドラムでループ演奏する際に一番の問題は、モニターで音量を上げるとフィードバックが発生してしまうことでした。RC-50が発売された当初、あのループ・ペダルは、ダイレクト・サウンドを分けて出力することができる初めてのルーパーでした。さらに自分で録音したものを再生できる。BOSSのコンプレッサー・ペダルを使ったり、オーバーヘッド・マイクを使用することもできます。クラブで素早くセットアップするために、57を2台使い、キックドラムの中に57を1台入れていました。
今はRC-500を使用していて、内蔵のドラム・キット・サウンドを外部フットスイッチで再生するんです。生ドラムのサウンドとミックスすることでクールなブレイク・ビーツが完成します。最近、新譜を作るために、ソロ・ツアーで培った昔ながらのトリックを全部使おうと思って、また同じセットをやるようになりました。
「RC-500にプラグを挿して、内蔵のドラム・サウンドを外部フット・スイッチで再生するんです。生ドラムのサウンドとミックスすることでクールなブレイク・ビーツが完成します。」
Twitchでスクラッチ
新譜ではユニークなレコーディング・プロセスを採用したそうですね?
新譜はTwitchでライブ配信をしながら制作しました。週に2回、2~3時間ほどTwitchで配信しながら、できるだけ多くの音楽を作りました。その中からベースになりそうなアイデアを見つけて、長時間の即興ジャムを行なって作曲します。視聴者もそれを楽しんでいたようで、何度もライブ配信を見にきてくれました。何か素晴らしいことでも起きていたんですかね?
Crowded Houseとソロ活動はどのように両立させていますか?
Crowded Houseのツアー中は新譜の制作をしていなかったので、また作業を再開して完成できたら最高です。ソロ・アルバムのために作ってきた音楽は、ワンマン・バンドで演奏している即興ジャムから生まれたもので、騒々しい。自分が10代の頃が蘇ってきているようで、自分がかつて好きだったヘヴィー、ドローン、ジャングリーといった全てが詰まっていることに気付いたんです。それに抗うつもりはありません。