ペダルボードに加えるエフェクターとして、オクターブ・ペダルは後回しにされがちかもしれません。オーバードライブ、ディレイ、モジュレーション系ペダルと比べて、オクターブ・ペダルがギタリストの音色を印象付ける例は多くありません。しかし、オクターブは秘密兵器となり得る可能性があります。オクターブ・ペダルを他のエフェクトと組み合わせることで音域が拡張し、シンセサイザーのような音色や重厚なベース・リフなど、ギタリストに新たなサウンドの可能性を切り開いてくれます。
ペダルを組み合わせる
オクターブは他のペダルと組み合わせて使うのが効果的です。歪みを強化させたり、ファズをベース・シンセに変えるときに威力を発揮します。一見、単純なツールですが無限の可能性を秘めています。それを念頭に置き、オクターブ・エフェクトと相性の良いペダルを紹介します。
PEDAL COMBINATIONS
オーバードライブ
オクターブ・ペダルとオーバードライブの組み合わせは、ドライブ・ペダルからより多くの音を引き出し、トーンを押し上げて太くします。リフやソロで足りない周波数帯域を補いたいとき、この組み合わせは非常に効果的です。
この時、オクターブ・ペダルは歪み音を微かに太くします。オクターブ・ペダルのクリーン・ブレンドを時計回りに振り切ります。この設定により、オクターブ・ペダルがバイパスされたときと同じクリーン信号が、ドライブ・ペダルに送られます。次に-1 OCTAVEを好みに合わせて10時の方向、-2 OCTAVEを9時の方向にブレンドします。力強く歪んだ音色が温かみと深みを加え、激しい音楽のセクションを別次元へと押し上げます。
おすすめのペアリング
- BOSS OC-5 × SD-1W
- BOSS OC-5 × BD-2W
ファズ
オクターブとファズは、何十年にもわたり、互いの個性を引き立て合う完璧な組み合わせとされています。そして、これらのエフェクトを別々に使うことで、ギタリストのオクターブ・ファズ・トーンを形成するスキルを劇的に向上することも可能です。
最も慣れ親しんだ例は、OC-5の+1ポリフォニック・オクターブを利用することでしょう。他のOCTAVEをオフにしながら、+1 OCTAVEを完全にブーストさせます。クリーン信号は、微かにブレンドしてください。GATEがかかった、粒の荒いファズ・ペダルを組み合わせることで、Hendrixの“Purple Haze”を彷彿とさせるトーンを鳴らすことができます。
おすすめのペアリング
- BOSS OC-5 × FZ-1W
「オクターブとファズは、何十年にもわたり、互いの個性を引き立て合う完璧な組み合わせとされています。」
リバーブ
少し珍しい組み合わせかもしれませんが、オクターブとリバーブは効果的に働きます。説得力のあるオルガンのような音色を作り出すことができるため、何か違った演奏法を模索するギタリストにとって試す価値のある組み合わせです。この音色を作るには、オクターブ・ペダルのPOLYを選択し、+1 OCTAVEと-1 OCTAVEをほぼフル回転させます。次にミックスのクリーン信号を下げ、-1 OCTAVEを控えめに使用します。
オクターブ・ペダル単独だと、サイケデリックでオルガンのような音がコードに加わります。高音域で使用するとドライでミュートされた音が鳴ります。オクターブ・ペダルを踏み込むことで、この擦れたような音を落ち着かせ、突出した+1 OCTAVEの周波数の尖りを取り除くことができます。オルガンのような音と相性が良い、教会を想起させるエコーを再現したいときに便利な設定です。
おすすめのペアリング
- BOSS OC-5 × RV-6
- BOSS OC-5 × RV-500
トレモロ
トレモロを組み合わせることで、シンセのように独特な音色がオクターブ・ペダルから生まれます。
まず、-1 OCTAVEと-2 OCTAVEをほぼフル回転に設定し、クリーン信号を完全にゼロにします。次にRATEを比較的高めに設定し、DEPTHを時計回りいっぱいに振り切り、トレモロを加えます。シンプルなベース・ラインを演奏する際に使用すると、ギターが波打つようなレトロなベース・シンセに変わり、ファンキーなダンス・ベースラインが仕上がります。
おすすめのペアリング
- BOSS OC-5 × TR-2
「トレモロを組み合わせることで、シンセのように独特な音色がオクターブ・ペダルから生まれます」
ベース・プリアンプ
オクターブ・ペダルとBB-1Xのようなベース・プリアンプの組み合わせは注目されることが少ないですが、素晴らしい可能性を秘めています。特にOC-5のDIRECT OUTを通すことで、その効果を最大限に活かすことができます。DIRECT OUTは、ギター・アンプへの信号をそのままに、ウェットなオクターブ信号を別の出力に送ることができます。
ペダルを-1 OCTAVEだけ出るように設定すると、影響を受ける出力の鳴りをコントロールし、調整することができます。次にオクターブ・ペダルのOUTPUTを、プリアンプに接続します。こうすることで、ベース・アンプの音色を再現できます。BB-1Xを含む、ほとんどのベース・プリアンプにはBALANCE OUTが用意されており、プレイヤーはその信号を直接PAに送ることができます。この機能により、ペダルボードにコンパクト・エフェクターを2つ置くだけで、ベース・アンプとベース・プレイヤーを真似ることができます。
おすすめのペアリング
- BOSS OC-5 × BB-1X
Setups
配置
他のピッチ系エフェクトと同様、オクターブ・ペダルはできる限りペダル・チェーンの最初に配置します。オクターブ・ペダルの前に置くペダルは、コンプレッサーと一部のファズです。オクターブ・ペダルはピッチを上下させる明瞭なエフェクターであるため、可能な限り原音に近い信号を受け取らなければなりません。
アナログのオクターブ・ペダルはモノフォニックのため、この位置付けはさらに重要です。モノフォニックのオクターブ・ペダルが受ける信号の倍音が強調されたり変調されていると、ペダルは正しいピッチを取得することができず、グリッチが発生しやすくなります。
「他のピッチ系エフェクトと同様、オクターブ・ペダルはできる限りペダル・チェーンの最初に配置します」
DRY/WETのミックス
オクターブ・ペダルの一般的な使い方の2つ目は、WET/DRYミックスの一部として利用します。これはオクターブ・ペダルを最大限に活用する、素晴らしいアイデアです。信号が濁ったり他のエフェクトを制限することなく、音色を作ることができます。
この方法はライン・セレクターを使用するどのオクターブ・ペダルでも実践可能です。OC-5なら独立したDIRECT OUTが装備されています。プレイヤーはDIRECT OUTを使うことで、ドライ信号をアンプに送りながら、エフェクトがかかった信号を独立して別の再生ソースに送ることができます。オクターブ・ペダルをベース伴奏として使用するプレイヤーにとって理想的な機能であり、ベース信号をそのまま残すことができます。同時に、ベース信号を曇らせてしまうディレイやリバーブとクリーン信号を組み合わせることも可能です。
「オクターブ・ペダルは、ギタリストにとって最も表現力豊かで自由自在なツールのひとつ」
表現力と柔軟性
他のエフェクターを補強するために使うとき、オクターブ・ペダルは優れた創造的なツールとなります。ぜひ、ベース・シンセから金切り声のようなソロなど、様々な音を作ってみてください。オーバードライブやディレイのように必須のエフェクターではないかもしれませんが、オクターブ・ペダルはギタリストにとって、最も表現力豊かで自由自在なツールのひとつです。