Space Echo RE-202/RE-2の活用法  

Space Echo RE-202/RE-2の活用法  

オリジナル機をかつてない精度で再現したRE-202/RE-2。この2つの強力なエフェクターを使いこなしましょう。

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BOSSのエンジニアが高度なモデリング・アルゴリズムを用いて開発した RE-202 / RE-2は、オリジナル機であるRE-201 Space Echoの特性をきわめて精密に再現しているだけでなく、更に一歩踏み込んだ機能を備えています。

テープ・サウンドの魔法

テープ式のエコー・ユニットは、一本の輪になったテープが録音ヘッドとそれに続くいくつかの再生ヘッドを通過し、消去ヘッドを経てふたたび録音ヘッドに到達する仕組みとなっています。テープの磁気特性によって録音レベルを上げると音が圧縮され歪んでいくほか、同じテープを繰り返し使用すると、摩耗により高音域が削られていきます。

RE-202 and RE-201 Space Echo

独特の揺れと歪み

テープ・エコーには、一般的にワウ&フラッターと呼ばれるわずかなピッチの変化も発生します。これは内部パーツであるゴムの歪みなど、テープ走行のメカニズムに起因するものです。BOSSのエンジニアはこれらに加えて、ゲインを上げるとまず暖かみのある歪みを、さらに追い込むとよりアグレッシブな歪みを得られる、RE-201の独特なプリアンプのサウンドも再現を試みました。

"RE-201は、歪ませた際の独特なサウンドが特徴的なプリアンプを搭載していました"

不朽の音色

モード・セレクターを使って様々な再生ヘッドの組み合わせを選ぶことで、多彩なリズムのディレイを生み出すことが出来ます。これは、The ShadowsやThe Venturesのギター・サウンドや、付点8分音符のディレイを活用するDavid Gilmourの特徴的なサウンドを再現する際の鍵となります。更にはリバーブを少し加えることで、ディレイ音に距離感を与えることもできます。

ワウ&フラッターの調節

RE-201は堅牢で緻密に構成された製品であり、ワウ&フラッターがそこまで大きく発生するわけではありませんが、BOSSのエンジニアは新しいスペース・エコーにこの効果の調節機能を搭載し、使いこまれたヴィンテージ・テープ・エコーのコーラスのような音の震えを再現できるよう、設定できる値を広く取りました。ギターやボーカルのエコーに加えることで、ピッチ変化がディレイに魅力的な深みを与えます。

RE-202 Space Echo

複雑に変化するディレイ音

再生ヘッドからの信号が繰り返しを続けるうちに生じる高音域の減衰と、アナログ・テープ自体の劣化が加わることで得られる、消えながら遠くへ溶けていくようなリピート音。BOSSはこの複雑な信号劣化を正確にモデリングしました。繰り返されるにつれて徐々にぼやけ、背景に混ざる独特のサウンドをRE-202/RE-2は再現しています。EQのコントロールによって、サウンドのキャラクターがどのように変化するかを体感してみてください。

フィードバック中はワウ&フラッターの効果が蓄積され、ディレイ音を更に変化させていきます。モジュレーションが顕著になるほどビブラートが加わり、そこに原音が重なることで多層的なコーラスのような効果が得られます。INTENSITYつまみを一定以上回すとフィードバック量が増していき、回し切るとオリジナル機と同様に自己発振します。

"INTENSITYつまみを一定以上回すとフィードバック量が増していき、回し切るとオリジナル機と同様に自己発振します"

ローファイ・サウンド

ワウ&フラッターを過剰に設定することで流行りのローファイ効果が得られ、ループ素材やドラムパートに対して使うと歪んだレコードのような魅惑的な効果を生み出します。モデリングにより得られたユニークな利点の一つであり、ワウ&フラッターやその他のテープ・エコーならではの要素を調節することで、思い描いたローファイ・サウンドを得ることができます。ここ数年ローファイ・ミュージックが人気を博している中で、RE-202のクリーンすぎないディレイは幅広く活用できるでしょう。

多彩なディレイ音

RE-202はサチュレーション量を調節するコントロールも備えており、暖かみを持った歪みを加えることができます。そのほかテープの寿命を切り替えるスイッチも搭載しており、これらと内蔵EQを組み合わせることで、明るくクリーンなディレイから、ダークで濁ったディレイまで、多彩なサウンドを作り出すことが可能です。言い換えれば、新品同様のRE-201から使い古されたヴィンテージ機まで、あらゆるサウンドを1台で生み出すことができるのです。

オリジナルを超える機能

オリジナル機であるRE-201のモノラル仕様にこだわることなく、新しいスペース・エコーはステレオ入出力を搭載しました。また、オリジナルの2倍のディレイ・タイムや、4つめの再生ヘッドを搭載。保存可能メモリー数は通常4ですが、外部MIDI機器を接続すれば最大127まで切り替えが可能です。リバーブ・タイプはRE-201に搭載されていたスプリングに加えて、ホール、プレート、ルーム、アンビエンスの5種のリバーブから選択可能。他にもタップ・テンポ、MIDIクロック同期、外部エクスプレッション・ペダルによるパラメータ・コントロールなど、アナログ・テープの時代には不可能だった数々の機能を追加しています。

"ワープはフィードバックを増加させて幻想的な音を、ツイストはエコー音を発振させてアグレッシブな回転音を生み出します"

ワープとツイスト

その他の追加機能として、ライブ・パフォーマンスにアクセントを加えたい時に活用できる、ワープとツイストの2種類のエフェクトがあります。ワープはフィードバックを増加させて幻想的な音を、ツイストはエコー音を発振させてアグレッシブな回転音を生み出します。どちらもフット・スイッチを押している間のみ持続する、コントロールの簡単なエフェクトです。

幅広い活用例

テープ・エコーの豊かなサウンドは、あらゆるジャンルのミュージシャンに対応できる無限の可能性を秘めています。RE-202とRE-2を下記のように様々なセッティングで試してみてください。

  • RE-202/RE-2をペダルボードに加えて、スペース・エコーをバンド・サウンドに。
  • RE-202のMIDI機能を活用して、外部プログラム・チェンジで最大127のプリセットをフル活用。
  • スタジオ・セッションでボーカルとギターにヴィンテージ・ディレイのエフェクトを。
  • ”Instant Karma”のスラップバック・ディレイからStewart Copelandのようなスネア・リピートまで、様々なドラム・サウンドに。
  • シンセサイザーやモジュラー・シンセのサウンドに、テープ・エコーのサウンドを。

どちらのスペース・エコーを選ぶべきか

新世代のスペース・エコーであるRE-202/RE-2はどちらもRE-201の本質的な魅力を捉えており、オリジナル機の魔法のようなサウンドに加えて、新たな機能を搭載しています。RE-202は外部MIDIコントロール、追加された再生ヘッド、メモリー機能、複数のリバーブ・タイプが利点である一方で、少々広めのペダルボードの空きと、外部電源を必要とします。

"新世代のスペース・エコーはオリジナル機の魔法のようなサウンドに加えて、新たな機能を搭載しています"

RE-2は、オリジナル機のコアとなる部分に特化しています。MIDIコントロールやメモリー機能、追加のリバーブ・タイプなどは持ち合わせていませんが、コンパクト・ペダル型のフォーマットにオリジナル同様の優れた音質を内包し、ステレオ入出力、フット・スイッチやエクスプレッション・ペダルを接続するための外部端子を搭載しています。電池または9V電源で動作するため、ペダルボードへの組み込みも簡単です。

Paul White

Sound on Soundで30年に亘って編集者を務めたのち、現在ではSOS Publicationsのエグゼティブ・エディターを担当。また、映画劇伴のようなチルアウト・ミュージックを制作するCydonia Collectiveのメンバーでもある。