歴史的名機CE-1とRE-201のプリアンプ

歴史的名機CE-1とRE-201のプリアンプ

BOSS CE-1 Chorus Ensemble と Roland RE-201 Space Echo は、それぞれオリジナリティあふれるエフェクターとしてはもちろんのこと、プリアンプによる音質変化も高く評価されています。BP-1W Booster/Preampは、この歴史的名機のプリアンプ・サウンドを1台に凝縮した、フル・アナログ設計のコンパクト・ ペダルです。

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CE-1とRE-201の隠された魅力を知るミュージシャンは、そのアナログ・プリアンプ回路がもたらす独特なサウンドを今でも愛用しています。販売完了から30年以上を経た2023年、ついに長年高い評価をされてきたこのアナログ・プリアンプのサウンドと強力なクリーン・ブースターを備えた、[技WAZA CRAFT]シリーズBP-1W Booster/Preampとして、登場しました。今回はこのプリアンプの歴史を紐解きます。

BOSSとプリアンプの歴史

BOSSには、長きに渡るプリアンプの歴史があります。歴史の幕開けは1974年にリリースされたB-100 Preamplifier、アコースティック・ギター用に開発されたプリアンプから始まります。アメリカでのみ販売されたこの希少なプリアンプは、ボリューム、トレブル、ベースのノブが装備されています。80年代初頭に開発されたFA-1 FET Amplifierは3つのノブに加え、ロー・カット・スイッチも追加されました。Rory Gallagher、David GilmourやThe Edgeがこの製品を使用していたことが有名です。

ゲインやEQを調節可能なプリアンプは、さらに強力なサウンド・メイクが行えます。アンプやエフェクトの前段に高品質なプリアンプを設置すると、ギター・サウンドがブラッシュアップされ、音色に独特なキャラクターが付加されます。全てのプリアンプが同じような設計になっているわけではありませんが、優れたプリアンプのサウンドは、目立たない場所でその威力を発揮しています。

コーラス、ディレイ、リバーブについて説明する際、最初にプリアンプが思い浮かぶことは無いと思います。しかし、BOSS CE-1 Chorus EnsembleとRoland RE-201 Space Echoには世界的に評価されているプリアンプが装備されています。30年以上前に生産完了している機種を今でも収集しているギタリストが多いのは、空間系エフェクトのためだけではありません。実際に、音にこだわりを持っているギタリスト、エンジニア、サウンド・プロデューサーは、これらの内蔵プリアンプを秘密兵器として活用しています。

「30年以上前に生産完了している機種を今でも収集しているギタリストが多いのは、空間系エフェクトのためだけではありません。」

BOSS CE-1 Chorus Ensemble

1975年にローランドから革新的なアンプJC-120 Jazz Chorusがリリースされ、新しいサウンドを求めるギタリストがこのアンプを採用しました。プロ・ギタリスト向けに登場した、このソリッド・ステート・アンプは、多くのミュージシャンに影響を与えました。ステレオのコーラス/ビブラートも装備され、翌年にはこの画期的な内蔵モジュレーションがペダル・タイプのBOSS CE-1 Chorus Ensembleとして登場します。CE-1は、アナログBBD回路を搭載したBOSSのエフェクター第一号機であり、世界初のコーラス・ペダルとなりました。1976年に登場したこのペダルのデザインは、他に類を見ない形状でギタリストからも「それ」とすぐさま分かるまで浸透しています。

CE-1の最大の魅力は唯一無二のコーラスとビブラートのサウンドであることは間違いありません。しかしながら、ギタリストの中にプリアンプ回路がもたらす独特なサウンド・キャラクターを評価するプレイヤーも数多く現れました。CE-1は、High/Lowの入力感度スイッチとレベル・コントロール用のノブが装備されており、マイク、キーボード、エレキギターなど、さまざまな楽器にも対応しています。

CE-1

アナログ回路の産物

Lowインプットを選択すると、入力信号はオペアンプに到達する前に入力ジャックからレベル・ノブに送られます。これにより、入力レベルを持ち上げることができます。そこから入力信号はBBDに到達する前にローパス・フィルターを経由します。一方、Hiインプット(回路図上ではマイク・アンプと表記されています)を選択すると、入力ジャックとレベル・ノブの間で、Lowインプットの場合にはない、シングル・トランジスタ・ブースト回路と接続します。これが、独特な響きを持つ非対称クリッピングを生成するカギとなっています。

CE-1の前段でバッファ回路を持つエフェクターを接続しなかった場合、エレキギター信号はハイ・インピーダンスを保つため、高域が削れる傾向にあるのは注目すべき点です。場合によっては、そのサウンドが有効になることもあります。しかし、CE-1は抵抗値が低い50kΩのレベル・ポットを採用しているので、一般的にはロー・インピーダンスの入力信号で、ハイ落ちを避ける方が良いとされています。

「1977年、CE-1のデビューに続きコンパクト・ペダル・シリーズがスタート。1979年には2ノブのコンパクト・ペダル、CE-2 Chorusが登場。」

1977年、CE-1のデビューに続き、コンパクト・ペダル・シリーズがスタート。そして、1979年には2ノブのコンパクト・ペダルCE-2 Chorus、1983年には3ノブのCE-3 Chorusが登場しました。これらのエフェクターは象徴的なモジュレーション・サウンドとして今もなお賞賛されています。とりわけCE-1 Chorus Ensembleは、2つコンパクト・ペダルがリリースされた後も、高い人気を誇り1984年まで生産を続けました。そして、John FruscianteやJoe Bonamassaなどのギタリストが、今でもこのペダルを愛用し続けていることで知られています。彼らのサウンド・メイクにおいて、CE-1が重要な役割を果たしている中で、今日までBOSS CE-1のプリアンプ・トーンを手に入れるためには、オリジナルのビンテージ・ペダルを入手するしか方法がありませんでした。

RE-201

Echoの登場

1973年にRE-100(テープ・ディレイ)とRE-200(テープ・ディレイとスプリング・リバーブ)のSpace Echoが発売されました。RE-101とRE-201はその後継機として登場。1970年代と80年代にはRE-301、RE-501とSRE-555 Chorus Echo、RE-3、RE-5 Digital Space Echoなど、Space Echoシリーズが続々登場しました。その中でも人気のあったRE-201は90年代まで販売され続けていました。

Roland RE-201 Space Echoは、3つヘッドのテープ・ディレイとZ型のトリプル・スプリング・リバーブがもたらす特徴的なサウンド、そして、その信頼性と使いやすさが、多くのミュージシャンから支持されました。また、豊富なコントロールにより音楽制作に制限のない創造性をもたらしてきました。RE-201は、Lee “Scratch” Perry、PortisheadやRadioheadなど、さまざまなジャンルのアーティストにとっても不可欠な製品となりました。このビンテージなRE-201は今もなお活躍し続けています。

「Roland RE-201 Space Echoは、3つヘッドのテープ・ディレイとZ型のトリプル・スプリング・リバーブがもたらす特徴的なサウンド、そして、その信頼性と使いやすさが、多くのミュージシャンから支持されました。」

緻密なサチュレーション

拡張性のあるRE-201には、VUメーターの下に3つの入力(2つのマイク入力と1つのライン入力)があり、それぞれ独立したボリューム・ノブがあります。この3つの入力は同時に使用が可能です。70年代に登場したクラシカルなトランジスタ・プリアンプをオーバー・ロードすることで、ギタリストは真空管アンプがドライブしたような心地よいサチュレーションを発見しました。これは、複雑な構成とコンプレッションにより唯一無二のサウンド・キャラクターを音色に加えられました。

現在のギタリストは、BOSS RE-202 Space EchoのSaturationノブを駆使して、RE-201のプリアンプを使用したような太いドライブ・サウンドを作り上げることが可能になりました。BP-1W Booster/Preampは[技WAZA CRAFT]シリーズとして、この唯一無二なサウンドをコンパクト・ペダルで初めて実現しました。丸みがあり柔らかな中音域と滑らかで明瞭のある高音域が特徴のREモードは、シングル・コイル・ピックアップのサウンドに太さを加え、ハムバッカー・ピックアップであれば、よりリッチで存在感のあるサウンドに仕立て上げてくれます。

BP-1W

BP-1Wで伝統的なサウンド

これらの伝統的なプリアンプ・サウンドは、エフェクターの接続場所に制限はありません。BP-1W Booster/PreampのCEまたはREのモードを選択し、CE-1 Chorus EnsembleとRE-201 Space Echoのプリアンプ・サウンドを簡単に足元へ追加できます。また、幅広いゲインとレベル・コントロールにより、理想のサウンドにすぐに辿り着けます。

「BP-1W Booster/PreampのCEまたはREのモードを選択し、CE-1 Chorus EnsembleとRE-201 Space Echoのプリアンプ・サウンドを簡単に足元へ追加できます。」

CE-1やRE-201のプリアンプ・サウンドに加えて、BP-1Wは色付けなくサウンドをブーストするNATURAL モードも搭載しています。このモードは色付けなくボリューム・アップさせたり、歪みを深くさせたりなど、ギター本体やアンプ、他の歪みペダルの持つキャラクターを活かすときに最適です。さらに、BP-1Wの背面に搭載されたSTD(スタンダード)とVTG(ビンテージ)で2つの入力バッファ・モードを選択できます。スタンダードは、プレミアムなバッファによるピュアなギター・トーンを維持し、ビンテージでは、滑らかなボリュー ム・カーブと温かみのあるトーンを得ることができます。

Rod Brakes

BOSSのブランド・コミュニケーションおよびコンテンツ企画担当。過去にはGuitar WorldやMusic Radar、Total Guitarを始めとする数々の音楽メディアでの執筆経験があり、アーティストや音楽業界、機材に関する幅広い知識を持つ。彼自身も生粋のミュージャンである。