IR-200 Header

ギター用IRペダルの創造的な使い方5選

IRペダルは、ギタリストやベーシストにとってまさにゲーム・チェンジャー。その可能性を最大限に活かす方法を紹介します。

1 min read

ここ10年で、IR(インパルス・レスポンス)やキャビネット・シミュレーター(Cab Sim)ペダルは急速に人気を集めています。アンプやキャビネットの音を収録する技術が進化するにつれて、IRのサウンド・クオリティやプリアンプ、パワー・アンプ、マイキングしたキャビネットの再現精度も格段に向上しました。

近年、ギター・コミュニティではIR技術を使って音色の創造性を広げたり、セットアップをシンプルにしたり、これまで手に入らなかった機材の音を取り入れたり、自宅やスタジオ、ステージ問わず同じギター音を再現するためのツールとして受け入れられています。つまり、IRペダルはギターやベース・プレイヤーにとって革命的な存在なのです。この記事では、その可能性を最大限に活かす方法について紹介します。

IRペダルとは?

ギターにおけるインパルス・レスポンスとは、アンプ・セットアップ全体の音を正確に測定した音のスナップショットです。これにはキャビネット、マイク、マイクの設置場所、部屋の響き、ラック機材やエフェクトも含まれます。この音のスナップショットは、ヘッドホンでの自宅練習でもライブのフロント・オブ・ハウスでも、同じ音を正確に再現できます。

重要なのは、IRは実際の機材のデジタル・キャプチャであり、多くの「アンプ・イン・ボックス」系のペダルのような解釈による模倣ではないことです。20Hzから20kHzの全周波数帯で特定のセットアップの音質と特徴を正確に捉えた音声ファイルであり、IRローダーがそれを読み込んで正確に再現します。

IRペダルの使い方

IRはギタリストにとって多様な用途があり、自宅でヘッドフォンを使って練習する方法を一変させる力があります。アンプを通して静かに演奏したり、自分のトーンを正確に再現できない小型の練習用アンプを使う必要はありません。IRを使用すれば、どんな環境でも同じトーンを作り出すことができます。キャビネットのマイクの配置やドラムなどの楽器からの音の混入を気にすることなく、会場のPAに正確か一貫したトーンを届けられます。

また、自宅でプロ・クオリティのギター・レコーディングを手軽に行うことも。BOSS IR-2IR-200のようなIRペダルはオーディオ・インターフェイス機能を搭載しているので、複雑なセッティングや防音、ボリューム調整の必要がありません。

IRの最もクリエイティブな特徴のひとつは、誰でも自分のIRを作成できることです。IR作成ソフトやオンラインのIRライブラリが豊富にあり、ヴィンテージ・アンプのオーナーが遠征に持ち出すのを避けたい場合でも、IRを使えば安全に保管しながらそのクラシックな音色をライブで再現できます。

IRペダルの5つの使い方

外部プリアンプと組み合わせたキャビネット・シミュレーション

IR-2やIR-200はプリアンプとキャビネット・シミュレーションをセットで提供しますが、他にも多くのプリアンプ・ペダルやアンプ・インボックス系エフェクトがあり、独自の操作感や音色を持っています。

BOSSのIRペダルは機能を分割でき、キャビネット・シミュレーターだけを使うことも可能です。これにより、好みのプリアンプを使いながら、選んだキャビネットとマイクの音色だけを再現できます。

たとえば、モノラルのシンプルなプリアンプ・ペダルを使い、IR-200のステレオ・キャビネット・シミュレーションで二つの異なるキャビをブレンドすれば、厚みのある豊かな音が得られます。

IR-200

実際のキャビネットにプリアンプとして使う

逆に、IRペダルをプリアンプだけ使い、キャビネット・シミュレーターをオフにして、実際のパワーアンプ+キャビネット、アンプのFXループに接続する方法もあります。

例えば、IRペダルをアンプのFXループに入れて、アンプのプリアンプをバイパスし、アンプの基本音色を別のタイプに変えられます。マーシャル風のアンプをフェンダー風にしたり、その逆も可能です。また、ステージのモニターやイヤー・モニターに頼らず、リアルなキャビネットと組み合わせて使えます。

「BOSS IR-2 の最も価値ある機能のひとつは、フットスイッチで2つの異なるIRトーン・プリセットを切り替えられることです」

フットスイッチで2種類のアンプ音を切り替え

BOSS IR-2の大きな特徴は、フットスイッチで2つの異なるプリセットを切り替えられることです。これにより、ドライブ・チャンネル、アンビエント音色、またはセクションごとの別の音色として活用できます。

例えば、普段はフェンダー・ツイン・リバーブ風のクリーン・トーンを使い、フットスイッチを踏むとソルダーノSLO-100風のメタル・サウンドに変えることも可能。小型のエフェクト・ボードやシンプルなセットアップに便利で、追加のオーバードライブ・ペダルを使わずに済みます。

IR-2

ステレオ・アンプやエフェクトのFXループを活用

IRペダルは、かさばる大規模なギター・セッティングを簡略化し、持ち運びやセットアップが楽になるだけでなく、ステレオの巨大なウォール・オブ・サウンドを作ることもできます。これはレコーディング・スタジオでのアンプ・チェーンやエフェクトの重ね掛けに匹敵します。

IRペダルはステレオで使えるため(IR-200はデュアルEQやキャビネット・オプションも搭載)、複雑なアンプ・トーンをミキサーや録音用インターフェースに送ることができます。

BOSS IR ペダルに搭載しているアンビエンス機能を使用すると、ステレオ ・リバーブを付加することもできます。また、IR-200では、キャビネット間のタイム・ラグが調整(ADJUST 機能)でき、でステレオ・イメージを編集し、広大なサラウンド・サウンドを作り出すことも可能です。

「IRシリーズのペダルは、ギター・トーンを重厚なウォール・オブ・サウンドのステレオ・リグへと広げることもできます」

アコースティックのピエゾ・ピックアップの音質向上

IRペダルの実用的ながらあまり知られていない使い方のひとつが、アコースティック・ギターのトーンに新たな命を吹き込むことです。ピエゾ・ピックアップを搭載したアコースティック・ギターは、ライブでの使用に最適です。外部マイクを扱う煩わしさがなく、演奏中に特定の位置に固定されることもなく、バンドの中でも簡単に使うことができます。

ただし、ピエゾ・ピックアップは優れたアコースティック・ギターの持つ奥行きや豊かな音色をうまく再現できないことがよくあります。幸いにも、インパルス・レスポンス(IR)技術の登場によってこの問題は完全に解決されました。

多くのサードパーティ製IRやメーカーが、自社のアコースティック・ギター・ラインアップに対応した公式IRを提供しており、ごく少ない機材でも自分のアコースティック・ギターの音をIRとしてキャプチャして、BOSS IR-2やIR-200を使ってライブで忠実に再現することが可能です。

IR-2

無限に広がるトーンの世界

IRペダルとキャビネット・シミュレーションは、巨大なスタジオや高価な機材がなくても音色を大幅に拡張・進化させる素晴らしいツールです。詳細な音作りができ、持ち運びも便利で、サードパーティの膨大なリソースも活用可能。じっくり使い込めば、あなたの音楽的な創造性に限界はありません。

Joe Branton

JoeはポッドキャストGuitar NerdsのMCを務め、10年間に渡って毎週放送を続けてる世界で最も配信を行っているギタリストの一人です。