カナダのエレクトロ・ポップ・アーティストのCHERSEAが、RC-505を用いて 名曲「The Wolf」をどのように完成させたのか探究するとともに、あなたのソング・ライティングを飛躍的に向上させる方法をご紹介します。
始まりはあるビートから
MV撮影の前日、私はRC-505を使って「The Wolf」を作曲しました。まずは、本体のRHYTHMボタンを押してビートを鳴らします。この曲で使用したのはRC-505の中でも最も基本的なビートで、「The Wolf」のようなミニマルな楽曲を作るのに適しています。このビートに合わせて歌詞を書き、私が持っているRolandの Lucina AX-09で、まとまりのあるシンプルなベース・ラインを作りました。
音を彩るエフェクトを加える
より豊かな質感を加えるために、RC-505の内蔵エフェクト、“SLICER”を使用することにしました。音を短く刻むこのエフェクトでは、スライスするテンポを選ぶことができるため、音が細かく切り刻まれているのにリズムにしっかりと合ったサウンドになります。
オリジナルのベース・ラインにこのエフェクトを重ねてみたところ、躍動感を加えたような効果的な質感が得られました。さらにそのベース・ラインを曲に落とし込んだ時、ベース・ラインがよりユニークなものに変化したのです。リードのベース・ラインとボーカル・ラインを追加したあと、私が最も気に入っているRolandのボーカル・プロセッサーVP-7を使うことを決めました。これはMIDI制御のボコーダーを最大8種類まで選択できるもので、VP-7を使ってコーラス(サビに向けてムードを盛り上げるための短いパート)を加工し、バッキング・ボーカルを作っていきました。
"RC-505の可能性は無限大で、その気になればどんなことでもできる"
レイヤー、レイヤー、レイヤー
2番のサビではもっとリズムが必要だと感じました。簡単なボイス・パーカッションのスキルを用いて、いくつかのノイズ音を鳴らし、リバーブとディレイ機能を使うことでその輪郭をボカしました。それにより、ボイス・パーカッションのリズムがシェイカーにエフェクトをかけたような音色になり、元々のシンプルなビートに良いアクセントを加えることができました。また、もうひとつのボーカル・プロセッサーVE-5も取り入れました。これは主に、リード・ボーカルのマイクにエフェクトをかけるためのものです。
VE-5には素晴らしいエフェクトがたくさん内蔵されていますが、今回は2つのエフェクトを使うことにしました。それは、大聖堂で歌っているように広がりのある美しいECHOと3rd HARMONYです。後者はキーを選択して歌うことができます。私には2本の手しかありませんが、4つのデバイスをそれぞれのタイミングで起動/停止させる必要がありました。だけど、RC-505を目の前に設置するだけならとても簡単でした。ボタンの位置を1か所に集約させて、好きなタイミングで押すことができるのです。同時に、両手を使って他の作業をすることもできます。
次はあなたの番
RC-505での曲作りは難しく見えるかもしれませんが、可能性は無限大で、その気になればどんなことでもできるのです。私はこの曲を1日で作りましたが、少しの時間でどんなことができるのかと考えると、恐ろしくもありワクワクもします。例えば、私の友人のKRNFXがRC-505を使ってダフト・パンク「ゲット・ラッキー」をカバーしている動画を見てみてください。
一般的に、特に新しいデバイスでの楽曲制作は難しいものですが、RC-505を使えば簡単に行えます。どんな曲を作り出すことができるのか、あなたも試してみましょう!