テーブルトップ・ルーパー・ガイドの決定版

テーブルトップ・ルーパー・ガイドの決定版

ルーパーは、これまでのパフォーマンスのあり方を変えました。代表的なテーブルトップ・ルーパーの機能の違いを知り、あなたのパフォーマンスとサウンドがどう劇的に変化するのか見てみましょう。

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ループ・ステーションと言うと、大きくて赤いストンプ・ボックスを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。ペダル型のルーパーは、ループを使いたくても両手が埋まっているアーティストにとっては優れものです。しかし近年では、DJやビート・ボクサー、ボーカリスト、プロデューサーなど、様々なフィールドで活躍する人たちが、ループ・シーンの新しい動きとしてテーブルトップ・ルーパー(卓上型)を導入しています。この記事では、BOSSの RC-202RC-505について紹介します。

フロア・タイプからテーブル・トップへ

ペダル型と卓上型のルーパーの違いは一目瞭然です。ペダル型は床に置いて足で操作するのに対し、卓上型はスタンドなどに置いて手で操作します。実際に卓上型のルーパーを使うと、ペダル型とはまったく異なる体験ができます。手での操作は、足で操作するよりも“触覚的”に優れているのです。同時に、オーディエンスの視覚にも訴えることができるので、臨場感のある印象的なパフォーマンスを行うことができます。

ループ・アーティストのSam Perryが2018年の[The Voice Australia]で優勝したのは、ルーパーを操る卓越したスキルとオーディエンスを引き込む力によるもので、彼はBOSS RC-505という頼もしい“アイテム”を携えていました。

RC-202とRC-505の特徴的な機能

卓上型ループ・ステーションのRC-202とRC-505は、BOSSのループ・ステーションに必要とされる以下の機能を備えています。

  • 約3時間の録音
  • フレーズ・メモリーを搭載
  • ループ・フレーズをインポート/エクスポートするためのUSB
  • リズムを搭載


エフェクト・エンジンとミキサー

卓上ルーパーの魅力は、手元でエフェクトとミキサー・セクションを調整できる点で、通常のペダル型ルーパーにはない細かなレベルでコントロールすることができます。その機能を詳しくチェックして、ループ・パフォーマンスの向上にどう役立つのか探ってみましょう。

ミキシング

通常のペダル型ルーパーでは、演奏を止めずにトラックをミュートする方法はひとつしかありません。それは、足元にあるペダル型ルーパーのストップ・ペダルを踏むことです。しかし、これではトラックを演奏に戻したい場合、基本的にはループの最初からやり直す必要があります。

ミキサー・フェーダー

しかし、卓上型ルーパーではその必要はありません。RC-202とRC-505には、すべてのトラックに専用のミキサー・フェーダーが用意されており、ループを鳴らしたままフェードイン/アウトさせることができます。また、トラック・エディット・モードにはパン機能があり、ステレオ・フィールドでサウンドの定位を自在にコントロールすることができます。これらの機能により、パフォーマンスをさらなるレベルへと押し上げます。

エフェクト・エンジン

RC-202とRC-505には豊富なエフェクトが内蔵されており、これらのエフェクトをループ演奏に使用するには2つの方法があります。

  1. インプットFXとして入力音にエフェクトを使用
  2. トラックFXとして録音したトラックにエフェクトを使用

ウェット/ドライ・ノブ

インプットFXとトラックFXには、それぞれ専用のウェット/ドライ・ノブがあり、エフェクト量を自由自在に調節することができます。RC-202はインプットFX/トラックFXをそれぞれ2系統、RC-505はインプットFX/トラックFXをそれぞれ3系統ずつ装備。つまり、ループをより刺激的かつ面白いものにするための機能が豊富に用意されているのです。


マスターFX

これらの卓上型ルーパーには、マスターFXセクションが搭載されています。すべてのトラックに、リバーブとコンプレッションを同時に加えることができます。つまり、トラック全体に瞬時に“輝き”を与えることができるのです。

卓上型ルーパーは楽器を入力ソースとして使用しても様々なパフォーマンスが可能ですが、活用法はひとつだけではありません。例えばオーストラリア出身の世界的に著名なアーティストDub FXは、RC-505とBOSSのGT-10B Bass Effects Processorを使用して、リアルタイムで素晴らしい音楽を生み出しています。

卓上型ルーパーのユニークな機能が、クリエイティブな可能性を広げることをご理解いただけたのではないでしょうか。次はRC-202とRC-505のうち、どちらがあなたに合っているのか見ていきましょう。

BOSS RC-202 Loop Station

RC-202はフロア型の兄弟機種であるRC-500と同様、2トラック・ルーパーです。卓上型ルーパーであることが相違点で、ボーカリスト、DJ、プロデューサー、ビート・ボクサー向けのモデルです。


テーブルトップ・コントロール

卓上型ルーパーは、本体上でより多くの機能をコントロールできるよう設計されています。楽器を持たないミュージシャンも、指先での操作で最大限のパフォーマンスを発揮でき、創造性を大いに刺激してくれるでしょう。

RC-202には、ハンズオン・ルーパーとして以下のような強力な新機能が搭載されています。

インプットFX/トラックFXの同時処理

RC-202には、BOSSのDJスタイル・エフェクトが2つのセクションに分かれて搭載されています。

  • インプットFXはRC-202に入力されたサウンドに変化を与え、またループの一部として録音
  • ループFXは再生時のみループ・サウンドに効果を与える


同時進行のエフェクト

インプットFXとループFXの両セクションにはそれぞれ4種類のエフェクトが用意されており、それらを同時に使用することができます。つまり、合計で最大8つのエフェクトを同時に使用することができるのです。さらに、両FXセクションには大型の専用コントロールノブを搭載しているため、演奏中にリアルタイムでFXのパラメータを操作することができるのです。

スピーディーなメモリー・アクセス

RC-202は、演奏中に再生を停止することなくループの保存と呼び出しが可能です。これにより、様々な曲構成や進化し続けるアレンジをシームレスに作成することができます。


拡張可能なフット・コントロール

ミュージシャンの中には、RC-202の機能は気に入ったけれど、ハンズフリーで操作したいという人もいるでしょう。そこでRC-202は、フット・コントローラーにも対応しています。CTL端子には、コントロール・ペダルを2台、エクスプレッション・ペダルを1台まで接続でき、様々な機能を割り当てることができます。

すべて足元でコントロールしたい場合は、外部MIDIコントローラーを接続することで、RC-202のすべての機能を足下からアクセスできるようになるのです。

RC-202はこんな方にぴったり

  • ループ機能を試してみたいミュージシャン
  • ライブ・パフォーマンスにルーピングを取り入れたいボーカリストやプロデューサー
  • パワフルでコンパクトなハンズオン・ルーパーを必要とするミュージシャン

RC-505 – 業界標準

RC-300がフロア型ルーパーの最高峰であることはよく知られています。しかし、RC-505が卓上型ルーパーでありながらより強力な機能を備えていることはあまり知られていません。

RC-505はクラブDJやビート・ボクサー、ボーカリストなどに適しており、数年前からこのルーパーは業界標準として君臨しています。


MIDIによる可能性

RC-505は、非常に優れたパワーと完全なMIDI互換性を備えています。そのため、RC-505をRoland FC-300などのMIDIフット・コントローラーを組み合わせることで、強力なルーピング・セットアップが可能になります。RC-505はループ・ステーション界において、他のどの機種よりも高度で機能的なモデルなのです。

5つのステレオ・トラック

RC-505の最大の特徴は、ループ作成のための5つのトラックです。各トラックには専用のコントロール・ボタンがあり、トップ・コントロール・パネルにはレベル・フェーダーが装備されています。さらに、5つのトラックにそれぞれ独立したSYNCとPLAYBACKを割り当てることができることです(参考:RC-300)。これにより、あなたのループ・パフォーマンスの可能性は無限に広がります。他のループ・ステーションでは実現できない機能も多く、ユーザーはループの創造性をいかんなく発揮することができるのです。


インプットFX/トラックFXの同時処理

弟分のRC-202と同様、RC-505にも多彩なインプットFXとトラックFXが搭載されています。インプットFXとトラック FXでは、それぞれ最大3つのエフェクトを同時に動作させることができ、合計6つのエフェクトを同時に使用することができます。また、RC-505には最終出力段にかけることが可能なグローバル・コンプレッサーとリバーブが搭載されており、洗練された“マスタリング”サウンドを実現しています。

コントロール・アサイン

トラック/メモリーの切り替え、FXパラメータの調整、マルチトラック・コントロールなど幅広い機能を、1つのメモリーパッチにつき最大16つまで割り当てることが可能です。

RC-505は、卓上型ルーパーとしてもMIDIフロア・ボードとの組み込み用のルーパーとしても、使い手のニーズを満たす最先端のパワーを備えています。


RC-505はこんな方にぴったり

  • よりクリエイティブな曲を作りたいビート・ボクサーやボーカリスト
  • 5トラック分の自由度の高いルーピングを駆使したいミュージシャン
  • 最強のループ・ステーションを求める上級者

アクセサリー

BOSSのループ・ステーションは、コントロール・ペダルを追加することで機能を拡張できるのが大きな特徴です。ここでは、ループ・ステーションと互換性のあるBOSS/Rolandのフット・スイッチをご紹介します。

BOSS FS-5U Footswitch
(すべてのBOSSループ・ステーションに対応)

BOSS FS-6 Footswitch
(すべてのBOSSループ・ステーションに対応)

BOSS FS-7 Footswitch
(すべてのBOSSループ・ステーションに対応)

Roland FC-300 Foot MIDI Controller
(RC-202/RC-505/RC-300に対応)

Roland EV-5 Expression Pedal
(RC-202/RC-505/RC-300に対応)

David Jiang

ニュージーランドを拠点とするステージ映像・照明の専門家であり、コンテンツ・クリエイターとしても活躍。現在はクリエイティブ・メディア・プロデューサーとして、ローランド・オーストラリアで6年間勤務している。