あらゆる使い方ができるラインセレクターは、実に多彩なペダルです。定番の使用法はもちろん、突飛なアイデアを試すこともできます。どの方法も利便性に優れており、他のエフェクターやアンプ、楽器の新しい使い方を発見できます。BOSS LS-2は1991年の発売以来、デザインを変えることなく、ラインセレクターの業界標準としてその名を刻んできました。MODEを切り替えるだけのシンプルなペダルであるにも関わらず、幅広いサウンド・メイクの可能性を秘めています。数十年に渡り製造されてきた様々なエフェクターと同様、ギタリストはラインセレクターに新たな可能性を見出しています。この便利なデバイスを活用するテクニックを見ていきましょう。
ラインセレクターとは?
ラインセレクターは他のエフェクターやアンプ、またインプット/アウトプット信号の回路を切り替えるために設計されたペダルです。簡易的なスイッチャーや複雑に並列したエフェクトの音色作りなど、幅広い機能を備えています。あらゆるギターの設定において、コントロールの幅を広げる重要なツールです。
ラインセレクター・ペダルの使用法 5選
1. 並列したエフェクトのミックス作業
最も人気なラインセレクターの使い方の中に、2つのエフェクターを並列に混ぜて新しい音を作り出す手法があります。エフェクトを直列ではなく並列にミックスすることで、どちらのエフェクトも一方の影響を受けることがありません。その代わりに両者は独立した状態で機能します。このアプローチは豊かで立体的サウンドを作るのに効果的です。
この機能を駆使すれば、オーバードライブの音色は目覚ましい変化を遂げます。例えば、カッティング・プレイをする際に、2種のトランジスタを装備したファズ・ペダルのトレブルがかったアタックを活かしたまま、ローエンドの物足りなさを改善したいと考えたとします。そこでLS-2を使うと別のペダル1台と一緒に、個性豊かな低音が鳴るオーバードライブにすることができます。そして、2台のペダルのEQ設定を混ぜ合わすことで、重厚感のある音色を鳴らすことができます。
「最も人気なラインセレクターの使い方の中に、2つのエフェクターを並列に混ぜて新しい音を作り出す手法があります」
2. 多彩なエフェクトの切り替え
多数のエフェクターを使用する時にスイッチのタップ回数が自然と増えてしまいますが、ラインセレクターを導入することで、その回数を減らすことができます。例えば、オーバードライブの音をオクターブ・ペダルやディストーションに、クリーンの音をコーラスやディレイなど、複数のエフェクトを組み合わせて使用する場合に、LS-2はフットスイッチ1つでこの2組のエフェクターを切り替えることができます。4つのペダル操作を1回のアクションで実現します。
LS-2を用いれば、あらゆる方法でこの機能が使えます。最も単純な方法はAまたBモードを選択し、オクターブ・ペダルとディストーションをセンドとループAのリターンに接続することです。そしてコーラスとディレイをループBのセンドとリターンに接続します。LS-2のフットスイッチはAとBのエフェクトを行き来しながら2つのエフェクターを迂回し、残りの2つのエフェクターを作動させることができます。
3. 出力セレクター
ダブル・アンプの設定は過激なドライブ・サウンドのインパクトを最大化させたり、2つのアンプの特徴を活かして音色を作るのに適した方法です。ラインセレクターは単にエフェクト・ペダルのためにあるわけではなく、複数のアンプを簡単に切り替えて混ぜることができます。アンプの切り替えだけであれば、LS-2を使ってAまたはバイパス・モードを使用する方法が簡単でしょう。アンプ1を通常のペダルの出力に、アンプ2をループAのセンドの出力に繋げてください。LS-2でそれぞれのアンプを切り替えることができます。クリーンと歪んだアンプに分けたいギタリストに最適な方法です。
マルチ・アンプの設定において考慮したい点は、両方のアンプを混ぜる必要がありことです。LS-2の入力にギターを接続し、出力をアンプ1に送るアイデアも試す価値があるでしょう。そして先ほどと同様、ループ2のセンドをアンプ2の出力として使用します。AとBのミックスかLS-2のバイパス機能を使うことで、ペダルのフットスイッチは標準出力の間で切り替えることができ、アンプ1を動作させながらアンプ2を混ぜることができます。
この方法はクリーン・アンプの明瞭さと歪んだ膨大な音色を違和感なく切り替えるのに理想的です。アンプ2の目的はオルタナティブな音色を提供するというよりも、楽曲のセクションを持ち上げることです。
「ラインセレクターは単にエフェクター・ペダルのためにあるわけではなく、複数のアンプを簡単に切り替えて混ぜることができます」
4. 入力セレクター
同じ方法を楽器にも応用することで、プレイヤーは常にケーブルを交換することなく、パフォーマンス中に2本のギターを切り替えることができます。この使い方はライブで複数のチューニングを使い分けたり、バックアップが欲しいギタリストに最適です。
LS-2を使用する際には、配線に工夫を施す必要があります。まず、LS-2を他のペダルの前に配置します。そして1本目のギターをループBのリターン入力に接続し、最後にダミーのパッチケーブルをペダルのマスター入力に接続します。ペダルの電源はオンのままになり、ジャックの入力がない場合はペダルにバイパスがかかり続けます。こうすることでLS-2がAまたはBモードに設定され、2本のギターを迂回したまま切り替えることができます。
5. ベーシスト向けのクリーン・ブレンド
ラインセレクターを使用したもう1つの方法は、既存のエフェクターにクリーン・サウンドをブレンドすることです。ギタリストでもベーシストでも採用できるアイデアです。フルレンジのオーバードライブ・ペダルが必要なことで、歪みの選択肢が限定されてしまうベーシストには非常に便利な機能となります。LS-2はローエンドの明瞭さとパンチを維持するクリーン・ブレンドを簡単に実現できる数少ないペダルです。
LS-2はオーバードライブ信号と同時にクリーン・ブレンドを作ることができます。ループAのセンドとリターンにオーバードライブ・ペダルを接続し、ループBのセンドとリターンにダミーのパッチケーブルを接続します。
LS-2のA+Bまたはバイパス・モードを選択し、ループBのマスター・レベルのコントロールを、オーバードライブと並列したクリーン信号にブレンドします。フットスイッチはブレンドされたドライブとバイパスのかかったクリアな音色の間で切り替わります。
「LS-2はローエンドの明瞭さとパンチを維持するクリーン・ブレンドを簡単に実現できる数少ないペダルです」
セットアップの補強
ラインセレクターは素晴らしくクリエイティブなペダルです。ここで制限されるのは、創造力のみでしょう。新しいエフェクトの組み合わせやマルチ・アンプの設定、楽器の簡単な切り替えといった様々なアイデアを実践できます。あらゆるギターの設定を補強するのであれば、ラインセレクターを使うことはシンプルかつ効果的な方法です。