現在、ギタリストやベーシストはギター・シンセサイザーとV-Guitarのテクノロジーの黄金時代を迎えています。その中心にあるのが、高性能なBOSSシリアルGKデジタル・インターフェース。この新技術によって、GM-800 Guitar SynthesizerとVG-800 V-Guitar Processorは、これまでになかった新しい選択肢をプレイヤーに届けます。BOSS V-Guitar Systemは、まるで架空のスタジオをペダルボード上に持ち込んだようなサウンド体験を可能にし、無限のインスピレーションの泉へとあなたを導いてくれます。まさに今が、この世界に挑戦する最高のタイミングです。
革命的なクリエイティブ・パワー
2023年に発表された次世代シリアルGKデジタル・インターフェースは、TRS端子(ステレオ端子)を使いながらも、最新のデジタル技術を採用しています。BOSSからは、安定性と精度を両立した専用のBGKシリーズのケーブルも提供されています。従来のアナログ仕様のGKインター・フェースは、13ピンの大型端子を使用していましたが、最新のディバイデッド・ピックアップ用コネクタは、より小型で薄型のデザインに刷新されています。このギター用のGK-5やベース用のGK-5Bは、ユーザー自身でも一時的または恒久的に簡単に取り付けることが可能。そしてこれこそが、GM-800やVG-800の強力なポテンシャルにアクセスするための唯一のカギなのです。
ディバイデッド・ピックアップを楽器に取り付けることは、あなたの音楽人生において最も価値ある選択の一つになるかもしれません。一見するとただのピックアップ交換に思えるかもしれませんが、それはまったく新しい創造の次元へ踏み出す大きな一歩です。この新たなシステムを導入することで、これまで不可能だったようなサウンドや表現を解き放ち、楽器という枠組みを根底から再定義するような自由度を手にすることができます。今までの常識にとらわれず、未知の音楽表現の可能性を存分に探求できるようになるのです。
ディバイデッド・ピックアップとは?
ディバイデッド・ピックアップとは、ギターやベースに使用される特殊なタイプのピックアップであり、RolandおよびBOSSのギター・シンセサイザーやV-Guitarプロセッサーをフルに活用するために設計されています。通常のピックアップがすべての弦の信号をひとつにまとめて出力するのに対し、ディバイデッド・ピックアップは弦ごとに独立した信号を取得し、それぞれ個別に出力します。その信号は、接続されたギター・シンセまたはV-Guitar機器で処理されます。
重要なのは、通常のピックアップのように直接音を出すものではないという点です。ディバイデッド・ピックアップは、楽器とシンセサイザー/V-Guitar processorsをつなぐインターフェースであり、それ自体が音を出す役割を持っているわけではありません。この最先端のテクノロジーを活かす方法は無数にあります。完全にカスタムされたギター・リグのような音から、クラシックなシンセ音色、オーケストラ楽器、パーカッション、効果音にいたるまで、あらゆる音作りが可能です。まさに、あなたの想像力が唯一の制限となる世界です。
「たとえばVG-800と一緒に使えば、GK-5 Divided Pickupは、ストラトキャスター、テレキャスター、レスポール・スタンダードなど、さまざまなピックアップの音色やポジションを正確に再現できます」
実際にVG-800と組み合わせることで、GK-5は、ストラトキャスター、テレキャスター、レスポール・スタンダードなどのピックアップ構成とそのポジションを正確に再現できます。さらに、弦のピッチを個別に変更して、ギター本体のチューニングは標準のまま、自由にオルタネイト・チューニングを設定することも可能です。そして重要なのは、レイテンシー(遅延)やタイム・ラグがほぼ存在しないという点です。そのため、Joni Mitchellのように多くのオルタネイト・チューニングを必要とするギタリストたちが、長年にわたってディバイデッド・ピックアップの柔軟性と手軽さを信頼して使ってきたのです。
ディバイデッド・ピックアップはどのように取り付けますか?
最先端のGK-5およびGK-5Bは、ユーザー自身が簡単に取り付け可能です。ネジでの固定による恒久的な設置も、両面テープによる一時的な取り付けもどちらも選べます。ピックアップにはこれらの取り付けオプションが同梱されており、プレイヤーは必要に応じて特定の楽器をギター・シンセ/V-Guitar専用にすることが可能です。また、6~7弦ギター、4~6弦ベースに対応した、高度なカスタマイズが可能なコントロール付き内蔵GK5-KIT※も用意されています。こうしたキットの取り付けに関しては、BOSSとパートナーシップを結んだブランド、販売店までお問い合わせください。
※GK5-KITシリーズの国内における単品販売の予定はございません。
へクス・ピックアップやMIDIピックアップとは?
多くのギターが6本の弦を持っていることから、ディバイデッド・ピックアップは「へクス・ピックアップ(Hex pickup)」とも呼ばれます。6弦ギター用のディバイデッド・ピックアップについては、へクス・ピックアップ という呼び方が業界では一般的です。一方で、「MIDI ピックアップ」という言い方は間違いです。なぜなら、ディバイデッド・ピックアップはMIDIデータを直接出力することは一切ないからです。
とはいえ、1980年代半ばのGKシリーズ登場以降、ディバイデッド・ピックアップはピッチをMIDI信号に変換するためのプロセッサーで活用されてきました。この用途は当初から明示されていました。現在のGM-800およびVG-800の両ユニットにも、USBやMIDIケーブルを介して外部MIDI機器を演奏できるGUITAR to MIDI機能が搭載されています。
「6~7弦ギター、4~6弦ベースに対応した高度なカスタマイズが可能なコントロール付き内蔵ディバイデッド・ピックアップGK5-KITキットも用意されています。」
ディバイデッド・ピックアップはいつ登場しましたか?
Roland/BOSSの最初のディバイデッド・ピックアップは、1986年に発売されたGK-1 Synthesizer Driverです。その名の通り、Rolandの革新的なGK-1 Synthesizer Driverのラインナップを駆動するための装置でした。
GK-1はまた、もうひとつの主要な用途として、Roland GM-70 Guitar-MIDI Converterと組み合わせて大々的にマーケティングされました。GM-70はGK-1からの弦ごとの信号をMIDIメッセージに変換し、それをRolandのMKS-20 Digital Piano、MKS-70 Polyphonic Synthesizer Super JXといったMIDI音源モジュールのような音源ユニットへと送信するものでした。
ディバイデッド・ピックアップはいつギターに搭載されるようになりましたか?
1986年にGKシリーズが登場する以前、ユーザーは工場でディバイデッド・ピックアップが組み込まれた専用楽器を購入する形でした。最初のギター・シンセサイザーのGR-500 Paraphonic Guitar Synthesizerは1977年に登場し、専用のGS-500 Guitar Controllerとペアで提供されました。
1980年には、日本の老舗ギター・メーカーであるフジゲン株式会社がRolandとのパートナーシップを継続し、さまざまなギター・コントローラーを製造しました。G-303、G-808、G-202、G-505といったモデルがギタリスト向けに登場し、ベーシスト向けにはG-33およびG-88が提供されました。
初のユーザー取り付け可能なディバイデッド・ピックアップは?
ギター・コントローラーが広く普及する中で、Rolandはやがて、「ユーザー自身で取り付け可能なディバイデッド・ピックアップを提供すれば、より多くのプレイヤーがこの画期的な技術にアクセスできるようになる」と気づきました。その結果、1983年に、Mark Knopflerが使用していたことで知られるSTK-1 GR Guitar Controller Assemblyがリリースされます。この比較的知られていない後付け製品は、Stratocasterスタイルのギター向けに設計されており、1984年に登場した革新的なGR-700 Guitar Synthesizer(Jimmy Pageも使用)とペアを組む、Roland G-707 Guitar Controllerに搭載されていた電子部品を含んでいました。
同年、Les Paulスタイルのギター向けに設計された類似製品LPK-1 GR Guitar Controller Assemblyも登場しました。LPK-1には、前述のRoland/フジゲン製のG-303やG-808 Guitar Controllersから派生した電子部品が搭載されていました。当時、Gibson社はこの技術に大きな感銘を受け、後にLPK-1の部品を内蔵したLes Paulモデル(Steve Howeも使用)やExplorerモデルを製造することになります。
1985年には、ベース用バージョンとしてBAK-1 GR Guitar Controller Assemblyが登場しました。このモデルは同年発売されたGR-77B Bass Guitar Synthesizerと併用されるG-77 Bass Guitar Controllerと共通の設計がなされていました。STK-1、LPK-1、そしてBAK-1は、現在のディバイデッド・ピックアップの重要な前身と言えます。数十年の時を経て、BOSSは、先進的な音楽家たちのニーズに応えつつ、「未来をデザインする」というRolandの使命を受け継いでいます。
ディバイデッド・ピックアップの進化
1986年のGK-1 Synthesizer Driverは、比較的大型で長方形の24ピン・アナログ端子を採用していました。このフォーマットは、1977年に登場したRoland初のGR-500/GS-500 systemから使われていたものです。1988年にGK-2 Synthesizer Driverとともに導入された、より丸みを帯びた13ピン・アナログ端子は、以降業界標準となりました。
現在もRolandは、13ピン・アナログ製品とシリアルGK製品の両方を提供しています。2004年にはGK-3 Divided PickupsとGK-3B Divided Pickupsが初登場し、同年にはGK-KIT-GT3 Divided Pickup Kitも発売されました。13ピンとシリアルGK機器の前方/後方互換性を保つために、BOSSはGKC-AD GK Converter(アナログ→デジタル)とGKC-DA GK Converter(デジタル→アナログ)を提供しています。
「Rolandは翌1995年、VG-8 V-Guitar Systemを発表し、音楽業界に衝撃を与えました。これは世界初のギター・モデリング・プロセッサーです」
1988年のGK-2は、同年登場したGR-50 Guitar Synthesizerと併用することを目的に設計されました。既存ユーザーのために、RolandはBC-13 Bus Converterを開発。これにより、GK-1 Synthesizer DriverやGシリーズGuitar Controllers(G-707、G-202、G-303、G-505、G-808)といった旧式の24ピン製品をGR-50で使えるようにしました。
1994年にはGK-2A Divided Pickupが登場し、よりスリムで実用的な形状になりました。GK-2A-KITはその後1997年に発売されました。また、1994年発売のGR-09 Guitar Synthesizerにより、ギター・シンセが手頃な価格で入手可能となり、翌1995年、Rolandは世界初のギター・モデリング・プロセッサーであるVG-8 V-Guitar Systemを発表。音楽界に衝撃を与えることとなりました。

ローエンドで魅せる音作り
最初のベース専用ディバイデッド・ピックアップ、GK-2Bは2002年に登場し、それに対応するインストール・キットであるGK-KIT-BGも同時に発売されました。このタイミングで、ベーシストたちはRolandの革新的なV-Bass Systemを手にすることになりました。これは4弦、5弦、6弦ベースに対応した先進的なモデリング機能を提供するものでした。そのわずか2年後、GK-3B Divided Pickupが登場し、続いて2005年にはGK-KIT-BG3もリリースされました。
1995年に始まったV-Guitarのラインから30年後の2025年、BOSSはペダルボード対応のVG-800 V-Guitar Processorでギタリストとベーシストに向けた革新の灯を再び掲げました。VG-800はGUITAR MODEとBASS MODEを搭載しています。さらに、次世代ギター&ベース・シンセサイザーであるGM-800は、シリアルGK方式を使用し、Rolandのフラッグシップ・シンセサイザーに採用されているZEN-Core音源エンジンによる卓越したパフォーマンスを実現しています。
GK SystemsとV-Guitarの歴史についての詳細はこちら
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Sound on Sound誌のエグゼクティブ・エディターであり、ギター・シンセ/V-Guitarの専門家であるPaul Whiteが、GKディバイデッド・ピックアップに関するよくある質問に答えます。
ディバイデッド・ピックアップはMIDIと関係がありますか?
いいえ。GKディバイデッド・ピックアップは、RolandやBOSSのギター・シンセサイザーやV-Guitar processorsを駆動するために使われますが(それらの機器自体にMIDI機能がある場合はあります)、ピックアップ自体は、あくまでギターとシンセサイザーやV-Guitarユニットをつなぐためのインターフェースとして機能しており、各弦の信号を個別に送信する役割を担っているに過ぎません。
ディバイデッド・ピックアップのサウンドはどのような印象なのでしょうか?
ディバイデッド・ピックアップはブリッジに非常に近い位置に取り付けられるため、そのままの音(未処理音)ではあまり有用とは言えません。しかし、VG-800のようなモデリング・プロセッサーを通せば、モデリングされたギターの仕様に応じて、さまざまなピックアップやピックアップの組み合わせの音色に変換することが可能です。
ディバイデッド・ピックアップを取り付けるには、ギターを改造したり穴を開けたりする必要がありますか?
必ずしもそうする必要はなく、選ぶことができます。ネジを使った取り付けと、付属の両面テープを使った取り外し可能な方法の両方に対応しています(弦との距離を調整するためのスペーサーも複数付属)。GK-5には、Gibsonタイプのブリッジに対応した取り付けプレートと、ストラップ・ピンで固定するコネクター・ボックス用の堅牢なマウントも付属しています。
また、6~7弦ギター、4~6弦ベース向けの内蔵取り付け用キットも用意されています。取り付けに関しては、BOSSとパートナーシップを結んだブランド、販売店までお問い合わせください。
RolandやBOSSのギター・シンセやV-Guitar機器は、通常のギター・ピックアップでも使えますか?
一部のギター・シンセは使えます。たとえば、BOSS SY-1やSY-200 Synthesizersは、通常のギター・ピックアップで動作します。また、GT-1000のようなマルチ・エフェクターでも、普通のギター・ピックアップで機能を活用することができます。
しかし、GM-800やVG-800のような高度なシンセやV-Guitar processorsでは、GKディバイデッド・ピックアップを使用することで弦ごとの信号分離が可能となり、より高速かつ正確なピッチ・トラッキングが実現されます。さらに、ピックアップや楽器そのものの精密なモデリング、弦ごとのピッチシフトによるオルタネイト・チューニングや12弦ギターのエミュレーションなども可能になります。
ディバイデッド・ピックアップの各モデルは互換性がありますか?
GK-2以降の13ピン・アナログのディバイデッド・ピックアップは、13ピン入力を持つすべてのRoland/BOSS製品で使用可能です。一方、最新のディバイデッド・ピックアップ(GK-5とGK-5B)はシリアル・デジタルGK方式を採用しており、13ピン製品とは直接互換性がありません。
しかし朗報として、BOSSは両フォーマット間の変換ユニットを提供しています。GKC-DA GK Converterは、GK-5/GK-5Bの出力をアナログ13ピン機器に接続可能にします。またGKC-AD GK Converterは、13ピンのGKピックアップの出力をシリアルGK方式に変換できます。


