BOSS HM-2Wのゲイン回路を分析しよう

BOSS HM-2Wのゲイン回路を分析しよう

人気YouTubeチャンネルCS GuitarのColin Scottが、HM-2W Heavy Metalの「技WAZA CRAFT」の技術について深掘りした動画を公開しました。

1 min read

2011年の開設以来、ギター関連の機材についてのテクノロジーをわかりやすく解説し、ミュージシャンたちから絶大な支持を得ているYouTubeチャンネル『CS Guitars』。その運営者である Colin Scott が、BOSS HM-2W Heavy Metalの「技WAZA CRAFT」の技術について深掘りした動画を公開しました。

熱狂的な人気を誇るペダル

HM-2Wの技術を掘り下げる中で、Colinは1983年から1991年にかけて生産された初代HM-2が、その局所的な流行から、いかにして大きなムーブメントへと発展していったかについて語っています。そして、HM-2が熱狂的な支持を得ているのにもかかわらず、「HM-2はユニークな方法で設計されているが、回路について議論する人はほとんどいない」と提起。

Entombed、Dismember、and At the Gatesといったスウェーデンの伝説的なデスメタル・バンドが、1990年代に“チェンソー・トーン”と呼ばれるサウンドを開拓していなければ、HM-2はBOSSの歴史の中でも、忘れ去られた存在になっていたかもしれないと語りました。

"エンジニアは、過去30年のテクノロジーと演奏環境の進歩を考慮している。" -Colin Scott

このジャンルの熱心なファンたちが、“大衆からの圧倒的な支持”を生み、 「技WAZA CRAFT」シリーズでの復活へとつながったのは言うまでもありません。 その設計について、HM-2Wのスタンダード・モードはオリジナルのHM-2のサウンドを忠実に再現していると説明。カスタム・モードではゲインが増強され、「イコライザーを調節することで、より攻撃的なサウンドを作り出せるようになった」と分析しています。

その回路を紐解く

Colinは、丁寧にHM-2Wのスタンダード・モードからカスタム・モードのゲイン回路の構造へと順を追って解説。

「HM-2Wは、歪みを発生させるためのあらゆる手法を駆使している」と述べ、特に彼が“サスペンション・ブリッジ・カーブ”と呼んでいる、2つの特徴的なピークをもった周波数特性に着目。また、BOSSがギタリストの使用するギターやアンプ、演奏環境の変化を考慮し、最大出力を3dB引き上げたことについても高い評価をしました。

"HM-2Wは、歪みを発生させるためのあらゆる手法を駆使している" -Colin Scott

Colinは、クロスオーバー歪みやトランジスタを調べる中である発見をします。LOWコントロールは80~90Hz付近の単一のシグナル・フィルターに影響を与えますが、これがサウンドのスイート・スポットであることに気づいたのです。「偶然ではなく、レギュラー・チューニングされたギターの6弦の周波数と一致しています」

“完璧なるカオス”を生み出すサウンド

Colinは、HM-2Wを“完璧なまでの成功”と結論づけました。すべてのノブを最大値にすることで得られるその特性こそ、愛され続けるキャラクターたる所以なのです。

「あらゆるものを切り裂くために適所にカーブをつけつつ、荒々しく攻撃的で、かき回すようなサウンド。HM-2Wは至高のディストーション・ペダルです」と、Colinは今回の分析を通じて、HM-2Wが “完璧なるカオスの嵐”のようなサウンドを生み出すことを確信。もちろん、彼がHM-2Wの虜になったのは言うまでもありません。

Ari Rosenschein

ローランドのグローバル・コンテンツ・マネジャー。妻と愛犬と共に、シアトルで生活。豊かな自然とコーヒーを満喫している。