BOSS MEシリーズの完全ガイド

BOSS MEシリーズの完全ガイド

主要な機能、操作性、そして練習での使用方法について理解を深め、BOSS MEシリーズを最大限に活用しましょう。

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BOSS MEシリーズは、BOSSのマルチ・エフェクターの中で最も長く続いているシリーズであり、直感的で使いやすい、クラシックな操作性が特徴です。手頃な価格で定評あるBOSSエフェクトを搭載しながら、ノブを主体としたシンプルなフロント・パネルはわかりやすく、馴染みやすいコントロールを実現しています。このMEシリーズの完全ガイドは、あらゆるレベルのギタリストやベーシストに向けたもので、ギターやマルチ・エフェクトを始めたばかりの方から、さらに深い知識や詳細な洞察を求めるプロのミュージシャンまで幅広く役立ちます。

ここでは、MEシリーズの歴史、他のBOSSマルチ・エフェクターとの位置づけ、ペダルの主要機能、そしてMEシリーズを最大限に活用するために用意されている操作性や練習方法について解説します。

マルチ・エフェクターとは?

マルチ・エフェクターは、いくつものエフェクター機能をひとつのユニットにまとめたものです。複数のフットスイッチを備え、それぞれのエフェクトを個別に操作したり、バンク切り替えで異なるエフェクトを呼び出すことができます。ユーザーは単体のコンパクト・エフェクターを並べたペダルボードと同じように、個別あるいは同時にエフェクトを使うことができます。

マルチ・エフェクターを個別のコンパクト・エフェクターの代わりに使う利点は数多くあります。まず、省スペースであることです。ペダルボードに他のエフェクトと一緒に組み込む場合でも、オールイン・ワンのソリューションとして単独で使う場合でも、持ち運びや保管、ステージ上での使用が便利になります。また、重く壊れやすいペダルボードを持ち歩かなくて済むフライ・リグとしても優れています。

「他のエフェクトと一緒に組み込む場合でも、オールイン・ワンのソリューションとして単独で使う場合でも、持ち運びや保管、ステージ上での使用が便利になります」

数多くの魅力

マルチ・エフェターのもうひとつの大きな魅力は価格です。単体では高額に感じることもありますが、個別のコンパクト・エフェクターやパッチ・ケーブル、電源、ボード本体を揃えるよりは経済的です。特に、たまにしか使わないエフェクト・タイプも、購入せずに試すことができる点も魅力です。

さらに、マルチ・エフェクターの最も大きな魅力のひとつが多用途性です。現代のマルチ・エフェクターは、ファズやディレイ、リバーブなど、幅広いエフェクトを網羅しており、膨大なトーンの可能性を提供します。これにより、壮大なサウンドスケープを生み出したり、異なるジャンルやバンド、シチュエーションをひとつのユニットで対応したりすることが可能になります。

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BOSS GTシリーズ、GXシリーズ、MEシリーズの違い

BOSSは独自のマルチ・エフェクター・シリーズを3つ提供しています。それがGX、GT、そしてMEです。それぞれが異なる機能を持ち、ギター・エフェクト市場の中で独自の役割を担っています。

GTシリーズは、BOSSが誇る最も包括的でプロフェッショナルなマルチ・エフェクターです。AIRDプリアンプとキャビネット・シミュレーションによる包括的なアンプ・ソリューションと、膨大な数のBOSSエフェクトを内蔵しています。制御や編集の自由度も非常に高く、MIDI機能やパラメーターのアサインを駆使すると、無限に近い音色の切り替え方法を実現します。GT-1000は外部機器との接続や統合機能も充実しており、外部エフェクトを取り込む2系統のエフェクト・ループや、インターフェイスやPAへ、独立してエフェクト・チェインの信号を送るためのXLRサブ・アウトも備えています。

GXシリーズは、タッチ・スクリーン操作を採用した最新型のペダルで、チェイン構築やコントロール割り当てを直感的かつ素早く行えるよう設計されています。170種類のBOSSエフェクト・モデルとAIRDアンプ、キャビネット・シミュレーションを搭載し、アンプ不要でレコーディング、練習、ライブに対応します。

「GXとGTは大画面ディスプレイでエフェクト・チェインやパラメーターを表示しますが、MEは各フットスイッチとコントロール・ノブをカテゴリーごとに分けています」

MEシリーズ:独自のレイアウト

MEシリーズは、他の2つのシリーズとは異なります。GTやGXとは違い、MEは本体前面の多数のノブだけで操作します。GXやGTが大きな画面でエフェクト・チェインや各パラメーターを表示するのに対し、MEは各フットスイッチとノブのセクションをカテゴリーに分割し、それぞれで限られた種類のエフェクトを操作する仕組みになっています。

このユニークなレイアウトにより、MEシリーズは他のマルチ・エフェクターよりも、単体のコンパクト・エフェクターを並べたペダルボードに近い感覚で操作できます。プリセットやメニューをスクロールする必要がなく、ノブを直接操作するシンプルで直感的なコントロールが可能です。

BOSS MEシリーズの歴史

BOSS MEシリーズは1988年、ME-5の登場から始まりました。これは世界初のマルチ・エフェクターであるRoland GP-8が登場してからわずか1年後のことです。ME-5は当時限られていたBOSSペダルをひとつのコンパクトなユニットにまとめ、できる限りシンプルにギタリストへ提供することを目的に設計されました。ペダルには5つのフットスイッチがあり、ノブは搭載されておらず、ボタンを使って設定を切り替える仕組みでした。

その後、MEシリーズは人気と機能の両面で拡張、進化を続けました。ME-6、ME-8、ME-20、ME-25、ME-30、ME-50といった後続モデルは、新しいエフェクトや操作性、デザインを次々と取り入れました。エクスプレッション・ペダルが追加され、エフェクトはアナログからデジタルへ移行し、BOSS COSM(Composite Object Sound Modeling)による幅広いサウンドを搭載しました。

2014年にはME-80が登場しました。ここで導入されたユニークな新デザインは、1つのフットスイッチ・スペースに2つのスイッチを配置するというもので、従来の2倍のコントロールを実現しました。これにより、エフェクトの切り替え、パッチの選択、リアルタイムでの音作りがより効率的かつ直感的に行えるようになりました。

「ME-80は無料ソフトウェアBOSS TONE STUDIOを導入し、さらに多彩な音作りを可能にしました」

さらなる音作りの選択肢

ME-80では無料ソフトウェアBOSS TONE STUDIOが導入され、音作りの可能性がさらに広がりました。このソフトはコンピュータ上でのグラフィカルな音色編集や整理を可能にし、BOSS TONE CENTRALに接続することでトップ・クラスのプロ・ギタリストが作成した即戦力のパッチを無料でダウンロードできるようになりました。

こうした優れたMEシリーズの歴史を経て、現在のME-90およびME-90Bが登場します。これらは高品質なオーディオ、フラッグシップ級のAIRDアンプ、IRローディング、エフェクト・ループ、BOSSのプレミアム・エフェクト、そして9V電源や電池での駆動に対応し、複数の操作モードも搭載しています。

ME-90はあらゆる演奏シーンに対応したサウンドメイクをこれまで以上に簡単にする多用途なオールインワン・プロセッサーです。さらに、Bluetooth® Audio MIDI Dual Adaptorを接続することで、モバイル端末のアプリを通じてプリセットの操作、カスタマイズ、保存、ダウンロードが可能になり、これまでGTシリーズのような上位機種に限られていた詳細なパッチ編集が、MEシリーズでも実現されています。

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主な特長

MEシリーズの中心にあるのは、マルチ・エフェクターとしての機能です。ME-90には、最も有名なBOSSコンパクト・ペダルの幅広いラインナップに加えて、世界的に人気のあるペダルからインスピレーションを受けたエフェクトもいくつか搭載されています。ディストーションやディレイ、ロータリー、リバーブなどの多様なエフェクト・タイプには、複数のバリエーションを持つものも含まれます。例えば、オーバードライブのタイプには、標準的なBOSSのオーバードライブに加えて、Tube Screamer、Centaurなどのモデリングが含まれています。そして、ノブ・ベースの操作レイアウトにより、それぞれのエフェクトはノッチ付きのノブで扱うことができ、シンプルさと多用途性が完璧に融合しています。

コアとなるエフェクト処理に加えて、新しいMEシリーズにはGT-1000から移植された素晴らしいアンプ・モデリングと音作りの機能も搭載されています。これは高度なAIRDテクノロジーによって駆動され、真空管アンプのようなトーンとタッチ・レスポンスを再現します。

11種類の内蔵アンプ・タイプは、クリーン・コンボからハイゲイン・スタックまで網羅しており、BOSS TONE STUDIOでさらに多くのサウンドにアクセスできます。各アンプにはPAや録音機器に接続できる専用のキャビネット・シミュレーターが付属しており、自分好みにサウンドを仕上げるためにお気に入りのスピーカーIRを3つまでロードできます。

「11種類の内蔵アンプ・タイプは、クリーン・コンボからハイゲイン・スタックまで網羅しており、BOSS TONE STUDIOでさらに多くのサウンドにアクセスできます」

幅広い可能性

MEシリーズに内蔵されたエクスプレッション・ペダルは、もう1つの大きな特長です。エクスプレッション・ペダルの機能は、PEDAL FXのノブ1つで設定できます。このコントロールによって、ワウ、オクターブ、サブ・オクターブから、オーバードライブやディレイ・レベル、さらにはモジュレーションの速さなど、多彩なパラメーターを割り当てることができ、演奏の幅が広がります。

MEシリーズは、定番かつ人気の高い膨大なBOSSサウンドを網羅し、音作りに無限の可能性をもたらします。しかし、シリーズで最も重要な特長は、シンプルで直感的、かつ使いやすい操作レイアウトです。ノブを主軸としたインターフェイスを採用することで、一般的なマルチ・エフェクターでは避けられない、操作に慣れや経験が必要な要素を排除しています。すべてのエフェクトやパラメーターは即座に視認でき、リアルタイムで調整が可能なため、素早く簡単な音作りを実現します。

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BOSS MEシリーズの最大の魅力

11種類のアンプおよびキャビネット・モデルと60種類以上のエフェクトを備えるME-90は、ギタリストやベーシストにとって汎用性の高いオールイン・ワンのツールです。あらゆるジャンルにおいて理想的なサウンドを作り出すことができるうえ、簡単な操作でサウンドを保存できるメモリー機能により、複数のジャンルを演奏するバンドやスタジオ・ミュージシャンにも最適です。

その驚くべき汎用性にもかかわらず、BOSSマルチ・エフェクターの中で最も手頃な価格帯のMEシリーズは、初心者からプロまでマルチ・エフェクターに触れる最も簡単な手段です。個別にコンパクト・エフェクターを購入し、さらにペダルボードを組むためのアクセサリーを揃える場合と比較して、大幅にコスト・パフォーマンスに優れています。

「MEシリーズは、スマートなエフェクト構成とクレードル・マウント式デュアル・フットスイッチにより、非常にコンパクトです」

MEシリーズは、スマートなエフェクト構成とクレードル・マウント式のデュアル・フットスイッチにより、非常にコンパクトです。高品質なアンプおよびキャビネット・シミュレーターを備えているため、ライブ演奏におけるアンプの代替手段としても優れています。実際、これらのアンプとキャビネット・シミュレーターにより、ME-90はPA卓やインターフェイスに直接接続し、安定して高品質なギター・トーンを届けることができる、完璧でコンパクトな録音ツールとなります。

ノブ・ベースの直感的な操作性は、メニューを掘り下げる必要がなく、即興的なサウンド・クリエイションや素早いトーン変更に理想的です。個別のコンパクト・エフェクターを揃えたペダルボードと同じように、エフェクトの調節とコントロールが行えます。

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BOSS MEシリーズで最高のサウンドを得るためのヒント

MEシリーズの核は直感的な操作性ですが、2つの独自の操作モードのMANUALと MEMORY を切り替えることもできます。MANUAL MODEでは、フットスイッチが個々のコンパクト・エフェクターのように機能し、エフェクトのオン/オフや重ね掛けが可能です。

MEMORY MODEでは、前列4つのスイッチで個別のメモリーをコントロールし、複数のエフェクトやアンプ・モデルを同時にオン/オフできます。また、後列の2つのフットスイッチで異なるメモリーのバンクを上下に移動できます。このモードでは、あらかじめ保存したエフェクトやアンプの組み合わせを素早く呼び出すことができるため、ライブやスタジオ、ジャンルなど、シチュエーションに合わせてトーンを切り替えられます。

MEシリーズはコンパクトな筐体にエフェクト・ループを備えているため、他のエフェクトと組み合わせることも可能です。さらに、エフェクト・ループの切り替えをフットスイッチに割り当てることもできます。例えば、個性的なファズ・ペダルをエフェクト・ループに入れた場合、ME-90をそのペダルのスイッチャーとして使ったり、MEMORYモードで異なるメモリーごとにファズのオン/オフを設定したりできます。この場合でも、アンプおよびキャビネット・シミュレーションはエフェクト・チェインの最後になるため、外部ペダルをME-90のシグナル・フローに統合することができます。

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ME-90に内蔵されたエクスプレッション・ペダルは非常に多用途かつクリエイティブで、音作りの可能性を広げることが可能です。その中でも特にユニークなのがFREEZEエフェクトです。これは、コードやメロディラインの下に正確なピッチで持続音を作り出し、アンビエントな質感やソロ演奏に非常に役立ちます。

BOSS TONE EXCHANGE また、MEシリーズの可能性を大きく広げるツールです。思いがけないエフェクトの使い方や、ユニークなメモリーを発見するのに役立ちます。BOSS TONE EXCHANGEでは、自身で作成したメモリーをアップロードしたり、他のMEシリーズ・ユーザーが作成した音色を試したりすることができます。広大なプリセット・ライブラリを、キーワードや人気順で簡単に探索でき、アーティストやジャンルに着想を得たサウンドを探すのにも最適です。

「BOSS MEシリーズは、親しみやすい直感的な操作性と極めて高い汎用性を兼ね備えています」

汎用性と操作性の融合

BOSS MEシリーズは、親しみやすい直感的な操作性と極めて高い汎用性を兼ね備えています。その優れた品質と機能には似つかわしくない、手頃な価格も特長です。MEシリーズは、フライ・リグとして、大型のペダルボードの代替として、スタジオ・ソリューションとして、録音ツール、さらにはライブにおけるアンプの代替としても活躍します。

音の幅を広げたいビギナーにとっても、操作性と汎用性を求めるプロフェッショナルにとっても、MEシリーズは優れたソリューションです。モダン・メタルからアンビエント・シューゲイザーに至るまであらゆるジャンルに対応し、シンプルなメモリー機能により、フットスイッチを踏むだけで複数のセッティングを自在に切り替えることができます。

MEシリーズは、クリエイティブな可能性を簡単に探求できるように設計されており、BOSS TONE EXCHANGEのようなコミュニティ・ツールは、新しいトーンやペダルの使い方を発見するのに最適です。さらに、YouTubeもMEシリーズの素晴らしいリソースです。Alex Hutchinsのようなギターおよびエフェクトのプロフェッショナルや、The Guitar Geekのような機材愛好家のチャンネルが、ME-90でできることを深掘りした素晴らしい動画を制作しています。

より詳細については、BOSS ME-90のウェブページ、BOSS TONE EXCHANGEのMEライブラリーをチェックして、この広大なマルチ・エフェクター・シリーズを探求してみてください。

Joe Branton

JoeはポッドキャストGuitar NerdsのMCを務め、10年間に渡って毎週放送を続けてる世界で最も配信を行っているギタリストの一人です。