ブラウン・サウンドが愛される理由

最も有名なギタリストの一人によって生まれた“ブラウン・サウンド”の起源と、それがギターの音色の良さを示す指標として定着した経緯について見ていきましょう。

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ブラウン・サウンドが愛される理由

1970年代後半から1980年代前半にかけて“ブラウン・サウンド”が登場して以来、ギターの音色を表すその言葉はギタリストの間で日常的に使われる言葉になりました。最も有名なギタリストの一人によって生まれた“ブラウン・サウンド”の起源と、それがギターの音色の良さを示す指標として定着した経緯について見ていきましょう。

ブラウン・サウンドは、 ひと言で言うと “理想的なロック・サウンドの一つ”です。

すべてはEVHから始まった

1978年、 Eddie Van Halenが自身の名を冠したアルバム『ヴァン・ヘイレン』は、ロック・ミュージックの概念を変えました。冒頭で奏でられるコードは、今まで誰も聴いたことがないような重厚な音色を放っています。

今は亡きEddie Van Halenのサウンドには、唯一無二の歪みがありました。歪んだサウンドは1970年代において決して珍しいものではありませんでしたが、彼の音色はまったくの別物で、ゴツゴツした音ではなく伸びがあり、ナチュラルで温かいものでした。

Eddieは瞬く間にギター界のヒーローになりました。その後に行われたインタビューでは、彼のユニークなギター・サウンドについての質問が殺到。彼は自分のサウンドについて、兄であるAlex Van Halenのスネア・ドラムのように「温かく、大きく、威厳のある音にしたかった」と話し、Eddieはそのスネア・ドラムの音を「ブラウン・サウンド」と表現しました。

彼の中で、Alexの温かいスネアの音色を表現するのに最適な言葉だったのです。「Alexのスネア・ドラムは、まるで丸太を叩いているような音だった」。Eddieはビルボード誌でこのように語っています。

この“ブラウン・サウンド”という表現は、多くのギタリストの心を揺さぶりました。彼らはこの言葉を、温かく力強いEddieの初期のギター・サウンドを表すのに最適だと考えたのです。それ以来、“ブラウン・サウンド”という言葉は温かく伸びがあり、力強いギター・サウンドとして知られるようになりました。

Eddie Van Halen, Photo by Carl Lender

ブラウン・サウンドの創生

1970年代後半、Eddie Van Halenの人気が高まるにつれ世界中のギタリストたちがEddieの音色を再現しようと試みましたが、そう簡単ではありませんでした。一聴すると、ブラウン・サウンドはハムバッカーを搭載したギターをEL34を搭載したブリティッシュ・スタック・アンプに接続するだけで作り出せるように思えます。

しかし、Eddieの生み出す、言わば“オリジナル”のブラウン・サウンドは、一見しただけではわからないような繊細な調整と革新的な発想により生み出されるものだったのです。温かみのあるサウンドを生み出すためにはどのようなアンプを選択し、そしてどのようなスピーカーと組み合わせるかがとても重要です。同じモデル、同じ見た目のアンプであっても内部を構成するパーツが違っている、ということは多々あることですし、また多くのアンプは過剰に歪ませると好ましくないサウンドになる傾向があります。

Eddieの使用するアンプは、各パーツが真価を発揮するような、最適かつ絶妙な調整が施されており、それが初期のブラウン・サウンドを生み出していました。

また、Eddieはアンプの前段にいくつかのエフェクターもセッティングしていました。そのうちの数機種はギターからの信号をアンプの前段でブーストするために使われています。ギターからの信号をそのまま接続することでは得られないオーバードライブをアンプに加えていたのです。これらのエフェクターはブラウン・サウンドを実現するには不可欠な要素でした。

Eddieがアンプを大音量で鳴らしていたことも重要なポイントです。彼は100Wのアンプのノブをすべて最大値にして演奏することで、この有名な音色を生み出しました。とは言え、彼はアンプへの電圧を下げることで全体の音量を少し下げていたようです。

“ブラウン・サウンド”という言葉は温かく伸びがあり、力強いギター・サウンド

それでもこのアンプの音量はかなり大きく、当時の大きなライブハウスのオーナーもこの有名なギタリストに文句を言うほどで、一般的なギタリストにとっては大きすぎる音量でした。

実用的とは言えないほどの音量だったため、Eddieのブラウン・サウンドを再現することは難しく、技術者たちは一般的なギタリストでもその音色が手に入れられるよう開発に着手。このようにして、今日まで続くアンプ革命が始まったのです。

ブラウン・サウンドの再構築

近年のギタリストたちは、音楽の好みに関わらずブラウン・サウンドを支持しています。この言葉が生まれてから30年以上が経過し、アンプ・メーカーは温かくナチュラル、それでいて力強いサウンドを実現するために常にアンプ・デザインを改良してきました。

その多くはクラシックな真空管アンプの回路に手を加え、再設計することに重点を置いています。結果、“モダン・クラシック”と呼ばれる多くのアンプ・デザインが誕生したのです。

その完成形のひとつがBOSSのWAZA AMP。プリアンプに最先端技術を採用し、パワーアンプには新しいデザインを採用。クラシックなアンプを再現しており、素晴らしいサウンドを奏でます。

オリジナルのブラウン・サウンドの音色を連想させるよう設計されていて、今後もWAZA AMPを使用して次世代のギタリストたちが“自分の音”を見つけていくことでしょう。

すべてのプレイヤーにブラウン・サウンドを

卓越したデザイン性とクオリティを誇るWAZA AMPは、高価ではあるものの、すべてのギタリストが憧れる世界標準レベルのロック・サウンドを誇ります。WAZA AMPから多くの技術を受け継いでいるKATANA AMPにも、ブラウン・サウンドを生み出すための工夫が凝縮されており、音色はまさにロックそのもの。パワフルでエッジの効いたサウンドであると同時に、ダイナミックなサウンドでもあります。

Enter KATANA

また、エレガントで心地良い特性を持っており、伝統的なブラウン・サウンドに新たなユニークさと親しみやすさを加えています。

すべてのプレイヤーが手の届く価格帯で、このような高品質なサウンドが味わえることに時代の移ろい感じさせます。

ブラウン・サウンドへの果てしない探究は、これからも続いていくことでしょう。

Matt Walsham

ニュージーランドのハミルトン出身のローランド・オーストラリアのナショナル・セール・マネージャー。楽器業界に長く携わる大ベテランで、過去にはNZ Rockshopでのリテール経験もある。現在はステージ・ギタリストとしても演奏している。