BOSS「技 WAZA CRAFT」シリーズとは?
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BOSS「技 WAZA CRAFT」シリーズとは?

「技 WAZA CRAFT」のペダルは、オリジナル・モデルを熟知したエンジニアが回路を完全に再設計し直して作られました。どんな特徴があるのか、探ってみましょう。

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「技 WAZA CRAFT」 は、BOSSのコンパクト・エフェクターの中でもハイエンドで高品質な製品です。BOSSの幅広い製品の中でもアイコニックなペダルであり、オリジナル・モデルを熟知したエンジニアが回路を完全に再設計し直して製造。アナログ・コンポーネントやカスタム・モードによって新たな命が吹き込まれています。希少なモデルであるVB-2 VibratoからDC-2 Dimension、HM-2 Heavy Metalまで、さまざまなペダルが再構築されてきました。

「技 WAZA CRAFT」とは?

2014年、BOSSはそのクラフトマンシップを結集させ「技 WAZA CRAFT」ペダルを完成させしました。BOSSの過去のカタログに掲載されている伝説的な製品を中心に、エンジニアがその技術を深く掘り下げ、トーンと機能をさらにブラッシュアップしています。BOSSのエンジニアはこう説明します。「ベストな選択をするために決して妥協はしません。音の良さに加えて安定性やノイズ低減も重要なので、信頼できる部品のみを使用しています」

「技 WAZA CRAFT」の特徴

「技 WAZA CRAFT」は、ベースとなるモデルの回路を完全に設計し直したモデル。オリジナル・モデルを熟知したBOSSのエンジニアは、そのペダルを新たな方向に導くのに適任です。例えば、BD-2Wもはじめは部品の変更だけの予定でしたが、設計が進むにつれてまったく新しい回路へと進化していきました。このようにして、エンジニアはすべての部品を選択し直し、より良いものを作ることができたのです。最終的には、スタンダード・モードとカスタム・モードの両方で、最高のサウンドを実現することができました。

回路の再設計により新たな命が吹き込まれた 「技
WAZA CRAFT」

その例としてCE-2W Chorusが挙げられます。CE-2Wは、BOSSが世界で初めて発表したコーラス・エフェクト・ペダルCE-1のコーラスやビブラートに加えて、CE-2のクラシックなサウンドを取り入れています。CE-1が登場したのは1976年なので、オリジナルの部品の多くは現在生産されていません。そこでBOSSは、オリジナルの回路図を熟知した上で、回路をイチから作り直しました。これにより、現代的な部品を使用しながらも本格的なコーラス・サウンドを実現したのです。

"「技 WAZA CRAFT」ペダルは、BOSSのクラフトマンシップの頂点を示しているのです。"

“技”が意味するもの

BOSSはすべての「技 WAZA CRAFT」ペダルを日本で製造しており、すべてのペダルには日本語で芸術や技術を表す“技”という漢字を使用。この言葉によって、BOSSの設計と職人技の頂点を示しているのです。歴史への敬意と最先端技術への情熱が融合する、「技 WAZA CRAFT」シリーズのラインナップは以下の通りです。

HM-2W Heavy Metal

このHM-2Wには脈々と受け継がれる“血統”があります。その原点であるHM-2は、ひとつのムーブメントのサウンドを決定づけました。スウェディッシュ・デスメタル で用いられる荒々しいサウンドは、このペダルが持つ極端とも言えるトーンによる部分が少なくありません。HM-2Wのスタンダード・モードは、HM-2を改良してノイズを軽減し、オリジナルよりもレベルを+3dB高く設定。さらにカスタム・モードでは、クラシックな “スウェディッシュ・チェンソー “サウンドを新たなレベルに引き上げ、よりアグレッシブでモダンなアタックを実現しています。

ミュージシャンたちから絶大な支持を得ているYouTubeチャンネル『CSGuitars』。その運営者であるColin Scottは、HM-2Wについて以下のように語っています。「エンジニアは、過去30年間のテクノロジーの進歩と演奏環境を考慮して設計した。あらゆるものを切り裂くかのように、適切な場所にカーブを持たせたアグレッシブなサウンドだ」

TB-2W Tone Bender

TB-2Wはペダル界の二大巨頭、Sola SoundとBOSSが合同で開発したペダルで、 Jimmy PageやMick Ronsonが愛用していたという伝説的な“Tone Bender”とのコラボが実現。BOSSはそのペダルの設計と伝統を探求ことに全力を注ぎ、その結果、Tone Bender MkIIの構造を熟知するためにSola Soundと協力し、開発をすすめました。

BOSSのエンジニアは、参考モデルのTone Bender MkII(シリアルナンバー500)を研究し、限定版の「技 WAZA CRAFT」TB-2Wを完成させました。TB-2Wは、厳選された希少なゲルマニウム・トランジスタ、3ウェイ・ボルテージ・セレクター、トゥルー/バッファード・バイパスの選択が可能なバイパス・システムを搭載しています。また、洗練された回路設計により安定したパフォーマンスも実現しました。

MT-2W Metal Zone

圧倒的なハイ・ゲインを誇る名機が、「技 WAZA CRAFT」シリーズで生まれ変わりました。スタンダード・モードではノイズを軽減し、最適化されたMID-EQを搭載。カスタム・モードでは、現代のメタル・プレーヤーのためにゼロから設計された、まったく異なる新しいハイゲイン・サウンドが得られます。エンジニアは次のように回想します。

「MT-2は人気が高く、1991年の発売から今でも生産され続けています。今回、MT-2W を『技 WAZA CRAFT』のラインナップに加えることで、スタンダード・モードでのブラッシュアップされたMT-2の音色だけでなく、多彩で幅広い用途に対応するカスタム・モードも含め、このペダルの魅力を再認識していただける機会になると考えました」

DC-2W Dimension C

プレイヤーやプロデューサーから高い評価を得ているDimension Cは、独自の空間処理により、あらゆるサウンドの広がりと深みを魔法のように高めます。「Dimensionは、サウンドの空間性を高める唯一無二のエフェクトです。現在の音楽シーンに非常に役立つと考え、このユニークなペダルをより多くの方に体験していただきたいと考えました」。エンジニア・チームはこう話します。

スタンダード・モードのDC-2Wはクラシカルな空間系エフェクト「DC-2 Dimension C」を、SDD-320モードでは数々のヒット曲で使用された伝説のラック・エフェクター「SDD-320 Dimension D」を再現。エンジニアは、アナログの信号経路と新設計の電子式ボタンを組み合わせ、オリジナル・モデルの4通りのサウンドに対し、DC-2Wでは合計20通りものサウンドを実現しました。

TU-3W Chromatic Tuner

TU-2の人気は非常に高く、世界中のエフェクター・ボードに 置かれている名機です。BOSSは TU-3Wで、世界をリードするペダル型のチューナーに「技 WAZA CRAFT」の魅力を加えました。「技 WAZA CRAFT」の信念に則り、ペダルの機能性をさらに高めています。

TU-3WはTU-3の単なるリバイバルではなく、回路を再設計し、プレミアムなバッファを搭載しています。さらに、バッファとトゥルー・バイパスの切り替えが可能となり、あらゆるセットアップにおいて最もピュアな信号伝達を実現するオーディオ・パススルーを実現しています。

CE-2W Chorus

1980年代のラジオ・ヒット曲をはじめ、さまざまなジャンルで活躍したCE-2コーラスの特徴的なサウンドを再現。CE-2のモノラル・サウンドを忠実に再現するだけでなく、CE-2Wは柔らかなモジュレーション・トーンを初めてステレオで再現しました。

長年に渡り根強い支持を得ているCE-2のサウンドを再現し、さらにステレオ出力も可能としたスタンダード・モード。CE-1モードでは、世界初のコーラス・ペダルの象徴であるCHORUSとVIBRATOのサウンドを忠実に再現しています。ザ・キュアーやニルヴァーナなどが愛用した、渦巻くような幻想的なトーンが蘇ります。

VB-2W Vibrato

コンパクト・エフェクターで個性的なサウンド・テクスチャーを作りたいと考えている、現代のプレイヤーに広く再認識されているVB-2。「技 WAZA CRAFT」のVB-2Wは、その先進的なトーンを継承しつつ、サウンド面において飛躍的に向上させています。

スタンダード・モードでは、BOSSペダルの中でも最も希少なオリジナルのピッチシフト・ビブラートを再現。カスタム・モードでは、独自のフィルターによりさらなる個性を放つ揺らぎを再現しています。また、ペダル踏み込み時のみエフェクトがオンになるアンラッチ・モードを搭載することで、表現力の向上が可能となっています。

BD-2W Blues Driver

1990年代半ばに発売されたBD-2は、ブルース・ギターに最適な滑らかで歯切れのいいサウンドを実現しました。しかし、BD-2の真価はそれだけにあらず、あらゆるセッティングにおいてリッチなオーバードライブ・サウンドが瞬時に得られる“万能ペダル”なのです。

「技 WAZA CRAFT」バージョンであるBD-2Wは、フル・アナログによるディスクリート回路を採用し、優れた音色とダイナミックなタッチ・レスポンスを得るためにイチから設計し直しています。さらに、カスタム・モードでは音色の幅が広がり、繊細なピッキング・ニュアンスにも俊敏に反応。サスティンも向上しています。

SD-1W SUPER OverDrive

1981年に発売されたスーパー・オーバードライブのSD-1は、ジャンルを問わず多くのギタリストに愛されています。イエローの筐体が特徴のアイコニックなモデルで、2021年に発売40周年を迎えました。そのペダルとしての歴史は、ロックのルーツから現代の音楽に至るまで多岐に渡り大きな影響を与えています。ミュージシャン/プロデューサーであるMichael Molendaは、著書『History of the pedal』の中でこう述べています。「SD-1の豊かな轟音は、プレイヤーの微妙なダイナミック・ニュアンスまでも表現する。その結果、多くのギタリストがBOSSのオーバードライブの中でSD-1が最もオールラウンドで優秀なモデルであると評価している」

「技 WAZA CRAFT」バージョンであるSD-1Wは、そんなペダルの特筆すべき功績を基に作られています。スタンダード・モードでは、オリジナルSD-1のサウンドをフルアナログ・ディスクリート回路で再設計しており、クリアなサウンドと低ノイズを実現。カスタム・モードでは、厚みのある中低音域とハイ・ゲインを得ることができます。

DM-2W Delay

ロカビリーの伝統的なスラップバックからアンビエンス・ウォッシュまで、DM-2がクラシックなペダルとして君臨し続けるのには理由があります。「技 WAZA CRAFT」シリーズでは、その豊かなサウンドにさらなる柔軟性を備えているのです。

スタンダード・モードのDM-2Wでは、BBD(遅延素子)によって生み出されるオリジナルDM-2のクラシカルなディレイ・サウンドを再現。その音色は素朴でダークなアナログ音のリピートとして有名で、アンサンブルの中でも圧迫感を与えることなく完璧に調和します。現代の音楽にもマッチするカスタム・モードでは、温かみがありながらよりクリアなディレイ・サウンドを構築し、さらにオリジナルよりも2倍以上のディレイ・タイム(最大800ms)を実現しています。

Ed Lim

自身を生粋のギターオタクと呼ぶ、ローランド・オーストリアのプロダクト・マネージャー。愛猫家、写真家、そして非常勤の航空宇宙技術者など幅広い一面を持つ。