Bristol’sのStew Jacksonはギタリスト、そしてスタジオ・プロダクションの奇才として名を挙げています。この10年半の間、彼はMassive AttackのGrantley Evan Marshallと強い友好関係を築いてきました。2人は高い評価を得ているTrip-hopのコレクティブや他のプロジェクトで共同作曲とプロデュースを行っています。またJacksonは、デトロイトの謎めいた伝説的ミュージシャンRodriguezやThe Black CrowesのMarc Fordと長時間ツアーも遂げています。このようにマルチに才能を輝かせるプロデューサーが、彼の故郷・Bristol’sの音楽やBOSS RE-202を活用したディレイの卓越した表現力について話してくれました。
“Massive”なパートナーシップ
もう10年以上もの間、Massive Attackのメンバーとして活動しています。自分の役割についてどう考えていますか?
難しい質問ですね。Massive Attackの仕事を半分はしているので、常に共同作業をしている感じです。つまり、Grant Marshallがいて、Robert Del Naja(3D)もそこにいる状態。日毎に私がやる仕事も変わります。自分で演奏をすることもあれば、作曲をすることもあります。ある時は、スクリーン上で編曲作業に取り掛かったり。かれこれ15年か16年くらい、一緒に仕事をしてきましたから。
「素晴らしいソング・ライターと一緒に音楽を作れたことは、本当に幸運だったと思います。そのことで頭が一杯になってしまうので、あまり考えないようにしてきました」
Hope SandovalやDamon Albarnなど、多くのボーカリストとコラボレーションしてきたと思います。彼らからどんなことを学びましたか?
素晴らしいソング・ライターと一緒に音楽を作れたことは、本当に幸運だったと思います。そのことで頭が一杯になってしまうので、あまり考えないようにしてきました。Grantと一緒に曲をまとめて、自分達が本当に好きなシンガーに送っていましたね。私たちが作ったものを見せて、彼らがどのように感じるか反応を伺っていました。
みんな、本当に異なる個性を持っていました。Hopeは音楽の見方がとてもユニークな人でした。私が セットアップをしようとしていたらHopeがボールを持って走ってきて、あれは面白かったです。Damonとの作業はとても刺激的でした。本当に才能があって、作業をするのが早かったです。
コラボレーションする時、どのようにして進めていますか?
ただ座って誰かのために曲を書くのではなく、まず作曲をして、誰が歌うかを決める方が多いです。あまり大袈裟に言わないようにしているんですが、でも確かに曲を書いてすぐに閃くことがありました。「この曲を歌えるのはこの人しかいない」って。それから、同じようなことは二度と起こりませんでした。もう400以上のトラックがハードディスクの中に溜まっています。
BOSS RE-202
BOSS RE-202 Space Echoを使ってみて、いかがでしたか?
Screw DriverとRE-202を使って、ギターを鳴らしてみました。そのサウンドを、映画用に作っている“Paradise Circus”で使ってみようとGrantと話していて。ボーカルはまだ誰になるか分かりません。また一から世界観を想像しているようなバージョンなんですけど、すごく変な感じでした。自分達が書いた曲をカバーして、リミックスしているような感覚なんです。
ギター・ペダルではRE-202を使わないんですよね。普段からラックの横に置いて、ApolloのSendの5と6に繋いであります。アウトボード機材としての用途が多いです。
「Lee Scratch Perryが亡くなる前に、Trickyのレーベルでレコードを作るからリミックスをしてほしいと頼まれました。全てのサウンドにRE-202を使いましたよ」
ボーカルやスネアのような、特定の音に通すといった使い方がメインでしょうか?
そうですね、全部の音を通しています。ものすごく面白い機材なので。ディレイだけじゃないんですよ、リバーブも使って本当にたくさんの音遊びをしてきました。少し前に、Trickyから連絡があったんです。Lee Scratch Perryが亡くなる前に、Trickyのレーベルでレコードを作るからリミックスをしてほしいと頼まれました。全てのサウンドにRE-202を使いましたよ。
ディレイの反応
音楽リスナーを魅了するディレイの魔法とは、何だと思いますか?
当たり前のことですが、ギターをトリッピーなサウンドにしたければ、ディレイを使えばいい。サイケデリアを生み出す最も簡単な方法です。ディレイは自然界で起こりえないが故に、超自然的な要素を持っています。それから自分が没入できる世界を作り出すのにも役立ちます。絶対に今じゃないでしょという時でさえ、ボーカルにスラップバックして使うのも最高です。Bob DylanのTime Out of Mindを聞いていた時を思い出します。彼の声にかかっているスラップがとてもやかましくて、完璧だったんです。
「ディレイは自然界で起こりえないが故に、超自然的な要素を持っています」
ダブ・ミュージックに囲まれて育ったのでしょうか?
ブリストルに住んでいたら、避けることの方が難しいです。私が好きなDubでは、ディレイをとてもハードに鳴らしています。Dubって、少し怖いんですよね。奈落の底を見せられているような感じがして。もっと若かった時の話なんですけど、足が地面につかなくなるような感覚をよく楽しんでいました。とても興奮するようなサウンドですよ。
インスピレーションとアイコン
自身の音楽活動に影響を与えた人はいますか?
最初に好きになった音楽は、父の音楽ではなくてHip-Hopでした。家族の友人がテープをくれて、エレクトロといったものにとても夢中になっていきました。私の兄は家族の中でもいろいろなものに詳しくて、ある日”Highway to Hell”を教えてくれたんです。聴いたとき、頭に血が昇るような興奮を感じました。それからPixiesやMercury Rev、Captain Americaのようなバンドも聴きました。脳を働かせることや解釈を理解するといったことは、兄から学んだと思います。
「Dubって、少し怖いんですよね。若かった頃、足が地面につかなくなるような感覚をよく楽しんでいました」
ギタリストやミュージシャンで影響を受けたのは誰でしょうか?
Joey Santiagoです。私がPixiesを好きな理由は、他のバンドと同じことをしているのに、明らかに誰も鳴らしていないサウンドを生み出しているから。それからサックス・プレイヤーのColin Stetsonも好きです。彼はマイクを喉につけて、自分が演奏したものを歌ったりするんですよ。驚くようなノイズを作り上げて、美しい音楽を書くんです。
PortisheadのAdrian Utleyは本当に素晴らしいギタリストです。私にプリペアド・ギターを教えてくれたのは、彼なんです。最近まで一緒に何かをしたことはなかったんですけど、昔から大ファンでした。
Rodriguezと一緒に活動していた時のことを教えてください。
当時、私たちのエージェントは彼がバンドでプレーできる人を探しているのを知っていて、私の昔のバンドは全て揃っていたんです。ツアー前に彼と時間を作って、リハーサルを4時間。初日にはソールド・アウトの公演を3回、Roundhouseでやりました。初めて彼とライブをした時に”Later… with Jools Holland”を演奏しました。私と彼だけで。
「ブリストルは昔からパンクロックかポストパンクが有名でした。このエリアで生まれた音楽には独特のヘビーさがあります。」
街のサウンド
ブリストルでTrip-hopや他のスタイルが生まれたのは何故だと思いますか?
前にも聞かれたことがあります。マンチェスターやリバプール、ロンドンの音楽についても同じようなことが話されていますね。このエリアで生まれた音楽には独特のヘビーさがあります。Idlesの影響はものすごく大きいと思います。ブリストルは昔からパンクロックかポストパンクが有名でした。なので、それが一周回ったようなことだと思いませんか?