佐橋佳幸 Meets BOSS GT-1000
/

佐橋佳幸 Meets BOSS GT-1000

日本を代表するギタリストの一人、佐橋佳幸氏。レコーディングからライブ・サポート、プロデュース業まで、音楽シーンの第一線を走り続ける佐橋氏が携わった音楽や演奏を聞いた事がない人は、おそらくいないのではないのではないだろうか。

1 min read
Start

現在、佐橋氏の足元をメインで支えているのはBOSSの最高峰マルチ・エフェクター、GT-1000だ。佐橋氏が何故GT-1000を使用しているのか、徹底的にインタビューで伺いたいと思う。

▲山下達郎 PERFORMANCE 2022で使用された佐橋氏のペダルボード。GT-1000にはパッチ切り替え用のFS-7が接続されている。
演奏中でもチューニング状況が確認できる様、TU-3SがSEND/RETURNに接続されている。
▲佐橋氏の為に制作された特別仕様のSHINOS AMP
▲1957 Fender Stratocaster Gold Metallic

■GT-1000との出会い

コロナ禍に入って、本当に音楽業界が厳しい状況で2020年5月頃だったと思います。旧知の友でもある、矢吹俊朗くんから久しぶりに連絡があったんですよ。のりちゃん(木梨憲武さん)の曲を録るからギターを弾いて欲しいって。で、ギターとアンプ、エフェクター一通りの機材持って彼のスタジオに行ったんです。そこに矢吹くんのGT-1000があったんです。

矢吹くんが“これ知ってる?”って(笑)。初めて見たので、当然使い方もわからないから、その場に居合わせたギタリストの中村修司くんがパパッと僕の音を作ってくれたんです。彼もGT-1000を持ってるから。

で、音出して驚いたんですよ。あれ、いつもの僕の音だって(笑)

■払拭されたマルチ・エフェクターの違和感

実は、今までにもマルチ・エフェクターは買ったこともあるし研究もしてきたんですけど、どうもしっくりこなかったんですよ。GT-1000は、サウンドは勿論ですけど、弾き心地も素晴らしくて。今までモデリング系のマルチ・エフェクターで感じていた違和感みたいなのが全くなかったんです。弾き手に反応してくれる感じがあるんですよね。

結局、その日のレコーディングは大半をGT-1000のライン録音で録っちゃったんですよ。帰りがけに矢吹くんから“早くBOSSの人に連絡した方が良いよ”ってことで、今日に至るわけです(写真は矢吹氏よりBOSSのスタッフに送られてきたもの)。

今までもコンパクト・エフェクターやスイッチャーでBOSSとのコネクションはあったけど、担当の人もまさか僕からマルチ・エフェクターを試したいと言われるとは思っていなかったみたいで、かなり驚いていましたね(笑)

ただ、マルチ・エフェクターってちょっと使い勝手が苦手だなとも思っていたんです。曲の展開に合わせて音色メモリーを切り替えるという操作感が、自分の様なその場のインスピレーションでペダルを踏むタイプには合わないなと。

そしたら、BOSSの人がそういう使い方もできるって言うんですよ!しかも、僕の使っているエフェクターが全部入っているって。

ただ、僕は特にCE-1にはこだわりが強くて、プリアンプを通った歪み具合も好きだから、それはアナログじゃないと無理だと思っていたんです。でも、これも再現されていて。流石に驚きましたね(笑)

※CE-1でPREAMP SWをONにすれば、PREAMP GAINのパラメーターで歪みの加減を調節できる

■自分だけのカスタマイズ

あと、GT-1000はフットスイッチが10個あるでしょ?これをどう使い分けるかは結構考えましたね。ペダル操作で迷いたくなかったから。だから、基本的に普段使用しているボードと同じようなレイアウトにスイッチの機能を設定してます。ペダルボードの場合、一般的には右側がオーバードライブ、左側がディレイでしょ?その感じにしたかった。

結果として、下の段の5個にエフェクトのON/OFF、上の段は下の段のエフェクトのパラメーターをコントロールするスイッチにました。ペダルのLEDの色も各エフェクターのイメージの色に変更したので、ペダルの踏み間違い防止にもなってとても良いんですよ。

▲佐橋氏のGT-1000のレイアウト

ちなみに、僕の使用機材をよく研究してくれている人は、あれ?ダイナコンプがないって思うかもしれないですけど、これは基本OFFにすることがないのでペダルでコントロールする必要がないんです。エフェクトとしては勿論常にONで使用しています(笑)。

▲レイアウトの元となった佐橋氏のペダルボード

チューナーは演奏中にもピッチを表示させたいので、GT-1000のSEND/RETURNにTU-3Sを入れています。でも、ボリューム・ペダルを絞ったらチューナーがONにもなるんですよ。だからTUNERというシルクが入っているCTL3のスイッチは、ケンタウルスのレベル上げ用のスイッチになっています。本体のペダルスイッチでやりたい事が多い人にはお勧めです。

操作方法:

1:MENUボタン

2:CONTROL FUNCTIONを選択

3:EXP1の項目で、“FV+TUNER+PEDAL FX”もしくは“FOOT VOLUME+TUNER“を選択

4:EXIT(設定完了)

上記の設定で、EXPを最小値のポジションにするとTUNERがONになる

あと、先ほども話をしたCE-1。これは普段、CHORUSモードとVIBRATOモードを切り替えてしています。揺れの穏やかなCHORUSと激しめのVIBRATOでオルガンのレズリースピーカーみたいな事をやっているんですよ。CE-1だと専用のノブがあるから対応できるんですけど、GT-1000でこんなことできるのかな、と思ったらASSIGNという機能で難なくできましたね(笑)

■ライブでのセットアップ

僕はライブ用にGT-1000のパッチを2種類用意しています。1つはエレキ・ギター用のパッチ、もう一つはアコギ用のパッチです。メモリーを切り替えると出力も自動的に切り替わる様にしていて、エレキの時はPA用のOUTはOFF。アコギを使用するときには、ギターアンプへの出力はミュートされる様にしています。

GT-1000はアコギのプリアンプとしても素晴らしい力を発揮してくれるんですよ。GT-1000はとにかくギターのキャラクターをそのまま出してくれる印象があって、場合によってはエフェクトを何もかけずにPAに出力することもあります。

■佐橋佳幸氏からのメッセージ

このパッチは、あくまでも僕にとってのベスト・セッティングです。ギターやアンプが変われば当然微調整が必要になると思います。フットスイッチの機能も、人によってはベストではないかもしれません。でも、このエフェクターは皆さんにとってのベスト・カスタマイズが実現できます。是非、自分に合った設定に変更してライブで使ってみてください。僕のパッチを通じて、今までマルチ・エフェクターは苦手と思っていた人達にもサウンドの可能性を感じてもらえれば嬉しいです。

佐橋氏のパッチをGT-1000にインストールしてみよう!

手順1:佐橋氏のパッチをGT-1000にインストール
専用エディター“BOSS TONE STUDIO“を使用することで、佐橋氏のパッチをGT-1000に入れて演奏できるようになります。
そのためには、GT-1000本体と専用エディターを共に最新バージョンにする必要があります。

◼️GT-1000を最新のバージョンにアップデート

1:GT-1000のシステム・プログラムをダウンロード
2:“WRITE”ボタンを押しながら電源を立ち上げる
3:システム・プログラム・ファイル(GT-1000_UPA_up.bin)をGT-1000へドラッグ&ドロップする
4:PC上でGT-1000のUSB接続を解除
5:“WRITE”ボタンを押して、アップデート開始
6:画面にCompleteと表示されたら最新バージョンへのアップデートが完了。再起動します

◼️最新バージョンのBOSS TONE STUDIOをインストール

7:使用しているPCのOSに適合するBOSS TONE STUDIOのファイルをダウンロード
8:ダウンロードしたファイルをインストールしたら完了

◼️佐橋氏が作成したオフィシャル・パッチをGT-1000に移す

9:BOSS TONE EXCHANGEより佐橋氏のオフィシャル・パッチをダウンロード
10:PCとGT-1000をUSBケーブルで接続
11:エディターBOSS TONE STUDIOを起動
12:画面左上の“LIBRARIAN”をクリック
13:画面右上のアイコン“↓”をクリック
14:SahashiOfficial.tslを選択。LIBRARIANにSahashiOfficial LiveSetが表示される
15:LiveSet内の使用したいパッチを選択し、画面左の列“USER”の任意の場所へドラック&ドロップ
16:PC上にCompleted!!と表示されたらGT-1000本体にパッチの上書き完了。USBケーブルを外す
手順2:GT-1000の設定を行う
パッチを流し込んでから、必ず以下の確認と設定が必要です。
※既に使用しているSYSTEM設定とパッチの機能がバッティングする可能性があります
1:CONTROL ASSIGNのCONTROL FUNCTIONで以下の設定を変更
2:“MENU”ボタンを押し、CONTROL MODEに入る
3:画面下のノブ1で“MANUAL”へ切り替える ※USBケーブルが接続された状態だと設定の変更が行えません
4:IN/OUT SETTINGSの“INPUT”を使用するギターの適正値に設定する
5:パッチ“SAHASHI_JC120RTN”を使用する場合
IN/OUT SETTINGSの”OUTPUT SELECTを”JC RETURN”へ変更。
GT-1000のMAIN OUT(MONO)からRoland JC-120背面のRETUEN端子へ接続して使用。
それ以外のオフィシャル・パッチは、
GT-1000のMAIN OUT(MONO)からSHINOS AMPのINPUT端子へ接続して使用。
※GT-1000の内蔵PreAmpを使用せず、エフェクターのみを使用する設定です
※内蔵のPreAmpを使用しない場合は、OUTPUT SELECTの設定は影響しないため、設定変更は不要です
5:他のパッチへ切り替える場合は、画面下のノブ1を回して下さい

BOSS Japan

日本国内のアーティスト・リレーション情報や、機材設定のノウハウ等について情報発信を行うアカウントです。