Pedal Partners:オーバードライブと他のエフェクターとの組み合わせ 

Pedal Partners:オーバードライブと他のエフェクターとの組み合わせ 

ダイナミックなサウンドを得られるオーバードライブと相性の良いペダルやゲイン・スタッキングの仕組みについて紹介します。

1 min read

ギタリストにとって、ペダルを組み合わせることはパワフルなサウンドを模索する一般的な方法です。特にオーバードライブは、他のエフェクターとのコンビネーションを最も簡単に試せるペダルでしょう。新しいペダルを導入してサウンドのバリエーションを広げることで、曲作りや新しいリフの発見など、サウンドの変化以上の可能性を生み出すことができます。オーバードライブと他のペダルを組み合わせることでどのようなエフェクトが完成するのかを学びながら、多段で歪ませるサウンドやアンプのセットアップに役立ててください。

オーバードライブ

アンプのトーンやダイナミクス、ニュアンスを維持する特有の機能があるオーバードライブは、原音を維持しながらブーストさせ、サウンドに色付けをすることなくゲインを上げることができます。特にオーバードライブは他のエフェクターとの相性が良く、歪んだギターのサウンドが際立ち、存在感を維持できます。

オーバードライブと他のペダルを組み合わせることで、ギタリストは新たな音を作ることができ、演奏や作曲における表現の幅が広がります。また、大音量の中でも既存のエフェクトにサチュレーションを加えることも可能です。ディレイやリバーブ、モジュレーションのエフェクターを使えば、複雑で独創的なサウンドが得られます。

ペダルの組み合わせ

ディストーションとオーバードライブ(多段で歪ませる) 

ディストーションをオーバードライブで持ち上げることで、多段で歪ませたユニークなサウンドが生み出せます。これは、常にオーバードライブをオンにしながら、ギター・ソロの時にサウンドをより際立たせたいギタリストにおすすめの方法です。ディストーションやオーバードライブのサウンドをより多彩にするテクニックです。

ペダルボードもしくはマルチ・エフェクターで、オーバードライブをディストーションの前段に配置することで、ヘビーメタルのようにディストーションとオーバードライブのダイナミクスが鍵となる、パワフルなハイゲインのサウンドを作ることができます。

おすすめのペアリング 

  • BOSS OD-3 × SD-1    
  • BOSS SD-1 × BD-2W 

「ディストーションをオーバードライブで持ち上げることで、多段で歪ませたユニークなサウンドが生み出せます」

コンプレッサーとオーバードライブ  

コンプレッサー・ペダルは音量の最大値を下げて最小値を上げることで、音量のばらつきを抑え、サウンドをより安定させます。このエフェクターはローエンドとハイエンドの音量が等しくなるように調節してくれるので、ベーシストにも人気です。さらに、コンプレッサーはゲインを増やすことなく、ギター・ソロやギター・リフにサステインを加えることができます。

コンプレッサーをオーバードライブの前に置くことで、オーバードライブに送られる波形が変化します。こうすることでボリュームが安定し、より一貫性のあるオーバードライブ・サウンドを作ることができます。

おすすめのペアリング

  • BOSS CS-3 × OD-3    
  • BOSS CS-3 × BD-2W    

コーラスとオーバードライブ 

コーラスをかけるとトーンが太くなり音の輝きが増すので、オーバードライブの魅力をさらに高めてくれます。コーラス・ペダルはクリーンなサウンドか、少し歪んだサウンドに使うのが効果的です。複雑なコードを演奏する時に、音が濁ってしまう場合はゲインを下げることで明瞭度を保てます。コーラスとオーバードライブのセットは、The Policeの“Every Breath You Take”やPrinceの“Purple Rain”、Nirvanaの“Come As You Are”といった名曲のサウンドを再現できます。  

おすすめのペアリング 

  • BOSS CH-1 or CE-2w × BD-2W   
  • BOSS CH-1 or CE-2w × SD-1     

「コーラスをかけるとトーンが太くなり音の輝きが増すので、オーバードライブの魅力をさらに高めてくれます」

ディレイとオーバードライブ   

短いディレイ・タイムとエフェクト・レベルを低め設定したディレイとオーバードライブの組み合わせは、リード・サウンドをより強固な音にしてくれます。Guns N’ Rosesの“Welcome to the Jungle”のイントロが分かりやすい例です。Slashはこの曲で、BOSS DD-3 Digital Delayの最大レンジを800msにセットして使用していました。  

一方で、フィードバックが長めに設定されたディレイはユニークな音像を作り出します。アンプにエフェクト・ループが備わっていない場合、ディレイとオーバードライブを組み合わせることで、発振することなくクリーンなディレイ・サウンドを作ることができます。

おすすめのペアリング

  • BOSS DD-3T × SD-1   
  • BOSS DM-2W × BD-2W 

「短いディレイ・タイムとエフェクト・レベルを低め設定したディレイとオーバードライブの組み合わせは、リード・サウンドをより強固な音にしてくれます」

イコライザーとオーバードライブ

イコライザー・ペダルは特定の周波数をカットまたはブーストすることで、歪んだサウンドの色付けや微調整を行います。イコライザーは多くのギタリストに魅惑的なサウンドをもたらすでしょう。また、イコライザーはブースターとしても機能し、特定の周波数帯域のゲインを上げ、オーバードライブのサウンドを強調します。

イコライザーをオーバードライブと組み合わせたり、オーバードライブの後に置いたりすることで、プレイヤーはオーバードライブの周波数をより好みに合うように調整することができます。ローエンドをブーストすれば、より温かく厚みのあるサウンドに。ハイエンドをカットすれば、より滑らかで透明感のあるトーンになります。

  • オプション1:オーバードライブの前にイコライザーを置き、音色に影響を与えることができます。

  • オプション2:オーバードライブの後にイコライザーを配置し、音量を上げてリード・サウンドを大きくすることができます。

おすすめのペアリング

  • BOSS GE-7 × SD-1    
  • BOSS GE-7 × OS-2 

リバーブとオーバードライブ

リバーブはドライ音に生命力や雰囲気を音に吹き込みます。オーバードライブを加えることによって、より暗く、しかしナチュラルな音色に仕上げてくれるので、サウンド本来のパワーが蘇ります。BOSS RV-6の場合、TIMEノブでリバーブまたはディケイの長さを設定し、LEVELノブでエフェクトの強さを操作します。軽いリバーブをかけたい場合は、オーバードライブ・ペダルのゲインを下げながらレベルを下げ、タイムを長めに設定してください。

TONEノブをコントロールすることで、サウンドに明るさや深みを出すことも可能です。ノブを反時計回りに回してトーンを下げ、低音域に重みを加えてみましょう。音が暗すぎる場合には、ノブを時計回りに回して調整してください。

「リバーブはドライ音に生命力や雰囲気を音に吹き込みます。オーバードライブを加えることによって、より暗く、しかしナチュラルな音色に仕上げてくれるので、サウンド本来のパワーが蘇ります」

リバーブ・ペダルはエフェクト・チェーンの最後に設置するのが一般的です。これは、前段にセットアップされたエフェクト音全てに効果をかける必要があるためです。オーバードライブの前にリバーブを置くと、エフェクトのかかった信号がオーバードライブに送られます。もちろん、こうした特殊な使い方を好むプレイヤーもいます。

おすすめのペアリング

  • BOSS RV-6 × OD-3    
  • BOSS RV-6 × BD-2    

アンプのセットアップ

アンプを中心としたペダル・ボード作り

クランクした真空管アンプのサウンドが常に実用的であるわけではありません。アンプの音量を抑えつつ、アンプ本来のドライブ・サウンドを引き出すためには、何かアンプをプッシュする手段が必要になります。これはアンプ・チャンネルを中心にペダル・ボードを構築することで解決できます。実際、オーバードライブペダルは、愛用しているアンプの良さを際立たせることができます。

LEVELノブとDRIVEノブの設定を上げるだけで、絶妙なオーバードライブを再現しボリューム・ブーストとして機能するSD-1が良い例でしょう。小音量でアンプを設定して好みのEQセッティングを施せば、小音量でもサチュレーションさせたペダルとして使用できます。それからリバーブやディレイを操作すれば、ボード上のサウンドを置き換えることなく改善できます。

「小音量でもアンプをサチュレーションさせたり、色付けしすぎることなく音のクオリティを引き出す手段が必要となります」

ペダル・プラットフォームとしてのアンプ

アンプをペダル・プラットフォームとして使用することで、これまでのシナリオとは違った方法です。これはエフェクト・ループを除けば、最もシンプルにエフェクターのサウンドを取り入れることができます。この方法は、アンプの音色を気にせずに自分のサウンドを求めるギタリストに人気のテクニックです。MetallicaやThe 1975といったバンドはRoland Jazz Chorusのアンプを使って、エフェクトを最大限に活用してきました。

「MetallicaやThe 1975といったバンドはRoland Jazz Chorusのアンプを使って、エフェクトを最大限に活用してきました」

エフェクト・ループ内のモジュレーション

オーバードライブ・ペダルとディレイ・ペダルをアンプのエフェクト・ループに通すことで、プリアンプの影響を受けずに明瞭なディレイを作ることができます。オーバードライブはギターの音色に独特なキャラクターを加え、ディレイは奥深い空間を演出します。壮大な雰囲気やアンビエントを追求したいギタリストにおすすめのテクニックです。

エフェクト・ループ外のモジュレーション

オーバードライブをエフェクト・ループ外に接続し、ディレイをエフェクト・ループ内に通した状態にしてみてください。そうすることで、ディレイに影響を与えることなく、ギターの音にゲインを足すことができます。またこの接続方法を取り入れることで、ディレイのエフェクトそれぞれのキャラクターを活かすことができます。

「オーバードライブ・ペダルとディレイ・ペダルをアンプのエフェクト・ループに通すことで、プリアンプの影響を受けずに明瞭なディレイを作ることができます」

With Multi Effects Switcher    

マルチ・エフェクターを使うことで、オーバードライブやディレイ、ディストーションのON/OFFを簡単に切り替えることができます。中でも MS-3 Multi Effects Switcherは、多数のエフェクト・ペダルを操作できる汎用性の高いペダルです。MS-3を使用する場合は、3台の外部ペダルを拡張可能で、それぞれのペダルを活用したセッティングが行えます。MS-3をオーバードライブ・ペダルや他のペダルとペアリングすることで、サウンドの柔軟性とコントロール性が向上します。

「MS-3をオーバードライブ・ペダルや他のペダルとペアリングすることで、サウンドの柔軟性とコントロール性が向上します」

サウンドの世界

自分らしいトーンを再現しながら多くのサウンドを手に入れられる、オーバードライブ・ペダルとのペアリング。シンプルに太い音色を作るオーバードライブの重ね技や、複数のペダルを繋げて曲作りをグレードアップする複雑なテクニックまで、様々な方法があります。オーバードライブの優れた特性を活かしながらエフェクトをブレンドして、素晴らしいサウンドの世界を作り上げましょう。

Lee Glynn

フリーランスのコンテンツ ライター及びコピーライター。YouTube やコンテンツ マーケティング 活動も行う。 作品は、Professional Music Technology などに掲載。