Toast(別名Marcus Hidalgo)をまだ知らないなら、今こそ注目すべきです。テネシー州ナッシュビルを拠点とする、独創的なギタリスト、ソングライター、そしてサウンド・エンジニアであるToastは、思いがけないことに美しさを見出す才能を持っています。Mk.geeのような最先端のプレイヤーから直接インスピレーションを得ている彼のサウンドは、テクスチャー、探求心、そしてメロディアスさが融合しており、その魔法の多くはV-Guitar Systemとの繋がりから生まれています。今年初め、Toastは新しいVG-800 V-Guitar Processorを手に入れました。彼はそれを「人生を変える楽器」と呼んでいます。大胆な発言ですが、彼がこのプロセッサーで何をしているのかを一度聞けば、すぐに納得できるでしょう。
表現の自由
Toastはミュージシャンに囲まれて育ったわけではありませんでしたが、幼い頃から鋭い感性を持っていました。両親も音楽家ではありません。ただ、彼らが好んで聴いていたMichael Jackson、Tears for Fears、Red Hot Chili Peppers、Beastie Boysなど、厳選された音楽が、常に家の中に溢れていました。こうして繰り返し聴き込んだ音楽で基礎を築き、やがて彼はBest Buyでギターを購入。Joni Mitchellの実験的チューニング、Dave Matthewsのリズミカルなフィンガー・ピッキング、そしてAndy SummersとMike Rutherfordの優美な音色にインスピレーションを受けながら、独学でギターを学び始めました。
彼がV-Guitarに出会ったのは、まさにそうした影響を受けた人々を見ていたからでした。Joni MitchellがRoland VG-8 V-Guitar Systemを優雅に、そして力強く操る姿を見て、全く新しい次元への扉が開かれたのです。その瞬間から彼はV-Guitarにのめり込み、故郷フロリダで中古のVG-8EX V-Guitar Systemを手に入れ、やがてVG-800を主要な創作ツールとして定着させました。しかし、ToastにとってV-Guitarは単なる機材ではなく、ミュージシャンとしての継続的な進化と成長の鍵となるものです。「結局のところ、V-Guitarのおかげで、以前よりも自由に自分を表現できるようになりました」と彼は説明します。

Toastは、この刺激的なインタビューで、VG-800が自身のサウンド、ライブ機材、そして作曲と演奏へのクリエイティブなアプローチをどのように変えたかを語ります。12弦のワイドなサウンド、スチール弦の温かみ、シタールのシミュレーション、そしてGR-300へのノスタルジアまで、Toastは新たな境地を切り開き、VG-800が現代のプレイヤーにとってどれほど刺激的で直感的な操作性をもたらすかを示しています。
テクノロジーに興味のある方にも、伝統的なトーンを好む方にも、きっと気に入っていただけるものが見つかるはずです。ぜひ読み進めてください。
可能性の拡大
V-Guitar を知ったきっかけは何ですか?
Joni Mitchellの昔のビデオを見て初めて知りました。彼女は今でも使っています。彼女のギターに付いているアタッチメントを見た時は「何これ!?」と思いました。最近V-Guitarを使い始めて、今まで知らなかった可能性が広がったのです。
ちょうどその頃、ギターを使ってプラグインをMIDIコントロールするというコンセプトに出会いました。音楽をもっと広げられる楽しい方法を常に探していたので、まさに完璧なタイミングでした。
「V-Guitarは、私が知らなかった可能性を開いてくれました。」
Joni Mitchellは、1995年に最初のユニットであるVG-8 V-Guitar Systemがリリースされて以来、V-Guitarをオルタネイト・チューニングで使用しています。
彼女は達人です。VG-800のオルタネイト・チューニングは素晴らしいです。遅延も何もなく、本当に自然な感覚です。V-Guitarなら、どんなチューニングやサウンドにも、同じギターで対応できます。本当に気に入っています。ライブにVG-800を持っていくと、みんな宇宙船を見るように見てくれます。こんなギターは見たことがない、と。
Joni MitchellやMark Rutherfordを聴いて育ったため、私にとっては自然なことです。ですが、他の多くの人はそこまで詳しくないのだと思います。私としては「えっ?ギター・シンセやV-Guitarのことはもうずいぶん前から知っていたような気がするんだけど」と思いますが。

創造的なマインドセット
VG-800 V-Guitar Processor は直感的に使用できますか?
初めての方は難しそうに感じるかもしれませんが、実際にはかなり簡単です。シンセサイザーやプラグインをたくさん使うよりもずっと簡単だと思います。機材を実際に触りながら操作するのが好きな方には、VG-800が最適です。私は子供のような気持ちで、できるだけ楽しく操作するようにしています。
VG-800のMIDI コントロール機能は便利ですね。DAWでソフトウェア音源を録音するのによく使っていますか?
はい、ずっと使っています。以前は13ピン接続のRoland GI-10 Guitar MIDI Interfaceを持っており、MIDI録音に使っていました。売ってしまったのが本当に残念です。キーボーディストではないので、ギターを使ってMIDIトラックを録音するのが大好きです。キーボードで録音すると時間がよりかかってしまう気がします。欲しいのはクールなサウンドとラインだけなので、ギターが使えると作業がずっと楽になります。
芸術的進化
あなたのギター演奏スタイルはどのように進化しましたか?また、VG-800はどのように貢献し、反応しますか?
最初はピックではなく指でギターを習いました。その後、ジャズ・ギターにハマって、小さなジャズ・ピックを使うようになりました。V-Guitarを使い始めると、自分の演奏スタイルとテクニックにぴったり合うことに気づきました。指だけで弾くのが大好きで、VG-800、特にスチール弦のアコースティック・サウンドは、その感覚が完璧に表現されています。あの温かみのある音色を体感できます。本当に素晴らしいです。
あんなに正確にあの音を再現できる機材は他に聞いたことがありません。本当に驚きました。「アコースティック・ギターを聴いているのに、下を見ているとエレキ・ギターを弾いている自分の手が目に入る!」って感じでした。
「VG-800はあなたの演奏スタイルにぴったりです。」
RolandのGRギター・シンセサイザーをいくつか弾いたことがありますし、古いRoland VG-8EX V-Guitar Systemもよく弾きます。スチール弦のパッチもいくつかありますが、VG-800のモデリング・サウンド、特に12弦とシタールの音には圧倒されました。
VG-800は、特徴のあるうねりやシンセのリード・ラインといった演奏スタイルにマッチします。思い切り弾いても、しっかりと反応してくれます。ヘッドルームとダイナミクスが格段に良くなっているのも嬉しいですね。弱く弾いてもレスポンスが良く、思い切り弾くと爆発的なサウンドが生まれます。本当に、本当に楽しいです。

完璧なピックアップ
GK-5 Divided Pickupの取り付けはいかがでしたか?
はい!本当に数秒でできました。VG-8の発売以来、V-Guitarの技術は格段に進歩しましたね。質屋で見つけたヴィンテージ・ギターに、古いGKピックアップを取り付けて使っています。
GK-2をギターに取り付けたのですが、弦高の調整などに午前中いっぱいかかりました。きちんと調整できれば、問題なく動作します。でもGK-5なら、座ってすぐに完璧に動作しました。ほとんど調整する必要がなく、とても簡単でした。V-Guitarで一番気がかりな点はそこだと思いますが、GK-5は大きな改善点です。
「GK-5は座ってすぐに完璧に動作しました。ほとんど調整する必要がありませんでした。とても簡単でした。」
GK-5 Divided Pickup自体は、以前のGKピックアップよりもスリムですっきりとした外観です。GK-2はそれに比べると頑丈で、まるでコンピューターのアタッチメントのようですが、GK-5はギターの一部のように見えます。また、13ピンではなくTRS標準プラグ接続なのも素晴らしい点です。13ピンの方が私は馴染みやすいですが、最近は13ピン・ケーブルを見つけるのがかなり難しくなっています。
ステージとスタジオ
VG-800 はペダルボードとの相性が良いため、多くの人に愛されています。
はい、VG-800は以前のV-Guitarと比べてかなり小さくなりました。こんなに持ち運びやすいなんて、本当に人生が変わります。ツアーにも気軽に持ち出せます。ツアーで使い始めて1ヶ月になりますが、バックに入れてステージに持ち出せば、毎回素晴らしい演奏が行えます。
以前のV-Guitar Processorは大きすぎてペダルボードの代わりという感じでしたが、VG-800はBOSS 500シリーズのペダルくらいのサイズです。VG-8EXはVG-800ほど持ち運びやすくないので、家から持ち出す気にはなれません。これからはVG-800がツアーやレコーディングの頼みの綱になるでしょう。
最上級のサウンド
あなたのお気に入りのVG-800のサウンドは何ですか?
ワイドな12弦アコースティックのプリセットが大好きです。弾くのが本当に楽しいです。スチール弦っぽくて、力強い音が好きなんです。VG-800の電源を入れると、いつもこのプリセットに切り替わります。別のプリセットでは、メタル・ギターとアコースティック・ギターをブレンドしていて、これもすごく楽しいです。思いっきり弾くと、大きくて爆発的なギターのようなサウンドになります。でも、そのあとはアコースティックな音で優しく弾くこともできるんです。そこがすごく気に入っています。スチール弦の音はどれも大好きで、シタールの音も本当に大好きです。シタールを弾いたことがないので、すごく特別な音だと思います。
Roland GR-300のサウンドも大好きです。Andy SummersがGR-300 Guitar Synthesizerを演奏している動画をよく見ていましたが、VG-800はあの往年のGR-300サウンドを忠実に再現していて素晴らしいです。VG-8EXよりもハイファイなサウンドです。VG-800のVIOギター・サウンド(主にパッド音)も使って録音しました。VIOギターのサウンドは、MIDIギター機能(DAWでソフトウェアシンセを操作する)の使い方を思い出させてくれます。
「VG-800 は使うのが本当に楽しいですし、まだまだ発見すべきことがたくさんあります。」
VG-800 編集ソフトウェア「BOSS TONE STUDIO」についてどう思いますか?
使っていて本当に楽しいです。VG-800をコンピューターと連携させると、お気に入りのサウンドの検索や編集がずっと簡単になります。
音への探究
VG-800 のより高度な機能を探索する上で最も興奮することは何ですか?また、それがどのようにあなたの創造性を刺激しますか?
使っていて本当に楽しいし、まだまだ発見できることがたくさんあります。例えば、コントロール・スイッチにさまざまなパラメータを割り当ててピッチベンドとか、テレキャスター・モデルのピックアップをフットスイッチで切り替えたりとか。VG-800の機能をフルに活用するのが楽しみです。例えばDUAL GUITAR機能、もっと深く掘り下げてみたいですね。本当にワクワクします。異なる信号を組み合わせてユニークなサウンドを作るのが大好きなんです。
VG-800の真価を確かめるために時間をかける価値は間違いなくあります。手に入れて以来、発見が増えていくにつれて、私の創造性はますます刺激されます。創造性への好奇心や疑問を引き出してくれるほど、VG-800は時を経ても色褪せることなく、より幅広いミュージシャンに愛される楽器となるでしょう。
機材を手に入れて初日からその可能性をすべて発見してしまうと、何も疑問に思ったり、ユニークなものを探求したりする機会がなかったように感じてしまいます。機材がより多くの疑問を抱かせてくれるほど、その機材はより良く使えるようになります。
「VG-800 が何を提供できるかを知るために時間をかける価値は間違いなくあります。」
VG-800 のアンプ・モデリングについてどう思いますか?
アンプ・モデリングの使用はツアーのありかたを大きく変えました。ステージ・スタッフの負担が軽減されるほど、良い結果につながります。前回のツアーではアンプも持参せず、VG-800を使いました。ノートパソコンに接続し、BOSS TONE STUDIOを使ってクリーンとダーティーなパッチをいくつか調整するだけで、ライブは完璧でした。

アンプをずっと常に使い続けるというロマンチックな考えに固執していました。でも、今は未来に生きているんだと受け入れた方がいいですね。どこへ行っても、音だけでなく、ライブのセットアップが最高に簡単で速いと褒められました。アンプを持たずに旅をする方がお金もかかりませんしね。
スタジオでもアンプ・モデリングをもっと深く掘り下げてみたいですね。VG-800はDAWに直接接続するだけでレコーディング用のインターフェースとして使えるのがいいですね。