Alessandro "Asso" Stefana with Roland RE-301 Chorus Echo, BOSS DM-2W Delay, and BOSS RE-202 Space Echo

Reverberations:Alessandro “Asso” Stefana

ギタリストであり、作曲家、そして音の探求者でもあるAlessandro Stefana。この記事では、彼のサウンドや機材、音楽に対するビジョンについて語ったインタビューをお届けします。 Artist photos by Roberto Cavalli

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Alessandro Stefanaのこの神秘的で美しい音楽には、本当に心を奪われます」と、彼の最新ソロアルバム『Alessandro “Asso” Stefana』のエグゼクティブ・プロデューサーであるPJ Harveyは語りました。「私の親友が作る、胸に迫るほど美しい音楽です」とMike Pattonも続けます。昨年リリースされ、高い評価を受けたこのアルバムは、作曲家であり音の探求者でもあるAssoならではの感性を見事に捉えています。今回のインタビューでは、彼がRoland、BOSSの機材と長年にわたって築いてきた関係、そしてそれがなぜ彼の音楽制作や演奏に不可欠であり続けるのかについて語りました。

創造の精神

Alessandro “Asso” Stefanaは、独創的なアイデアと洗練されたサウンドで注目を集めるイタリアのギタリスト、作曲家、プロデューサーです。クラシック・ギターを学びながらも伝統に縛られず、フォーク、ブルース、映画音楽、サイケデリア、アンビエント・ミュージックなどからオリジナルの音楽を生み出してきました。常に奥深い彼の音楽は、簡単にカテゴライズできず、彼独自のものとして感じられます。

ソロ作品に加え、PJ Harvey、Mike Patton、Calexico、Penguin Caféなどのアーティストと共演し、Marc RibotやBill Frisellを迎えたプロジェクト「Guano Padano」を共同で立ち上げ、高い評価を得ています。

また、映画(『Billy』、『I Pionieri』)やビデオゲーム(『Crew 2』)向けに音楽を作成し、映像と物語に合わせた豊かなサウンド空間を構築しています。プロデューサーとしても、Micah P. Hinsonの『I Lie to You』をはじめとする注目作に関わり、イタリアのソングライターVinicio Caposselaとは長年にわたり、創作を共にしてきました。

絶えず進化するキャリアの中で、Assoは常に固定観念にとらわれず、その境界を押し広げる音楽的ビジョンで人々を刺激し続けています。

イタリアのルーツ

Mike Pattonとの制作について教えてください。

2009年にFaith No MoreのMike Pattonと、彼のプロジェクト『Mondo Cane』のために録音を行いました。『Mondo Cane』は、1950〜60年代のイタリア・ポップス黄金期の名曲を集めたアルバムです。当時のイタリアには本当に素晴らしい音楽が溢れていました。Luis Bacalov、Piero Piccioni、Piero Umilianiら、多彩な作曲家やアレンジャーがその時代を支えていました。

Mike Patton, Mondo Cane artwork

もちろん、Ennio Morriconeの存在も忘れてはいけません。このアルバムには彼の曲に加え、他の曲の素晴らしいアレンジも収録されています。Mikeは当時イタリアに頻繁に訪れており、イタリア音楽を熟知していました。

私は2009年からこのプロジェクトに世界中で関わり、2012年にはオーストラリアのシドニーで演奏しました。劇場に到着したとき、PJ Harveyが次の日に演奏することを知りました。彼女の共演者であるJohn Parishと連絡を取って、ショーに招待したいと伝えました。

PJ Harvey, The Hope Six Demolition Project artwork

PJ Harveyとの出会い

John Parishは来ましたか?

JohnとPollyはライブに来てくれました。弦楽オーケストラ、ホーン、コーラスも加わった公演でした。それから数年後、彼女がJohnに連絡を取らせてくれて、私は『The Hope Six Demolition Project』の制作に参加することになりました。

PJ Harveyの『The Hope Six Demolition Project』の録音について教えてください。

とても面白かったです。通常のスタジオではなく、ロンドンのサマセット・ハウスで行われる、一般公開されたアート・インスタレーションとして録音を行いました。チケットを購入した人々は私たちの演奏を見ることができましたが、私たちは観客の姿を見ることができませんでした。ガラス越しで一方通行です。

その環境は演奏に影響しましたか?

特にありません。誰が見ているか分からなかったので。とてもクールな体験でした。John ParishとFloodがプロデュースし、完全にライブで録音しました。ボーカルもすべてライブです。

BOSSが切り拓くサウンドの全景

当時どのBOSSペダルを使っていましたか?

正確には覚えていませんが、確かにSD-1 Super Overdriveは使っていました。

最初に手にしたBOSSペダルは何ですか?

エレキ・ギターを始めたときからBOSSペダルを使っていました。最初のころ、手に入るペダルはほとんどBOSSばかりでした。初めて揃えたのもすべてBOSSで、SD-1 SUPER OverDrive、TR-2 Tremolo、PSM-5 Power Supply & Master Switchなどを手に入れました。

その後、2台のアンプを切り替えるためにLS-2 Line Selectorを購入しました。また、約20年間使っているTU-2 Chromatic Tunerもあります。今でもこれらの古いBOSSペダルは手元にあり、よく使っています。

BOSS SD-1 Super OverDrive

ブルースを彩るドライブ

BOSSペダルは信頼できる存在ですか?

これまで一度もトラブルになったことはありません。本当に驚くべき安定感で、動作音もとても静かです。以前、別のチューナーを試したことがありますが、とてもノイズが多く、チューニングも正確ではありませんでした。そのため、昔使っていたBOSSのチューナー・ペダルに戻しました。もし新しいものを買うなら、Waza Craft TU-3W Chromatic Tunerを検討します。

追加したいBOSSペダルはありますか?

BD-2 Blues Driverを持っていましたが売ってしまいました。本当に残念です。もう一つ手に入れたいです。BD-2は非常にダイナミックな歪みを作ることができます。

かなりユニークなオーバードライブ・サウンドです。数年前にオリジナルのKlon Centaurを購入した際に売ってしまいましたが、すぐにBD-2が恋しくなりました。

BOSS BD-2 Blues Driver

BOSSの中でのトップ

お気に入りのオーバードライブ・ペダルは何ですか?

たくさんのオーバードライブを試すのが好きです。時には5〜6台をセットアップして切り替えながら違いを確かめます。でも、一番好きなのはSD-1 Super Overdriveです。大好きです。

若い頃に出会ったSD-1の音は今でも忘れられません。多くのミュージシャンが、最初に手にしたペダルに戻るのは面白い現象です。それが演奏や記憶に深く刻まれるのです。

BOSSのモジュレーション・ペダルでは、どれが一番お気に入りですか?

あまりモジュレーションは使いませんが、VB-2W Vibratoが好きです。私の耳には、コーラスやフランジャーは非常に80年代風に聞こえます。Roland RE-301 CHORUS ECHOのテープ・エコー・ユニットにはコーラスが内蔵されていますが、使用せずにディレイとスプリング・リバーブだけを使います。

Alessandro "Asso" Stefana with Roland RE-301 Chorus Echo, BOSS DM-2W Delay, and BOSS RE-202 Space Echo

Vibratoは60年代風の雰囲気が強く、私の好みに合います。特に1962年から1967年までの時代が好きです。お気に入りのギターもその時代のものです。それ以降のギターは購入しません。

ギターの黄金期

ギター・コレクションについて教えてください。

私は’65 Fender Jaguarと’65 Fender Jazzmasterを所有しています。サンバーストのギターが大好きで、Fenderのオフセット・トレモロ・システムも好みです。現在はどちらもMastery Bridgeを装着しています。

また、SilvertoneやDanelectroの古いリップスティック・ピックアップ搭載ギター、変わったTeisco、Burns、1950年代の古いKay Thin Twin、1964 Gretsch Chet Atkinsなどのギターも持っています。その他にも珍しいギターをいくつか所有しています。ライブでは、イタリアのメーカーBilly Boy製のギターをよく使います。

所有しているベースは?

古いイタリア製Voxホロウ・ボディのベースとFender Mustang Bassを所有しています。どちらも素晴らしいサウンドです。エレキ・ギターにはフラット・ワウンド弦を使いませんが、ベースにはフラット・ワウンド弦を使います。

Alessandro "Asso" Stefana with Roland RE-301 Chorus Echo

最高のトーンはまずサウンドから

RolandやBOSSのエフェクトを録音でどのように使っていますか?

私はRoland RE-301 CHORUS ECHOをよく使います。RE-301での録音は本当にかっこいい音になります。このマシンが大好きです。ドラムとの相性も抜群で、プリアンプ、リバーブ、エコーが素晴らしいです。プリアンプは信号を暖かくし、音を生き生きとさせ、EQセクションも非常に使いやすいです。

RE-301のBASSとTREBLEのような基本的なEQが好きです。最近のデジタル技術では選択肢が多すぎて、決断に果てしない時間がかかることもあります。

本当に大事なのは、最初から音を正しく作ることです。後で大きく変更する必要がなくなります。録音技術には非常に注意を払っています。私にとっては、最初から正しい音を作ることがすべてです。明確な音のイメージを持ってきちんと録音すれば、それだけでほぼミックス済みになります。最初から正しくない音を後からミックスしようとすると、時間が余計にかかります。

Alessandro "Asso" Stefana with Roland RE-301 Chorus Echo

スタジオの秘密

ドラムはRE-301を用いて録音しますか?

ドラムはエフェクトを意識して録音し、その後でトラックを加工します。ステレオでミックスし、オリジナル音はプリアンプを通して左チャンネル、エコーは右チャンネルに振ります。

良い例として、私のバンドGuano Padanoが録音した「El Cayote」という曲があります。この曲では、すべてのドラムがRE-301を通しています。

Roland RE-301 CHORUS ECHOのお気に入り機能は?

稼働中にREPEAT RATEを変更できるところが大好きです。速度を変えることで面白いテクスチャや音色を作れます。また、SOUND ON SOUNDモードも大好きです。特に音が時間とともに劣化していくところが魅力です。

ギターでSpace Echoをどう使いますか?

ステレオ出力ギターで2台のアンプを使うのが好きです。ドラムでRE-301を使うときと同じで、片方はドライ音、もう片方にエフェクトをかけます。BOSS RE-202 Space Echoを試したとき、その音の再現性に感動しました。Rolandのユニットもライブで使っていますが、 BOSS RE-202も素晴らしい音です。

BOSS RE-202 Space Echo
The BOSS RE-202 Space Echo is a studio favorite of countless producers.

BOSSディレイの定番

お気に入りのBOSSディレイ・ペダルは?

DM-2W Delayが大好きです。友人のJoey Burns(Calexico)もオリジナルDM-2 Delayが大好きです。スラップバックサウンドが出せるのが魅力で、独特の味わいがあります。中には音が鋭すぎるペダルや滑らかすぎるペダルもありますが、DM-2は完璧です。

DD-3 Digital Delayも長年愛用しています。クラシックです!私が最初に手に入れたディレイ。ペダルのひとつです。タップ・テンポもよく使うので、DD-3Tも的確なアップグレードでした。

BOSS DD-3T Digital Delay

ディレイを使ったスタジオ録音ならではのトリックを教えてください。

時々、2種類の異なるディレイを組み合わせます。例えば、ギターをスラップバックで録音し、その後で別の長めのディレイを重ねることがあります。異なるテンポを組み合わせることで動きが生まれ、相互作用が面白く聞こえます。

もう一つ面白い方法は、リバーブ・トラックをディレイに送ることです。100%ウェットのリバーブ・トラックをディレイに通すこともあります。ドラムで行うことが多いです。ドラムの音を広げ、奥行きや立体感を作るのが大好きです。Space Echoはドラム、ピアノ、キーボード、ボーカル、ギターに非常に使えます。汎用性が高いです。

Rod Brakes

BOSSのブランド・コミュニケーションおよびコンテンツ企画担当。過去にはGuitar WorldやMusic Radar、Total Guitarを始めとする数々の音楽メディアでの執筆経験があり、アーティストや音楽業界、機材に関する幅広い知識を持つ。彼自身も生粋のミュージャンである。